写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:ミッチィさん(ニックネーム)
年代:70代
性別:女性
家族構成:夫と2人暮らし
仕事:無職(診断時は:百貨店勤務)
がんの種類:膵臓がん
診断時ステージ:ステージ2B
診断年:2021年
現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
2021年、66歳のときに膵臓がんの診断を受けたミッチィさん。長年勤めた百貨店の定年退職を目前に控えた時期に、人間ドックで膵臓がんの可能性を指摘されました。その後、がんセンターでステージ2Bの確定診断を経て、術前化学療法、手術、術後補助化学療法、そして再発に伴う抗がん剤治療を現在も継続しています。治療に伴う副作用や生活環境の変化、そして将来に向けた治験の検討など、これまでの5年間の経過と日々の生活の工夫についてお話しいただきました。
60歳から受け始めた人間ドックで指摘された膵臓がんの可能性
私は長年、百貨店に勤務していました。自宅からバスで20分ほどの距離を通い、2021年3月末には定年退職を迎える予定でした。59歳までは会社の一般的な健康診断のみを受けていましたが、60歳からは日帰りの人間ドックを毎年受診するようにしていました。66歳の誕生日を目前に控えた2021年1月、検診専門のクリニックで6回目の人間ドックを受診しました。その結果、通常よりも早く検査結果の通知が届き、腹部の超音波(エコー)検査で膵臓に8mmの腫瘍が見つかったことがわかりました。
精密検査を受けるため、2月に総合病院を受診しました。腫瘍が8mmと小さかったため、組織を採取する生検はうまくいきませんでしたが、医師からはがんである可能性が極めて高いと告げられました。私はがんであれば、がんセンターで治療を受けたいと考えていたため、確定診断が出る前でしたが紹介状を作成してもらい、がんセンターを受診することにしました。
がんセンターでの治療方針の決定と術前化学療法
3月3日、紹介状を持ってがんセンターを受診しました。検査の結果、他の臓器への転移はなく、病期はステージ2Bの膵臓がんであると診断されました。すぐに手術ができる状態ではなく、切除可能境界という段階であったため、まずは抗がん剤治療を行って腫瘍を小さくしてから手術の可否を判断することになりました。使用した抗がん剤はゲムシタビンとナブパクリタキセルの2種類です。
治療を開始するにあたり、担当医から副作用で脱毛が起こる可能性が高いという説明を受けました。少しずつ髪が抜けていくことにショックを受けるよりも、最初から短い状態にしておいた方がよいという娘からの助言もあり、娘とバリカンを購入し、自宅で頭を丸めました。同時にウィッグも購入しましたが、実際には帽子をかぶって過ごすことが多く、ほとんど使いませんでした。
この術前化学療法では、その他の強い副作用が出なかったため、百貨店で働きながら治療をしていました。普段通りに仕事をして元気な状態であったため、周囲の同僚たちは私が膵臓がんの診断を受けたことを聞いて非常に驚いていました。脱毛が始まるころには、有給休暇をいただき3月末の定年退職を迎えました。
膵頭十二指腸切除術とコロナ禍での入院生活
術前化学療法の結果、腫瘍が縮小して手術が可能と判断され、5月28日に膵頭十二指腸切除術を受けました。この手術で膵臓の2/3を切除しました。
入院期間は当初3週間の予定でした。しかし、当時は新型コロナウイルスの感染拡大期であったため、面会は完全に禁止されており、手術当日の立ち会いも家族一人のみに制限されていました。一人で過ごす時間が長く、誰とも面会できない状況で気力が低下してしまいました。そのため、少しでも早く自宅に帰りたいという思いが強くなり、結果的に予定より早い2週間で退院することになりました。
S-1の副作用と長男家族のもとでの療養
退院後の7月からは、再発予防を目的としてS-1の服用を開始しました。この薬の副作用は非常に強く、食欲不振により食事が全くできなくなりました。体重は10kgほど減少し、40kg台まで落ち込みました。
当時、私は60歳のときに再婚した夫と生活していましたが、夫は70歳まで仕事をしており日中は不在でした。男性に食事の準備などの負担をかけることを懸念し、私が60歳まで長男と住んでいた家に身を寄せることにしました。長男の家には息子夫婦と孫2人がおり、私の部屋もそのまま残されていました。
療養中はほとんど寝たきりの状態でした。お嫁さんがさまざまな食事を用意してくれましたが食べることができず、「みんなが食べているもので、食べられそうなものを食べるから気にしないで」と伝え、毎日をしのぎました。そのような状況でも、起きて部屋から出たときに孫の顔を見ることが心の支えになりました。長男の家には約1年間滞在し、体力が回復するのを待ちました。
疾患に対する認識の変化と友人の死
がんの告知を受けた当初、私は膵臓がんに関する知識がほとんどなく、仕事をしながら日常生活を送れていたこともあり、大きな精神的ショックを受けることはありませんでした。しかし、治療が進むにつれて自身で病気について調べるようになり、膵臓がんの5年生存率の低さや、手術の難易度を知りました。知識が増えることで、後から病気に対する不安を感じるようになりました。
また、30年来の付き合いがある友人も、私の後に膵臓がんの診断を受けました。彼女の手術は4時間半ほどで終了し、無事に回復したと思っていましたが、昨年(2025年)亡くなりました。この経験からも、自身が受けている治療の重みと、現在の状態を維持できていることのありがたさを実感しています。
術後3年目での局所再発と抗がん剤治療の再開
手術から3年が経過した2024年、通院の間隔を3か月に1回から6か月に1回に延ばせると担当医から言われていた矢先に、腫瘍マーカー(CA19-9)の数値が上昇しました。検査の結果、残っていた膵臓の部分にがんの再発が確認されました。膵臓がんは術後3年から5年の間に再発する事例が多いという説明を受けました。
再発後は手術の適応とならないため、担当が外科から内科の医師に変更となりました。治療法については、3年前に使用して副作用が少なく効果があったゲムシタビンとナブパクリタキセルの投与を再開しました。この治療を約1年半受けました。
NAPOLI療法への変更と副作用への対処
治療を続けていましたが、再び腫瘍マーカーが上昇し、数値が190U/mLに達しました。現在の医師から薬の変更を提案され、2025年9月末に入院して「NAPOLI療法」という3種類の抗がん剤(イリノテカン リポソーム、フルオロウラシル、ロイコボリン)を用いる治療に切り替えました。
このうちの1種類であるフルオロウラシルは46時間の持続点滴が必要となるため、鎖骨の下にCVポートを埋め込みました。病院で点滴を開始し、自宅に帰ってから3日間ほど点滴をぶら下げた状態で生活しています。この治療に変更してから腫瘍マーカーの数値は40U/mLまで下がり、基準値の37U/mL以下に近い状態を維持しています。
これまで受けてきた治療による副作用として、手足のしびれやむくみが継続しています。足の裏の感覚が鈍くなっているため、歩行時に転倒しないよう注意を払っています。また、手先の感覚も鈍くなり、食事の支度中に熱さを感じにくく、やけどをしてしまうこともあります。手足のしびれは治療を続ける限り進行する可能性がありますが、食事は自分で作って食べることができています。お酢を使った料理など、さっぱりしたものを中心に自分で調理し、食事をすることで体力を維持しています。
治療の選択肢を確保するための治験相談
現在行っているNAPOLI療法は効果を示していますが、膵臓がんに対する治療薬は限られており、これが実質的に最後の治療と言われています。抗がん剤でがんが完全に消滅することは難しいため、現在の薬が効かなくなったときの対応をあらかじめ考えておく必要を感じています。
そのため、夫とも相談し、打つ手がなくなってから行動するのではなく、現在の治療が効いている段階で次の選択肢を模索することにしました。担当医に紹介状を書いてもらい、先日、別のがんセンターを受診して治験に関する説明を聞いてきました。
治験に参加するためには、臓器の機能や全身状態などの厳格な条件をクリアする必要があります。現在の状態であれば条件を満たす可能性があることが確認できました。今後、体調が悪化した場合には参加できなくなるリスクもありますが、事前に相談しておくことで、将来の治療選択肢の可能性を確認できたことは精神的な安心につながっています。
現在の日常生活と趣味を通じた気分転換
71歳となった現在、治療を続けながら日常生活の中で楽しみを見つけるようにしています。以前通っていたヨガ教室は2年ほど前に辞めましたが、現在は月に2回、パソコン教室に通って外出の機会を作っています。また、今年はサザンオールスターズのライブに行く予定を立てています。夫は渓流釣りが趣味であり、お互いに別々の趣味を楽しみながら生活しています。
家族との時間も大切にしており、今年幼稚園に入園したひ孫の成長を見るのが大きな楽しみです。先日長男夫婦や孫たちと一緒に山中湖へ1泊の旅行に行きました。足のしびれがあるため長時間の遠出は難しくなりましたが、1泊で行ける範囲での旅行を楽しんでいます。 体調が良いときは、電車を利用して長男家族に会いに行くこともあり、駅の階段などでは転倒しないように細心の注意を払いながら移動しています。周囲からは「具合が悪いのに頻繁に出かけるね」と言われることもありますが、こうした外出や楽しみがあるからこそ、前向きに治療に取り組むことができています。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今、がん治療をしている方やこれから検査を受ける方にお伝えしたいことがあります。
定期的な検診で自身の体を守ってください
私が現在も生活できている最大の理由は、60歳から人間ドックを毎年受診し、8mmという早い段階で腫瘍を見つけることができたからです。がんの治療技術は進歩していますが、早期に発見することが何より重要です。自分の体は自分自身で守るという意識を持ち、定期的な検診を怠らずに受診してください。
周囲のサポートを受け入れ、無理をしないでください
抗がん剤の副作用で体力が落ち、食事もできなかった時期、私は長男家族のもとで療養しました。また、現在の通院は片道3時間かかりますが、夫が毎回車で送迎してくれています。治療を続ける上では、家族のサポートが不可欠です。自分一人で抱え込まず、周囲の協力を得ながら、体調に合わせた生活環境を整えることが大切です。
将来の選択肢を事前に調べ、準備を進めてください
現在使用している薬が効かなくなるかもしれないという不安は常にあります。私はその不安を軽減するため、治療が順調な段階で治験の可能性について相談しました。いざというときに慌てないよう、前もって専門機関の情報を集め、次の治療の選択肢を確保しておくことは、心の支えになります。
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