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中咽頭がん、家族の支えと仕事を活力とし一日一日を大切に生きる日々

[公開日] 2026.09.28[最終更新日] 2026.09.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:がっちゃんさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:男性 家族構成:妻と子どもとの3人暮らし(子ども1人は独立) 仕事:会社員 がんの種類:中咽頭がん(HPV陽性) 診断時ステージ:ステージ1 診断年:2023年 現在の居住地:大阪府
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2023年、喉の違和感をきっかけに中咽頭がんと診断されたがっちゃんさん。化学放射線療法を選択し、過酷な副作用に耐えて職場復帰を果たしました。しかしその後、肺への転移が見つかります。製薬会社勤務というバックグラウンドを生かした情報収集や、限られた診察時間での医師とのコミュニケーションの工夫、そして現在も仕事を続けながら新たな治療の可能性を探る前向きな姿勢についてお話しいただきました。

喉の異変から確定診断までの長くもどかしい期間

2023年の6月から7月にかけて、喉に痛みを感じるようになりました。自分で鏡を使って喉の奥を見ると、異様な形に腫れ上がっている部分がありました。おかしいと思い近所の耳鼻咽喉科のクリニックを受診したところ、総合病院を紹介されました。 総合病院を受診した際、私としてはすでにがんの可能性も疑っていたため、早急に組織診をしてほしいと希望しました。しかし、まずは抗生物質を投与して様子を見ることになりました。実際に抗生物質を使うと一時的に腫れが引いたように見えたため、最初は細菌性のものだろうと判断されました。しかし、その後再び腫れが大きくなり、持続するようになったのです。私の強い心配もあり、初診から1、2か月ほど経った2023年9月になってようやく組織診が行われました。その結果、HPV陽性の中咽頭がんであることが確定しました。

治療効果を考慮して化学放射線療法を選択

がんが確定した後、より専門的な治療を受けるために、別の疾患により通院中の自宅からも近い大学病院へ転院することになりました。転院後の検査でリンパ節への転移も認められましたが、PET検査などの結果を踏まえ、診断時のステージはステージ1となりました。 大学病院の担当医からは、治療方針として放射線療法を単独で行うか、あるいはシスプラチンを併用するかの2つの選択肢が提示されました。原発巣に加え頸部のリンパ節への転移があったため、手術では広範囲で切除する必要があり、手術の提案はありませんでした。医師からはどちらの治療法も治療成績は同じ程度だと説明を受けました。しかし、私はもし目に見えないがん細胞が全身に回っていた場合のことも考え、より高い効果を期待してシスプラチンを併用する化学放射線療法を選択しました。最初から約80日間という長期間の入院が必要になることには悩みましたが、完治を目指すために決断しました。

経鼻栄養を余儀なくされた過酷な副作用との闘い

入院後の治療スケジュールは、放射線を1日1回2Gyで35回照射し、シスプラチンは最初から最大用量を3週間で3回投与するという非常にハードなものでした。治療が始まると、想像を絶する副作用に悩まされることになりました。 特にしんどかったのは、シスプラチンによる副作用でした。初回の投与から強烈な吐き気と倦怠感、食欲不振が現れ、全く食事が喉を通らなくなりました。そこに放射線療法による口内炎が重なり、痛みでさらに食事ができなくなりました。入院から1〜2か月後には、鼻から胃へ管を通して栄養を入れる経鼻栄養を行わざるを得ない状態まで悪化しました。 また、シスプラチンの影響で腎機能を保護するために持続点滴が必要だったため、経鼻栄養が始まる前、かつ点滴が外れている休日のみ一時帰宅が許されるという生活でした。とにかく「しんどい」「食べられない」という肉体的な苦痛が続く、過酷な入院生活でした。

肺転移と免疫チェックポイント阻害薬による治療

80日間にわたる入院治療を終え、退院するころには量は少ないものの経口で食事ができる状態まで回復していました。2023年12月に退院し、2024年3月(治療終了から3か月後)の検査では問題は見つからず、治療は順調かと思われました。 しかし、治療終了からちょうど6か月後となる2024年6月、人間ドックによるCT検査で肺に影が見つかりました。翌7月に再度画像を撮ると陰影が大きくなっており、肺転移と診断されました。治療終了から6か月というタイミングであったこと、そして陰影が複数あったことから、医師からは「中咽頭癌からの転移と思われるが、こんなに早く転移が認められることはまれであり、シスプラチンに抵抗性がある」と判断され、私自身もそれを受け入れました。そのためオプジーボ単剤療法となりました。 病院の治療方針から初回のみ入院し、その後は通院で治療を継続しました。オプジーボの投与から3か月後の検査では、肺の陰影はすべて認められず、また副作用も驚くほどなく、体調も良好なまま日常生活や仕事を続けることができました。しかし、2026年2月、一旦は画像上認められなくなっていた肺の陰影が再度現れ、5月にはさらに増大したため、再び治療方針を見直すことになりました。

新たな副作用と向き合いながらの二次治療

肺の転移巣は59mmにまで成長していました。まずは局所制御するため、2026年7月に肺の転移巣に対し、1日1回4Gyの放射線を15回照射しました。その後、8月からは二次治療として、パクリタキセルとセツキシマブの併用療法を通常毎週投与のところを医師の判断により隔週投与するスケジュールで開始しました。 現在、この新しい治療による副作用に悩まされています。初回の投与から2日後には足にしびれが出始め、現在も続いています。また、常に疲労感があり、セツキシマブの影響による口内炎や顔のニキビ様皮疹、さらには脱毛も始まりました。しかし、最初のシスプラチンのときに比べれば、投与後4〜5日経てば体力が回復に向かい、何よりも食欲が維持できていることは大きな救いです。食事ができるおかげで体力を保つことができ、働き続けることができています。

医師とのコミュニケーションで重要なのは患者力

私は製薬会社に勤務しているため、がんの知識や医療用語にはある程度明るく、医師とのコミュニケーションで戸惑うことはありませんでした。とはいえ、実際の外来診察時間は非常に限られています。短い時間内でしっかりと意思疎通を図るため、私は常に相談事項に優先順位をつけ、メモをしてから診察に臨むようにしています。自分が今一番相談したいことは何かを自覚し、医師に的確に伝えるためには、毎日自分の状態について、症状日記に正確に記載し、自分が何に困っているか、何を確認したいかを明確にすることが大切だと考えています。そのためには、病気に関する情報も収集し整理して自分のがんのことを学ぶ「患者力」を身につけることが大切だと実感しています。 さらに、こうした医療知識は、将来を見据えた事前の準備にも役立ちました。私は、がんの原因となる遺伝子の変異を調べて治療薬の候補を探すがん遺伝子パネル検査の目的や意義を知っていました。もし標準治療が効かなくなった際、この結果が新たな選択肢を広げる役に立つと考え、将来への投資としてステージ1の段階で、自費で検査を受けました。結果として特異的な遺伝子変異は見つかりませんでしたが、あらかじめ自分の状態を把握しておくことができました。

標準治療終了への不安と治験を見据えた行動

現在行っているパクリタキセルとセツキシマブの治療が効かなくなった場合、次の標準治療はないと主治医から告げられています。そのためセカンドオピニオンを受けたいと考えていましたが、主治医は非常に忙しそうで、気後れしてなかなか言い出せずにいました。 しかし、パクリタキセルの初回投与で入院していた際、主治医が病棟へ来てゆっくり話せる機会がありました。私はその機を逃さず、「次の標準治療がないと言われてとても不安なので、セカンドオピニオンを受けたい」と正直に打ち明けることができました。 さらに、新たな選択肢として治験や臨床研究への参加も模索しています。これらに参加するためには、パフォーマンスステータス(全身状態)の基準が設けられていることが多く、体調が悪化してからでは参加条件に当てはまらなくなる可能性があります。そのため、状態が良い今のうちから、オンコロの治験情報や医師である東京の兄の助けも借り、参加できる治験の情報を探し始めています。

治療のモチベーションを支える仕事との両立

化学放射線療法のための入院治療を終えた後、私はすぐに職場に復帰しました。製薬会社ということもあり、病気や治療に対する会社の理解は深く、入院の1か月前から十分な引き継ぎを行うことができました。現在は週に1〜2日を在宅勤務とし、残りは出社するというスタイルで働いています。 私にとって仕事は、生活のためだけでなく、生きるためのモチベーションや活力を上げる重要な存在です。できる限り在宅ではなく出社し、同僚とコミュニケーションを取りながらさまざまな業務をこなすことで、一時的であってもがんのことを忘れることができます。それが精神的な支えとなり、自分の気力を養う治療の一環のようにも機能しています。会社や周囲の配慮に感謝しながら、これからもできる限り働き続けたいと考えています。

家族への深い感謝と一日を大切に生きるという決意

がんになって、心身の捉え方や周囲への感謝の念が大きく変わりました。特に肺転移がわかり、現実的に「死」を意識せざるを得ない状態になってからは、その思いがより強くなりました。 今の私を支えてくれているのは、間違いなく家族、特に妻の存在です。食事に気を配ってくれたり、体調がきつい朝は駅まで車で送ってくれます。また、大量に抜ける髪の毛のケアや身の回りのことまで、あらゆるサポートをしてくれています。そして、妻からは「大丈夫、あなたはきっと死なないよ」との言葉がけが忘れられず、いつも背中を押されています。このような家族の支えがあるからこそ、仕事を続けながら前を向いて生きることができています。 病気になる前は当たり前だと思っていた普通に生活できることや、周囲の人の優しさが、今は心からありがたいと感じられます。先のことはわかりませんが、今生きていられることに感謝し、一日一日を大切に積み重ねていきたいと思っています。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 完治が見込める方は最後まで治療を完遂してください 初期のステージなどで完治が見込める方にお伝えしたいのは、たとえ化学放射線療法などの副作用が過酷でも、諦めずに最後まで治療を続けてほしいということです。治療中は想像を絶する苦痛を伴い、心が折れそうになることもあると思いますが、元の生活に戻れる可能性を信じ、後悔しないために最後まで治療をやり遂げてください。 がんと長く共存するために自分なりの気晴らしを見つけてください 進行がんなどで完治が難しい状況にある方は、いかにがんと長く共存していくかが目標になります。治療による副作用とうまく付き合いながら、気力を落とさないことが大切です。そのためにも、仕事や趣味など自分なりの気晴らしを見つけ、がんを忘れられる時間を作ってください。一日一日を大切にしながら、前を向いて一緒に進んでいきましょう。

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