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【体験談】肺がん治療の進歩~ステージ4、2年半つきあって~

[公開日] 2018.03.09[最終更新日] 2018.03.09

目次

名前:三木 正裕 年齢:68歳 性別:男性 住所:神戸市 職業:調理師(現在も介護施設厨房で勤務しています) がん種:肺がん(扁平上皮がん) 現在のステージは4。再発のため2017年6月からキイトルーダで治療中です。 自身ががんを患うまでは気にもかけていませんでしたが、治療法の進歩は驚くほどでこの2年半の間に実感しています。その一部だけでもお伝えしたいと思い、「オンコロ」で肺がんの体験記を掲載させていただきました。 私の体験はあくまで私個人的なもので、病状は様々なのでよく主治医と相談して向き合ってください。

確定診断まで

2015年4月左の肩から腕にかけて痛みを感じ、整形外科で診察するも異常なしとの診断。前年自然気胸を患い3ヶ月に一度経過観察を受けていたので、主治医に痛みのことを相談すると後日造影剤のCT検査をしました。 その結果、直ちに現在治療を受けている病院を紹介され、同年6月その病院で気管支内視鏡や生検で組織を採取して肺がんの診断が確定。転移をチェックするため頭部のMRI と PETCT を受けましたがさいわい転移はなしでした。 ステージは2b 癌の組織検査の結果扁平上皮がんが確定、腫瘍は両肺に一ヶ所づつで左は3cm右は1cm程の大きさで外科手術で両方取るのはその後のQOLが維持できないため放射線と化学療法での治療方針が決まりました。

一次治療から退院

PETCT と MRI 検査終了後7月に治療のために入院、先に大きい左肺の腫瘍その後右肺の腫瘍を治療する方針の説明を受けました。 まず入院した病院で左肺の腫瘍治療として放射線照射と抗がん剤投与の入院治療を行い、その後放射線の定位照射(サイバーナイフ)が出来る別の病院で右肺の腫瘍を通院治療するのが一次治療の方針でした。 抗がん剤はシスプラチンとドセタキセルの併用で2クール、抗がん剤の副作用は色々言われていますので不安だったので途中で退院せず2クール終了まで入院。当然副作用もあり、毎回投与45日目には強い吐き気があり制吐薬を飲んでいましたが、自覚症状のある副作用は吐き気と脱毛だけでおさまりました。 脱毛は投与10日頃から始まり全身の体毛が抜けましたが10月中旬には以前より濃なって生えてきました。入院中抗がん剤の副作用がない時は体力維持のため病院の階段(6F)まで上り下りを1日3回と約2kmほどの散歩をしていました。病院から自宅までも車で20分ほどでしたので抗がん剤投与の2日後には外出または外泊、外泊した翌日からは副作用が始まるパターンを繰り返していました。 抗がん剤の副作用初めてだったので他のものと比較できませんが、吐き気と脱毛だけですんだのであまり苦しさを思いだすことはありません。ただ、2クール終了後には薬が体内に蓄積されているのか約1ヶ月微熱が続きました。この微熱原因は不明でしたが退院して動きだすと出なくなりました。2クール終了して退院、別の病院へ6回通院しサイバーナイフで右肺の腫瘍を治療しました。

転移と放射線治療

退院後は1ヶ月に一度経過観察を続けていましたが、翌年4月の観察で左肺に再発が見つかり小さかったのでサイバーナイフでの放射線定位照射で治療。 同じ年の8月PETCT検査で小脳への転移がみつかり、これは脳への放射線照射のため1週間の入院してサイバーナイフで治療。治療した部位が平衡感覚を司る部位のため、これ以降、車の運転は禁止されています。 遠隔転移が見つかったこの時点でステージは4に進んでいました。ただ、ステージは統計上の分類であまり病状とは関係がなく使える抗がん剤があるかないかと治療に耐えうる体力があるかが一番重要なようです。 さすがに短期間で再発を繰り返しやっと進行性肺がんのことが少しわかってきたようです。再発が当たり前で、それがいつどんな形でくるか誰も判らないことががんのやっかいな点かも知れません。

転移と免疫チェックポイント阻害剤

2017年4月CT検査で左肺に腫瘍の再発が見つかりこれまでの再発は最初の治療で取り残した部分であった可能性もありましたが、今回のものは場所がこれまでとは異なり明らかに再発と認められ他にもCT等でも確認できない腫瘍がある可能性もあるため主治医から抗がん剤治療を強く勧められました。 近年免疫チェックポイント阻害剤が保険適用となり私にも使用できる可能性もあるので生検で採取した組織を検査し、PD-L1があれば免疫チェックポイント阻害剤なければ従来の抗がん剤治療との治療方針を決めました。 検査の結果、PD-L1が認められたためどちらの治療法も可能でした。色々話題になっている薬で副作用も抗がん剤にくらべれば少ないとも出ていたので使用可能なら使いたいと思っていたので免疫チェックポイント阻害剤を選択しました。主治医からは、新しい薬のため効果は使ってみるまでわからずデータもまだまだ少なく考えられない副作用が出ることもあるようですとの説明がありました。 治療を受けている病院では投与している大半の方はこれまでの抗がん剤のような副作用はないようですが、僅かですが副作用のため投与が継続できないケースもあるようでした。副作用や効果は個人差が大きく従来の抗がん剤でも使ってみるまで判らないのであまり気にはなりませんでした。 私の場合、オプジーボ キイトルーダどちらでも使用可能で投与のサイクルが前者が2週間ごと後者は3週間ごとなので長いサイクルのキイトルーダを選択、昨年6月から初回だけは入院して投与、その後は通院で2年間の投与を続けています。 初回投与時にまず驚いたのは投与時間の短さ、抗がん剤治療はまだ一度しか経験(シスプラチンとドセタキセル)はありませんがその時は朝10時から夜10時前までかかりましたがなんと30分、前回は投与後暫くする喉の奥から違和感が広がってきましたが今回はそういった自覚症状はまったくなし。 13回目(2018年2月)を経過した現在でも気になる自覚症状はなく血液検査のデータも異常なしで湿疹が少し出ている程度で日常生活に問題はありません。ちなみに、投与時間はオプジーボは1時間 キイトルーダは30分。抗がん剤はがん細胞に直接作用しますが免疫チェックポイント阻害剤はその名のとおり免疫系に作用してがん細胞を攻撃するため全身に副作用の可能性があるようで、なにか自覚症状を感じた時はすぐに病院へ行くつもりでいます。 また、がん細胞に遺伝子異常が多いほど効果が可能性もあるようで喫煙経験をかなり詳しく質問されました。 免疫チェックポイント阻害剤、保険適応で臨床例が増えてくるにつれて色々なデーターが集積されるでしょうがまだ新しい薬でわからない事も多いようです。 また、効果のあるなしがはっきり出るようで投与4回目ごとに効果を確認するためCTの検査を受けていますが現在のところ腫瘍の縮小は明らかで効果ありの判定をいただいています。

2年半つきあって

肺がんにかぎらずがんの病状は個人差が大きく、抗がん剤の組み合わせや副作用も個人差があるようです。疑問がある時は迷わず主治医に相談することで患者と医療者との良い関係を構築していくことが一番大事だと思っています。 初めてがん告知を受けてからインターネットで検索することが多くなりました、私のステージが4なのでどうしても同じステージの方のブログを拝見することもよくあります。 明るい文章でエントリーされている方が多いですが病状に限ってみるとそれなりに深刻なもので、3週間ごとのキイトルーダ投与日以外は肺がんであることを忘れてそれなりに普通の生活がすごせている自分の状態に感謝しています。 告知から2年半たった今、こんな普通の状態は予想外で当時孫は保育園の年少に入ったところで小学校の入学式には出席できないとまで思っていました。肺がんに限らずがんは確かにやっかいな病気ですが、治療方法も驚くほど進歩しその結果として治療を受けつつも普通の生活をすごしている私のような患者もいることを知っていただきなにかの励みになればと思っています。 現在CT以外 頭部MRIは3ヶ月ごとPETCTは年に一度検査を受けていますが今のところ治療中の左肺以外に新たな腫瘍はみつかっていません。丁度退院して半年たった頃以前勤務していた介護施設の厨房から誘われ2年継続して仕事しています。また、仕事が休みの日は自宅ガレージで豚まんやシュウマイを仕込み、リクエストいただいた方におわけしています。 豚まんやシュウマイの仕込みは以前からしていましたが、退院してすぐに多くの方からリクエストいただき懐かしい顧客(?)の皆様と会うことが自分自身の励みになって現在に繋がっているようです。68歳にもなれば体調に問題を抱えている方も多く私の場合はたまたまそれが肺がんですが、信頼できる主治医との出会いや新薬の開発などタイミングの良さが重なり慢性疾患のような状態で過ごせています。 いつまでこの状態が続くかは不明ですが、いたずらに不安に陥らず平常心を保っていきたく願っています。 ■三木 正裕さんのブログ 親爺の秘密基地肺ガン親爺の日常生活

マンガで学ぶ免疫チェックポイント阻害薬

キイトルーダ、オプジーボ等、免疫チェックポイント阻害薬と免疫療法について解説したマンガ。 [blogcard url="https://oncolo.jp/news/20170215t-2"]
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