写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:胃食道さん(ニックネーム)
年代:50代
性別:男性
家族構成:妻と長男と次女との4人暮らし(長女は独立)
仕事:無職(診断時は会社員)
がんの種類:胃がん(食道胃接合部がん)
診断時ステージ:ステージ4
診断年:2026年
現在の居住地:新潟県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
2026年2月、50代の胃食道さんはバリウム検査では見つからなかった食道胃接合部がん(ステージ4)の告知を受けました。遠隔リンパ節転移により手術適応外となり、抗がん剤治療を始めますが、強い副作用のため退職を余儀なくされます。しかし、持ち前の危機管理能力で子どもの卒業までの経済面をシミュレーションして家族の不安を解消。化学療法後の手術の可能性を諦めずに情報収集を続け、大病を機に些細な悩みから解放されたという胃食道さんに、これまでの歩みと前向きな心境を伺いました。
バリウム検査では見つからなかったステージ4の胃がん(食道胃接合部がん)
私は毎年人間ドックを受けていましたが、消化器の検査はバリウム検査しか受けていませんでした。2026年の1月中旬に、いわゆるタール便と呼ばれる黒い便が2回ほど出ました。そのころ、血圧が高かったためかかりつけのクリニックを受診していたのですが、雑談交じりで黒い便が出たことを医師に相談しました。すると、医師からは「それは看過できない症状です。すぐに専門医を紹介するから胃内視鏡検査を受けたほうがいいです」と言われました。
2月に入ってから、紹介された地元の総合病院の消化器内科を受診し、胃内視鏡検査を受けました。その結果、食道と胃の接合部に腫瘍が見つかりました。組織を採取して詳しく調べる前の段階でしたが、医師からは見た目から十中八九、胃がん(食道胃接合部がん)で間違いないだろうという診断を受けました。
リンパ節への遠隔転移が判明、手術適応外のステージ4と診断
胃内視鏡検査を受けた際、私は医師に手術で腫瘍を取ることができるのか尋ねました。医師からは、遠隔転移がなければ腫瘍の大きさは3cm程度なので取れないことはないが、遠隔転移の有無が非常に重要になるという説明を受けました。そのため、翌週にすぐCT検査を受けることになりました。
CT検査の結果、胃の周辺だけでなく、上腸間膜動脈のすぐそばという非常に厄介な場所のリンパ節にも転移があることがわかりました。リンパ節への転移は合計で8か所に及んでいました。ここまで転移が広がっていると手術の適応外になるということで、2月いっぱいは他の臓器への転移がないかを調べるとともに、バイオマーカー検査を受けることになりました。最終的に、食道胃接合部がんで遠隔リンパ節転移を伴うステージ4という確定診断に至りました。
抗がん剤治療の開始と冷感刺激による想像以上の副作用
バイオマーカー検査の結果が出るのは、3月下旬になる予定でした。それまで丸1か月何もしないとがんが増殖してしまう恐れがあったため、結果を待つ間はオキサリプラチンとS-1による治療を先行して始めることになりました。
しかし、1回目のオキサリプラチンの点滴を受けた翌日に新型コロナウイルスに感染してしまい、その後の投薬は一旦休薬となりました。休薬中になぜか急激な腹痛が起こり、何か見落としがないか確認するために再度CT検査を行いました。その結果、新たな病変は見つからなかったものの、腫瘍の大きさが3cmからわずかに大きくなっていることが確認されました。
新型コロナウイルスから回復した後は治療を再開しましたが、オキサリプラチンの副作用が強く出ました。新潟県の3月はまだ寒く、朝出社してパソコンを触ったり、クリアファイルなどの人肌より少し冷たいものを触ったりするだけで手足にしびれや痛みが出ました。この症状により、仕事に大きな支障をきたすようになりました。
治療に専念するための退職という決断
診断を受けた2月の時点で、会社の上司にはすぐに報告をしていました。当初は仕事を続けながら治療を行う方針でしたが、副作用の影響で3月から出勤が月の半分程度になってしまいました。さらに、4月からはバイオマーカーの検査結果に基づき、免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダを追加することになりました。キイトルーダ自体の影響は少ないかもしれませんが、オキサリプラチンの回数を重ねるごとに副作用の症状は重くなり、4月と5月はほとんど出勤できない状態が続きました。
最低でも半年以上は化学療法が続くという見通しだったため、会社と相談し、5月末で一旦退職して治療に専念することに決めました。現在は傷病手当金を受給して生活しています。社長からは「がんは亡くなるイメージを持つ人が多いから安易にオープンにすべきではない」と言われていましたが、退職の際には関係の深い同僚や部下たちを集めて経緯を説明しました。そして「バリウム検査ではなく胃内視鏡検査を受けた方がいい」と伝え、「また一緒に働けるよう、治療を頑張ってきます。いつか復帰するつもりなので、皆さんも健康に気をつけて頑張ってください」と挨拶をしました。反応はさまざまで、「今の時代なら治療が効くから待っているよ」と励ましてくれる人もいれば、幼い子どもがいることを気にかけて「もう亡くなる人」という前提で深刻な表情になる人もおり、がんに対するイメージの二極化を感じました。
最悪の事態を想定した経済面のシミュレーションと家族の思い
病気のことは、妻と3人の子どもたちにありのままを伝えました。長女は23歳で社会人として独立していましたが、長男は高校1年生、次女は小学3年生でした。妻からは、まだ子どもが小さいのに悲しませるようなことにはならないでほしいと言われ、非常にショックを受けている様子でした。
私自身が告知を受けたとき、一番気になったのは経済面のことでした。胃がん(食道胃接合部がん)のステージ4は5年生存率が低いことを知り、仮に私が3年から5年以内に亡くなった場合を想定し、一番下の子どもが大学を卒業するまでに必要な費用をすべてシミュレーションしました。現在の貯蓄や投資、保険、遺族年金を合わせれば、私が亡くなって収入が途絶えても何とか生活していける目処が立ちました。その結果を妻と長男に話したところ、経済的な不安については安心してもらえました。
日常生活では髪の毛も抜けておらず、手足のしびれ症状以外は普通に過ごせているため、家族から深刻な話をしてくることはありません。しかし、3月に抗がん剤治療が始まったとき、高校1年生の長男から突然「お父さん、一緒に泊まりがけの旅行に行きたい。ちゃんとしたパパとの思い出が欲しい」と言われました。今まで子どもからそんな提案を受けたことはなかったため、長男なりに私の身に起こり得ることを考えて覚悟をしているのだとわかりました。
手術を見据えたセカンドオピニオンの準備
私は今後の治療について、インターネットやがんサバイバーの方の書籍、同級生の医師からのアドバイスなどを通じて積極的に情報収集を行いました。現在通っている地元の総合病院は、受け入れている患者数に対して手術件数が非常に少なく、手術より化学療法を優先する傾向があるように感じていました。外科の医師に手術の可能性を尋ねたこともありましたが、遠隔転移があるため手術適応外だと断言されました。
本当にこの病院の治療方針で大丈夫なのかと不安もありました。調べていくうちに、ステージ4で遠隔転移がある場合は、国内トップクラスのがん専門病院に行ったとしても、まずは化学療法で腫瘍を縮小させることから始めることがわかりました。まずは現在のキイトルーダを併用した治療を続け、次のCT検査で腫瘍がどこまで小さくなったかを確認した上で、セカンドオピニオンを受けに行くことを検討しています。
がんになって生じた心境の変化と生き抜くことへの強い意志
今回の治療では、目立った見た目の変化はありません。ただ、副作用の影響で冷たい水に触れることができず、健康のために週に2回通っていた趣味のプールに行けなくなるなど、仕事以外にも日常生活には一部の制約が生じました。
このように身体的・生活的な変化を経験する一方で、それ以上に私にとって大きかったのは、内面に生じた心境の変化です。私は元々ストレスをためやすく、非常に気が小さくて心配性でした。しかし、ステージ4のがんを告知されるという大きな試練に直面してからは、逆に、日常の小さなことでくよくよと心配することがなくなりました。自分の命に関わる事態に比べれば、大抵のことは気にするほどではないと思えるようになったのです。
万が一に備えて家族のための経済的なシミュレーションを行うなど、最悪の事態を想定して準備する性格ではありますが、現在では、自分自身が長く生き続けることこそが家族にとって最大のリスクマネジメントになると考えるようになりました。些細なことには囚われず、前向きな気持ちで日々の治療に取り組んでいます。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
冷静に情報を集め、前向きな選択肢を探しましょう
ステージ4と診断されると、周囲から「もう助からない人」というレッテルを貼られたり、インターネット上のネガティブな情報に触れて落ち込んだりすることがあるかもしれません。しかし、現在の医療は進歩しており、ステージ4であってもさまざまな治療を組み合わせて克服している方が実際にいらっしゃいます。残された時間を数えて悲観するのではなく、わずかでも可能性を信じて、自分が今できることに前向きに取り組んでいく力を持ってほしいと思います。
経済的な不安は早めに整理して安心材料にしましょう
がん治療は身体的な負担だけでなく、仕事や経済的な不安も伴います。万が一の事態を想定することはつらいと思いますが、利用できる制度や保険、貯蓄などを計算し、家族の将来的な生活の目処を立てることは大きな安心につながります。不安を漠然と抱え込むのではなく、具体的な数字にしてシミュレーションを行うことで、心置きなく治療に専念できる環境を整えてみてください。
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