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前立腺がんステージ2、納得いくまでこだわって選んだライフスタイルに合う小線源療法

[公開日] 2026.10.09[最終更新日] 2026.09.30

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:しーさん(ニックネーム) 年代:70代 性別:男性 家族構成:1人暮らし 仕事:無職 がんの種類:前立腺がん 診断時ステージ:ステージ2 診断年:2025年 現在の居住地:千葉県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2025年、しーさんは健康診断で初めてPSA検査を受け、前立腺がんと診断されました。医師からは手術か外部照射による放射線治療を提案されましたが、たまたまテレビ番組で知った「小線源療法」に興味を持ち、自身のライフスタイルに合う治療法を模索しました。県内で治療可能な病院が見つからず右往左往しながらも、最終的に都内の総合病院で小線源療法を受けることになりました。診断から治療の選択、入院生活、そして術後の経過と日常生活の変化についてお話しいただきました。

70歳で初めて受けたPSA検査の異常が発覚

私が前立腺がんと診断される最初のきっかけとなったのは、2025年に受けた健康診断でした。会社員として勤めていたころはもちろん、退職後も定期的に健康診断は受けていました。しかし、ちょうど70歳という節目で受けた自治体の健康診断の検査項目に前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値も含まれていました。 6月に健康診断の結果が出ると、PSA値が5.0ng/mLという数値でした。基準値である4.0ng/mLを少し超えていたため、担当の医師からは「数値が少し高いですね。ほとんど心配ないとは思いますが、念のため生検をした方がいいでしょう」と説明を受けました。私自身も、医師から「ほとんど心配ない」と言われたことで深刻には受け止めておらず、「そういう念のための検査もあるのだな」という程度の軽い気持ちで精密検査を受けました。

他臓器やリンパ節への転移はなくステージは2と診断

健康診断を受けた医療機関には泌尿器科が併設されていなかったため、精密検査を受けるにあたり、日頃から整形外科などでかかっている自宅近くの総合病院を受診することにしました。血液検査の結果を持参して泌尿器科の受付に出すという形でした。 生検の結果、2025年7月に前立腺がんの告知を受けました。採取した12本の組織のうち、両側の前立腺から計5本のがんが見つかったのです。担当医からは「5本というのは少し多いほうです。がんが他の部位へ転移している可能性もあるので、MRI検査を受けてください」と指示されました。すぐにMRI検査を受けましたが、幸いにも他の臓器やリンパ節への転移は見つからず、最終的にステージ2と診断されました。 私は現在、間借りをしながら1人暮らしをしています。血縁関係のある親族もいないため、がんと診断されたことは家主さんに伝えた程度で、他に相談する相手もいませんでした。しかし、「まさか自分が」という驚きはあったものの、年齢的なこともあり「今はがんになる人も多い時代だから」と、取り乱すことなく淡々と現実を受け止めることができました。

NHKの健康番組が治療選択の分かれ道

がんの確定診断を受ける少し前、健康診断でPSA値が高いとわかったころに、たまたまNHKの健康番組を見ました。ちょうど前立腺がんが特集されており、さまざまな治療法や、実際に治療を受けた方のインタビューが紹介されていました。そのときは「もし自分が前立腺がんだったら、こういう治療法があるのだな」と参考程度に眺めていたのですが、結果的にこのときの予備知識が、その後の私の治療選択において非常に大きな意味を持つことになりました。 生検の結果を聞いた際、担当医からは「前立腺を摘出する手術にするか、放射線治療にするか、どうしますか」と2択のような形で提案を受けました。もし私が番組を見ておらず、何の予備知識も持っていなければ、非常に戸惑い、医師に言われるがまま2つの選択肢のどちらかを選んでいたかもしれません。 しかし、事前に番組を見ていたことで、手術や外部照射による放射線治療のほか、放射線を出す小さなチップを前立腺に埋め込む小線源療法や監視療法という治療法の存在を知っていました。インタビューを受けていた患者さんは3泊4日で退院し、すぐに仕事に復帰できたと話しており、「そんなに体への負担が少ない治療があるのか」と強く印象に残っていたのです。

監視療法への不安と難航した小線源療法の病院探し

私は、まず監視療法ができないか尋ねてみたのですが、医師からは「監視療法でもいいかもしれませんが、ご本人次第です」と告げられました。その言葉を聞き、監視療法にはやはり不安を覚えたため、同じく番組で知った小線源療法を受けたいと伝えました。 しかし、医師からは「うちの病院ではやっていないので、自分で探してくれれば紹介状を書きます」と言われました。そこでインターネットで調べ、小線源療法を実施しているとホームページに書いてある県内の2つの病院を見つけ、紹介状を書いてもらいました。ところが、いざ予約の電話を入れると「現在はうちではやっていません」と2つともに断られてしまったのです。ホームページには記載されているのにと非常に驚きました。

過去4回の手術経験から導き出した小線源療法へのこだわり

私には、小線源療法という治療法になんとしてもこだわりたい切実な理由がありました。元々腰や膝が悪く、これまでに4回の整形外科手術を経験しています。長期間の入院によって筋力が低下し、退院後のリハビリや日常生活の立て直しがいかに厳しいかを身をもって知っていたため、入院期間が長引く手術という選択肢はどうしても避けたかったのです。 また、私は自分で車の運転ができません。外部照射による放射線治療の場合、頻繁に何回も通院する必要がありますが、公共交通機関で通うのは体力的に大きな負担です。そのため、3泊4日ほどの短い入院で完了する小線源療法が、私の生活環境に最も適していました。年齢的にもまだ自力で活動できるからこそ、いまの生活の質を落とすことなく、最小限の負担で治療を終えたいという強い思いがあったのです。

やっと見つけた小線源療法の実施施設

県内で治療できる病院が見つからなかったため、情報を探し直し、都内にある国立系の総合病院への紹介状を書いてもらいました。2026年4月にようやく初診を受け、検体を東京に取り寄せて再度病理検査を行いました。結果は同じだったため、5月の診察で正式に治療方針を決めることになりました。 私にとって一番の懸念は、「自分の骨盤の形や前立腺の状態で、小線源療法が本当に可能なのか」ということでした。最初の病院の医師から「両側にがんがあり、骨盤の形などの体質によってはチップを埋め込めない方もいる」と聞いていたからです。診察室で担当医に「私は小線源療法ができますか」と尋ねたところ、先生は「大丈夫ですよ、できます」と明言してくださいました。その言葉を聞いた瞬間に深く安堵し、半分ゴールに着いたような気持ちになりました。 担当医は泌尿器科のトップを務める先生で、落ち着いたお話の仕方や丁寧な説明から確かな信頼感を覚え、迷うことなく「お願いします」と伝えて治療のスケジュールを組むことにしました。

小線源療法ならではの厳格な規定

2026年6月末に入院し、事前の予定通り3泊4日で小線源療法を受けました。治療に関する説明で最も印象的だったのは、埋め込んだ放射線のチップ(線源)に関する国の厳しい規定でした。チップは永久に体内に留置されますが、「万が一、治療から1年以内に死亡した場合は、遺体をこの病院に運んでチップを摘出する必要がある」という説明を受けました。放射線に対する厳格な法律と管理体制があることを知り、少し驚きました。 また、術後には「半年ほど経って、忘れたころに血尿が出ることがあるので驚かないように」と注意を受けました。入院中は、尿を濾すための専用の布を使用し、排尿のたびにチップが外に落ちてきていないかを確認する作業を行いました。幸いチップが出ることはなく、退院の際には医師から「運動でも買い物でも、今まで通り普通の生活をしてください」と言われ、特別な生活制限を課されることはありませんでした。 ※治療から1年以内に死亡した場合でも、すでに検査等で体内に線源が残っていないことが確認されている場合や、司法解剖等が行われる場合は対応が異なります。また、1年を過ぎれば放射能が減衰するため摘出は不要となります。

トイレの不安を抱えながらの温泉旅行

術後1か月の検診では、血液検査やMRI検査に加え、専用の機器を腹部に当てて「残尿が本当にないか」を調べる測定も行いました。自覚症状として少し残尿感があったのですが、検査の結果は問題なく安心しました。 PSA値は順調に低下しており、1か月で2.5ng/mLに、3か月後の検診では0.58ng/mLまで下がりました。医師からも「まだ下がる可能性はありますが、順調に推移しています」と言われています。いずれ放射線の効果がなくなり、チップだけが体内に残る状態になっても、摘出する必要はないとのことでした。 退院後はなるべく普段と同じように生活していますが、やはり排尿や排便に関する変化はありました。チップを埋め込んだ後は、どうしてもトイレが近くなりました。この症状が落ち着くまでに、半年ほどかかると聞いています。私は車の運転ができず公共交通機関を利用するため、外出時はトイレの場所が常に気になります。先日、気分転換にバスで温泉旅行に行った際も、事前にバス会社へ「車内にトイレはありますか」と確認を入れました。「ありますよ」と言われても、「実際に行ってみてなかったらどうしよう」と不安になることもありましたが、無事に旅行を楽しむことができ、良い気晴らしになりました。

こだわり納得して受けた治療に後悔はない

がんを経験し、「まさか自分が」という思いはありましたが、それ以上に「先生にお任せして、やれることをやるしかない」という潔い気持ちで過ごしています。 もし私が今より10年、15年と年を重ねていれば、体への負担にはこだわらず、手術を選んでいたかもしれません。しかし、まだ70歳で、自力で動いて活動できる年齢だからこそ、生活の質を落とさずに済む小線源療法を選びたかったのです。PSA値の異常がわかってから治療開始まで約1年のブランクが空いてしまいましたが、テレビ番組から得た知識をもとに、過去の手術経験を踏まえて自分の体に一番合った治療法を見つけることができました。この選択に後悔はありません。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 治療の予備知識を持っておくことが大切です がんの告知を受けると、気が動転して冷静な判断が難しくなる方が多いと思います。私の場合、告知と同時に「前立腺を摘出するか、外部照射による放射線治療をするか」と早い段階で選択を迫られました。もし事前にテレビ番組で小線源療法という選択肢を知らなければ、戸惑いながらも医師に言われるままにどちらかの治療を選んでいたかもしれません。初めからすべてを知っておくことは不可能ですが、あらかじめ病気や治療法について少しでも予備知識を持っておくことが、後悔のない選択につながると思います。 自分の生活に合った治療法を探してみてください 医師からの提案が、必ずしも自分のライフスタイルに合っているとは限りません。私は過去の手術経験から入院期間が長引く治療を避けたくて、小線源療法を探し求めました。治療をしてくれる病院を見つけるまでに時間がかかり、1年間のブランクができましたが、結果として自分の生活への影響を最小限に抑えることができました。複数の治療法がある場合は、年齢やご自身の生活環境を想像し、一番合った方法を納得して選んでいただきたいと思います。

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