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【がん治験体験】卵巣がん、7度目の再発で治療選択肢を失った私が治験にかけた思い

[公開日] 2026.09.15[最終更新日] 2026.09.15

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:紫陽花さん(ニックネーム) 年代:60代 性別:女性 家族構成:夫との2人暮らし(子ども2人は独立) 仕事:小学校の放課後子ども教室(診断時は塾経営) がんの種類:卵巣がん(漿液性腺がん) 診断時ステージ:ステージ3C 診断年:2009年 現在の居住地:高知県 治験フェーズ:第3相 治験参加時の治療ライン: 8次治療
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2009年に卵巣がんステージ3Cと診断された紫陽花さんは、再発を繰り返す中で抗がん剤の副作用により治療ができなくなりました。治療法がないという絶望の中、自らインターネットで情報を集めて免疫チェックポイント阻害薬の治験を見つけて参加しました。紫陽花さんは、どのような思いで治験に参加し、どのようなことを考えたのかについてお話しいただきました。

約1年ごとに繰り返す再発と近づく体の限界

2009年の夏に卵巣がんのステージ3Cと診断され、最初の手術と約半年間の抗がん剤治療を受けました。その後は一旦寛解したものの、約1年ごとの短いサイクルで再発を繰り返すようになりました。そのたびに開腹手術をし、抗がん剤治療を行うという過酷な闘病が続きました。 再発を重ねるうちに、長期間同じ薬を使い続けた影響からか、抗がん剤に対して強いアレルギー反応が出るようになってしまいました。そのため、薬の種類を変えながらなんとか治療を続けていました。 度重なる手術を受け、強い副作用(吐き気)や抗がん剤によるアレルギー反応を繰り返す中で、私の体は限界に近づいていました。「毎回こんなにつらい思いをして手術と抗がん剤を続けるのはしんどい。何か他に、もっと体に負担が少ない治療はないのだろうか」と常に考えていました。

インターネットで自ら見つけた治験

標準治療の限界が見えてきたころ、私はインターネットで必死に新しい治療法を探しました。以前はインターネットの情報もどれを信じていいかわからない状態でしたが、長年治療に向き合ってきたことで、ある程度信頼できる情報を見極められるようになっていました。 調べていくうちに、免疫チェックポイント阻害薬という新しい仕組みの薬があることを知りました。まだ承認されていないものの、「この治験を受けたい」と強く思うようになりました。

「もう標準治療はない」と言われてから起こった7度目の再発

治験という新しい希望を見つけていた矢先のことでした。6回目の再発で手術を受けた際、退院予定日に腸閉塞を起こしてしまい、約1か月間絶食状態で入院することになりました。腸閉塞が改善して無事に退院できたものの、長期間の絶食と入院によって体力は著しく低下していました。それでも抗がん剤治療を再開するため、医師の判断で薬の量を減らして投与してもらうことになりました。 しかし、抗がん剤を投与してすぐに強いアレルギー反応が出てしまい、治療を続けることは不可能でした。有効な薬を使い果たし、主治医からはこれ以上できる標準治療はないと告げられました。さらにその後、恐れていた7度目の再発が判明し、いよいよ手術もできない状態となってしまったのです。

すべての適格条件をクリアし治験に参加

「もう標準治療はない」と言われた絶望的な状況の中で、私が治験を受けたいと強く望んでも、通っていた病院では該当する治験が行われておらず、すぐには参加できませんでした。東京などの遠方へ行く勇気もなく、どうすればいいか悩んでいました。 そんな絶望的な状況の中、夫が私のために動いてくれました。夫は遠方にある婦人科の権威と言われる著名な医師の元へ、セカンドオピニオンを聞きに行ってくれたのです。そこで夫が私の状況と治験への希望を伝えたところ、その医師が「私の知っている先生がいるから」と、希望する治験を実施している県外のがんセンターの医師へつないでくれました。 夫の行動とセカンドオピニオン先の先生の紹介のおかげで、私はがんセンターを受診することができました。治験に参加するためにはいくつかの厳しい条件がありましたが、画像検査やその他の検査を行った結果、すべての条件をクリアしていることが確認され、無事に治験に参加できることが決定しました。

治験は残された唯一の希望

治験と聞くと、効果がわからない未知の薬を使うことに対して不安や迷いを抱く方もいるかもしれません。しかし、私には治験に参加することへの不安は全くありませんでした。すでに有効な抗がん剤がなくなり、手術もできない状態であった私にとって、治験は残された唯一の希望でした。「他に治療法がないのだから、新しい薬を試せるなんてすごくラッキーだ」という前向きな気持ちしかありませんでした。治験への参加を父に話したところ、「この治験への参加に希望をかけてみてはどうか」と背中を押してくれました。 私が参加したのは、既存の抗がん剤による治療を行うグループと、免疫チェックポイント阻害薬による治療を行うグループのどちらかに割り付けられ、効果と安全性を確認する第3相試験でした。ランダムに割り付けられるため、どちらのグループになるかはわかりませんでしたが、結果として私は希望していた免疫チェックポイント阻害薬のグループに割り付けられました。これまでずっとつらい抗がん剤治療に耐えてきたので、免疫チェックポイント阻害薬での治療が決まったときは本当に嬉しかったです。

治療を受けるたびに回復を実感

治験による治療が始まり、初回の投与は入院して行いました。効果は驚くほど早く現れました。治験開始後、最初の効果判定の検査で、主治医から「リンパ節に転移していたがんが小さくなっていますよ」と告げられたのです。目に見えて効果が出ていることがわかり、このまま治療を続けていこうと力強く思えました。 何より嬉しかったのは、これまでの抗がん剤で苦しめられてきた激しい吐き気や、強いアレルギー反応といった副作用がなかったことです。治療を受けているとは思えないほど体調が良く、みるみるうちに元気を取り戻していきました。病院のスタッフからも「満タン給油したみたいに元気になって退院していくね」と驚かれるほどでした。私自身も、毎回治療を受けるたびに未来が開けるような気がして、元気になっていく喜びを噛み締めていました。

治験に対する不安や負担

治験は、2週間に1回のペースで点滴を受けるスケジュールでした。私の住む地域からがんセンターまでは距離があり、公共交通機関を乗り継いで通院しなければならなかったため、移動の負担は少なからずありました。また、治験のルールとして毎回治療前の血液検査と2か月に1回の定期的な画像検査が義務付けられており、毎回採取される血液の量も通常の治療より多かったです。 しかし、薬がしっかりと効いて元気になっている喜びがはるかに上回っていたため、通院の手間や検査の多さを苦痛に感じることはありませんでした。治験には治験コーディネーターと呼ばれる専門のスタッフがついており、診察や治療のたびに体の異変や体調の変化がないか、細かくヒアリングしてくれました。手厚く管理されているという安心感もあり、治験に対して不安や負担を重く感じることはありませんでした。

未来の医療に貢献する意義

この治験は、約3年半にわたって継続しました。がんの進行は完全に抑えられており、画像上からもがんが見えなくなる状態が続きました。最終的には、主治医から「がんは画像上認められなくなりました。これ以上長く続けるのは、まだデータが少ない新しい薬だけにリスクがあるため、この辺りで治療を終わりにしましょう」と提案され、治験を終えることになりました。 治験を無事に終えた半年後、実は同じ場所にがんが局所再発してしまいました。しかし、救済療法として放射線治療を受けることができ、幸いにもそれが奏効して現在まで元気に過ごすことができています。治験終了後に再発は経験したものの、「新しい薬を受けられて本当に良かった」という思いに変わりはありません。もし今後、がんが再発して治療が必要になったとき、また新しい治験に参加できるチャンスがあるのなら、私は迷わず受けたいと思っています。 また、治験に参加したことで、私は「自分の治療の選択肢を広げられた」だけでなく、「次の世代の新しい薬を作るための役に立てた」ということに大きな意義を感じています。治験に対して「実験台にされるようだ」とネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃると思いますし、それは個人の考え方次第です。しかし、私たちが治験に参加してデータを提供することで、未来の患者さんがより良い治療を受けられるようになります。自分の経験が今後の医療の発展に少しでも貢献できたのであれば、本当に参加して良かったと心から思っています。

治験を検討されている方へのメッセージ

治験を検討されている方へお伝えしたいことがあります。 治療の選択肢のひとつとして考えてみてください 治験に対して不安を感じるお気持ちはよくわかりますが、私のように標準治療がなくなった状況において、治験は新たな希望です。最初から選択肢を狭めるのではなく、ご自身の状況に合わせて、治療の選択肢のひとつとして前向きに検討してみてはいかがでしょうか。 未来の医療に貢献できる意義があります 治験に参加することは、自分自身の治療のためであると同時に、後に続く患者さんたちのために新しい薬を世に送り出す手助けをすることでもあります。自分が受けた治療のデータが、次の世代の命を救うことにつながるという事実は、治療に向き合う上での大きな誇りとなります。 納得できる治療を自ら探す姿勢を大切にしてください 医師から提案される治療だけを待つのではなく、ご自身でも病気や最新の治療法について調べ、知識を持つことが大切です。私は自分で調べて治験を見つけ、夫の協力で参加に漕ぎ着けました。ご自身が納得できる治療を見つけるために、諦めずに情報収集を続け、主治医としっかり相談してください。

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