写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:三好龍彦さん(本名)
年代:50代
性別:男性
家族構成:妻と子ども2人との4人暮らし
仕事:会社員
がんの種類:肺がん
診断時ステージ:ステージ4
診断年:2015年
現在の居住地:東京都(診断時は福井県)
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
プロフィール
2015年9月、三好龍彦さんは会社の健康診断をきっかけにステージ4の肺がんと診断されました。総合病院で抗がん剤治療を開始した後、より専門的な医療環境を求めてがんセンターでセカンドオピニオンを受けました。それを機に転勤して治療を継続するなか、がんセンターの主治医による自発的な遺伝子検査によってRET融合遺伝子が見つかりました。RET融合遺伝子を対象とした治験を実施しているがん専門病院へ転院し治験に参加。現在は、2回目の治験後に承認された薬剤による治療を受けながら働き続けています。診断から10年以上が経過した今も、がんと共に生きる日常についてお話しいただきました。
健康診断での異常の指摘から肺がんステージ4の確定診断まで
2015年当時、私は福井県で会社員として働いていました。年に1回受けている会社の健康診断があり、指定の医療機関で検査を受けていました。その検査で胸部のX線画像に影があるため、精密検査を受けるようにと言われました。私自身は咳や息苦しさなどの自覚症状がまったくなかったため、思いがけない指摘でした。
健康診断を受けた総合病院の呼吸器科で、CT検査やMRI検査、PET-CT検査、生検などを行いました。その結果、左肺の中央くらいと下の方の2か所に腫瘍があることがわかりました。さらに、肺の周囲に胸水がたまっていることもわかりました。
医師からは、非小細胞肺がんのステージ4であると告げられました。その告知は妻と一緒に2人で聞きました。私から直接子どもたちにがんのことを伝えた記憶はなく、おそらく妻から伝えたのだと思います。ステージ4と聞き、長くて3年くらいしか生きられないと思いましたが、特に取り乱すようなことはなく、ただ淡々と現実を受け止めました。
総合病院での標準的な抗がん剤治療と副作用
診断を受けてからほどなくして、同じ総合病院で最初の治療が始まりました。2015年10月から翌年の3月くらいまで、アリムタ、カルボプラチン、アバスチンを用いた抗がん剤治療を行いました。非小細胞肺がんの治療では遺伝子検査が行われることがありますが、当時、調べられたのは2つのメジャーな遺伝子変異のみでした。他の遺伝子変異までは調べておらず、その時点では遺伝子変異は見つかりませんでした。
この抗がん剤治療の期間中は、とにかく体が重くだるくてつらかったです。しかし、仕事がまったくできない状態ではなかったため、会社を休職することなく働き続けました。治療中も通常通り出勤し、仕事をこなしていました。半年間の治療の効果については、腫瘍が劇的に小さくなったかどうかはわかりませんが、それほど大きくはなっていなかったと思います。病状が増悪していくようなことはなく、一定の状態を維持できていました。
専門的な治療を求めたセカンドオピニオンと東京への転勤
治療を続ける一方で、私はより専門的な病院で診てもらいたいと考えるようになりました。そこで、東京にあるがんセンターを受診し、セカンドオピニオンを受けました。がんセンターを選んだのは、専門的で有名な病院の意見を聞きたいと考えたからです。セカンドオピニオンでの医師の見解は、現在受けている治療は妥当であるというものでした。また、東京に来て治療を行う場合でも、しばらくは同じ治療をやっていく方針になると説明を受けました。
この結果を受け、私は東京のがんセンターで治療を続けたいと考えました。そこで会社に対し、東京で治療をしたいという事情を説明し、転勤させてほしいと申し出ました。会社は私の要望を受け入れてくれました。こうして私は、働きながら治療を続けるために東京へ引っ越しました。
がんセンターでの詳しい遺伝子検査とRET融合遺伝子の発見
東京へ転勤した後、がんセンターに転院し治療を継続しました。医師からの説明通り、しばらくは以前の病院で行っていたのと同じ抗がん剤治療を続けていました。
その後、がんセンターの主治医が、私が以前の病院で治療前に採取していた細胞の検体を取り寄せ、遺伝子パネル検査を実施してくれました。当時はまだそうした検査が広く行われていない時期でしたが、この検査によって私の肺がんにはRET融合遺伝子があることが新たに判明しました。
治験を受けられる可能性が出てきましたが、がんセンターではそのRET融合遺伝子を対象とした治験を実施していませんでした。そのため、主治医から、都内にあるがん専門病院で該当する治験を行っているからそちらに転院した方がいいと勧められました。私は新しい薬の可能性に懸けるため、がん専門病院へ転院することにしました。
がん専門病院での生検と治験参加条件を満たすための無治療期間
がん専門病院へ移り、治験に参加するための準備に入りました。しかし、以前採取した細胞の検体では状態が適合せず、新たに生検を受ける必要がありました。この生検を兼ねて、左肺の下の方にあった腫瘍を手術で切除してもらいました。これにより、原発巣は左肺中央付近の1か所のみとなりました。
生検の結果、RET融合遺伝子が確認でき、治験に参加できることになりましたが、もうひとつ条件がありました。治験の参加条件として、現在の状態からがんが増悪しなければ新しい薬を投与できないのです。疑問を感じる部分はありましたが、参加条件である以上、それに従うしかありませんでした。
2016年の秋ごろ、新たに肝臓への転移が見つかりました。これにより「がんが増悪した」という条件を満たし、治験を開始することができました。
1回目の治験参加と経口薬がもたらしたメリット
治験薬を使用することに対する不安や迷いは全くありませんでした。以前の抗がん剤治療の副作用がきつかったこともあり、副作用が少なくて効果がありそうな新しい薬の可能性に懸けてみたいという気持ちで参加を決めました。
治験に参加して大変だったことは、少し体のだるさがあることくらいでした。それよりも、薬の形態が経口薬であったことが生活において非常に大きかったです。点滴治療のように病院で何時間も拘束されることがなく、服薬するだけなので随分と楽でした。仕事をしながら社会生活を送る上で、拘束時間が短いことはとても重要です。
また、治験期間中は薬代がかからないため、費用面でも大いに助かりました。治験コーディネーターからの説明もありましたが、事前にインターネットで調べていたため、わからないことは特になく、純粋に新しい薬の治療をしているという感覚で臨んでいました。
薬剤耐性の出現と途切れることなく続いた2回目の治験
治験薬の効果はすぐにあらわれ、がんは落ち着いた状態を維持できました。しかし、2年ほど経ったころに薬剤耐性が生じ、1回目の治験薬は効かなくなって中止となりました。幸いにも、ちょうどそのタイミングで、同じRET融合遺伝子を対象とした別の治験が行われており、幸運にもすぐその2回目の治験に参加することができました。
この2つ目の治験薬も効果を発揮し、薬剤耐性が生じることもありませんでした。画像検査を定期的に受けていますが、がんの増悪はありません。肝臓の転移については、現在はCT検査の画像上ではまったくわからないレベルになっています。長期間の服薬による副作用で腎機能が低下しているため、造影剤を入れた詳しい検査はできず、確実なことはわからないようですが、医師からは画像上は見えない状態だと言われています。左肺に残っている原発巣も、13mmの大きさのまま7年以上変化していません。
治験薬の承認とがんと共に淡々と過ごす現在の日常
現在、私が参加していた2回目の治験薬は正式に承認され、保険適用となりました。そのため、現在は治験としてではなく保険診療として薬を処方してもらっています。
肺がんの診断から10年以上が経過しました。がんになったことで生活が変わったことや、できなくなったこと、あるいは新しく始めたことは特にありません。一旦は、死と向き合ったことで、時間に関する考え方や覚悟は変わったと思いますが、それ以外は以前と変わらず普通の日常を送っています。
今後、今の薬が効かなくなったときにどうするかは、その時になってから考えます。ただ、昔使っていた副作用のきつい抗がん剤には戻りたくないと考えています。また、今現在の薬が効いている以上、ただ淡々と日々の仕事をこなし、変わらぬ日常を過ごしていくつもりです。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
遺伝子パネル検査は積極的に受けるべきです
私の場合、最初の診断時は10年以上前だったこともあり、限られた遺伝子変異しか調べられていませんでした。その後の詳しい検査でRET融合遺伝子が見つかりましたが、希少な遺伝子変異を持つ方も一定数いらっしゃいます。最初に見つからなかったからと諦めるのではなく、対象となる薬の可能性を探るためにも、遺伝子パネル検査は受けた方がよいと考えます。
治験という新しい治療を選択肢に入れてみてください
治験は未承認の薬を使うため、不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、がん治療の研究は進んでおり、新しい薬は次々と開発されています。私自身、治験に参加したことで自分に合う薬に出会うことができ、10年以上生きることができています。可能性に懸け、新しい治療法を自らの選択肢として検討してみてください。
経口薬は働きながら治療を続ける上で重要です
点滴の抗がん剤治療は、病院に通って何時間も拘束されるため、仕事をしながら続けるには負担が大きくなります。しかし、経口薬であれば拘束時間がないため、日常生活や仕事への影響を大幅に減らすことができます。がんになっても今の仕事を辞めず、社会の中で働き続けながら治療を行うために、生活の質を保てる薬を選ぶことも大切だと思います。
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