写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:HACOさん(ニックネーム)
年代:50代
性別:男性
家族構成:妻と子ども3人との5人暮らし
仕事:自営業
がんの種類:大腸がん(直腸がん)
診断時ステージ:ステージ2A
診断年:2022年
現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。
2022年8月、HACOさんは血便をきっかけに、大腸がんと診断されました。当初は永久人工肛門の可能性を告げられましたが、がん専門病院へ転院してステージ2Aの診断を受け、肛門温存を目指して特定臨床研究による初期治療を受けました。その後、ロボット支援下手術を実施し、術後の合併症や一時的な人工肛門の期間を経て、現在は直腸切除に伴う排便障害と向き合いながら日常生活を送られています。病気発見の経緯、治療の選択、後遺症との付き合い方、そしてがん経験後の心境の変化についてお話しいただきました。
大腸がん診断のきっかけは血便
最初に体の異変を感じたのは、2022年8月ごろでした。血便が出たことに気がつきましたが、私自身は「痔だろう」と軽く考えていました。しかし、周囲の人から「きちんと診てもらった方がいい」と強く勧められ、近くのかかりつけのクリニックを受診しました。 クリニックの医師から検査を勧められ、紹介された近くの総合病院で大腸内視鏡検査を受けました。その検査でポリープのような異変が見つかりましたが、そこではがんとの確定診断には至りませんでした。しかし、担当医から「これだけのポリープがあるのであれば、どこかにがんが隠れている可能性が高いので、より大きな病院で詳しく調べた方がいい」と言われ、別の総合病院を紹介されました。紹介された総合病院で改めて大腸内視鏡検査と生検を受けた結果、大腸がん(直腸がん)であることが判明しました。 しかし、その病院の医師からは、がんができている場所が肛門に非常に近いため、手術をする場合は永久人工肛門(ストーマ)になるという説明を受けました。同時に、「がん専門病院や大学病院であれば、肛門を温存できるかもしれない」という話があり、がん専門病院を紹介してもらうことになりました。がん専門病院への転院と初期治療の開始
紹介されたがん専門病院を受診し、MRI検査やCT検査、血液検査などを改めて受けました。2022年9月に確定診断が下り、遠隔転移はない状態でステージは2Aということがわかりました。がんは肛門から約2cmというギリギリの位置にありましたが、肛門を温存できる可能性があると告げられました。 その際、担当の消化器外科の医師から、すぐに手術をするのではなく、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた特定臨床研究への参加を提案されました。基本的には手術を行う前提のもと、事前に抗がん剤や放射線治療を行い、その効果でがんが画像検査で完全に認められなくなった場合には、手術を回避できる選択肢があるという内容でした。私はこの治療法を受けることを決めました。 2022年11月から放射線治療とカペシタビンによる治療が始まりました。その後、2023年1月からオキサリプラチンによる点滴治療を追加しました。ロボット支援下手術と術後合併症
初期治療を終えた後、期待したような効果は見られず、予定通りがんを切除する手術を行うことになり、2023年7月の終わりにロボット支援下手術を受けました。手術に対して大きな不安はありませんでしたが、手術室では看護師やスタッフの方々が気持ちを落ち着かせるために好きな音楽を流してくれるなど、精神的なケアが行き届いていました。 手術自体は無事に終わりましたが、術後に予期せぬ合併症が発生しました。麻酔から覚めた直後、右足に筋肉痛のような強い痛みと違和感があることに気がつきました。医師に伝えたところ、長時間の手術による持続的な下肢の低血流が原因で起こった、コンパートメント症候群だということが判明しました。コンパートメント症候群は、手足の筋膜で囲まれた密閉空間(コンパートメント)内の圧力が異常に高まり、血流が途絶えることで筋肉や神経が壊死していく緊急性の高い病態です。 すぐに専門医が呼ばれ、圧力を逃がすためにその場で右足のふくらはぎを切開する緊急処置が行われました。切開した部位は急に縫い合わせることができず、入院しながら経過を見て少しずつ段階的に縫合していきました。 本来であれば大腸がんの手術後は1〜2週間程度で退院できる予定でしたが、足の処置に時間がかかったため、退院できたのは8月のお盆前ごろでした。入院や療養が長引きましたが、仕事面では大きな心配をせずに済みました。私と同じ自営業の現場で働いている社会人の長男に業務を任せることができたため、安心して療養に専念できました。一時的なストーマ生活と家族の支え
直腸の切除手術の際には、腸のつなぎ目を一時的に休ませるためにストーマを造設しました。 退院後はストーマ装具を装着した生活が始まりました。装具の管理や交換には戸惑いもありましたが、妻や子どもたち全員が協力的で、交換の作業を一緒に行ってくれました。家族のサポートのおかげで、徐々に生活のペースを掴むことができました。術後約3か月が経過した2023年10月ごろ、腸をつないでストーマを閉鎖する手術を受けました。 ストーマを閉鎖して通常の排便経路に戻ってからは、直腸を切除したことによる排便障害が現れました。便をためておく機能が不十分なため、頻繁に便意を催したり、急に強い便意が起こる症状です。 日常生活では、急な便意に対応するための工夫が必要になりました。特に困るのは移動時でした。家族で遠出する際、車での長距離移動は途中でトイレを確保することが難しいため、私だけ新幹線を利用して目的地に向かい、他の家族は車で移動するという分散移動を行うようにしました。新幹線であれば、車内にトイレがあるため安心して移動できます。 また、便の回数が多いためおしりに痛みが生じやすく、外出時は携帯用のウォシュレットを常に持ち歩くようにしました。さらに、車内には万が一のための携帯トイレを常備し、外出時やゴルフに行く際には紙パンツ(おむつ)を着用するなど、精神的な不安を軽減するための準備を整えて行動しています。 一時的にストーマになったときは、早くストーマを外したいと考えていましたが、現在抱えている排便障害がない分、今振り返るとストーマがあった時期の方が過ごしやすかった面もありました。時間の経過による周囲の変化と受け止め方
がんと診断された当初から、取引先や仕事の関係者には病状や治療の予定を伝えていました。仕事に復帰した当初は、周囲の人たちも私の体や排便障害のことを気遣ってくれていました。 しかし、時間が経つにつれて周囲の記憶も薄れていき、配慮が少なくなっていくのを感じるようになりました。長時間の打ち合わせなどでトイレに行くタイミングを逃し、我慢できずに便を漏らしてしまうという失敗も実際に経験しました。 配慮が減ったことに対する戸惑いや失敗した際の大変さはありますが、私自身はこれを否定的に捉えていません。周囲が過剰に気を使わなくなったということは、それだけ自分を病人扱いせず、一人の人間として普通に接してくれるようになった証拠だと受け止めています。 また、闘病にあたり、さまざまな情報を集めました。医療機関での説明は個人差があるため一般的な内容にとどまることが多かったのですが、ストーマ生活に必要な持ち物や具体的な対処法については、インターネットで当事者が発信している個人の体験談が非常に役に立ちました。 私自身も、治療の経過や自身の病状についてFacebookなどのSNSでオープンに発信していました。投稿を見た知人やその知り合いのがん患者から、ダイレクトメッセージなどで相談を受ける機会が増えました。「抗がん剤で髪が抜けるのか」「強い吐き気があるのか」といった不安を聞かれた際には、自分の体験を踏まえ、「副作用の症状は、使用する薬剤によっても異なるし、個人差がある」ということを伝えています。趣味の再開とがんを忘れられる時間
がんを経験したことで、人生に対する考え方が変化しました。「残りの人生の時間がどうなるかはわからないのだから、やりたいことは先延ばしにせず挑戦しよう」と強く思うようになりました。 手術後、友人からの誘いを受けたことをきっかけに、高校や大学時代にやっていたトロンボーンの演奏を再開しました。現在は地元や横浜のアマチュアのオーケストラに入団し、定期的に練習や演奏活動に参加しています。また、時間を見つけてはゴルフにも出かけるようになりました。 排便障害による不便さは残っていますが、楽器を吹いている時間やゴルフに没頭している時間は、自分ががん患者であることを忘れることができます。没頭できる趣味を持てたことが、毎日の生活を豊かにしてくれています。現在は半年に1回の経過観察を通院で続けており、再発もなく順調に経過しています。今、がんと向き合っている方へのメッセージ
今、がん治療に向き合っている方にお伝えしたいことがあります。 前向きな気持ちで治療に向き合ってください がんという病気になると、どうしても将来に対する不安が大きくなり、気持ちが塞ぎ込んでしまうことがあると思います。私自身は、最初からできるだけ前向きな気持ちを持って治療や手術に向かうように心がけてきました。気持ちを前向きに保つことが、結果的に治療を乗り越える力や、その後の生活の質を向上させることにつながると感じています。決して後ろ向きにならず、今できる治療に取り組んでいってほしいと思います。 打ち込める趣味や楽しみを見つけてください 治療中や治療後には、体の変化や後遺症など、さまざまな不便が生じることがあります。そうした不便さにばかり目を向けるのではなく、何か熱中できる趣味や楽しみを見つけることをお勧めします。私の場合は楽器の演奏やゴルフでしたが、好きなことに打ち込んでいる時間を大切にしてください。生活の中に楽しみを持つことが、毎日を前向きに生きるための大きな原動力になるはずです。がん体験に関するインタビュー参加者募集中
オンコロでは、がん体験をお話しいただける方を対象としたインタビューを実施しております。応募条件など、詳細は下記の応募フォームをご確認ください。この体験談をきっかけに、治験についてもっと知ってみませんか?
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