写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:なあさん(ニックネーム)
年代:30代
性別:女性
家族構成:母親と2人暮らし
仕事:会社員
がんの種類:乳がん
診断時ステージ:ステージ1
診断年:2025年
現在の居住地:神奈川県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
2025年、なあさんは乳がんと診断されました。発見時はステージ1の早期でしたが、30代での罹患ということもあり、将来に向けた妊孕性(妊娠するための力)の温存や、仕事との両立など、短期間で多くの重要な選択を迫られました。幸いにも職場の直属の上司が乳がん経験者であったことから、周囲の理解とサポートを得ながら治療を進めています。卵子凍結、乳房温存手術を終え、放射線治療とホルモン療法へ進むなあさんに、しこりの発見から現在に至るまでの経緯と、がんと診断されてからの心境の変化についてお話しいただきました。
胸のしこりの発見と健康診断での相談
2025年の春、入浴中に体を洗っている際、胸にできもののようなものがあることに気がつきました。しかし、そのときは全く痛みがなく、日常生活にも支障がなかったため、次回かかりつけの皮膚科を受診する機会があればついでに診てもらおうと思う程度で、そのまま忘れて過ごしていました。
7月になり、会社の健康診断がありました。その際、内科の問診を担当した医師に、胸にしこりのようなものがあることを相談しました。自分なりにインターネットで検索し、皮膚科を受診しても良いのではないかという情報を見ていたため、何科を受診すべきかを質問しました。医師は触診を行った上で、皮膚科の受診で問題ないだろうという見解を示しました。その言葉を聞いて安心したこともあり、その後も病院へ行くことはありませんでした。
しこりは皮膚の少し内側にあるような感覚で、触るとゴロっとした感触はあったものの、インターネットで調べた乳がんの形や感触が少し違うように感じており、自分の中で乳がんの可能性は低いだろうと判断していました。
ズキズキとした痛みの出現と乳腺外科の受診
そのまま様子を見ていましたが、9月から10月ごろになると、月に1、2回ほど、しこりの部分にズキっとした痛みを感じるようになりました。普段通っているジムでパーソナルトレーニングを受けていた際、ふいに痛みを感じて「痛い」と口に出してしまったことから、トレーナーに症状を話すことになりました。私は「ただの出来物だと思う」と伝えましたが、トレーナーからは「病院へ行った方がいい」と強く勧められました。
仕事をしているため、平日の通勤経路内で、かつ18時以降でも受診できる病院を探しました。最初は皮膚科か内科のどちらを受診すべきか迷い、まずは婦人科へ連絡をして症状を伝えました。すると、婦人科ではなく乳腺外科を受診するようにと指示を受けました。そこで改めて通勤経路内にあるクリニックの乳腺外科を探し、11月の初めに受診することにしました。
画像検査と針生検による乳がんの確定診断
クリニックを受診し、マンモグラフィと超音波(エコー)検査を受けました。私の場合はマンモグラフィにはしこりがはっきりと写りませんでしたが、触診でしこりがある場所がわかっていたため、そこを中心にエコー検査で重点的に調べていただきました。その結果、怪しい所見があるということで、数日後に針生検を受けることになりました。
検査から約2週間後の11月末、クリニックで検査結果を聞きました。その際、医師から「がんに間違いない」と第1報を受けました。ただ、その時点では暫定的な診断であり、具体的なサブタイプなどの詳細な結果は第2報を待つ必要がありました。同時に、医師からは治療を行う病院の候補を考え始めることや、将来子どもを望むのであれば卵子凍結などの妊孕性温存についても頭に入れておくようにと助言を受けました。
12月に入り、詳細な検査結果が出ました。しこりの大きさは約1.7cmで、診断はステージ1でした。がんのタイプはホルモン受容体陽性のルミナルAであることがわかりました。
口コミが良かった病院選択と知り合いの医師のアドバイス
具体的な治療方針を決めるにあたり、クリニックの医師からは、通勤しやすい場所にするか、自宅に近い場所にするかを考慮して病院を選ぶように言われました。私は自宅から近く、乳腺外科の専門的な治療実績がある総合病院への紹介を希望しました。近隣にその総合病院に関連する乳腺専門クリニックがあり、評判が良いという話も聞いていたため、迷うことなく転院先を決めました。
転院前に、がんの治療法や選択肢について自分で調べました。私の場合はしこりが比較的小さく、局所的であったため、乳房温存手術が選択肢に挙がりました。知り合いの医師にも相談したところ、「この状態であれば全摘出しなくても良いのではないか」という意見をもらいました。乳房温存手術の場合は術後に放射線治療がセットになるという説明を受けましたが、全摘出と乳房温存手術で再発率に大きな差がないことを確認し、乳房温存手術を選択することに決めました。
総合病院での精密検査と治療方針の決定
紹介状を持って総合病院を受診し、改めて血液検査、CT検査、MRI検査、そしてエコー検査とマンモグラフィを受けました。これらの検査の結果、リンパ節などへの転移は見られず、事前の診断通りステージ1であることが確認されました。
総合病院での主治医を決める際、事前にその病院の手術件数などの実績や、医師の経歴、資格などを自分なりに調べました。手術件数が多い病院であれば、さまざまなケースの経験が豊富であり、自分に合った処置をしてもらえるという安心感につながりました。また、地元の評判で「この先生が良い」という話を聞いていた医師を希望しました。実際に診察を受けると、非常に物腰が柔らかく、明るい印象の医師でした。過度に怖がらせるようなことは言わず、温存手術後の乳房の形もなるべく綺麗に残せるよう配慮してくださるなど、安心して治療を任せられると感じました。
妊孕性温存のための卵子凍結と遺伝子検査
最初のクリニックで助言を受けていた妊孕性温存についても、主治医と相談しました。総合病院内の婦人科で卵子凍結の処置を行えるとのことだったので、乳がんの手術前に実施することにしました。
私はホルモン受容体陽性の乳がんであったため、排卵を誘発して女性ホルモンを増加させる処置が、がん細胞の増殖に悪影響を与えないかという不安がありました。しかし、婦人科の医師は採血を頻繁に行い、ホルモン値が上がりすぎないように薬を細かく調整してくれました。数値が可視化され、安全な範囲でコントロールされていることが理解できたため、安心して処置を受けることができました。
処置の期間中は薬の副作用で体調が優れないこともありましたが、無事に手術前の2026年1月から2月にかけて卵子凍結を終えることができました。また、並行して遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の可能性を調べるためのBRCA遺伝子検査も受け、結果は陰性でした。
職場への報告と乳がん経験者の上司によるサポート
治療を進めるにあたり、仕事を休む必要が出てくるため、診断を受けて比較的早い段階で職場に報告しました。幸いなことに、私の直属の上司が乳がんの経験者でした。上司は私のがんの種類とは異なるタイプで、抗がん剤治療などのつらい経験をされていましたが、真っ先に私と家族の精神的なショックを気遣ってくれました。
上司からは「チームワークの会社だから、みんなでやっていこう」という心強い言葉をもらいました。また、「体調が悪いときは気兼ねなく休んでいい。当日の連絡でも構わない」と言っていただき、副作用がつらい時期には在宅勤務を多めにさせてもらうなど、非常に柔軟な働き方を認めてもらえました。経験者ならではの細やかな配慮と職場の理解のおかげで、仕事と治療の両立において大きな不利益を感じることなく過ごすことができています。
乳房温存手術の実施と術後の経過
卵子凍結の処置とスケジュールの調整を経て、2026年3月末に乳房温存手術を受けました。入院期間は短く、わずか4日間でした。退院後は自宅で少し療養し、術後1週間程度で仕事に復帰することができました。
手術の影響で腕の上がりにくさや突っ張り感、そして脇の部分に麻痺のような感覚が残っています。主治医からは、これらの症状は半年ほどで消える場合もあれば、少し残る場合もあると事前に説明を受けていたため、過度に心配することなく、そういうものだと受け止めています。術後の病理検査の結果でも、がんは安全かつ完全に取り切れたことが確認されました。
今後の治療に向けた不安と心境の変化
現在、手術を無事に終え、これから放射線治療を開始する段階です。放射線治療後は、長期間にわたるホルモン療法が始まります。卵子凍結の際のホルモン剤による副作用が強かった経験から、乳がんの再発を抑えるためのホルモン療法でも、ホットフラッシュなどの副作用が出るのではないかと少し不安に感じています。しかし、副作用の出方は人それぞれであり、実際に薬を飲んでみなければわからないと医師から説明を受けているため、必要以上に恐れずに向き合おうと思っています。
がんと診断された当初は、同居している母親に対して「申し訳ない」という気持ちが強くありました。しかし、誰が悪いわけでもなく、起きてしまった事実は変えられません。落ち込んでいても状況は変わらないため、医療の力を信じて、なるようになるという気持ちで受け入れることにしました。今では、病気のことばかりを気にして暗くなるのではなく、もっと自分のやるべきことや、これからの人生を楽しむことに意識を向けるようになりました。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今、がんの治療中の方に伝えたいことがあります。
一人で抱え込まず声に出してみてください
がんと診断された直後は、誰かに相談すべきか、自分で調べるべきか迷うと思います。頭で理解することと心が納得することは別であり、情報が多すぎて混乱することもあるでしょう。そんな自分を否定せず、まずは声に出して誰かに伝えてみてください。言葉にすることで気持ちの整理がつきます。周囲には同じ経験をした人が意外といるものです。気兼ねなく相談し、自分の思いを外に出すことをお勧めします。
治療を始める前に妊孕性温存について確認しましょう
若い世代でがんと診断された場合、その後の治療(抗がん剤やホルモン療法など)が、将来の妊娠や出産に影響を与える可能性があります。私自身、最初に受診したクリニックで「妊孕性」という言葉を初めて聞き、がんの治療前に卵子凍結という選択肢があることを知りました。治療が本格的に始まってからでは間に合わないこともあるため、将来子どもを望む可能性が少しでもある方は、治療方針を決める段階で必ず主治医に確認し、必要な情報を集めておくことが大切です。
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