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腎細胞がんの経過観察中に大動脈瘤を発見、2つの病気と向き合う中で得た気づき

[公開日] 2026.07.21[最終更新日] 2026.07.19

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:じゅんちゃんさん(ニックネーム) 年代:70代 性別:男性 家族構成:妻と2人暮らし(子ども2人は独立) 仕事:無職(診断時は会社員) がんの種類:腎細胞がん 診断時ステージ:ステージ1 診断年:2011年 現在の居住地:大阪府
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。 2011年、じゅんちゃんさんは人間ドックをきっかけにステージ1の腎細胞がんと診断されました。左側の腎臓の全摘出手術を受け、その5年後には温存していた副腎への転移を経験したものの、半年に1回の定期的な経過観察を現在まで実直に継続しています。この定期検査が、後に大動脈瘤の早期発見と治療につながりました。病気と冷静に向き合い、定期検査の重要性を深く実感されているじゅんちゃんさんに、腎細胞がんの発見から手術、職場への復帰と退職、その後の経過観察と別の病気の発見に至るまでの経緯についてお話しいただきました。

40代後半以降途絶えていた人間ドックと61歳で受けた人間ドック並みの健康診断

私は40代のときに仕事の関係で海外へ赴任しました。それ以前は日本国内で人間ドックを受けていましたが、海外へ赴任してからは長らく人間ドックを受ける機会が途絶えていました。帰国した後も、勤務先で実施される通常の健康診断は受けていたものの、人間ドックで実施される腹部の詳細な画像検査などは行わないまま年月が経過していました。 転機となったのは、私が60歳を過ぎてからの転職でした。新しく入社した会社は大手企業の子会社で、社員の健康管理体制が非常に手厚く整えられていました。社内には健康管理施設が構えられ、常勤の産業医も2人配置されていました。その会社では、誕生月に健康診断を受ける規則となっていましたが、10月生まれの私は仕事の都合で受診が2か月ほど遅れ、2010年の12月に健康診断を受けることになりました。 その健康診断の項目の中に、腹部の超音波(エコー)検査が含まれていました。私にとっては、健康診断でエコー検査を受けるのはこれが初めての経験でした。

産業医の指摘から総合病院で精密検査

朝一番にエコー検査を含む一通りの検診を受け、同じ日の午前中に行われた産業医による問診でのことです。担当の医師が撮影された画像を見ながら、「ちょっと腎臓の様子がおかしい」と指摘しました。医師はその場ですぐに、詳細な精密検査ができる地域の総合病院への紹介状を書いてくれました。年末の時期であったためすぐには受診できず、年をまたいだ2011年の1月、年明け10日ほどが経過したころに、紹介された総合病院の泌尿器科を受診しました。 総合病院では、改めてエコー検査やCT検査などの画像検査を行いましたが、生検は行いませんでした。一連の画像検査の結果を基に、医師からははっきりと「腎臓がんである」と告げられました。当時はやはり、がんという言葉に対して怖い病気であるという認識が強く、インターネットなどで自分なりに調べはしましたが、専門的な内容はあまり頭に入ってきませんでした。

腎臓摘出後にステージ1の腎細胞がんと確定

腫瘍の大きさは、約50mmであると説明されました。周囲の組織への浸潤や、リンパ節への転移は認められない状態でした。医師の説明によると、腫瘍の大きさがもっと小さければ、腹腔鏡手術や、腎臓の一部だけを切り取る部分切除という選択肢もあったようですが、私の場合は50mmという大きさであったことなどから、部分切除は不可能であると判断されました。左側の腎臓をすべて摘出する必要があると言われ、私はその方針に従うことに決めました。 2011年の2月下旬に入院し、左側の腎臓をすべて摘出する開腹手術を受けました。手術は無事に終了し、術後の追加治療としての薬物療法などは一切行われませんでした。手術の後に摘出した組織の病理検査が行われ、他への転移や浸潤がないことが確認され、最終的にステージ1の腎細胞がんという診断が確定しました。この手術をもって初期治療は終了となり、その後は半年に1回、総合病院を受診してCT検査と血液検査を行う経過観察の期間に入りました。

手術から5年後、副腎への転移と2度目の手術

最初の腎臓摘出手術から5年が経過した2016年のことです。定期的に受けていたCT検査で、左側の副腎に転移していることが判明しました。 2011年に最初の左腎全摘手術を行う際、当初は腎臓と一緒に周囲の副腎も同時に摘出する方針でした。しかし手術の当日、病院に来ていた妻の叔父が主治医に対して副腎の処置について確認を入れたのです。そのやり取りがあり、最終的に主治医の判断によって副腎は切除されず残されることになりました。副腎に異常がなければ残した方が良いという判断だったのだと思います。しかし、ちょうど5年が経った2016年に、その残した副腎にがんの転移が見つかりました。 そのため、2016年に再び開腹手術を行い、左の副腎を摘出しました。2度目の手術も切除だけで終了し、その後は再び半年に1回のCT検査と血液検査を行う経過観察の生活へと戻り、現在まで継続しています。

会社への病状報告と1か月間の休職からの職場復帰

2011年にがんと診断された当時は会社員であったため、病名がわかった段階ですぐに職場へ報告を行いました。ちょうど年度末に向かう時期でしたが、入院と療養のために約1か月間の休暇を取得しました。このときは、会社側から不利益な取り扱いを受けることはなく、手術から約1か月後に元の職場へ問題なく復帰することができました。 片方の腎臓がなくなりましたが、残ったもう片方の腎臓が機能しているため、身体的な不自由を感じることはありませんでした。食事の内容についても制限はなく、塩分を控えるような指示も医師からはありませんでした。手術によって片方の腎臓がなくなったため、血液検査の「クレアチニン」の数値は基準値をわずかに上回るようになりましたが、もう片方の腎臓がしっかりと機能を補ってくれており、日常生活には全く支障はありませんでした。

復帰から2年後に受けた突然の退職勧告

手術を終えてから約1か月後、私は元の管理業務へと復帰しました。幸いにも復帰後の体調は万全であり、業務への影響や制限は一切ありませんでした。 しかし、復帰から2年ほどが経過し、私が63歳になったころに状況が一変します。会社側から突然、「会社の業態を変更するため、退職してほしい」と一方的な要請を受けたのです。 当時は2013年ころで、現在のようにがん治療と就労の両立に対する社会的な理解や法整備が、まったく浸透していない時代でした。業態変更という名目ではありましたが、一度大きながんを経験した私が「またいつ体調を崩して業務に穴をあけるかわからない」と、会社側が過剰に懸念した結果の解雇であったのではないかと推測しています。私自身、年齢的なこともあって会社側に抵抗することはせず、その要請を受け入れて退職しました。

定期検査の継続がもたらした大動脈瘤の早期発見と将来への備え

腎細胞がんの手術以降、私は半年に1回のCT検査を欠かさず受けています。胸部から下腹部まで広範囲を撮影するこの検査のおかげで、自覚症状が全くないまま進行していた大動脈瘤を早期に発見することができました。 今から3〜4年ほど前の検査で、初めて大動脈瘤の存在が確認されました。発見当初はすぐに手術が必要なサイズではなかったため、その後も腎細胞がんの経過観察と並行して、CT検査のたびに大動脈瘤の拡大スピードや大きさを厳密に観察し続けました。 そして、定期検査を重ねる中で大動脈瘤の大きさが50mm以上に拡大し、破裂の危険性が高まったことから、いよいよ手術を行うべきだという適切なタイミングの判断が下されたのです。当時通っていた総合病院には心臓血管外科がなかったため、大学病院を紹介されました。こうして綿密な経過観察を経て、2025年6月に、カテーテルを用いて人工血管を留置するステントグラフト内挿術を安全に受けることができました。 私は現在77歳ですが、何年も前から定期検査で事実を把握しているため、十分な心の準備ができています。もしがんを経験しておらず、CT検査を継続していなければ、大動脈瘤の存在に気づかずにある日突然破裂していたはずです。がんの経過観察を続けていたからこそ、致命的な病気から命を救われたと感謝しています。

普段通りに接してくれた家族と周囲の支えが、最大の救い

2011年にがんと告知されたその日、自宅で妻に病名を伝えると、妻は取り乱すこともなく「あ、そう」と淡々と受け止めました。その後も過度に心配する素振りは見せることなく、常に普段通りの日常を維持してくれました。 もしここで、家族が必要以上に悲嘆に暮れたり、腫れ物に触るような扱いをされたりしていれば、私の心は不安に支配されていたかもしれません。妻がこれまでと全く変わらない態度でいてくれたからこそ、私は過剰な不安に怯むことなく、落ち着いて手術へと臨み、ごく自然に通常の生活へ戻ることができました。 これは職場や周囲の環境においても同様でした。同僚たちも大げさに騒ぎ立てることなく、これまで通り普通に接してくれました。この「変わらない環境」の有り難さは、実際にがんという病に直面して初めて深く実感したことです。周囲の人々が普通でいてくれたことこそが、私にとって何よりの精神的な支えであり、孤独感から救ってくれる最大の力となりました。 周囲に支えられながらがんを経験したことで、私の死生観はより明確なものとなりました。後に見つかった大動脈瘤は、気づかずに放置していればある日突然死に至る恐れのある病気です。しかし、がんはそれとは異なり、自分の行く末を見つめ、死ぬまでの準備をするための時間が残されることもある病気です。だからこそ私は、検査を通じて常に自分の病態を正確に把握し、これから起こり得る事態に対してあらかじめ淡々と心づもりをしておく。その冷静な覚悟を持って、これからの時間を過ごしていきます。

今、がんと向き合っている方へのメッセージ

今、がん治療をしている方と周囲の方にお伝えしたいことがあります。 早期発見のために定期的な検査を受けてください がんと診断された瞬間はショックを受けると思いますが、早期に発見できれば、治療自体は過度に恐れるものではありません。早期であれば手術による切除だけで治療を終え、その後の日常生活を不自由なく維持していくことが十分に可能です。ご自身の健康状態に関心を持ち、定期的に検査を受ける習慣を大切にしてください。 周囲の人は過剰に心配せず、普段通りに接してください 身近な人が病気になったとき、周囲が必要以上に大げさに騒いだり同情したりすることは、かえって本人の不安を増長させてしまうことがあります。私の妻や職場の同僚が、がんとわかる前と全く変わらない態度で淡々と普通に接してくれたことが、私が心の平穏を保つための最大の支えとなりました。 経過観察を自身の体を守る機会にしてください がんは恐ろしい病気というイメージがありますが、経過観察を続けることは自分の全身の健康状態を詳しく把握する貴重な機会になります。私は定期的なCT検査を受け続けていたおかげで、自覚症状のない大動脈瘤を早期に発見し、破裂する前に手術を行えました。

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