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大腸がんステージ2A、リキッドバイオプシーで決めた術後補助化学療法をやらない選択

[公開日] 2026.10.27[最終更新日] 2026.10.20

プロフィール

お名前
スージーさん(ニックネーム)
年代
70代
性別
女性
家族構成
1人暮らし(子ども2人は独立)
仕事
無職
がんの種類
大腸がん(S状結腸がん)
診断時ステージ
ステージ2A
診断年
2025年
現在の居住地
埼玉県
写真はイメージです。(AIによる生成)
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2025年にS状結腸がん(ステージ2A)と診断されたスージーさん。腹腔鏡手術を受けた後、抗がん剤による身体への負担を心配して「できれば抗がん剤治療を受けたくない」という希望を自ら医師へ伝え、自費でリキッドバイオプシーを受けました。検査結果を踏まえて術後補助化学療法を行わず、現在は定期的な経過観察を継続しています。がんの発見から治療選択の経緯、現在の心境についてお話しいただきました。

下痢症状を軽視し受診を先延ばしした結果

私が、大腸がんと診断される約1年半前のことでした。頻繁に下痢を起こすようになったのが始まりです。当初は一時的なものだろうと考え、「1週間ほどすれば自然と治まるだろう」と軽視しておりました。実際、数日経つと症状は治まり、食事も通常通りでき、お腹の痛みや張りといった自覚症状も一切ありませんでした。そのため、当時の私はまさか自分の体内で重大な病気が進行しているとは考えていませんでした。 ところが、期間を置いて再び頻繁な下痢が繰り返されるようになり、「ただの下痢にしては回数も多くおかしい」という疑問と不安が膨らんでいきました。ちょうどそのころ、地域包括支援センターを利用した際、トイレで鏡の横に貼られていた「大腸がんは早期発見できればほぼ100%治ります」というポスターを目にしたことで、「一度しっかり検査を受けるべきかもしれない」という気持ちが芽生えました。 それでも予定がつかず、受診を先延ばしにしてしまい、決意してから実際に便潜血検査を受けるまでに約5か月もの期間が経過してしまいました。

肝転移だったら「助からないかもしれない」と不安を抱えた1週間

便潜血検査の結果は、2つとも陽性判定でした。この検査結果を見た瞬間、私は事態の深刻さを悟り、「これは大変なことになった」と強い危機感を抱きました。自分はすでにがんである可能性が高いのだろうと腹を括り、検査結果が出た翌日にはすぐに自宅近くの胃腸科クリニックを受診いたしました。 受診したクリニックでは、まず腹部の超音波(エコー)検査が行われました。画面を注視していた医師から「肝臓に黒い影がたくさんあります」と告げられ、大きな衝撃を受けました。すぐに原因を調べるための腹部CT検査の予約がされ、大腸内視鏡検査はその3日後に受けることとなりました。 クリニックで「肝臓に黒い影がある」と告げられてから、CT検査を受けるまでの約1週間は、精神的に最もつらい時期となりました。自分でインターネット検索をする中で、「大腸がんでは肝臓への転移が多く、転移していた場合はステージ4に該当する」といった情報が目に入ってきたからです。「自分はすでに肝臓へ転移していて助からないのではないか」という不安から夜も眠れない状態に陥り、クリニックの医師に相談して1か月分の睡眠導入剤を処方していただきました。 1週間後、CT検査を受け、その後、結果について説明を受けました。幸いにも肝臓の影は肝転移ではなく単なる「のう胞」であることが判明し安心することができました。続けて3日後に実施された大腸内視鏡検査では、カメラが進む中で、肛門から約35cm離れた位置にあるS状結腸に大きな病変が存在することが確認されました。医師からは「大きな腫瘍があるため、腹腔鏡による手術が必要になります」と告げられました。ただし、その時点ではまだ確定診断や具体的なステージまでは告げられませんでした。 大腸に腫瘍があることが判明した際には、もうすでに不安のピークを通り越していたため、不思議と落ち着いた気持ちで結果を受け止めることができました。「やっぱりそうだったか」と腹が定まり、「とにかく一刻も早く信頼できる病院を見つけ、手術を受けてがんを取り除かなければならない」という前向きな思考へ切り替わっていったのです。

1人暮らしの負担を避け長女の自宅近くの病院へ

クリニックの医師からは、当初、県内にある大学病院への紹介を提案されました。しかし、私は現在1人暮らしをしており、これから手術や長期的な治療を受けるにあたって、家族のサポートが得られやすい環境を優先したいと考えました。 私には県外に居住している長女がおり、長女の自宅から車で5~6分ほどの場所に大きな大学病院がありました。県内の病院に入院・通院することになれば1人暮らしの私のために長女が何度も足を運ばなければならず大きな負担となります。長女からも「私の家の近くの病院に来てくれた方が世話もしやすくて助かる」と言ってもらえたため、長女の家の近くにある大学病院への紹介状を書いていただくよう医師にお願いいたしました。 帰ってすぐに大学病院へメールで予約を申し込んだところ、わずか2日後には初診を予約することができました。その病院では、原則として精密検査のために2週間の検査入院が必要であると説明されました。これまで大きな病気を経験したことがなかった私にとって、2週間という入院期間は随分と長い印象を受けました。 検査入院の期間中には、MRI検査、腹部CT検査、エコー検査など、さまざまな精密検査が行われました。また、大腸の病変部分を詳しく観察するために、腸内に炭酸ガスを注入してお腹を膨らませた状態で撮影を行う検査なども実施されました。

「手術で切除できれば完治を目指せる」という安堵

精密検査が一通り終了した2025年4月9日、手術方針および病状に関する説明の場が設けられました。当日は長男と長女の2人の子どもたちが病院へ駆けつけてくれ、私と一緒に医師からの説明を聞きました。 医師から提示された正式な診断名はS状結腸がん、臨床病期はステージ2Aというものでした。「周囲への広がりは限定的であり、手術によって切除できれば十分に完治を目指せるレベルです」という説明を受け、最悪の懸念が拭い去られた私と子どもたちは大きな安堵感に包まれました。人工肛門(ストーマ)の造設については医師からは全く話も出ておらず、精神的な負担は一層軽くなりました。 手術の実施日程について、当初は4月25日というスケジュールが組まれていました。しかし、担当医が私の心身の負担を汲み取って配慮してくださり、日程を2週間繰り上げて4月11日に実施してくれることになりました。予期せぬ早い日程での手術決定は、不安を抱えて待つ時間を減らしてくれたため非常にありがたい対応でした。 2025年4月11日、腹腔鏡によるS状結腸切除手術が行われました。術後1日は集中治療室(ICU)で過ごし、翌日午前には水分補給が許可され、一般病棟へは寝たままの状態で、看護師がベッドを押して移動しました。その翌日には看護師の付き添いのもとで歩行を開始いたしました。食事は術後5日目から段階的に再開されました。術後の経過は極めて順調であり、手術から10日目にあたる4月21日には無事に退院を迎えることができました。

術後補助化学療法は「やらないで済むなら避けたい」という想い

無事に退院した後の初めての外来で、切除した腫瘍組織の病理検査結果が出ました。そこには、静脈侵襲や粘液がんの成分といった、がんが再発しやすい傾向を示す「ハイリスク要因」が認められたという厳しい結果が含まれていました。 病理結果を踏まえ、医師からは「再発予防のため、術後補助化学療法を行うことが望ましい」という治療方針が提案されました。しかし、この提案に対して私は大きな躊躇と強い不安を抱きました。 そこで私は、術後補助化学療法を担当する腫瘍内科医に対して「私は副作用がとても心配なため、できれば抗がん剤治療を受けたくないのですが、他に方法はありませんでしょうか」と、自らの希望と不安を包み隠さず直接お伝えいたしました。

リキッドバイオプシー陰性によって術後補助化学療法をしないと決断

私の申し出を受け止めてくれた腫瘍内科医は、ひとつの選択肢を提示してくださいました。それが、自費診療による遺伝子検査「リキッドバイオプシー(循環腫瘍DNA検査:ガーダントリビール)」でした。 この検査は、血液中に漂うがん由来のDNAを検出することにより、画像検査ではわからない微小残存病変の有無を調べる検査です。医師からは「この検査で結果が陰性であれば、抗がん剤治療を回避して経過観察に切り替えても妥当であると判断できます」という説明を受けました。 全額自己負担となる検査でしたが、抗がん剤のつらい副作用を回避できる可能性があるなら、検査を受けることにしました。2025年5月、ゲノム治療センターで説明を受けて同意書に署名し、40mLの採血を行いました。 採血から約2週間後、告げられた検査結果は「陰性」でした。担当医からは「この結果であれば、再発リスクは5~10%程度です。抗がん剤治療を受けなくても大丈夫でしょう」と告げられました。高い検査費用を支払った価値は十分にあり、納得して抗がん剤治療を回避できたことは、私の闘病における大きな救いとなりました。

通院負担も「長女家族と会える機会」と捉える前向きな考え方

抗がん剤治療を行わない選択をした私は、その後、3か月ごとの定期的な通院による経過観察を行っております。通院のたびに血液検査、腫瘍マーカー検査、エコー検査を受け、半年に一度のペースでCT検査を実施して再発や他臓器への転移がないかをチェックしています。 県外にある大学病院まで通うことは負担もあります。定期検査と結果が出た後の診察で3か月の間に2度も足を運ばなければならないからです。しかし、私はこの通院を前向きな機会へと意識を転換いたしました。受診の際には病院の近くに住む長女家族の家に宿泊させてもらい、家族みんなで食事や団らんを楽しむ時間にしているのです。1人暮らしの日常から離れ、孫と触れ合える通院日は私にとって楽しみなイベントとなっています。 検査の数値に関しては、2026年1月の検査で腫瘍マーカーがわずかに上昇して不安になりましたが、4月の検査では少し下降して胸を撫で下ろすといった一喜一憂も経験しています。 また、同年4月には担当医師が異動により変更となりました。大学病院では新しい医師は、どうしても初めての患者はカルテの数値やデータのみを見て診察するしかありません。そのため、私は自分の懸念や希望を医師任せにせず、診察の場で自ら口に出して正確に伝えるよう努めております。

がんを経験して辿り着いた「何気ない日常こそが幸せ」という価値観

90~95%再発しないと言われていても、残り5~10%の再発リスクが存在している事実に変わりはありません。だからこそ私は、「自分自身でできる努力をしてその再発可能性を極限までゼロに近づけよう」と決意いたしました。 最近では、飲酒は大腸がんのリスク要因であるという医学的根拠もありますから、まず長年嗜んでいたお酒を一切断ち切り、完全な禁酒生活を徹底しております。また、規則正しい生活リズムを保ち、栄養バランスの整った食事を心がけ、適度な運動を毎日行い、十分な睡眠時間を確保することを日課としております。自分の体を慈しみ免疫を高める丁寧な暮らしこそが、残された再発リスクに対する防壁になると信じております。 大腸がんを経験したことで、私の「幸せ」に対する価値観は根本から変化いたしました。病気になる以前は、海外旅行へ出かけることや美味しいものを食べることといった特別な出来事の中にこそ幸せがあると考えておりました。 しかし、現在の私が感じる本当の幸せとは、「何事もなく、自分の足で歩くことができ、毎日のご飯を美味しく食べられ、家族と笑顔で会話を交わせる」という、平穏な日常そのものです。自らの意思や希望を医師に伝え、納得のいく選択を重ねてきたことで、現在の穏やかな日々をつかみ取ることができました。これからも一日一日を大切に歩んでいきたいと思っております。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

今、がんの治療や検査に向き合っている方へ、私自身の体験を通してお伝えしたいことがあります。 自分の不安や希望はしっかりと医師に伝えましょう 医師に黙っているだけでは、こちらの不安や体の変化、治療に対する本当の希望は伝わりません。自分の体のことを一番よく理解しているのは自分自身です。どんなに小さな疑問や譲れない思いであっても、医師任せにせず、納得がいくまで自ら言葉にして伝えることが後悔のない選択につながります。 治ることを信じて一日一日を大切に過ごしましょう 治療や検査の過程では不安や焦りが生じることもありますが、治ることを信じて最後まで諦めずに向き合うことが大切です。特別なことを求めるのではなく、美味しくご飯を食べたり体を動かしたりする平穏な日常を大切に慈しむことが、病に向き合う大きな力になります。

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