写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:ぴんくのリボンさん(ニックネーム)
年代:50代
性別:女性
家族構成:夫と子ども1人との3人暮らし
仕事:公務員
がんの種類:乳がん
診断時ステージ:ステージ0
診断年:2017年
現在の居住地:福岡県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
2017年12月、人間ドックでの指摘をきっかけに経過観察を続けていたぴんくのリボンさんはステージ0の乳がんと診断されました。2度の手術と5年間のホルモン療法を経験しましたが、長期の休職をすることなく仕事と治療を両立。その後、管理職への昇進を果たし、ご自身の経験を生かして後進が働きやすい環境づくりにも尽力されています。病気を特別なものとして過剰に恐れるのではなく、冷静な情報収集を通じてご自身の人生を切り拓いてきたこれまでの道のりについてお話しいただきました。
乳がん診断のきっかけは人間ドックでの石灰化の指摘
私が乳がんの可能性に気づくきっかけとなったのは、毎年受けていた人間ドックでした。2015年ごろの検査で、初めて乳房に石灰化の指摘を受けました。そのときは、冷静に対処しました。その後は半年に1回ほどの頻度でマンモグラフィ検査を受けながら、経過観察を続けていました。変化があったのは、それから2年ほど経った2017年の12月です。石灰化の範囲が少し広がっているため、生検をすることになり、少々動揺しました。その結果、がん細胞が見つかり、乳がんと診断されました。
がん細胞は乳管の中に留まっている非浸潤がんで、ステージ0でした。サブタイプがホルモン受容体陽性だったため、主治医からは抗がん剤治療の必要はないと言われ、まずは手術を行い、その後にホルモン療法を進めるという方針が決まりました。
私は昔から、がんに限らず病気というものは誰にでも起こり得るものだと考えていました。心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる重篤な病気は他にもたくさんあります。がんは数ある病気の中のひとつに過ぎないという認識を持っていたため、診断を受けた際も取り乱すことはなく、「がんであることがわかったから、次はどう対処すべきか」と極めて冷静に受け止めることができました。
セカンドオピニオンの活用と2度にわたる手術
主治医からは、乳房温存手術と全摘手術の両方が可能だと説明を受けました。私は当初、乳房温存手術と放射線治療を組み合わせる方法を希望していました。ただ、念のため自分がいま本当にステージ0の乳がんで間違いないのかを正確に把握したいと考え、乳腺科がある近くの有名な病院でセカンドオピニオンを受けました。その際、乳房温存手術ができるかどうかも改めて相談し、「乳房温存手術で大丈夫だろう」という見解を得たため、最初の予定通り乳房温存手術へ進むことに決めました。
最初の手術は5日間ほどの入院でした。しかし、退院の前日に出た病理検査の結果で、断端陽性であることがわかりました。がんは、乳管の中には想像以上に広がっており、部分的な切除ではがん細胞を取りきれていなかったのです。セカンドオピニオンを受けた際にも「ある程度広がっている可能性がある」と聞いていたため、この結果にはあまり疑問を抱かず、すぐに追加の手術を受け入れることができました。仕事の都合や手術室の空き状況を医師と相談し、最初の手術から1か月ほど経った後に改めて全摘手術を行いました。2回目の手術による入院期間は10日ほどでした。
休職を選ばずに両立させた仕事とホルモン療法
私は公務員として働いており、職場は休暇を取りやすい環境でした。最初の手術で5日間、2回目の手術で10日間の休みを取りましたが、長期の病気休暇などは取得せず、年次有給休暇の範囲内で対応しました。退院後はすぐに仕事へ復帰し、今まで通りに働くことができました。
全摘手術を行ったことで、当初予定していた放射線治療は不要になりました。その代わり、術後には再発を防ぐためのホルモン療法を5年間続けました。毎日タモキシフェンを服用していましたが、私には関節痛やホットフラッシュといった副作用がほとんど出ませんでした。そのため、治療中も仕事や日常生活に影響が出ることはなく、以前と変わらないペースで過ごすことができました。現在も定期的な経過観察は受けていますが、5年間の服薬期間を終えたあとは無治療の状態で過ごしています。
これまでに骨に影が映るなど、転移を疑うような出来事も何度かありましたが、その都度検査をして一つひとつ不安を潰してきました。見つかってもいないものに対して過度な不安を抱えないようにしています。
焦らずに考える乳房再建とこれからの向き合い方
全摘手術を受けた際、乳房の再建については同時再建という選択肢を取りませんでした。当時私が治療を受けた総合病院の外科には、同時再建を行う体制が整っていなかったためです。「治療が落ち着いた先のどこかのタイミングで、追加の再建(二次再建)ができればいい」と考え、まずはがんの治療を優先しました。
動きがあったのは、今から数年前のことです。私が定期的な経過観察のために通い続けていたその総合病院に、乳腺外科が新設されることになりました。そして、専門医としてそこに赴任されてきたのが、たまたま以前にセカンドオピニオンを受けた医師だったのです。
この思いがけない再会をきっかけに、私は乳房再建に向けた具体的な相談を始めることにしました。私はあまり体格が大きくないため、自家組織を使った再建では脂肪などの組織が十分に採れない可能性がありました。そのため、現在は先生と相談しながら、シリコンインプラントを使った再建を検討しています。保険適用になるインプラントのサイズや左右のバランス、あるいはパッドを活用する方法なども含め、通い慣れた病院で、信頼できる先生とともに自分にとって最適な方法をじっくりと探している最中です。
温泉に行く際、傷跡を気にしてタオルで隠しながら入ることに多少の抵抗感はありましたが、こうして焦らずに次のステップを考えられるようになったのも、治療がひと段落し、良い先生との巡り合わせがあったからだと感じています。
家族への配慮と職場へ適切な報告
がんと診断された際、夫にはすぐに伝えましたが、当時7歳だった子どもには本当の病名を伏せていました。早期発見であり、手術をすれば大事には至らない見通しだったことや、ホルモン療法による日常生活への影響も少なかったことから、わざわざ不安にさせる必要はないと判断しました。単に「少し手術のために入院してくる」とだけ伝え、子どもは今でも私ががんを経験したことを知りません。
職場での報告については、診断を受けた際、直属の上司や一部の同僚には包み隠さず状況を伝えて休暇を取得しました。男性が多い職場だったこともあり、職場全体に公表することはしませんでしたが、それは病気を隠したかったからではありません。頻繁に休みを取る必要がなく、仕事に支障が出なかったため、あえて広く知らせる必要性がなかったからです。
病気を隠さずに管理職へ挑戦し後進の道を切り拓く
がんを経験した後、私は管理職の試験を受けて昇進しました。その際、乳がん経験者である女性の先輩から「きちんと病気のことを報告して休むと出世に響くから、先に相談してくれれば上手な隠し方を教えたのに」と声をかけられました。その先輩は、かつて自身の病気を職場に隠し通して管理職へと登り詰めた方でした。
先輩の言葉は気遣いからのものでしたが、私は「病気を隠して出世する」という古い考え方とは戦おうと決意しました。職場に病気を隠すのではなく、上司に自分の状況を正しく伝えて休むべきときはきちんと休み、それでも正当に評価される環境を作らなければならないと感じたからです。
結果として、私は病気による不利益を被ることなく管理職に就くことができました。私が管理職としてこの経験を生かすことで、後に続く人たちが「がんになっても働き続けられる」と安心できるモデルケースになればという思いがありました。実際、2年ほど前には女性特有のがんになった部下から相談を受ける機会がありました。乳がんではなかったため、私なりにそのがんのことをいろいろ調べました。そのときは、専門家の意見を聞く術を持っていたため、勉強することができました。彼女に対しては、私自身の経験や勉強して得た情報を踏まえて「どの期間にどのような治療があり、どのような働き方ができるのか」を冷静に整理し、一緒に働き方を考えることができました。
がんに限らず、病気を抱えながらでも仕事を続けたいという意欲があるなら、働き方を変えたり部署を異動したりして、何らかの形で道を模索すべきだと思っています。私は仕事が好きで、これからも自分が働き続けることで、後進のための道を整えていきたいと考えています。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
正しい情報を集め、見えない不安に振り回されないようにしましょう
診断されたばかりのときは、「これからどうなるのか」「もっと悪くなったらどうしよう」と不安になるのは当然のことです。しかし、まだ起きていないことに対して過剰に悩んでも仕方がありません。まずはご自身の状況を冷静に受け止め、どのような選択肢があるのか、正しい情報を集めて道筋を考えることが大切です。事実に基づいた情報を集めることが、前に進むための第一歩になります。
疑問や不安がある場合はセカンドオピニオンを活用しましょう
主治医の説明だけでは不安が残る場合や、「本当にこの診断で間違いないのか」と疑問に思う場合は、ためらわずにセカンドオピニオンを活用してください。他の専門医の意見を聞くことで病状への理解が深まり、自分自身の不安を解消することができます。疑問をそのままにせず、納得して治療に向き合うための手段をもつことが重要です。
病気であっても仕事や人生の可能性を探る道を諦めないでください
がんになったからといって、仕事やこれからの人生をすべて諦める必要はありません。もちろん治療を最優先にすべき時期もありますが、仕事を続けたいという意欲があるなら、働き方を変えるなどして両立する道は探せます。ご自身の状況に合わせて、納得できる選択を重ねていってください。
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