写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:チアキさん(ニックネーム)
年代:60代
性別:女性
家族構成:夫と子どもとの3人暮らし
仕事:専業主婦
がんの種類:膀胱がん
診断時ステージ:ステージ1
診断年:2006年
現在の居住地:神奈川県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。
チアキさんは、退職を機に自発的に受けた健康診断でステージ1の膀胱がんと診断されました。経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の後、再発予防として抗がん剤の膀胱内注入療法を受けましたが、激しい痛みを伴う副作用により予定回数を短縮して治療を終えました。子育てと並行して痛みに耐えた当時の葛藤や、がんを経験したことで変化した健康への意識、現在の生活習慣についてお話しいただきました。
退職を機に受けた健康診断で膀胱がんが発覚
私が膀胱がんと診断されたのは、2006年の3月のことでした。当時は長男が6歳で、4月から小学校に入学するという時期でした。私はそれまで会社員として働いていましたが、子育てに少し手がかかる時期に入ることもあり、ちょうど仕事を辞めて専業主婦になったばかりのタイミングでした。 会社員時代は、健康診断を受ける機会がほとんどありませんでした。しかし、仕事を辞めて少し時間ができたこともあり、「自分から健康診断に行ってみよう」とふと思い立ちました。特に自覚症状や体調不良があったわけではなく、本当に偶然の思いつきでした。 自宅の近くにある、入院施設も備えた規模の大きなクリニックへ行き、一般的な血液検査と腹部超音波(エコー)検査を受けました。すると、腹部エコー検査の最中に、医師から「膀胱に少し気になる影がある」と指摘されました。そして、「念のため泌尿器科を受診して、詳しい検査を受けたほうがいい」と勧められました。 実は、がんが見つかる数年前にも、尿路結石を患って入院したことがありました。もしかすると、そのときの結石の痕跡が残っているのかもしれないと軽く考えていました。異常を見過ごして手遅れになるのは避けたかったため、精密検査を受けることにしました。TURBT後の病理検査でステージ1の膀胱がんと確定
泌尿器科の精密検査を受けるにあたり、私は以前に尿路結石の治療でお世話になったことのある別の総合病院を受診することにしました。自宅から電車に乗って少し離れた場所にある、比較的大きな総合病院でした。 その総合病院の泌尿器科で、尿道から内視鏡を入れる膀胱鏡検査を受けました。画面を通じて膀胱の内部を確認したところ、膀胱の粘膜に小さな腫瘍ができていることがわかりました。担当の医師からは、「小さな腫瘍が見つかりました。悪性かどうかは今の段階では断定できませんが、念のため切除して組織を調べましょう」と提案されました。 そのまま外来で切除できるようなものではなかったため、入院して腰椎麻酔をかけた上で、TURBTを受けることになりました。意識がはっきりしている状態で手術が行われ、モニターに映る映像を見ながら、腫瘍が切り取られる様子を確認しました。 切除した腫瘍の細胞を病理検査に回した結果、膀胱がんであることが判明しました。ステージは1で、がんは粘膜の表面だけでなく、粘膜の下の層まで少しだけ浸潤している状態でした。 がんの告知は、入院中の病室で私1人で受けました。私自身、自覚症状が全くなかったため非常に驚きましたし、担当の医師も「まさかがんが見つかるとは」と少し意外そうな反応を示していました。夫には面会時間の都合もあり、すぐには直接会えなかったため、電話でがんであることを伝えました。同室の患者の姿から知った膀胱がんの現実
膀胱がんの手術を終えて入院している間、私は病室で同じように膀胱がんの治療を受けている他の患者さんたちと接する機会がありました。私と同室だった方々は私よりも年齢が上の女性が多かったのですが、中には膀胱がんを何度も再発し、そのたびに入院と手術を繰り返している方もいらっしゃいました。 そのような方々の厳しい状況を目の当たりにし、「膀胱がんというのは、一度切除しても何度も再発を繰り返す、とても厄介な病気なのだな」と実感しました。インターネットがまだ十分に普及していない時代だったため、自分で病気の情報を調べる手段は限られていましたが、周囲の患者さんたちの姿が何よりの現実でした。 しかし、担当の医師からは「膀胱がんは確かに再発しやすい性質を持っていますが、もしまたできたとしても、今回のように内視鏡で取ってしまえば大丈夫ですから」と、比較的明るく、前向きな言葉をかけていただきました。その言葉のおかげで、過度に悲観することなく、「もし再発してもまた治療すればいいのだ」と、ある程度の安心感を持って治療に臨むことができました。激しい痛みを伴った抗がん剤注入療法
手術後、がんの再発を予防するための治療が始まりました。私が受けたのは、膀胱内に赤い色の抗がん剤を直接注入する抗がん剤注入療法でした。担当医からは、この注入治療を月に1回程度のペースで合計10回行う予定だと説明されました。1回目の注入は手術のための入院期間中に行い、2回目以降は外来へ通院しながら受けました。しかし、この抗がん剤注入療法は、私にとって想像を絶するほどつらいものでした。 薬液を膀胱に注入した直後から、歩くことすら困難になるほどの激しい痛みに襲われました。発熱や全身の倦怠感といった他の副作用があったのかどうかは、痛みが強すぎて記憶にないほどです。とにかく膀胱の周辺にひどい痛みがあり、日常生活を送るのがやっとの状態でした。 治療後は痛みが数週間続き、痛みがようやく落ち着いてきたころにまた次の注入日がやってくる、という過酷なサイクルでした。あまりにも痛みが強かったため、私は担当医に「通院で受けるのがつらいので、入院して治療を受けることはできないか」と相談しました。しかし、入院での対応は難しく、引き続き外来で治療を受けるしかありませんでした。 治療期間中は、膀胱内が薬液の影響で常に真っ赤に炎症を起こしている状態でした。医師からは「今は膀胱内が赤くなっているため、もし再発があっても内視鏡で見えにくい状態だ」と説明を受けました。それを聞いたときは、「何かあっても見えないのなら、こんなに痛い思いをしてまで検査を続ける意味があるのだろうか」と、疑問や理不尽さを感じたこともありました。 最終的に、私の痛みが非常に強かったことや、日常生活への影響が大きかったことを医師が考慮してくださり、「10回の予定でしたが、ここまで頑張ったので8回で終わりにしましょう」と提案されました。その言葉に救われる思いで、私の抗がん剤注入療法は8回で終了となりました。 ※がんの薬物療法に伴う副作用の出方や程度には、大きな個人差があります。また、現代の医療では副作用をあらかじめ予防したり、症状を抑えたりする対策(支持療法)が非常に進歩しています。体験談の描写に過度な不安を抱かず、主治医や医療スタッフに安心してご相談ください。副作用と向き合いながらの子育て
抗がん剤注入療法の副作用による痛みと闘っていた時期は、長男が小学校に入学し、新しい生活が始まったばかりの時期と重なっていました。息子が通う小学校の授業参観などの学校行事には、痛みをこらえながら参加しました。学校のトイレに行った際、真っ白な便器に真っ赤な血尿が出たのを見て、視覚的にも精神的にも大きなショックを受けたことを鮮明に覚えています。 また、治療が3回目か4回目に差し掛かったころに夏休みを迎えました。子どもに夏休みの思い出を作ってあげたいという思いから、夫が仕事で忙しかったため、私と息子の2人で羽田空港へ飛行機を見に出かけました。しかし、強い痛みのために私は早く歩くことができず、元気いっぱいに歩く息子の歩行スピードに全くついていくことができませんでした。普段であれば何でもないような距離やスピードが、病気と治療の影響でこんなにも遠く感じられるのだと痛感し、歩けない自分に対して情けなさとショックを感じました。 当時は夫の仕事が忙しく、私は専業主婦だったため、日中の家事や育児は基本的に私1人でこなさなければなりませんでした。しかし、子どもがもっと小さくて手がかかり、腱鞘炎になりながら抱っこしていたころの育児の大変さに比べれば、息子も自分の足で歩ける年齢になっていたため、なんとか自分のペースで家事をこなすことができました。限られた情報の中での闘病
私が膀胱がんになったことは、夫と実家の母など、ごく一部の家族にしか伝えませんでした。当時は、現在のようにがんについてオープンに語り合えるような社会的な雰囲気はまだなく、病気のことを他人に話すことには強い抵抗がありました。特に小学校のPTA関係者や保護者同士の付き合いの中で病気のことを知られると、余計な気遣いをさせたり、誤解を受けたりするのが嫌だったのです。 治療中は「重いものを持ってはいけない」と医師から指導されていたため、学校の行事などで力仕事を避けなければならない場面もありました。周囲からは「なぜ手伝わないのだろう」と不思議に思われたかもしれませんが、それでも病気のことを明かすことはしませんでした。 また、2006年当時は患者自身が病気についてインターネットで深く調べることは難しい時代でした。得られた情報といえば、「染め物を扱う職人さんが膀胱がんになりやすいらしい」といった断片的な噂程度のものばかりで、同じ境遇の患者さんの体験談に触れる機会もありませんでした。そのため、医師の言葉だけを頼りに、ただ目の前の治療をこなしていくしかありませんでした。 抗がん剤注入療法が8回で終了した後は、再発の有無を確認するために、半年に1回のペースで膀胱鏡検査やCT検査、尿検査を受けました。膀胱鏡検査は毎回苦痛を伴い、検査のたびに嫌な思いをしましたが、「再発しやすいがんである」という事実があったため、欠かさずに通院を続けました。幸いにも一度も再発することはなく、5年が経過した時点で定期的な経過観察は終了となりました。医師から「これで検査も終わりで大丈夫ですよ」と言われたときは、ようやくがんから卒業できたのだと、心の底から安堵しました。がんを経験して変化した健康への意識
膀胱がんを経験したことで、私の心境や健康に対する意識は大きく変化しました。最も変わったのは、「異常があればすぐに検査を受け、早めに対処することが命を救う」という強い実感を持ったことです。 私は退職するまで、定期的な健康診断を受ける習慣がありませんでした。しかし、あのとき思い立って検査を受けていなければ、がんの発見が遅れ、より深刻な事態になっていたかもしれません。早期に発見し、治療できたことは本当に幸運でした。この経験から、自分の体は自分で守らなければならないと強く意識するようになりました。 現在は膀胱がんの手術から約20年が経過し、再発の不安もなく、元気に日常生活を送っています。健康を維持するために、涼しい時間帯を選んで毎日1時間程度、約7000歩のウォーキングを日課にしています。また、30年ほど前から自宅の庭で続けている家庭菜園も、私の大切な趣味であり健康の秘訣です。自分で育てた新鮮な野菜を収穫し、日々の食卓に並べることで、食事の面からも健康的な生活を心がけています。 退職直後にたまたま受けた健康診断でがんが見つかり、つらい治療も経験しましたが、結果的にあのタイミングで病気を見つけることができたのは、小学校に入学する息子の存在が背中を押してくれたのかもしれません。命を救ってくれたあのときの偶然と、支えてくれた家族には今でも深く感謝しています。今、がんと向き合っている方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 不安や疑問は遠慮せずに医療者へ伝えてください 治療中、医師や看護師に対して「迷惑になるのでは」と遠慮してしまうことがあるかもしれません。しかし、後悔しないためには、抱えている不安や痛みを正直に伝えることが大切です。私自身、痛みが強すぎたときに相談した結果、治療回数が調整されて負担を減らすことができました。自分の体のことは我慢せず、医療者に伝えてください。 早めに検診を受けて自分の体を守ってください がんを経験して一番強く感じたのは、早期発見の重要性です。私は偶然受けた健康診断で早期発見できましたが、もし受けていなければどうなっていたかわかりません。少しでも体調に不安を感じたときや定期検査の機会があるときは、ためらわずに検査を受けてください。その行動が、将来の自分と家族を守ることにつながります。がん体験に関するインタビュー参加者募集中
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