写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:あきさん(ニックネーム)
年代:50代
性別:女性
家族構成:夫と2人暮らし(子ども3人は独立)
仕事:無職(診断時は保育士)
がんの種類:悪性リンパ腫(原発性マクログロブリン血症)
診断時ステージ:不明
診断年:2024年
現在の居住地:滋賀県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。
2024年6月、あきさんは指定難病の動脈炎が原因と疑われる心臓の不調で緊急入院し、その治療過程で悪性リンパ腫の一種である原発性マクログロブリン血症が見つかりました。その後の闘病中には、心肺停止や大量出血など度重なる危機に陥りましたが、医療スタッフの尽力と自身の基礎体力によって乗り切ることができました。現在は分子標的薬の服用で病状をコントロールしています。突然の病によって健康な体や保育士としての仕事を失っても、自身の体と向き合い、他者の痛みに寄り添う心を得るまでの経緯についてお話しいただきました。
息切れをきっかけとした受診と、突然の心臓バイパス手術
私は50代になるまで非常に健康体で、同世代の人よりも体力や筋力には自信がありました。年齢を重ねてから保育士の資格を取り、10年ほど保育の仕事をしていました。しかし、2023年ごろから徐々に体力が落ち始め、少し動いただけで息切れや息苦しさを感じるようになりました。最初は年齢のせいだと思っていましたが、仕事で子どもたちと山に登る行事が控えており、「これだけ息切れをしていたら子どもの安全を守れない」と不安に思い、念のために循環器内科のクリニックを受診しました。
クリニックで血液検査などを数回受けたところ、すぐに詳しい検査が必要だと言われ、地元の大学病院を紹介されました。2024年6月に大学病院を受診して検査入院をしたのですが、その最中に急激に体調が悪化し、意識を保てなくなってしまいました。心臓の冠動脈が限界を迎えており、本来であれば薬で状態を安定させてから手術を行う予定でしたが、それが間に合わないほど切迫した状態でした。私は鎮静剤で眠らされ、その間に緊急の心臓バイパス手術を受けました。このときの心臓の不調は、指定難病である高安動脈炎の影響だと考えられていました。
入院中に告げられた悪性リンパ腫の診断
緊急の心臓バイパス手術を無事に終え、体調が少しずつ回復してきた6月半ばのことです。医師から「一度、血液内科の先生の話を聞きに行ってください」と言われました。実は、心臓の手術の際に行われた検査でIgMという血液の数値が異常に高いことがわかっており、組織の生検も行われていたようです。
血液内科を受診すると、医師から「悪性リンパ腫の一種で原発性マクログロブリン血症です」と診断されました。ただ、そのときは原発性マクログロブリン血症による明確な症状が出ておらず、この病気はゆっくりと進行する低悪性度のタイプであるため、積極的な治療は行わずに定期的な通院で経過観察をすることになりました。7月末には心臓の状態も落ち着き、私は無事に退院して自宅へ戻ることができました。
秋口の体調悪化と心臓にできた大きなリンパ腫
退院後は順調に回復し、来年(2025年)の春には少しでも保育の仕事に復帰したいと考えながら過ごしていました。しかし、10月の半ばごろから再び体調がおかしくなりました。膝が腫れて歩けないほど痛くなり、股関節などさまざまな骨にも痛みが出始めました。それと同時に、再び強い息苦しさを感じるようになりました。
整形外科などを受診しながら様子を見ていましたが、循環器内科の定期診察の際に「こんな症状があります」と医師に伝えたところ、MRIとCT検査を予約して検査を受けることになりました。
後日検査を終えたあと、しんどくなり車の運転が不安になったため、腫瘍内科で少し休ませてほしいとお願いしました。
すぐに、主治医に見ていただきました。ちょうどMRI検査の結果が出ており、心臓バイパス手術をした冠動脈がまた狭窄していることと、心臓に大きな腫瘍ができていることがわかり緊急入院となりました。
心肺停止の危機を乗り越え分子標的薬による治療へ
このままでは心臓の血管がもたないため、まずは血流を確保するステント治療が行われました。その後、原発性マクログロブリン血症の治療方針を決めるために腫瘍の組織を採取する生検が行われました。しかし、私の体は限界に達しており、生検の最中に血圧が急低下して心肺停止の状態に陥ってしまいました。なんとか蘇生して日を改めて再度生検に挑んだ際も、今度は大量出血を起こし、非常に危険な状態が続きました。私は鎮静剤で眠らされていたため当時の記憶はありませんが、後から診療明細書を見て「心肺停止」と書かれているのに気づき、夫に聞いて初めて自分がどれほど危ない状態だったのかを知りました。夫や息子たちは、心労で私以上に痩せ細っていました。
病理検査の結果、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫への形質転化の可能性もあり、抗がん剤であるR-CHOP療法を試すことになりましたが、効果は見られませんでした。そこで、2025年1月にBTK阻害薬ベレキシブルの服用を開始しました。すると、この薬が私の体に合い、目に見えて効果が現れました。体調も安定してきたため、薬の服用を始めてから10日ほどで退院し、以降は自宅で服薬を続けながら経過観察を行っています。
情報不足による孤独感と同じ患者とつながりたい思い
原発性マクログロブリン血症という病気は、悪性リンパ腫の中でも非常にまれなタイプです。体調が落ち着いてからインターネットで情報を調べたり、がんの啓発団体から冊子を取り寄せたりしましたが、参考になる情報が多くありませんでした。病気の症状や経過が人によってまったく違うため、自分が今後どうなっていくのか予測がつかず、深い不安を覚えました。
私はSNSなどで自ら発信するタイプではないため、同じ病気の人とつながる機会もありませんでした。情報がないことによる孤独感は大きく、ネガティブな気持ちになることも多々ありました。だからこそ、同じように共感し合える患者さんとつながり、お互いに支え合いたいという思いを持っています。そして、私の体験が少しでも誰かの参考になればと考えています。
失った健康と病気を経て得た他者への優しさ
病気がわかる前までは体力に自信がありましたが、病気になってからはできないことだらけになりました。骨が弱くなっているため、部屋の壁紙の掃除や天井のペンキの塗り直しをしようとしただけで肋骨を骨折してしまいました。2度目の入院中には腫瘍が神経を圧迫し、一時的に足が麻痺して歩けなくなったこともあります。今は回復しましたが、バランスが取りにくく椅子から落ちてしまうなど、日常の些細なことでアクシデントが起きます。生ものなどの食事制限もあり、自由な行動が制限されることに戸惑いを感じています。
※食事制限に関しては、患者さんごとの病態により異なりますので、主治医に相談してください
しかし、病気になったことで得た心の変化もあります。かつての私は強気な性格でしたが、自分が弱い立場になり、体が動かなくなり、周囲の人に助けられる経験をしたことで、心が折れてしまった人の気持ちが痛いほどわかるようになりました。他者に対して優しくなり、状況を受け入れる幅が広がりました。「あのとき、子どもはこんな気持ちだったはずなのに、どうして寄り添ってあげられなかったのだろう」と、過去の自分の接し方を反省することもありました。病気を通じて、人間としての深みを得られたように感じています。
今後の目標と生きるための体力づくりの大切さ
子どもたちはそれぞれ進学や就職で独立し、現在は夫と2人暮らしです。家に1人でいる時間が長くなると、天候や気圧の変化で体調が優れない日には、気分まで落ち込んで悪い方向へ考えてしまいます。このまま家に閉じこもっていてはいけないと思い、少しずつ社会復帰を目指すことにしました。体力も落ちて感染症にもかかりやすいため、以前のようにフルタイムで保育士として働くことは難しいですが、夕方の時間帯や先生たちの裏方の手伝いなど、短い時間でも社会とつながりを持ちたいと考えています。そのため、2025年3月に一度職場を退職しましたが、改めて自分にできる働き方を探しています。
医師からは「度重なる命の危機から戻ってこられたのは、あなたに基本的な体力があったからです」と言われました。私の病気はいつまた急変するかわかりません。いざというときに治療に耐えられるよう、今はクリニックでリハビリを始めました。医師の許可が出ればスポーツクラブにも通って筋力と体力をつけていくつもりです。
今、がんと向き合っている方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
孤独を抱え込まず、同じ境遇の人とつながってください
まれながんであるほど情報が少なく、将来への不安や孤独感に押しつぶされそうになることがあります。一人で抱え込まず、患者会やSNSを通じて同じ境遇の人とつながり、共感し合える場所を見つけてください。誰かと気持ちを分かち合うことで、沈んだ心は救われます。
治療を乗り切るための体力づくりを心がけてください
病気と闘うためには、想像以上に基礎体力が必要です。私自身、日ごろからつけていた体力のおかげで命の危機を乗り越えることができました。治療中はふさぎ込んで家に引きこもりがちになりますが、気力があるときは家の中でできるストレッチやヨガなど、少しでも体を動かして食事をしっかりとり、体力を維持することを心がけてください。
医療の進歩を信じて、前向きに毎日を過ごしてください
入院中、同室の先輩患者さんから「医療はどんどん進歩しているから、今の薬が合わなくても必ず次の薬が見つかるはず。だから頑張りなさい」と励まされました。実際に私も、別の薬に変えたことで状態が安定しました。先のことは誰にもわかりませんが、医療の力を信じ、なるべく楽しく前向きに毎日を過ごすよう自分に言い聞かせてみてください。
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