肝細胞がん  レゴラフェニブ(スチバーガ)承認申請~ネクサバール以来、待望のセカンドライン~


  • [公開日]2016.11.09
  • [最終更新日]2017.06.29

11月7日、バイエル薬品は、経口マルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブスチバーガ)について、適応を切除不能な肝細胞がん(HCC)に対する二次治療に拡大するための承認申請を米国、 日本、欧州にて行ったことを発表した。

局所療法不能な肝細胞がんに対する薬剤療法としては、2009年5月にソラフェニブネクサバール)が「切除不能な肝細胞がん」に対する適応にて承認されて以来、新しい薬剤が登場していない。ネクサバールを対象とした新薬の臨床試験は勿論のこと、セカンドラインプラセボ対象としても有効性を示せない状況が続いていた。

そういった中、行われたRESORCE試験。国際共同、多施設、プラセボ対照第3相臨床試験であるこの試験は、ネクサバールによる治療後に病勢進行が認められた切除不能な肝細胞がんを対象に、スチバーガの有効性と安全性を検討した。

結果、全生存期間中央値は、スチバーガとベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の併用群(スチバーが群)では10.6 カ月、プラセボとBSC の併用群(プラセボ群)では7.8 カ月であり、プラセボ群と比較してスチバーガ群で全生存期間が有意に延長した(ハザード比0.63; 95%信頼区間0.50-0.79; p<0.001)。このことは、試験期間中の死亡リスクが37%低下したことを意味する。

安全性と忍容性はレゴラフェニブの既知プロファイルとおおむね一致し、健康に関連した生活の質HRQoL)の評価では、レゴラフェニブ群とプラセボ群との間に臨床的に意味のある差は認められていない。

進行肝細胞がん ネクサバールに対して病態進行が認められた方にレゴラフェニブ(スチバーガ)が有効(オンコロニュース20160701)

スチバーガは、腫瘍血管新生VEGFR1、-2、-3、TIE2)、発癌(KIT、RET、RAF-1、BRAF)、転移(VEGFR3、PDGFR、FGFR)と腫瘍免疫(CSF1R)に関与するさまざまなプロテインキナーゼを強力に阻害する経口マルチキナーゼ阻害剤であり、日本では、転移性大腸がん(CRC)、転移性消化管間質腫瘍(GIST)にて承認されている。

米国では、スチバーガがファストトラックの指定を受けた。ファストトラックとは、重篤または生命を脅かす恐れのある疾患の治療に対し、アンメット・メディカル・ニーズ(満たされない医療ニーズ)に応える医薬品の開発を促進し、審査を迅速に行うために策定された迅速審査プログラムであり、米国ではいち早く承認されるであろう。

肝細胞がん治療に新たな治療選択肢が加わるために、日本での早期承認が期待される。

記事:可知 健太

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