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前立腺がんステージ3、想定外に速い進行でも新たな治療法を期待して一日一日を過ごす日々

[公開日] 2026.06.25[最終更新日] 2026.06.23

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:おーさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:男性 家族構成:妻と2人暮らし 仕事:休職中(診断時は会社員) がんの種類:前立腺がん 診断時ステージ:ステージ3 診断年:2022年 現在の居住地:神奈川県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2022年、おーさんは健康診断をきっかけに前立腺がんと診断されました。初期治療としてホルモン療法と手術を受けるものの、がんは想定以上のスピードで進行し、骨転移しました。予期せぬ長期入院や仕事での葛藤、そして深まる精神的な落ち込みをどのように受け止め、現在の日々を過ごしているのか。病気の発覚から現在に至るまでの率直な思いをお話しいただきました。

健康診断で指摘されたPSA値の異常

2022年の11月、私は会社の健康診断で前立腺がんの疑いを指摘されました。50歳を過ぎてから定期的にPSA(前立腺特異抗原)の数値を測る血液検査を受けていたのですが、その年のPSA値が21.0ng/mLという高い数値になっていたのです。実は前年の検査でもPSA値は7.0ng/mL程度あり、基準値を上回っていました。しかし、その時は精密検査を受けたものの「年齢的なものではないか」と言われ、そのまま経過観察となっていました。それからわずか1年で数値が大きく跳ね上がったことになります。 検査結果を受け、私は自宅近くの泌尿器科クリニックを受診しました。そこで触診を受け、さらに別の連携施設でMRI検査を行いました。その後、再びクリニックに戻り、日帰りで前立腺の生検を受けました。12本ほどの組織を採取したと記憶していますが、その半分以上からがん細胞が見つかりました。 診断結果は、前立腺がんのステージ3でした。悪性度を示すグリソンスコアは4+5の9で、この数値は悪性度が極めて高いことを意味しており、非常にたちの悪いがんであることがわかりました。

がん専門病院への紹介とホルモン療法の開始

確定診断を受けたクリニックの医師からは「大きい病院で治療をしてください」と告げられ、がん専門病院を紹介されました。その病院は自宅からはかなり遠い場所にありましたが、クリニックの医師の先輩にあたる医師がいるとのことで、「サクッと切っておいで。遠いけれど腕はいいから」と言われ、紹介されるがままにそのがん専門病院で治療を開始することに決めました。 しかし、がん専門病院で告げられたのは、すぐには手術ができないという事実でした。がんが進行していたため、まずはホルモン療法を行ってPSAの数値をしっかり下げてからでないと、手術は難しいという判断でした。 そこから約1年間にわたるホルモン療法が始まりました。最初は注射薬のゴナックスだけでしたが、一度下がった数値が再び上がり始めたため、カソデックスという別の薬を追加し、さらにその半年後には、注射薬をリュープリンに変更することになりました。副作用として、突然汗をかいては寒くなるホットフラッシュや軽いむくみ、疲れやすさなどの症状が出ました。服を着たり脱いだりして体温調節をしながら、なんとか仕事を続けていました。1年ほど治療を続けた結果、PSA値は0.02 ng/mLまで下がり、ようやく手術が可能な状態になりました。

手術の決断と合併症による予期せぬ長期入院

手術が可能になった段階で、私は迷わず手術を受けることを選びました。理由は2つありました。1つは、当時はまだ仕事を続けていたため、10日程度の入院で治療を一区切りさせ、早く仕事に復帰したかったからです。もう1つは、もし将来的に再発したとしても、先に手術して前立腺を切除しておけば、後から放射線治療を追加できると考えたからです。 手術は前立腺の全摘出に加え、周囲のリンパ節も広範囲に切除するものでした。手術自体は問題なく終わりましたが、その後が大変でした。性機能は失われましたし、術後の尿漏れも半年ほど続きました。 さらに想定外だったのは、術後に敗血症などを併発してしまったことです。その治療のためにさらに入院期間が延び、トータルで2か月間も病院で過ごすことになりました。当初は10日ほどで退院できると考えて有給休暇を申請していたのですが、すべての有給休暇を使い切るほどの長丁場となってしまいました。

職場への報告と生じてしまった仕事上の葛藤

がんの治療を始めるにあたり、私は早い段階で職場の上司に病気のことを相談していました。上司からの提案もあり、一緒に働くチームのメンバーにも自分の病状や治療について伝えました。周囲に事情を理解してもらったうえで、治療と仕事を両立していこうと考えていたからです。 しかし、結果としてこの報告が自分の評価にどのような影響を与えたのか、複雑な思いを抱えることになりました。2か月という長期の休みを取った際、その時期の評価が厳しくなったように感じたからです。がんであることを申告し、実際に休んだことで、仕事上の不利益を被ってしまったのではないかという疑念が拭えませんでした。当時は有給休暇の範囲内で休んでおり、傷病手当金をもらって休職するなどの制度は利用していませんでした。手術をして病状が収まれば、また元通りに働き続けられるだろうと、それほど深刻には考えていなかったのです。

想定外の早期再発とホルモン剤の変更

なんとか入院生活を乗り越え、尿漏れなどの後遺症も半年ほどで落ち着き、職場にも復帰しました。しかし、安心したのも束の間、手術から1年も経たないうちにPSA値が再び上昇し始めました。検査の結果、骨盤周辺の骨に1か所、がんの転移が見つかったのです。 この骨転移に対しては、外部からの放射線照射による治療を行いました。痛みを和らげるための緩和照射ではなく、がんそのものを叩くための治療でした。幸い、骨転移による痛みは出ていません。 しかし、がんの進行は止まりませんでした。術後に行っていたリュープリンとカソデックスによるホルモン剤が効かなくなり、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる状態に移行してしまいました。そこで、新たな治療薬としてイクスタンジに変更しました。新しい薬は、約10か月間は効果を示してくれましたが、2025年になる前にはそれも効かなくなってしまいました。、 その後、次の治療としてザイティガへの変更など複数の選択肢を提案されました。しかし、ザイティガは直前まで使っていた薬との交差耐性から効果が厳しいかもしれないとの説明もあり、最終的に私は提案された中から治験に参加することを選びました。現在もその治験に参加中です。

進行の速さに対する戸惑いとメンタルケアの必要性

がんの診断を受けてから、私は自分なりに論文や公的機関の情報を調べ、病気に関する知識を集めてきました。前立腺がんは一般的に進行が遅く、ステージ3であっても5年生存率はかなり高いといった情報も目にしていました。 だからこそ、自分の病状の進行の速さには強い戸惑いを感じました。「なぜ自分だけがこんなに早く進行して、ステージ4の状態まで悪化してしまうのか」「5年を待たずに命を落とすことになるかもしれない」という恐怖が常に付きまとうようになりました。 次々と薬が効かなくなり、大きな転移が見つかったことで、「もう無理なのかもしれない」と精神的に大きく追い詰められました。働く意欲も湧かなくなり、行動範囲も極端に狭くなりました。最終的にメンタルバランスを崩し、現在は会社を休職しています。 心のケアが必要だと感じ、がん専門病院内にある精神腫瘍科を受診しました。現在はドグマチールという薬を処方してもらいながら、並行してカウンセリングも受けています。カウンセラーの方につらいことや話したいことを聞いてもらうことで、少しだけ気持ちが楽になる瞬間があります。

患者会での気づきと現在の治療状況

病気との向き合い方を模索する中で、SNSやオンライン、オフラインの患者会にも参加するようになりました。そこで気づいたのは、自分に合ったコミュニティを見つけることの難しさでした。 前立腺がんの患者会にも参加しましたが、そこで交わされるのは「尿漏れが続く」「性機能障害が起こった」といった、治療が一段落して状態が安定している方の悩みが多く見受けられました。すでにその段階を通り越し、いくつもの薬の変更を迫られている私にとっては、求める情報とは異なり、逆に疎外感やつらさを感じてしまうこともありました。 一方で、がん種を問わない一般的ながん患者会の方が、お互いの不安や率直な気持ちを共有でき、心の癒しにつながっていると感じています。現在の私は休職中ということもあり、行動範囲は狭くなっていますが、こうしたコミュニティの存在に助けられています。治療の選択肢が限られていく中でも、新たな治療法に期待感を持ちながら一日一日を過ごしています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、前立腺がんと向き合っている方や、これから検査を受ける方にお伝えしたいことがあります。 50歳を過ぎたら定期的なPSA検査を受けてください 前立腺がんは、血液検査でPSAという腫瘍マーカーを調べることで早期発見につながる病気です。50歳になったらできるだけ定期的にこの検査を受けてほしいと思います。早期に見つけて対処すれば、十分に治療が可能なはずです。健康診断の項目にない場合は、ご自身で追加してでも検査を受けてください。 自分の状況に合った患者会や居場所を見つけてください がんになると、不安や孤独を感じることが多くなります。そんな時は患者会やコミュニティに参加してみるのもひとつの手です。ただし、同じがん種だからといって、必ずしも自分と同じ進行度や悩みを抱えているとは限りません。治療の段階が違う人の話を聞くことが、逆につらくなることもあります。がんの種類にこだわらず、自分の今の素直な気持ちを吐き出せる、居心地の良い場所を探すことが心の負担を軽くしてくれます。 インターネットの情報だけにとらわれず心のケアを大切にしてください 前立腺がんでも、私のように想定より早く進行するケースもあります。インターネット上の生存率などのデータと自分の現実のギャップに苦しみ、精神的に追い詰められることがありました。不安が大きくなったときは一人で抱え込まず、病院の精神腫瘍科やカウンセリングなどを頼り、心のケアを大切にしながら治療を進めてください。

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