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前立腺がん、信頼する医師からの「変わらぬ日常を過ごすことが大切」という言葉を支えに

[公開日] 2026.07.10[最終更新日] 2026.07.10

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:うどんこ讃岐さん(ニックネーム) 年代:70代 性別:男性 家族構成:妻と2人暮らし 仕事:無職(診断時は学童の非常勤職員) がんの種類:前立腺がん 診断時ステージ:ステージ3 診断年:2023年 現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2023年、うどんこ讃岐さんは夜間頻尿をきっかけにステージ3の前立腺がんと診断されました。グリソンスコアが9という悪性度の高い前立腺がんでした。複数の治療法が提示される中で、うどんこ讃岐さんは医学部出身の友人の助言を得て、別の総合病院でセカンドオピニオンを受けることを決意します。その病院の医師から受けた詳細で誠実な説明が、うどんこ讃岐さんの決断を後押しします。ロボット支援下手術による前立腺全摘出を乗り越え、がんになる前と変わらない日常生活を取り戻すまでの経緯についてお話しいただきました。

夜間頻尿をきっかけにかかりつけのクリニックを受診

2022年の年末ごろから、夜間にトイレへ行く回数が増えました。頻繁に尿意で目が覚めるようになり、その状態が収まることがなかったため、2023年2月、高血圧の治療で以前から通っているかかりつけのクリニックを受診しました。 医師に「最近、夜間頻尿が気になっている」と相談したところ、「前立腺がんの可能性もあるから、PSAの数値を調べる血液検査をしましょう」と提案されました。後日検査の結果が出ると、PSA値は7.122ng/mLという数値でした。正常値の範囲を超えており、前立腺がんの疑いが極めて強いため、泌尿器科の専門医にきちんと診断してもらった方が良いと説明を受け、かかりつけ医から近隣の大学病院を紹介されました。

大学病院での精密検査と悪性度の高い前立腺がんの告知

紹介状を持ち、大学病院の泌尿器科を受診すると、担当医からは「がんの可能性が高いので、すぐに生検をしましょう」と言われました。そのまま日程を調整し、3月3日に1泊2日の入院で生検を行いました。 3月15日に検査結果の詳しい説明がありました。前立腺の14か所から組織を採取した結果、9か所からがん細胞が発見されたとのことでした。担当医からは、悪性度の高い前立腺がんであるとの確定診断を受けました。父親もかつてがんで亡くなっていたため、がんと告知された瞬間は「自分もあと1、2年で死ぬのではないか」という強い恐怖心を抱きました。 さらに詳細な体の状態を調べるため、3月17日にMRI検査、3月24日にCT検査を受けました。結果として、幸いにも骨や他の臓器への転移は見られませんでした。転移がないことが確認された上で、今後の具体的な治療方針について担当医と相談することになりました。

複数の治療選択とセカンドオピニオン

大学病院の担当医からの説明は、根治を目指す治療にするか、がんとの共存を考えるかという2つの方向性の提示でした。根治を目指す場合の方法として、手術による全摘出、放射線治療、重粒子線治療などの説明がありました。一方、がんとの共存を選ぶ場合は、ホルモン療法を行っていくとのことでした。この病院で手術をする場合、その時は最新の設備が整っておらず、開腹手術になると言われました。 担当医からは「もし手術をするのであれば、6月以降でスケジュールを決めましょう」と提案されました。しかし、病気に対する事前の知識もほとんど持っていなかったため、今後の治療方針を即座に決めることには大きなためらいがありました。妻とも話し合った結果、セカンドオピニオンを受けて他の医師の意見も聞いてからどうするかを決めようということになりました。 私には大学の同級生で、医学部出身の友人がいました。彼に連絡を取り、現在の状況を説明した上で、セカンドオピニオンを受けるための病院や信頼できる医師の紹介を依頼しました。数日後、彼から「医学部の後輩で泌尿器の専門医がいるので紹介する」と連絡がありました。紹介された医師は、総合病院で副院長を務めている方でした。

セカンドオピニオンで受けた誠実で丁寧な説明

すぐに手続きを取り、4月14日に総合病院でセカンドオピニオンを受けました。大学病院のカルテと検査データを持参し、それを基に現在の病状と今後の治療について詳しい説明を聞きました。 診断結果は大学病院と同様で、やはり悪性度の高いがんであることには変わりありませんでした。このときに、グリソンスコアは9との説明がありました。今後の治療の選択肢として、手術による全摘出、放射線治療、重粒子線治療のいずれかで行うという丁寧な説明を受けました。担当医はそれぞれの治療法のメリットとデメリットを偏りなく話してくれました。手術の場合は後遺症として尿漏れなどのリスクがあること、放射線治療の場合は1か月から2か月の間、ほぼ毎日病院に通って照射を受けなければならないという身体的・時間的な負担があることを詳細に説明されました。 私は説明を聞きながら、目に見える形で体の中にあるがん細胞を完全に取り除きたいという思いから、手術を希望する気持ちが徐々に強くなっていました。医師は「すぐに決める必要はありません。時間をかけても納得して結論を出してください」と言ってくれたため、その場では結論を出さず、一旦家に持ち帰って考えることにしました。 この総合病院を治療の場として選んだ理由はいくつかあります。ひとつは、友人が「専門医として優秀だ」と推薦してくれたこと。もうひとつは、医師がパソコンの画面ばかりを見るのではなく、私の顔をまっすぐ見て、誠実に、詳細な説明をしてくれたことです。また、大学病院では開腹手術になると言われていましたが、この総合病院ではロボット支援下手術の実績が豊富だったことも、手術に対する恐怖心を和らげる大きな要因でした。

医師の言葉に背中を押され、ロボット支援下手術を決断

家に戻り、妻や家族と改めて話し合いました。最終的に、セカンドオピニオンを担当していただいた医師に今後の治療をお願いすることにし、手術による全摘出を受ける決断をしました。5月11日に再び病院を訪れ、手術をお願いする旨を伝えました。 その際、担当医からかけられた言葉が今も心に深く残っています。担当医は、「あなたの年齢は、私たちが手術をお勧めする上限の年代です。これ以上の年齢になると、体への負担を考慮して積極的には手術を勧めません。しかし、もしあなたが手術を選択するという強い気持ちを持っているのであれば、私たちの泌尿器科チームは全力で手術に当たります。診断内容に基づき、術後の障害がないよう全力で臨みますので、安心して信頼してください」と言ってくれました。この言葉を聞いて、私はこの医師とチームにすべてを任せようと深く納得することができました。その場ですぐに手術の日程が決まり、6月14日に入院し、翌15日に手術を行うことになりました。

7時間に及ぶ手術の成功と順調な術後の経過

予定通り、2023年6月15日にロボット支援下手術による前立腺全摘出手術を受けました。手術は7時間かかりましたが、無事に前立腺の全摘出が終わりました。 術後の経過は非常に順調でした。「食事をしっかり取ること」「定期的に病院内を歩いて体を動かすこと」以外に特別な指示はありませんでした。術後5日目に尿を処理する管(バルーン)を外し、翌日には傷口から不要な体液を排出するためのドレーンも外れました。回復が早く合併症もなかったため、6月22日には無事に退院することができました。 前立腺全摘出手術の後遺症として最も懸念されていた尿漏れですが、私の場合は幸いにもほとんど症状がありませんでした。退院後、現在までの約3年間で、自分の意に反して尿が漏れてしまったと感じたのはわずか2回だけです。今でも念のため毎日尿漏れパッドを使用していますが、パッドが湿っていると感じることは1年間で数回程度です。パッドを外しても日常生活に支障はない状態だとは思いますが、精神的な安心感を保つために現在も使用を続けています。

術後の経過観察と医師からの「5年間は普通の生活を」という言葉

退院後、現在に至るまで定期的な経過観察が続いています。2023年7月に最初の検査を受けてから約2年半の間は、3か月ごとに通院して血液検査でPSA値を測定していました。 その後、2025年11月の検査の際、医師から「次の検査は半年後とし、今後は6か月に1回の頻度に変更しましょう」と提案を受けました。直近では2026年5月に検査を受けましたが、これまでの期間、PSA値は0.000~0.002 ng/mLの間で安定して推移しており、再発や転移の兆候は全く見られません。 私が通っている総合病院ではチーム医療体制が整っており、手術を担当してくれたチームの医師が現在も継続して診察をしてくれています。そのため、担当医の変更による引き継ぎの不安もなく、安心して受診を続けることができています。 退院後、主治医から非常に印象的な言葉をかけられました。「手術は無事に成功しました。これからの5年間は、手術をする前のごく当たり前の生活を、同じようにしっかり送るという気持ちを持って生活してください。それがあなたにとって一番大事なことです」という言葉です。がんになったからといって特別なことをするのではなく、普通の生活を維持することが大切だという教えは、私にとって大きな精神的な支えとなりました。

日常の維持と地域のがん患者会への参加

医師の言葉通り、私は手術前と同じような生活を送ることを心がけています。体力的な理由から、学童での非常勤の仕事は退職しましたが、それ以外の日常生活は活発に過ごしています。毎日1時間程度のウォーキングを行い、年に数回は宿泊を伴う旅行に出かけ、昔の会社の同僚と定期的に集まって食事を楽しんでいます。「がんになったからこれはやめておこう」「無理をするのはやめよう」といったネガティブな制限を設けることはせず、今まで通りの生活を継続する努力をしています。 また、昨年の秋ごろから、住んでいる地域の自治体が主催しているがん患者の会に参加するようになりました。市のホームページで会の存在を知ったのがきっかけです。そこには、さまざまな種類のがんを経験し、現在も治療の副作用や後遺症でつらい思いをされている方が多く参加しています。 私はその会で、他の患者さんに対して安易な慰めの言葉やアドバイスを言うことはしません。ただ、「私はこういう治療を選択し、今はこのような思いで毎日を普通に生きています」という自分自身の事実を淡々と伝えるようにしています。毎日の生活をしっかり過ごすことが、結果として回復や後遺症の軽減につながっていくという私の経験が、同じようにがんと向き合う誰かの参考になればと考えています。普通に日常を過ごし、担当医から「完治です」という言葉をいただくことを目標に、毎日を大切に生きています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 納得できるまで専門医や信頼できる人に話を聞いてください がんの治療方針を決める際は、自分が心から納得できるまで、担当医や信頼できる友人、専門家の話を直接聞くことが最も重要です。ネット上にはさまざまな情報が溢れていますが、それはあくまで一般的な情報に過ぎません。一人ひとりの病状は異なります。あなたの体の状態を一番詳しく知っているのは、目の前にいる担当医です。疑問があれば遠慮せずに質問し、納得のいく説明を求めてください。 後悔のない自分自身の決断を下してください 複数の医師から意見を聞くセカンドオピニオンを活用することも、大切な選択肢のひとつです。医師の話を十分に聞き、各治療法のメリットだけでなくデメリットやリスクも理解した上で、最後はご自身で決断してください。自分が心から納得して選んだ道であれば、その後の治療や生活にも前向きに向き合っていくことができるはずです。決して一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ながら最適な道を見つけてください。

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