写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:T.Cさん(ニックネーム)
年代:60代
性別:女性
家族構成:1人暮らし
仕事:革小物の販売(店舗スタッフ)
がんの種類:乳がん(トリプルネガティブ)
診断時ステージ:ステージ2A
診断年:2024年
現在の居住地:関東地方
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。
2024年7月に、会社の健康診断を受け、再検査などを経て8月に乳がんと診断されたT.Cさん。革小物の販売員として店舗に立ちながら、術前化学療法や全摘出手術、そして術後化学療法を乗り越えてきました。副作用による体の変化を経験しながらも、趣味の登山を通じて体力作りに励み、仕事を続けることで精神的な安定を保ってきました。乳がん治療中の仕事や生活についてお話しいただきました。
定期健診で見つかった乳がんの可能性
私は、革小物を販売する店舗で接客の仕事をしています。毎年会社で健康診断を受けており、その中には乳がん検診も含まれていました。2024年7月、いつものように健康診断を受け、乳がん検診として超音波(エコー)検査を受けました。
健康診断を受けた翌日に、検査施設から直接私に電話がかかってきました。「エコー検査で気になる所見があったため、すぐに再検査を受けてください」という内容でした。これまでは引っかかったことがなかったため少し驚きましたが、まずは指示された通り、同じクリニックへ行き、今度はマンモグラフィ検査と再度エコー検査を受けました。その結果、クリニックの医師からも「ここではこれ以上詳しいことはわからないので、紹介状を書きますから大きな病院を受診してください」と告げられました。
アクセス重視で選んだがんセンター
クリニックからは、自宅から比較的近い総合病院などを紹介されました。しかし、車で行くには近くても、公共の交通機関を使うと少し不便な場所でした。私は「もしがんだった場合、手術をして何度も通院することになる」と最悪の事態を想定し、とにかく通いやすさを重視すべきだと考えました。そこで自分でインターネットで調べ、交通アクセスが良い場所にあるがんセンターを見つけ、紹介状を書いてもらい受診しました。
がんセンターでは、改めて視触診や画像検査などを行いました。その後、日を改めて生検を受けました。8月になり、すべての検査結果が出そろったところで、医師から乳がんと告知を受けました。サブタイプはトリプルネガティブで、ステージは2A、リンパ節への転移は見られないという診断でした。
私は乳がんのサブタイプなどについて全く無知であったため、医師からの説明は受けていたはずですが、専門的な話はあまり頭に入ってきませんでした。ただ、これから手術や抗がん剤治療が始まるのだということだけは理解しました。
働きながら乗り切った術前化学療法
告知を受けた後、すぐに会社の社長に病気のことを報告しました。治療方針としては、まず手術の前に半年間の術前化学療法を行い、がんを小さくしてから手術をするという計画になりました。
2024年11月から術前化学療法が始まりました。最初の3か月はキイトルーダとパクリタキセルとカルボプラチンを行い、次の3か月はキイトルーダとAC療法(ドキソルビシン、エンドキサン)を使用しました。
抗がん剤治療と聞くと、ひどい副作用で寝込んでしまうと脅かされることもありましたが、実際に投与を受けてみると、私の場合は2日ほど経っても体調が急激に悪化することはありませんでした。もちろん、手足のしびれやこわばり、痛みといった末梢神経障害はあり、現在も保湿などのケアを続けていますし、髪の毛もすぐに抜けました。しかし、「意外と大丈夫かもしれない」と感じるレベルでした。
そのため、抗がん剤治療中も仕事を休むことなく、決められたシフト通りに店舗に出勤して働き続けました。1人暮らしでお金がかかるという理由もありましたが、何より家に1人でじっと具合悪くしていると、うつ病になってしまいそうだと感じたからです。お店に出て接客をし、お客様と話をしていると気が紛れました。常連のお客様には、自分ががんで抗がん剤治療をしていることもオープンに話していました。見た目もウィッグをしていましたが、それほど大きな変化に見えなかったようで、驚かれることもありました。
また、がんになって初めて知ったのは、治療にかかる費用のことです。闘病には、治療費だけでなく、通院にかかる交通費や、治療によって仕事を休まざるを得なくなった場合の収入への影響など、さまざまなお金がかかることを実感しました。公的な制度を利用しても、自己負担がなくなるわけではありません。私はがん保険に加入していなかったことを後悔しました。
手術後1か月で職場に復帰
約半年間の術前化学療法を終えた後、2025年7月に乳房全摘手術を受けました。手術の方法については、最初から全摘手術と言われていました。途中で乳房再建ができるというお話も聞きましたが、私は再建する気持ちはありませんでした。自分の組織(自家組織)を使って再建すると、他の部位にも大きな傷ができ、回復までに相当な時間がかかると聞いたからです。仕事に復帰するにあたり、体への負担を少しでも減らしたかったため、痛い思いを繰り返す再建は見送り、全摘手術のみを選択しました。
入院中は、少しでも早く体力を回復させるために体を動かすことを意識しました。医師や看護師からも歩くように言われていたため、手術の3日目くらいからは、入院している自分のフロアの廊下をひたすら歩き回りました。行く場所がないため同じフロアをぐるぐると歩き回るような形でしたが、1日に8000歩ほど歩いていました。
退院後もしばらくは自宅で療養し、入院期間を含めて約1か月間仕事を休職しました。その間は、別のスタッフに代わってもらっていましたが、基本的には1人で回している店舗であったため、私が休むとシフトが厳しくなり、誰も店舗に立てなければ臨時休業になってしまいます。会社からも「体調が良いなら戻ってきてほしい」と連絡があり、術後の痛みはありましたが、約1か月後に職場へ復帰しました。
術後の再発予防治療を開始
術後の病理検査の結果、残存病変があり病理学的完全奏効ではなかったため、再発を防ぐための術後治療を受けることになりました。2025年10月から再びキイトルーダの投与を開始し、2026年4月からゼローダの服薬を開始しました。
治療の後半になって、他の患者さんがCVポートを使って楽に点滴を受けているのを知りました。私は最初から最後まで腕の静脈から点滴を入れていたため、毎回血管を探すのが大変でした。「最初からCVポートという選択肢を教えてくれていたら、血管への負担も少なく楽だったのに」と、情報を知らなかったことへの後悔がありました。
強烈な副作用により減薬を決断
再発予防として飲み始めたゼローダですが、この薬の副作用が私にとって一番過酷なものでした。
特に手足症候群の症状がひどく、手のひらの腫れと強い痛みに悩まされました。右手人差し指が使えないほどの痛みがあり、字を書くことや箸を持つこともつらい状態でした。ペットボトルのふたが開けられない、セロテープを素手で触れないなど、手を使う作業のほとんどに痛みを伴いました。
また、足の裏にも体重がかかる部分を中心に熱感や腫れ、痛みが生じました。歩くこともつらくなり、仕事中に座って休むことが増えました。これらに加えて末梢神経障害も重なり、ピリピリとした痛みや、カッターで切られたような鋭い痛みが走ることもありました。
これまで抗がん剤治療中も仕事を休まず、自分ががんであることを忘れるくらい動けていたのに、この薬を飲んで初めて「ああ、私は本当にがん患者になってしまったんだ」と痛感しました。
普通の生活ができないことが私にとって一番つらかったため、すぐに主治医に訴えました。「これでは生活ができなくて困る」と相談した結果、薬の量を効果が期待できるギリギリまで減薬してもらうことができました。減薬してからは、ようやく少しずつ元気を取り戻すことができました。こうした医師への相談は、すべて自分の生活を守るためのものでした。そのため、自分で情報を収集し自分の希望を伝えるようにしています。
現在は、キイトルーダの点滴治療は2026年4月に終了し、その後は治療内容を調整しながら、定期的に診察を受けています。
※がんの薬物療法に伴う副作用の出方や程度には、大きな個人差があります。また、現代の医療では副作用をあらかじめ予防したり、症状を抑えたりする対策(支持療法)が非常に進歩しています。体験談の描写に過度な不安を抱かず、主治医や医療スタッフに安心してご相談ください。
温泉旅行と登山による体力作り
全摘出手術を受けた後、傷跡を気にして温泉を避ける方も多いと聞きますが、私は術後それほど日が経たないうちから、友人と一緒に温泉旅行に行きました。都内の混雑しているスーパー銭湯などは少し違うかもしれませんが、普通の温泉宿であれば、周りの人も他人の胸をそこまで気にして見ていません。傷を過度に気にすることなく、温泉を楽しめました。
また、私は以前から趣味で登山をしており、夏には日本アルプスを縦走するような山登りをしていました。がんになってからは、体力を落とさないことが何より重要だと考えています。「体力がなければ何事もできない」という思いが根底にあり、治療中も自分を実験台にするような感覚で体を動かしていました。「抗がん剤を打った後、自分はどこまで歩けるだろうか」と、家の近くの公園をウォーキングしたりして自分の体力を確認していました。
現在も月に1回程度、3時間ほどの山登りを続けています。旅行に行きたい、山に行きたいという目標があるからこそ、全身運動で効率の良い山歩きをトレーニングとして継続しています。
治療終了を前にした現在の思い
現在服用しているゼローダも、あと1か月ほどで終了する予定です。その後は、3か月~6か月に1回の経過観察に入ります。
治療が終わることに対する不安や、再発・転移に対する恐怖がないわけではありません。病院で診察を受けるたびに、がん専門病院特有の忙しい雰囲気に飲まれて落ち込むこともあります。しかし、なってもいない先のことを今から考えても仕方がありません。「もし再発したら、そのときに先生と相談して考えよう」と割り切っています。 治療が終わっても、今の私の生活スタイルは何も変わりません。私は仕事を続け、お客様と話し、山登りや温泉を楽しむことで、これまでの自分らしい生活を大切にしてきました。これからも、体調と相談しながら、自分にとって大切な「普通の生活」を続けていきたいと思っています。
今、がんと向き合っている方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
体力を落とさず、できる範囲で体を動かしてください
私は、治療を乗り切り、その後の生活を続けていくためにも、体力を落とさないことが大切だと考えました。気分が落ち込んでいるときこそ、家の中に閉じこもらず、できる範囲でいいので体を動かしてみてください。全身を動かすことで気分が紛れ、病気に向き合うための前向きなエネルギーが生まれてきます。
治療中も「普通の生活」を大切にしてください
がんになったからといって、すべてを諦める必要はありません。私は仕事を続け、お客様と話し、趣味の山登りや温泉に行くことで、これまでの自分らしい生活を続けたいと思っています。ご自身の体調と相談しながら、これまで通りの普通の生活を続けることが、心の支えになることもあると思います。
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