写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:AYさん(ニックネーム)
年代:80代以上
性別:男性
家族構成:妻と2人暮らし
仕事:無職
がんの種類:小細胞肺がん
診断時ステージ:ステージ4A
診断年:2024年
現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。
2023年末から続く長引く咳と、年明けの血痰をきっかけに近所のクリニックを受診したAYさんは、紹介先の大学病院で小細胞肺がんのステージ4Aと診断されました。自らインターネットで病気について調べ、当初は「余命1年」という現実を冷静に受け止めて身辺整理を始めましたが、薬物療法を続けています。月に数日の副作用を乗り越え、残りのおよそ20日間は料理や大好きなドライブなど、病気になる前と変わらない生活を楽しんでいるというAYさんに、病気の発覚から現在の治療、そして独自の死生観についてお話しいただきました。
治らない咳と血痰をきっかけに近所のクリニックを受診
2023年の暮れごろ、風邪のような症状が現れました。最初は「ただの風邪だろうから普通にしていれば治るだろう」と軽く考えていたのですが、咳がなかなか治まりませんでした。そして年を越したころ、ついに血が混じった痰(血痰)が出るようになりました。
「これはただの風邪ではないかもしれない」と思い、すぐに近所のクリニックを受診しました。私は毎年6月ごろに自治体の健康診断を受けており、2023年の6月に受けた健診の胸部レントゲン検査では何も異常は指摘されていませんでした。しかし、あらためてクリニックで胸部のレントゲンを撮ってもらったところ、肺に約3cmの影があることがわかりました。
クリニックの医師からは「ここでは詳しいことはわからないので、すぐに精密検査を受けてください」と言われ、以前から知っていた大学病院への紹介状を書いてもらうことになりました。
私は20世紀の終わりごろまで、仕事中は1日に100本以上吸うほどのヘビースモーカーでした。今世紀に入ってから一切タバコは吸っていませんでしたが、「もう禁煙して20年以上経つから大丈夫だろう」と完全に油断していました。最初のクリニックも私の長年の喫煙歴を知っていたので、もう少し早く検査などを勧めてくれていればと思うこともありますが、過去の自分の行動の結果ですから、「いつかこういうことになるかもしれない」という覚悟は心のどこかにありました。
大学病院での精密検査と小細胞肺がんステージ4Aの確定診断
紹介された大学病院へ行き、詳しい検査を受けました。最初にCT検査を行い、その後、生検を行いました。さらに、脳への転移を調べるためにMRI検査も受けました。検査の結果、2024年の春ごろに小細胞肺がんであると確定診断を受けました。さらにMRI検査で脳にも転移していることがわかり、ステージは4Aと告げられました。
私は長年コンピュータ関連の仕事をしてきたため、ITリテラシーには自信がありました。医師から病名を聞いた後、どのウェブサイトの情報が信頼できるか、詳細に書かれているかを見極めながら、インターネットで小細胞肺がんについて徹底的に調べました。
すると、この病気の5年生存率の低さや、進行の早さなどがわかってきました。「ああ、おそらくあと1年くらいで死ぬのだろうな」と理解しましたが、「あ、そうなの」という程度の感覚で、ひどく取り乱すことはなく現状を確認したような気持ちでした。
余命が1年程度だとしたら、そろそろ準備をしなければならないと考え、私は断捨離に励みました。実は、今の妻とは6年ほど前に再婚したのですが、妻は別にお墓を持っています。私の家系は私の代で途絶えてしまうため、お墓というもの自体に執着はありませんでした。「お墓に入れてもらえなくてもいいから、自分の体は献体として登録して、病院で処置してもらおう」と本気で考えました。
主治医の心無い態度への割り切り
治療方針について、主治医からは免疫チェックポイント阻害薬であるイミフィンジと抗がん剤(カルボプラチンとエトポシド)を併用する治療を提案されました。この治療法は自分で調べて知っていましたが、もう長くないだろうと断捨離をしていた時期だったので、特別な期待感などは持っていませんでした。最初は入院して投与を受け、その後は1か月ごとに通院して点滴治療を受けました。
しかし、この治療を続けている最中に、主治医との関係で非常にショックな出来事がありました。私の主治医は、いかつい体格をしている割に少しシャイなのか、あるいはただ無愛想なのか、口数が少なく詳しい説明もありませんでした。私は「そういう先生なんだろう、仕方がない」と割り切って付き合っていました。
イミフィンジと抗がん剤の併用療法を4クール、その後イミフィンジ単剤を2クール終えたころ、検査の結果で甲状腺に障害が出ていることがわかりました。副作用が出たため、イミフィンジはもう使えないということになったのです。そのとき、主治医は、私が病院から治療の際に渡されていたレポート用紙(経過などを書く用紙)を、私の目の前でゴミ箱にバサッと捨てたのです。「お前、なんてひどいことをするんだ」と絶望に近い感情を抱きました。私にとっても、イミフィンジはゲームチェンジャーと呼ばれるほどの良い薬だと思っていたので、それが使えなくなること自体がショックだったのに、その上であの態度をとられたことは本当に悲しかったです。
それでも、自分で情報は調べられますし、どの病院に行っても結局は同じような薬を出されるだけだろうと考え、あえて病院や主治医を変えることはせず、今も同じ先生に診てもらっています。
二次治療薬カルセドへの変更と副作用のコントロール
イミフィンジが使えなくなった後、主治医からは「カルセドとエトポシド、2つの治療選択があるけど、どっちにしますか」と、次の治療の選択肢を提示されました。私は専門家ではないので「先生、どっちがいいの?」と聞き返すと、「カルセドを選ぶ人が多いです」と言われたため、その通りにカルセドによる治療へ移行しました。
カルセドの治療は月に1回、3日間連続で投与を受けます。イミフィンジのときは自覚する副作用はありませんでしたが、カルセドになってからは投与後から副作用が出るようになりました。
3日間の投与のうち、2日目の投与をしたあたりから便秘の症状が現れます。便秘になると、それに伴って食欲不振になります。吐くことはないのですが、吐き気のような気持ち悪さがあり、食事が喉を通らなくなります。しかし、この副作用が続くのは投与後の数日間だけです。2、3日もすれば食欲は元に戻ります。「気持ち悪い注射のために3日間だけ病院に通い、その後の数日間の副作用を我慢すれば、あとの期間は楽しく過ごせる」と割り切って、治療に向き合っています。
また、脳転移に対する放射線治療も並行して行っています。診断の当初から脳転移はわかっており、かなり経ってから1回目の放射線治療を受けました。最近になってまた新たに3回ほど放射線治療を受けました。その結果については、まだ次の診察で聞くことになっています。
がんの縮小と月に20日間の「普段通り」の生活
治療の効果はしっかりと出ています。確定診断のときにレントゲンで見えていた約3cmの肺の原発巣は、現在ではほとんど見えないような状態まで縮小しました。カルセドの投与と副作用の数日間を乗り越えれば、月に20日間くらいは、病気になる前と変わらない、80~90%くらいのパフォーマンスで日常生活を送ることができています。
私は料理が好きで、自分で朝食を作ったり、作った料理をFacebookに投稿して楽しんだりしています。食事が美味しく食べられ、お酒も飲んでいます。また、大のドライブ好きで、よく山の中を走りに行っていました。つい先日も大雨の日に峠を一人で走りに行き、車を廃車にしてしまいました。今は車がなくて困っており、山の中を走りたいという欲望が最大に膨れ上がっているところです。
ジタバタせずに今を楽しむ、病気を経て至った死生観
がんと診断され、余命を意識したことで、新しく何か大きなことを始めようという気にはならなくなりました。元々の性格もありますが、物欲も抑えるようになりました。
いずれ死が訪れることは当然のこととして、自覚しています。しかし、そのことに対してジタバタする理由が私にはありません。いつか来るものを過度に恐れるのではなく、その現実を受け入れた上で、残りの人生をいかに楽しむかに焦点を当てています。
「1年で死ぬかもしれない」と覚悟して献体まで考えた時期もありましたが、思いのほか薬が効き、こうして生きる時間が延びました。だからこそ、先のことを悲観してふさぎ込むのではなく、目の前にある楽しみをしっかりと味わうことが大切だと思っています。
月に数回のつらい治療もありますが、それは「残りの時間を楽しむための必要経費」のようなものです。病気になったからといって人生のすべてが暗くなるわけではありません。これからも、自分らしく、充実した日々を重ねていきたいと考えています。
今、がんと向き合っている方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
がんという病気の「時間」を有効に使ってください
突然命を落とす病気とは違い、がんは自分に残された時間と向き合い、準備ができる病気だとよく言われます。私自身もそう感じています。ただ悲観して過ごすのではなく、与えられた時間を自分にとって意味のあるものにするために、有効に使っていただきたいと思います。
悲観せず、やりたいことをやり尽くしてください
病気になると悲観することはたくさんあるでしょう。しかし、行きたいところがあるなら行き、やりたいことがあるなら、たとえお金を使ってでも、借金をしてでもやり尽くした方がいいと私は思います。我慢せずに自分の気持ちに素直に行動した方が、きっと充実した日々が過ごせると思います。
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