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スキルス胃がんステージ4と診断された医学生、治療を続けながら医師を目指す日々

[公開日] 2026.06.25[最終更新日] 2026.06.23

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:梢さん(ニックネーム) 年代:20代 性別:男性 家族構成:母親と2人暮らし 仕事:大学生 がんの種類:胃がん(スキルス胃がん) 診断時ステージ:ステージ4 診断年:2024年 現在の居住地:非公開
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2024年5月、医学部で学ぶ20代の梢さんは、突然の体調不良からスキルス胃がんステージ4の診断を受けました。腹膜播種と腸閉塞を併発し、過酷な抗がん剤治療やストーマ造設、胃全摘手術などを乗り越えながらも、休学することなく医師を目指し勉強を続けています。若くしてがんと向き合うことになった葛藤や、治療と学生生活の両立、そして病床で直面した厳しい現実の中で見出した新たな価値観について、お話しいただきました。

胃の違和感から始まったスキルス胃がんステージ4の治療

私が医学部の2年生になったばかりの2024年5月、20歳のときにスキルス胃がんと診断されました。初期症状として思い返すと、食べる量が減ったことや、胃の違和感、不快感がありました。当時はそれほど気にしていませんでしたが、そのような状態が1か月から2か月ほど続いた後、極端に食事量が減り、激しい腹痛と嘔吐に襲われました。 最初は近くの小さめの総合病院を受診しました。さまざまな検査を受けましたが原因はわからず、少し大きめの総合病院を紹介されました。そこでも絶対安静で数日間点滴を受けて入院しましたが、明確な原因は特定できませんでした。退院後、再び激しい腹痛に襲われたため、入院していた総合病院の救急外来を受診しましたが、やはり原因不明のまま自分が通う大学の付属病院を紹介されました。 当時は1人暮らしをしており、激しい腹痛に耐えながら生活していました。実習中はなかなか抜け出すことができないため、休憩時間に人気のないトイレへ駆け込んで吐くなど、苦しい日々を送っていました。血液検査でも腫瘍マーカーは上がっておらず、年齢的にもがんを疑われにくかったため、レントゲンなどの所見だけでは原因がわからなかったのだと思います。 最終的に大学病院で内視鏡検査と生検を受けた結果、がん細胞が見つかり、スキルス胃がんであると告知されました。激しい腹痛や嘔吐といった症状が出てから約1か月後のことです。すでに腸閉塞の所見があることから腹膜播種があると判断され、ステージ4という診断が下されました。

抗がん剤治療と学業の両立

診断後、主治医からはがん治療を第一優先とし、学業を休んで治療に専念する休学の提案もありました。しかし、私にとって大学へ通うことは今まで当たり前の日常であり、急に休学することは考えられませんでした。やるならできるところまでやってやろうと思い、最初は1か月半ほど実習を休んで入院治療を行いましたが、退院後は外来通院での治療に切り替え、すぐに学校へ復帰しました。 初期の治療は、標準治療である抗がん剤のS-1とオキサリプラチンとニボルマブを併用するものでした。治療後5日間ほどは体が非常にだるく、特にオキサリプラチンによる冷感刺激や慢性的な手足のしびれなどの副作用がきつく出ました。それでも、体調が良いときには大学へ行き、勉強と治療の両立に努めました。 病気のことは、一緒に授業を受ける親しい友人や部活動の仲間など、限られた人にしか伝えていません。自分からがんであることを言うハードルが高かったことや、伝えた後に自分の印象が大きく変わってしまうのではないかという不安があったからです。大学側には、主治医が大学の教授であったこともあり、教授会などを通じて事情を説明してもらいました。実習と手術のための1か月の入院が重なった時期には、病室で課題をもらって提出するなど、特別な配慮をいただきながら単位を取得しました。

腸閉塞による緊急入院とストーマ造設から胃全摘手術までの経緯

2024年5月に標準治療を開始しましたが、その後も腸閉塞を何度も再発しました。腸閉塞を起こすたびに緊急入院となり、その間は抗がん剤治療を止めなければなりませんでした。治療を継続するためには対策が必要となり、2024年7月に腸閉塞で緊急入院した際、小腸ストーマ(人工肛門)を造設する手術を受けました。 また、ちょうどゾルベツキシマブが承認されたため、治療薬の変更も行いました。ニボルマブが効かずにがんが進行したのか、あるいは薬が効いて組織が線維化し、腸が細く硬くなってしまったのか判断が難しい状況でしたが、さらなる効果を期待してゾルベツキシマブへの変更を決断しました。 その後も、がんを完全に取り除くコンバージョン手術を目指して治療を続けていました。しかし、2025年に入るころから食事が喉を通らなくなり、飲んだ水さえもストーマから出ずに嘔吐してしまう状態が数か月続きました。当初は薬の副作用かと思っていましたが、休薬しても治らず、内科的処置でも改善が見込めませんでした。 本来のコンバージョン手術は腹膜播種がなくなってから行うものですが、栄養がまったく取れない状態を打開するため、食べられるようにすることを目的とした緩和的な意味合いでの外科的手術に踏み切りました。2025年6月に行われた手術では、原発巣である胃を全摘出し、腸閉塞を起こしていた横行結腸も切除しました。 胃全摘後の食生活には大きな不安がありました。しかし、私の場合はストーマがあることで食物の排出がスムーズになり、胃全摘後の患者さんがよく経験する腹部の膨満感などは想像以上に早く改善しました。術後数か月は母親が作ってくれた細かく刻んだ食事をゆっくり取ることを意識し、現在では一般的な少食程度の量は食べられるようになっています。ストーマからすぐに出てしまうため、栄養吸収が追いつかなかったり、脱水や貧血気味になったりすることもありますが、当初想像していたよりは順調に食生活を送れています。 手術で胃と横行結腸を切除しましたが、術後の腹水細胞診や切除した組織の断端からがん細胞が検出されたため、腹膜播種は残っている状態と判断されました。そのため、術後も体調や学業を考慮して、治療薬を変えながらも、現在も治療を継続しています。

がんを学ぶ医学生としての苦悩と新たに見つけた将来の目標

医学部を目指した当初は、高校1年生の冬にバスケットボールで前十字靭帯を断裂した経験から、自分を支えてくれた整形外科医や、スポーツ選手を支えるスポーツドクターになりたいと考えていました。高齢化が進む中で整形外科の需要が高いと感じていたことも理由のひとつです。 しかし、自分がスキルス胃がんになり、治療の現実を知る中で、将来の目標は大きく変わりました。大学の授業ではがんに関する講義を聞くこともあります。1年生のときは一般教養が中心で生検の意味すら知りませんでしたが、授業を通してがんの知識が増えることは、ステージ4のがん患者である私にとって非常に酷なことでした。最初はコンバージョン手術を目指して前向きに治療へ臨んでいましたが、授業や生活を通して厳しい現実がすり込まれていき、頑張ることに疲れてしまった時期もありました。 それでも2年間の闘病を経て、少しずつ「がんになった自分」を受け入れられるようになりました。体調が安定して学校に行ける日が増える中で、主治医と対話を重ね、自ら学会へ足を運んでがん治療の話を聞きに行くうちに、将来のことも考えられるようになりました。がんを受け入れた上で、自分がやりたいことを選べている感覚が芽生えてきたのです。もし医師になれるのであれば、がんの領域、特に消化器系のがん治療に携わりたいと今は考えています。私のように若くても、がんと共存しながら自分なりの生活を送り、目標に向かって進むことができるということを伝えていきたいです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方や、闘病しながら学生生活を送っている方へお伝えしたいことがあります。 変わらない日常を大切に過ごしてください がんに罹患すると日常は一変し、今後できなくなることばかりが増えるだろうと不安に思うかもしれません。私もそうでした。しかし闘病を通して、家族や友人、景色や記憶、趣味など、代わり映えしない日常が、実はかけがえのないものだと気づかされました。すべての方に、ご自身の周りにある変わらない日常を貴重なものとして、大切に過ごしていただきたいです。 医師と対話し、納得した上で選択をしてください 私はこれまでさまざまな治療を経験し、うまくいかないこともありましたが、後悔したことは一度もありません。それは、疑問があれば質問し、主治医や看護師と対話を重ねて、自分自身が納得した上で治療法を選択してきたからです。医師と患者が互いに理解し合うためには、どうしてもずれが生じます。だからこそ、不安なことはしっかりと伝え、自分自身も病気について理解しようとする姿勢が大切です。 その時のありのままの自分を受け入れてください 闘病中は体調や環境の変化に振り回され、深く考えすぎてつらくなることが山ほどあります。そのような時は、今のありのままの自分を認識し、「どう考えれば今の自分が生きやすいか」を自分なりに探してみてください。無理をする必要はありません。ご自身にとって生きやすい解釈を見つけることが、これからの自分を支える力になります。そして、病気を理由に自分のやりたい目標や夢を諦めず、その思いをどうか捨てずに持ち続けてください。

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