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乳がんを経て生まれ変わった第二の人生、やりたい仕事を楽しみ、ピアサポート活動で仲間をサポート

[公開日] 2026.07.27[最終更新日] 2026.07.27

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:じゅんこさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:女性 家族構成:夫と子ども2人との4人暮らし 仕事:バルーンアートのパフォーマー がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ0 診断年:2021年 現在の居住地:奈良県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2021年4月、じゅんこさんは乳頭分泌物をきっかけに病院を受診し、左胸のステージ0の乳がんと診断されました。初期の検査では異常が見つからなかったものの、インターネットの情報から不安を抱き、精密検査を要望したことが早期発見につながりました。その後、左乳房の温存手術と放射線治療を行い、現在は経過観察を続けています。病気を機に「一度きりの人生を後悔なく生きる」と決意したじゅんこさんは、パート勤務を辞めてバルーンアートの活動に専念するとともに、ピアサポーターの資格を取得して患者の支援活動に力を注いでいます。自らの意思で病気に向き合い、人生を見つめ直した経緯についてお話しいただきました。

下着への分泌物をきっかけとした専門医の受診

乳がんになる前の私は、長年続けているバルーンアートのパフォーマーとしての活動と、パートタイムの事務職を兼務して忙しい日々を送っていました。2021年4月のある日、身に着けていた下着に血のようなものが付着していることに気がつきました。どこから出血しているのかを確認したところ、乳頭からの分泌物であることがわかりました。 驚いてすぐにインターネットで症状を調べたところ、「乳がんの初期症状の可能性がある」という情報を見つけました。胸にしこりなどのわかりやすい変化はまったくありませんでしたが、不安を覚えた私は、すぐに乳腺外科クリニックを受診することに決めました。

納得いくまで要望した検査で見つかったステージ0の乳がん

受診したクリニックでは、超音波(エコー)検査とマンモグラフィ検査を行いましたが、画像上では特に異常な影は見つかりませんでした。分泌物の検査でも明確な結果が出ず、医師からは「検査では異常は見つかりませんでしたが、乳がんではないと言い切ることはできません。心配であれば詳しい検査ができる大きな病院を紹介します」と説明を受けました。提示された候補のなかに、受診したことのある総合病院が含まれていたため、そこに紹介状を書いてもらいました。 紹介先の総合病院では、エコー、マンモグラフィ、血液検査、MRI検査などを行いました。しかしそこでもすぐには確証が得られず、医師からは「乳腺症などの可能性もあるのではないか」と言われました。それでも私は、最初にインターネットで見た初期症状の情報がどうしても気になり、「はっきり違うという結果が出るまで、徹底的に調べてほしい」と強く要望しました。 医師は私の希望を受け入れ、大体の見当をつけた左乳房の上部に針生検を行いました。この検査によって初めてがん細胞が見つかり、非浸潤がんであるステージ0の乳がんだということが確定しました。結果を聞いた際、医師からは「画像にも映らない段階で、よく自分で気づいてここまで調べたね」と、感心したような調子で言われました。

左乳房の温存手術と術後の腕の可動域への影響

医師から提示された選択肢は全摘手術か乳房温存手術でした。がんの広がりは小さかったため、私は胸を残す乳房温存手術を選択しました。手術に際して「できるだけ術後の胸の形が変わらないように組織を取ってほしい」という要望を伝え、医師が尽力してくれたおかげで、左乳房の約4分の1を切除したものの、胸の変化も自分ではほとんど気にならない程度に収まりました。センチネルリンパ節生検も陰性であり、入院期間はわずか3日間でした。 退院直後は左胸周辺に強い痛みがあり、仰向けで寝ることができず、常に横を向いて体をかばいながら眠る日々が続きました。また、手術の影響によって左腕を上や後ろへ動かしづらくなりました。退院後に乳がん患者を対象としたオンラインヨガを受講して無理のない範囲で体を動かし始めた結果、徐々に腕の筋肉がほぐれ、以前のように腕を上げられるまでに回復しました。 しかし、バルーンアートのパフォーマンスにある「手を背中の後ろに回して風船を操る動き」には、依然として多少のやりにくさが残っています。

コロナ禍において回数を調整した放射線治療

手術のあと、目に見えないレベルで潜んでいるかもしれない微小ながん細胞を死滅させるための放射線治療を受けるよう指示されました。手術前の段階では明確に説明されていなかったため私は驚きましたが、医師から「乳房温存手術と放射線治療はセットです」と告げられ、治療を受け入れました。 当時は新型コロナウイルスの流行期であったため、病院側から通院回数を減らす提案がありました。1回あたりの線量を高めに設定することで、通常25回ほどの通院を20回に短縮するコースを選択しました。平日の午前中はパートの仕事をこなし、午後から総合病院へ行って治療を受けるというスケジュールで、休まず通い続けました。指導された保湿ケアを徹底して行ったため、軽度のかゆみと皮がむけるくらいで収まり、重度な副作用もありませんでした。

術後5年目の定期検査で生じた再発の疑いと針生検

放射線治療後は経過観察に入り、術後3年目以降は年に1回の頻度で検査を続けてきました。しかし、2026年、5年目の定期検査の際、エコー検査の時間が長く、医師から「左胸の手術をした部位の周辺など、合わせて3か所にモヤモヤとした影が映っています」と告げられました。 再発の可能性を確認するため、影がある3か所に再び針生検を行うことになりました。結果が出るまでの数週間は「今度こそ全摘出になるのだろうか」「抗がん剤治療が始まってしまうのだろうか」と、これまでにないほどの強い不安に襲われました。結果として、採取した組織からはがん細胞は検出されず、腫瘍マーカーも正常でした。医師は不思議そうに「最近、どこかに胸を強くぶつけたりしませんでしたか」と聞いてきましたが、私には記憶がありませんでした。何が原因の影だったのかは特定できませんでしたが、再発ではないとわかり心から安堵しました。

ドライな担当医への向き合い方と一番の支えとなった看護師

私の担当医は、乳腺外科の部長を務める先生です。腕は確かだという評判でしたが、非常にドライなタイプの医師でした。診察の際も「異常なし」と一言告げるだけで終わることが多く、細かな体調の変化や将来への不安を相談しづらい雰囲気がありました。そのため、もし今後本当に再発という事態になった場合には、セカンドオピニオンも考えています。 その一方で、外来の看護師の方々は私の気持ちに寄り添い、親身になって話を聴いてくれました。「家に帰ってからどのような不安があるか」といった細かな悩みに対しても一緒に考えてくれ、必要があれば他の専門スタッフへ相談をつないでくれるなど、医療従事者のなかで一番頼りになる存在だと実感しました。

ピアサポーター資格の取得と患者会での活動

がんを経験したあと、私は知人の紹介で乳がんの患者会に参加するようになりました。オンラインなどを活用して遠方の人ともつながり、勉強会に参加するうちに、正しい知識が身につき病気への理解も深まっていきました。 活動を続けるなかで、自分と同じように不安を抱えている患者さんたちの力になりたいと考え、専門の研修プログラムを受けて「ピアサポーター」の資格を取得しました。現在では「がんサロン」にサポーターとして参加し、当事者同士が安心して本音を語り合えるようサポートしています。他人の相談に乗ることは、自分自身のスキルアップや知識の獲得にもつながる意義のある活動だと感じています。

一度きりの人生を見つめ直した仕事への専念

がんという病気を突きつけられたことで、それまで遠い先のことだと思っていた「命の期限」を身近に意識するようになりました。自分が死ぬかもしれないという不安を経験したからこそ、それ以降の何気ない生活が驚くほど新鮮で生き生きとしたものに感じられるようになりました。私はがんを告知された日を人生がリセットされた「0歳」だと捉え、現在は5歳の子どものような新鮮な感謝の気持ちを持って毎日を送っています。 この心の変化は、仕事のあり方にも影響を与えました。「一度きりの人生、本当に自分がやりたいことだけに命の時間を使いたい」と強く思い、パートの仕事を辞めて、17年間続けてきたバルーンアートのパフォーマーとしての活動1本に絞る決断をしました。自分で決めた道に専念している現在、後悔のない非常に充実した日々を過ごしています。

がん保険未加入の経験と病気を経て広がった視野

私は女性特有の病気に備える保険には加入していましたが、がん保険には未加入でした。高額な抗がん剤治療は行わずに済みましたが、計20回に及ぶ放射線治療は、私が加入していた保険では支払いの対象外でした。治療が一段落したあと、私はがんになっても一定期間が経過すれば加入できる保険を自分で調べ、将来の万が一に備えて見直しを行いました。 また、服装に関しても変化が生じました。術後の傷跡が気になり、体のラインにフィットする服は着なくなり、ダボっとした服やオーバーオールのような衣服を選ぶようになりました。一方で、温泉に行くことに対しては周囲の目をあまり気にしていませんが、最近の温泉施設には手術の傷跡をカバーするための「入浴着」が用意されていることなど、社会的な整備が進んでいることに初めて気がつきました。病気を経て視野が広がったことのひとつだと感じています。 一度は命の終わりを意識したからこそ、私は残された時間を誰よりも能動的に楽しんで生きたいと思っています。バルーンアートを通じて人々に笑顔を届け、ピアサポーターとして仲間に寄り添いながら、生まれ変わった第二の人生を大切に歩んでいきます。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 自分の体に少しでも変化があれば、納得がいくまで検査を受けてください がんを早期に発見するためには、自分自身の感覚を信じることが大切です。一般的な検査で「異常なし」と言われたとしても、どうしても気になる症状や違和感がある場合は、医師に希望を伝えて、自分が納得できる結果が出るまで精密検査を求めてください。自ら能動的に動いて情報を集め、徹底的に調べることが、自らの命を守るための第一歩になります。 健康なときから万が一に備えて、保険の見直しを行ってください 治療が始まった際に、経済的な不安は精神的な負担をさらに大きくします。健康なうちから、自分が加入している保険の特約内容を正確に把握しておくことが重要です。仮にがんを経験したあとであっても、加入できるプランや備えの方法はありますので、金銭的な計画を後回しにせず、安心できる環境を整えてください。 一度きりの人生だからこそ、今ある日々を大切に楽しんでください がんという病気は私たちに命の有限さを教えてくれます。しかしそれは悲観するためだけではなく、今ある時間の貴重さを知り、やりたいことに一歩を踏み出すための強い原動力にもなります。ご自身が心から楽しいと思える活動ややりたいことを先延ばしにせず、毎日の生活を生き生きと過ごしてほしいと思います。

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