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ボーエン病、日々の自己チェックによる早期発見と「自分の体は自分で守る」という強い覚悟

[公開日] 2026.10.28[最終更新日] 2026.10.20

プロフィール

お名前
dachskatzeさん(ニックネーム)
年代
70代
性別
男性
家族構成
妻と2人暮らし(子ども1人は独立)
仕事
無職
がんの種類
ボーエン病
診断時ステージ
ステージ0
診断年
2024年
現在の居住地
神奈川県
写真はイメージです。(AIによる生成)
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2024年、dachskatzeさんは右手の甲にできた異変をきっかけに、初期の皮膚がん(ステージ0の表皮内がん)であるボーエン病と診断されました。手術で病変を切除した後、病理医である長女から「早期発見・早期切除が最大の対策」との助言を受け、ご夫婦で日々のチェックを徹底するようになります。そして約2年半後、左足の新たな異変に気づき、2回目の手術を決断されました。情報が少ない希少ながんと向き合いながら、「自分の体は自分で守る」という覚悟を持って自己管理を続けるdachskatzeさんに、早期発見に至った経緯や、病気を通じた意識の変化についてお話しいただきました。

かさぶたと思い込んでいた斑点の破裂から至ったボーエン病の診断

2024年の春ごろのことでした。私の右手の甲に、ぽつんと黒い斑点のようなものができているのに気がつきました。最初は、何かにぶつけてできた単なるかさぶたか、あるいは少しひどい吹き出物のようなものだろうと軽く考えていました。触っても痛みはなく、かゆみなどの自覚症状も全くありません。日常生活に支障もなかったため、特に気に留めることもなく、そのまましばらく放置して様子を見ていました。 しかし時間が経つにつれて、その黒い斑点の真ん中あたりが徐々にぷっくりと膨らんできました。そして、ついにはその膨らんだ部分が弾けてしまったのです。かさぶただと思っていたものが弾けるというのは明らかに不自然であり、さすがにこれは普通のほくろや吹き出物とは違うのではないかと違和感を覚えました。 そこで、近くの皮膚科クリニックを受診することにしたのです。私自身の心づもりとしては、「このほくろのようなものを、美容皮膚科的な処置で簡単に取ってもらえないだろうか」という軽い相談のつもりでした。 しかし診察室で医師に患部を虫眼鏡のようなもの(ダーモスコープ)でじっくりと診てもらうと、医師の表情が少し変わり、「どうもこれは、ただのほくろやシミではなさそうです。念のため、一度組織を取って詳しく検査をしましょう」と告げられました。その日のうちに局所麻酔をして患部の組織をわずかに採取し、病理検査に回してもらうことになりました。 検査の結果が出たのは2024年の5月でした。医師から告げられた診断名はボーエン病という、これまで一度も耳にしたことのない病名でした。クリニックには週に1回、外科的な処置や手術を専門とする先生が来られていました。その先生の執刀により、右手の甲の病変を切除する手術を受けました。手術自体は局所麻酔で行われ、日帰りで無事に終了しました。1週間ほど経過した後に抜糸も済んで、患部はきれいに治り、最初の治療は一段落しました。

ネットに情報がない希少ながんについて医学大辞典で深めた理解

手術が無事に終わったとはいえ、ボーエン病という病気が一体どのような性質を持つものなのか、私には全く知識がありませんでした。インターネットで病名を検索してみても、一般的ながんのように、詳しい情報や同じ病気を経験した方の体験談はすぐには見つかりません。 いろいろ調べてみましたが、自分の症状にぴったりと当てはまるような確たる情報はなかなか得られませんでした。そこで私は、医学大辞典を引っ張り出し、自分なりに文献を深く調べてみることにしました。ボーエン病は、1912年にアメリカの皮膚科医ジョン・T・ボーエンによって報告された疾患で、がん細胞が皮膚の一番外側にある表皮にとどまる表皮内がんの一種です。表皮には血管やリンパ管がないため、この段階では体の奥深くや内臓へ転移することはなく、すぐに命へ影響を及ぼすものではないと知り、その時点ではひとまず胸をなでおろしました。

病理医の娘の言葉で確信した「早期切除」という最大の対策

私には、現在独立して病理医として働いている娘がいます。私はこのボーエン病について、娘にも詳しく話を聞き、相談に乗ってもらいました。娘からの助言は、非常に現実的で明確なものでした。娘は私にこう言いました。「ボーエン病は、何か特別な薬を飲んだり、毎日の食べ物を変えたりすることで予防できるような病気ではないの。だから、とにかく見つけたらすぐに切除する。対処法はそれしかないのよ」と。 表皮にとどまっているうちは命に関わる危険性は低いものの、皮膚の表面で病変が横に広がっていけばいくほど、切除しなければならない範囲が広くなります。「1cmや1.5cm程度の小さいうちに取ってしまわないと、後になって大きくえぐるような手術が必要になり、ひどい傷跡が残ることになる。だから、見つけたら大きくならないうちに、早期に切除を受けなさい」と強く忠告されました。 早期に見つけて早期に切る。放置してはいけない。それがこの病気に対する唯一にして最大の対策なのだと、娘から直接言われたことで、私のなかに自己管理に対する確固たる方針が定まりました。

何度も発現する体質に備えて夫婦で徹底した自己チェック

さらに調べていくと、ボーエン病は一度切除すればそれで完全に終わりという病気ではなく、別の部位に発現することもある病気であることもわかりました。そのため、私は最初の右手の甲の手術を終えて以降、2年間にわたって日々の自己チェックを徹底するようになりました。 毎日お風呂に入るたび、体を洗いながら、自分の目で直接確認できる腕や足の隅々に異常がないかを注意深く観察しました。また、浴室に置かれた鏡を利用して、少しでも見えにくい部分まで確認するよう努めました。どうしても自分自身の目では見えない背中などの部位については、妻にお願いをして、「どこかに前のような黒いものや、変な斑点が出ていないか」を定期的に目で見て確認してもらいました。ボーエン病は痛みがなく、自分で気づきにくい病気だからこそ、日々の生活のなかで自分の体を監視し続けるというこのルーティンが欠かせないと考えたからです。

入浴時の違和感による早期発見から即決した2回目の手術

そして2026年の10月、いつものようにお風呂で体を洗っていた時のことです。左の膝から下の外側の部分をタオルで洗っていた際、タオルがスムーズに滑らず、何かに引っかかるような違和感を覚えました。手で触れてみると、平らな皮膚ではなく、でこぼことした感触がありました。嫌な予感がして目でしっかりと確認してみると、2年前に右手の手術をしたときと全く同じような、黒っぽい病変ができていたのです。 前回の右手の甲とは全く逆の、左足という離れた場所にできたことに最初は驚きました。しかし、「やはり別の場所に2度目が出てきたのだな」とすぐに状況を理解しました。日々の自己チェックの成果もあり、比較的早い段階で気づくことができたと思います。私は迷うことなく、2年前に右手の執刀をしていただいたのと同じ皮膚科クリニックを受診しました。 診察室で先生が患部をダーモスコープでじっくりと観察すると、「やはりこれも、前回と同じボーエン病のようですね」との診断が下りました。今回は、前回のように組織を取って病理検査の結果を待つようなことはしませんでした。すでに一度ボーエン病を経験しており、病変の特徴が明らかであったこと、そして何より早期切除が鉄則であることから、「いきなりもう取ってしまいましょう」と先生が判断されたのです。 すぐに切除手術の予定を組んでいただき、手術を受けることになりました。執刀してくださるのは、前回と同じく週に1回クリニックへ来られる外科の先生です。その先生は手術の腕が確かで、傷跡が残りにくいように丁寧に縫合してくださることを前回の手術で実感していたため、今回も迷うことなくお任せすることにしました。早期に自分で異常を見つけ、すぐに受診して行動を起こせたことは、私にとって非常に的確な判断だったと思っています。

再発の不安を抱えながらも芽生えた「自分の体は自分で守る」覚悟

このボーエン病を経験したことで、私の日常生活や心境には少しの変化が生じました。幸いにして、普段の生活そのものに大きな支障が出ているわけではありません。しかし、「自分は病気が発現しやすい体質であり、いつまた別の場所に病変ができるかもしれない」という事実は、やはり心のどこかで重荷になっています。 例えば、長期間の旅行に出かけるような計画を立てる際にも、「もし旅行中に異変が起きたらどうしよう」「かかりつけのクリニックにすぐに行けない状況は不安だ」と考え、少し躊躇してしまうという心理的な制約を感じるようになりました。しかし、そのような不安や重荷以上に強く感じるようになったのは、「自分の体は、自分が最後まで責任を持って見ていかなければならない」という強い覚悟です。 がんという病気は奥が深く、いくら追いかけても完全に安心できるものではありません。だからこそ、自分の体の隅々にまで気を配り、少しでもおかしなことに気がついたら、迷わずに専門医に診てもらう。火事と同じで、何事も小さいうちに火種を消し止めることが、特にこの病気においては最も大切なのだと痛感しています。私はこれからも、自分の体を自分で守るため、日々の入浴時のチェックを続けていくつもりです。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

がんという病気と向き合い、日々の自己管理の重要性を痛感した経験から、皆さんにお伝えしたいことがあります。 自分の体は自分が最後まで責任を持って守りましょう。 病気に対して、自分の体を隅々まで注意深く確認する習慣をつけることが大切です。見えにくい背中などは家族に確認してもらうなど、日々の変化を見逃さない工夫を続けてください。 少しでも異変を感じたら、ためらわずに受診してください。 「次の定期健診が近いからそのときでいい」と受診を先延ばしにするのは避けてください。何かおかしいと自分で気がついたそのときに、すぐ専門医に診てもらう行動がご自身を救うことにつながります。 病気の火種は小さいうちに消し止めることが大切です。 がんにおいては、放置せずに病変が小さいうちに対処することが何よりの対策になります。大きくなる前、早期に発見してすぐに治療へ結びつけるという原則を、ぜひ心に留めておいていただければと思います。

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