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慢性骨髄性白血病とともに生きる、治療中の妊娠・出産を経て見つけた変わらない日常

[公開日] 2026.06.23[最終更新日] 2026.06.22

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:Y.Yさん(ニックネーム) 年代:40代 性別:女性 家族構成:夫、子ども2人 仕事:会社員 がんの種類:慢性骨髄性白血病 診断時ステージ:- 診断年:2020年 現在の居住地:兵庫県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2020年、会社の定期健康診断をきっかけに慢性骨髄性白血病と診断されたY.Yさん。ご自身の疾患や治療法について冷静に学び、分子標的薬による治療を続けながら、治療開始から約1年後には第2子の妊娠・出産という大きな決断も経験されました。現在は、子育てしながら、仕事と治療を両立しています。「かわいそうと思われたくない」「生活習慣病で薬を飲むのと同じ」と語るY.Yさんに、診断当時の状況やご家族への思い、そして病気との向き合い方についてお話しいただきました。

健康診断での異常値から突然の呼び出し

2020年2月12日、会社の定期健康診断を受けました。毎年1回は受けている一般的な健診でしたが、今回は少し様子が違いました。検査後、かなり早い段階で健診センターから電話がかかってきたのです。「白血球と血小板の数値が異常に高いので、すぐに病院へ行ってください」という内容でした。これまで健康に過ごしてきた私にとって、思いがけない連絡でした。予定などを調整し、2月27日に健診センターの大元である地域の大きな総合病院の血液内科を受診しました。 そこで再度血液検査を行いましたが、医師からはその日のうちに「おそらく慢性骨髄性白血病だろう」と告げられました。確定診断には遺伝子検査が必要で、その結果が出るまでに1週間ほどかかるとのことでした。血液のがんと言われてもすぐには実感が湧かず、ひとまず自宅へ戻り、1週間後の検査結果を待つことになりました。そして3月に入り、遺伝子検査の結果、BCR-ABL融合遺伝子が見つかり、慢性骨髄性白血病の確定診断を受けました。

コロナ禍での入院治療と職場への報告

診断がついた後、すぐに治療を開始することになりました。最初は薬の副作用が強く出る可能性があるため、様子を見る目的で1週間ほど入院するようにと医師から指示がありました。入院時には、骨髄の状態を詳しく調べるために骨髄検査も受けました。 自分自身ががんであるという事実をすぐには受け入れられなかったこともあり、職場では直属の上司にだけ病状を報告しました。ちょうど新型コロナウイルスの影響で、世の中的にも在宅勤務が始まりかけていた時期でした。「入院中も、体調に問題がなければ病院からパソコンをつないで仕事をします」と上司に伝え、幸いにも理解を得ることができました。 最初に使用したスプリセルという薬については、強い副作用を警戒していましたが、私の場合は肌荒れがひどくなった程度でした。恐れていたような体調不良はまったくなく、退院後も病気になる前と変わらず、正社員としてフルタイムで働き続けることができました。

予期せぬ妊娠と、治療方針の大きな決断

薬を服用しながら順調に日常生活を送っていた約8~9か月後、思いがけないことが起きました。第2子の妊娠が発覚したのです。当時は妊娠を想定しておらず、主治医にもそのような希望は伝えていませんでした。服用していたスプリセルには催奇形性のリスクがあると言われており、妊娠を継続するかどうかは非常に難しい選択でした。 私は医療関連の企業で働いていることもあり、疾患や薬に関する情報はある程度自分で調べ、理解するための基礎知識がありました。夫に相談すると、「自分が納得できる道を選べばいいよ。どちらでも見守るから」と言ってくれました。私自身、「せっかく授かった命だから、できるところまではやってみよう。最初から諦めたくはない」という思いが強かったため、妊娠を継続する決断をしました。 妊娠が発覚した時点で薬の服用は即座に中止しました。そして、産科の体制がしっかりと整っている別の総合病院へと転院し、産科と血液内科が密に連携を取りながら妊娠期間を過ごすことになりました。

不安を抱えながらも無事に出産

転院後は毎月血液内科で採血をおこない、慢性骨髄性白血病の経過を慎重に観察しました。薬をやめたことで、やはり少しずつ数値が上がってきてしまい、遺伝子の数値が0.1%を超えた段階で、胎児への影響が比較的少ないとされるインターフェロンの治療を開始することになりました。数か月間、自分でインターフェロンの注射を打つ日々が続きました。 一番心配だったのは、妊娠初期に飲んでいた薬がお腹の赤ちゃんに影響していないかということでした。産科の先生にもその不安は強く伝えており、妊娠20週のときには超音波(エコー)検査で非常に細かく確認していただきました。指の数など、エコーだけではわからない細かな部分への不安はゼロではありませんでしたが、「まずは無事に産むことが一番だ」と自分に言い聞かせていました。 そして2021年8月、無事に出産の日を迎えることができました。比較的安産で、生まれてきた子どもにも特に異常やトラブルはなく、元気な産声を聞いたときは本当にほっとしました。大きなリスクを伴う決断でしたが、自分の意志を貫いて無事に出産できたことは、私にとって非常に大きな喜びでした。

薬の変更と、毎朝の副作用との付き合い方

出産後、血液内科での治療が本格的に再開されました。新しい主治医の判断により、今度はボシュリフという薬を服用することになりました。以前の薬が合わなかったわけではないのですが、現在はボシュリフでの治療を続けています。 このボシュリフですが、私には下痢の副作用が強く出ています。毎日夜の就寝前に薬を飲むのですが、早朝5時ごろになると決まってお腹が痛くなり、ひどい下痢をしてしまうのです。下痢止めも処方されたのですが、無理に止めるとなんだか体がしんどくなってしまうため、今は「溜めずに出してしまう方が楽だ」と割り切り、下痢止めの処方をやめてもらいました。 外出時は常に駆け込めるトイレの場所を気にするようになりましたが、毎朝の腹痛以外は至って健康です。月に1回ほど、お腹が痛くならない日があると、逆に「昨日、薬を飲み忘れたかな?」と不安になって薬のシートを確認しに行ってしまうほど、この副作用も私の日常の一部として定着しています。

子どもたちへの思いと、今後の生きる目標

病気がわかった当時、上の子は10歳でした。私が入院することになった際にも、子どもにはきちんと病気の説明をしました。私自身が薬の知識を持ち、「この薬を飲み続ければ大丈夫だ」と理解していたため、落ち着いてわかりやすく伝えることができました。子どもも、私が深刻な状態だとは微塵も思っていないはずです。 がんになる前は、先の人生設計などを深く考えず、なんとなく楽しいことをして生きていました。しかし、病気になり、命がけで下の子を出産したことで、私の心境には明確な変化が生まれました。「下の子が成人するまでは、絶対に生きていたい」という、強い生きる目標ができたのです。 今は、いつか薬が効かなくなって再発してしまうことが一番の不安です。休薬に挑戦するという選択肢もあるようですが、私は飲めるうちはずっと飲み続けたいと思っています。薬を飲んでいる方が安心できますし、確実な治療を継続することが、子どもたちの成長を見守るための最善の方法だと信じています。

白血病を特別視せず、変わらない日常を

現在も週に1回の出社以外は在宅勤務を中心とした働き方をしており、仕事も家庭生活も病気前とほとんど変わらず過ごせています。自分が本当にがん患者なのかと疑うほど元気な日もあります。ただ、世間一般的に「白血病=不治の病、悲劇」という過去のイメージが根強く残っていることは感じています。知識のない人に話して「白血病なの?かわいそう」と同情されるのが嫌で、病気のことは本当に親しいごく一部の友人にしか話していません。 高血圧や糖尿病の人が毎日薬を飲んだり注射をしたりするのと同じように、私も病気を抑えるために毎日薬を飲んでいます。病気そのものを心から受け入れているのかは自分でもわかりませんが、約6年間にわたり、薬を飲みながら元気に生活できているこの「日常」の積み重ねが、私にとっての病気の受け入れ方なのだと思います。これからも、医療の力を借りながら、私らしい日々を淡々と紡いでいきたいです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方や告知を受けたばかりの方にお伝えしたいことがあります。 ご自身で調べ、納得できる選択をしてください 医療は日々進化しており、自分自身でさまざまな情報を調べることができる時代です。もちろん主治医を信頼し、指示に従うことは基本ですが、妊娠・出産などの大きな決断を迫られたときは、自ら情報を集め、多角的に考えることも大切です。周囲の意見を聞きつつも、最終的にはご自身が心から納得できる道を選ぶことが、後悔のない治療や人生につながっていくと私は信じています。 特別視せず、自分らしい日常を大切にしてください がんと診断されたからといって、すべてを悲観したり、これまでの人生を諦めたりする必要はありません。私のように、副作用と折り合いをつけながら、仕事や子育てを楽しみ、変わらない日常を送り続けている患者もいます。病気を過剰に特別視せず、ご自身の体調と向き合いながら、無理のない範囲で当たり前の日常を楽しむ心を忘れないでほしいと願っています。

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