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前立腺がん、手術・放射線・小線源の3つの治療から生活への影響を比較し納得して決めた選択

[公開日] 2026.07.16[最終更新日] 2026.07.10

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ノリックさん(ニックネーム) 年代:70代 性別:男性 家族構成:別荘で1人暮らし(妻は自宅で1人暮らし、娘は独立) 仕事:会社役員 がんの種類:前立腺がん、腎細胞がん 診断時ステージ:不明(前立腺がん)、ステージ1(腎細胞がん) 診断年:2025年 現在の居住地:静岡県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2025年2月、ノリックさんは健康診断でPSA値の異常を指摘されたことをきっかけに、前立腺がんと腎細胞がんという2つのがんを同時に告知されました。いずれも早期発見であったため、腎細胞がんはロボット支援下手術で部分切除を行い、前立腺がんは小線源治療を選択しました。早期発見であったため過度な不安を抱くことなく治療に向き合えた一方で、ホルモン療法によるホットフラッシュや、治療後の排尿障害に悩まされています。複数の選択肢の中から納得のいく治療法を選び取った経緯と、病気を経て少しずつ変化した健康への意識についてお話しいただきました。

前立腺がん発見のきっかけは健康診断で指摘されたPSA値の異常

私は現在、会社の会長という役職に就いていますが、実務は社長や若手に任せており、普段は株主総会や問題があったときのミーティングに参加する程度の生活を送っています。自宅は東京にありますが、現在は事情があって別荘で1人暮らしをしており、病院を受診する際などに東京へ戻るという生活です。 2つのがんが見つかったのは、そんな生活を送っていた2025年2月のことでした。東京で毎年受けている健康診断を受けた際、私はオプションで腫瘍マーカーの検査を追加しており、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの数値が4.04ng/mLでした。基準値は4.0 ng/mL以下とされているためわずかに高い数値であり、念のために泌尿器科を受診した方がよいと勧められました。 私は以前から東京のかかりつけの循環器内科に通院していたため、そちらの医師にも相談した上で、紹介された泌尿器科のクリニックを受診しました。クリニックで改めて血液検査を行うと、PSAの数値は2.75 ng/mLと基準値内に収まっていました。しかし、念のためにMRI検査を行ったところ、前立腺に異常な影のようなものが見つかりました。そのため、より精度の高い検査ができる大学病院を紹介されることになりました。

大学病院で受けた検査で2つのがんを発見

クリニックの医師から紹介された大学病院は、前立腺の精密検査において非常に優れた手法を取り入れているということでした。一般的な針生検のように前立腺全体にまんべんなく針を刺すのではなく、事前に見つかった異常な影を画像で確認しながら、その場所をピンポイントで狙って組織を採取します。最も疑わしい部分の細胞をピンポイントで的確に採取できるため、従来の方法では見落とされがちな前立腺のどの位置にどのくらいの腫瘍があるのか、そして腫瘍の「本当の顔つき(悪性度)」までを、より正確に見極められるという説明を受けました。私はその検査方法の正確性に信頼を置き、他の病院でのセカンドオピニオンなどは求めず、その大学病院で検査と治療を受けることに決めました。 大学病院で精密検査を受けた結果、2025年5月に前立腺がんであることが確定しました。ステージに関しての告知はなく、悪性度を示すグリソンスコアは7という診断でした。さらに、他の臓器への転移がないかを調べる全身の画像検査を行いました。その結果、右側の腎臓にも腫瘍があることが判明しました。医師からは、前立腺がんからの転移ではなく、個別に発生した原発性の腎細胞がんであると説明を受けました。腎細胞がんはステージ1という早期の段階でした。こうして、私は前立腺がんと腎細胞がんという2つのがんを同時に抱えていることがわかりました。

早期発見という事実による安心感

2つのがんが同時に見つかりましたが、告知を受けた瞬間にショックを受けたり、ひどく落ち込んだりすることはありませんでした。なぜなら、どちらのがんも早期発見であり、医師からは適切な治療を行えば問題ないとはっきりと説明を受けていたからです。告知を受けた後も、私はすぐに友人と飲みに行き、「がんが2つも見つかちゃったよ」と報告したほどでした。 家族や会社の人間にも病気のことはすべて伝えました。第三者から見れば「がんが2つもあるなんて、深刻な状況ではないか」と受け止められかねない状況です。そのため、周囲に伝える際には「早期だから手術をすれば終わり」「まったく心配ない」という事実を強調して説明しました。周囲に過度な心配をかけることもなく、私自身も誰かに言えずに悩むようなことは一切ありませんでした。

優先して行った腎細胞がんの部分切除

2つのがんの治療を進めるにあたり、まずは腎細胞がんの治療が優先されることになりました。進行の度合いや、早期であるため切除してしまえばその後の治療が必要ないという理由からです。 2025年9月、大学病院で手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた手術を受けました。右側の腎臓をすべて摘出するのではなく、腫瘍がある一部分だけを切除する部分切除で済みました。腎細胞がんの手術後は抗がん剤などの追加治療は一切なく、定期的な診察で状況を確認する程度で済んでいます。

生活環境と副作用のリスクを比較検討した小線源治療の選択

腎細胞がんの手術を終え、次に前立腺がんの治療方針を決めることになりました。大学病院の医師から提示された治療の選択肢は、外科的に前立腺を全摘出する手術、外部から放射線を当てる治療、そして前立腺に放射性物質を埋め込む小線源治療の3つでした。私はそれぞれの治療法における生活への影響や副作用のリスクを比較検討しました。 まず、全摘出手術は尿漏れや性機能障害(ED)のリスクがありました。尿漏れが起きた場合、おむつをして生活しなければならない可能性があり、それは避けたいと考えました。次に、外部からの放射線治療は、平日に毎日、約2か月間通院する必要がありました。私は別荘で生活しているため、治療のために2か月間東京に滞在し続けることは現実的ではなく、この選択肢も諦めました。 小線源治療は、尿漏れのリスクは低いものの、副作用として排尿障害が起こる可能性があると説明を受けました。さまざまな情報を自分で調べた結果、どの治療法を選んでも根治率は同等であると判断し、私は小線源治療を選択しました。 小線源治療を行うことが決まり、実際の処置を受ける2026年5月までの約6か月間、ホルモン療法を受けました。この期間は、副作用であるホットフラッシュが非常にきつく、普通に睡眠をとることができないほどで、大変苦労しました。また、このホルモン療法によって、前立腺がんは小さくなったようです。

小線源治療による放射性物質の取り扱いに関する注意事項

2026年5月、小線源を埋め込む処置を受けました。手術前の説明では、排尿障害などの合併症についての説明よりも、体内に放射性物質を埋め込むことによる日常生活での注意事項に重点が置かれていました。泌尿器科と放射線科の2人の医師から詳細な説明を受けました。 主な注意点は2つありました。ひとつは、体内に埋め込んだ放射性物質が移動し、尿と一緒に体外へ排出される可能性があることでした。もし尿と一緒に出た場合は、拾い上げて専用の容器に保管するように指示されました。もうひとつは、子どもとの接触についてです。微量ではあるものの放射線が出続けるため、生殖器が発達段階にある幼児や赤ちゃんには過度に近づかないよう注意を受けました。それ以外の制限はないと言われました。この状態が約1年間続くということでした。

退院後に直面した排尿障害の現実

2026年5月半ばに退院しました。退院直後は尿と一緒に小線源のチップが出てこないかを確認することに気を取られていましたが、退院から約1か月が経過したころから、排尿に関する問題が顕著に現れ始めました。 排尿障害のつらさは、想像以上のものでした。単におしっこが出にくいというだけでなく、尿意があって膀胱に尿が溜まっている感覚があるにもかかわらず、全く出ないのです。全く出ない日もあれば、ポタポタと少しずつしか出ない日もあり、日によって状態が極端に変わります。昼間も15分おきに尿意を感じて、常にトイレに行かなければならない状態が続いていました。 自己導尿(自分でカテーテルを入れて尿を排出する方法)などの対処法もあるようですが、私はできればそれに頼りたくないため、薬で調整できないかと医師に相談しました。現在は強めの薬を追加で処方してもらっていますが、今のところ目立った改善は見られていません。

合併症を受け入れた生活と新たに始めた毎食前の野菜スープ

現在は排尿障害の影響で頻繁にトイレに行きたくなるため、外出がしづらく、家で過ごす時間が長くなっています。生活の質(QOL)という点では決して良い状態とは言えませんが、それでも私は小線源治療を選んだことに後悔は一切ありません。どの治療法を選んだとしても、それぞれに何らかの合併症や後遺症のリスクは存在します。自分で情報を集め、納得して選んだ結果であるため、現状を静かに受け入れています。 がんになっても生き方や考え方はそれほど変わらないと思っていましたが、2つのがんの治療を無事に終えてから、少しだけ健康に対する意識が変わりました。今では、毎食前に必ず野菜スープを飲むようにしています。早期発見で命を救われたからこそ、日々の小さな健康習慣を大切にしながら、これからの生活を送っていきたいと考えています。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 がんと診断されても、過度に悩まず前向きに治療を受けてください がんという言葉だけで悲観的にならず、医師からの正確な情報を基に、ご自身の状況を冷静に把握してください。必要以上に悩んだり、不安を抱え込んだりせず、治療に向き合うことが大切です。 治療後の合併症の現実を知り、納得して選択してください どのような治療法にも副作用や合併症のリスクは伴います。私自身、前立腺がんの治療後に排尿障害という経験をしており、それは想像以上に生活に影響を与えるものでした。事前に起こりうるリスクを理解し、ご自身の生活環境や優先したいことを踏まえて比較検討してください。最終的に自分で納得して決断した治療であれば、どのような結果であっても後悔することなく受け入れることができるはずです。 治療を終えたら、自分にできる小さな健康習慣を見つけてください 病気を経験したからといって、人生観を劇的に変える必要はありません。しかし、健康への意識を少しだけ見直すことは大切です。私自身も、手術を終えてから毎食前に野菜スープを飲むようになりました。ご自身が無理なく続けられる小さな健康習慣を見つけ、ご自身の体を労りながらこれからの日々を過ごしてください。

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