進行胃がん PD-1抗体キイトルーダ×VEGFR2抗体サイラムザ併用療法の第1相試験 ASCO-GI2017


  • [公開日]2017.01.24
  • [最終更新日]2017.11.13[タグの追加] 2017/11/13

英国ロンドンRoyal Marsden病院のlan Chau氏らは、2017年1月の米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム(ASCO-GI)で、胃がん/食道胃接合部(GEJ)がん患者を対象にPD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)と、血管増殖因子受容体2(VEGFR2)抗体ラムシルマブ(商品名サイラムザ)を併用投与した第1相試験の結果を発表した。2017年1月20日のOncLiveの記事を紹介する。

進行性胃がん/食道胃接合部がん患者集団41人で全奏効率10%、病勢コントロール率46%

計41人の患者を、サイラムザの8mg/kg群、または10mg/kg群に割り付け、キイトルーダ(200mgを3週ごとに静注)と併用投与した。サイラムザの8mg/kg群には一次療法として本併用療法を受ける患者が数人含まれ、3週間サイクルの1、8日目に静注した。サイラムザ10mg/kg群には二次、または三次療法として本併用療法を受ける患者が登録され、3週間サイクルの1日目に静注した。

その結果、サイラムザ8mg/kg併用群の24人中3人、同10mg/kg併用群の17人中1人に部分奏効(PR)が認められ、全奏効率は10%であった。病勢安定SD)を含む病勢コントロール率は、8mg/kg併用群が42%、10mg/kg併用群が53%、両群合わせて46%(19/41人)であった。無増悪生存(PFS)期間中央値は、8mg/kg併用群が2.10カ月、10mg/kg併用群が2.6カ月であった。PRが得られた4人はいずれも食道胃接合部がんで、本試験登録前には複数の全身療法の経験があった。PD-L1発現状態は2人が陽性、1人が陰性で、残り1人は不明であった。

グレード3以上の有害事象は少なかった。治療に関連する有害事象のうち関心事象は(全グレード)、発疹(17%)、静注関連反応(15%)、高血圧(12%)、内分泌障害(12%)、そう痒(10%)、大腸炎(7%)、下痢(5%)、肺塞栓(5%)、鼻出血(5%)、および肝酵素上昇(5%)であった。

血管新生と免疫チェックポイントを同時阻害する併用療法はデータ蓄積が少ない

胃がん/食道胃接合部がんを問わず、がんの進行には血管新生と免疫抑制を伴うことがよく知られている。血管新生に関与する分子と免疫抑制に関与する分子を同時に標的とする治療戦略を試した臨床試験はあまり報告がないため、Chau氏は、キイトルーダ、およびサイラムザそれぞれで報告されている試験結果を紹介した。胃がん/食道胃接合部がん患者に対するサイラムザの生存ベネフィットが報告された試験は4本あるという。キイトルーダは胃がん/食道胃接合部がんを含め複数の癌種に対する有効性が期待されており、非小細胞肺がんと悪性黒色腫の患者の生存期間を延長することが示されている。「今後、一次療法として本併用療法を受けた患者を含め、胃がん/食道胃接合部がん患者における新たなデータが明らかになる」としている。

OncLive:Pembrolizumab/Ramucirumab Combo Active in Gastric Cancers

Interim safety and clinical activity in patients (pts) with advanced gastric or gastroesophageal junction (G/GEJ) adenocarcinoma from a multicohort phase 1 study of ramucirumab (R) plus pembrolizumab (P).ASCO-GI2007,Abstract Number:102

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)とは

PD-1抗体とPD-L1抗体の違いについて

記事:川又 総江

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