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肺がんステージ4B、アガベの成長と子どもの笑顔、家族と職場の支えで取り戻した日常

[公開日] 2026.06.04[最終更新日] 2026.05.29

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ガンプラさん(ニックネーム) 年代:40代 性別:男性 家族構成:妻と子ども2人との4人暮らし 仕事:会社員 がんの種類:肺がん 診断時ステージ:ステージ4B 診断年:2021年 現在の居住地:和歌山県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2021年7月、第2子誕生を目前に控えたガンプラさんは、長引く発熱をきっかけに受診したクリニックで、突然の肺がんの可能性を指摘されました。大きな絶望を抱えながらも、家族の存在や職場の理解に支えられ、抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬による治療を乗り越えてきました。現在は治療を終え、経過観察を続けながらフルタイムでの仕事復帰を果たしています。過酷な副作用や再発の不安と向き合い、どのように日常を取り戻していったのか、その経緯をお話しいただきました。

コロナ禍での発熱と、突然の肺がん告知

がんが見つかったきっかけは、2021年の7月のことでした。当時は新型コロナウイルスが流行しており、私も夕方になると38度台の熱が出る日が3日続いたため、感染を疑いました。1件目の内科クリニックを受診したものの原因がわからず、数日後に別のクリニックを受診してレントゲン検査を受けました。 画像を見た医師が振り返ったときの、悲愴感漂う顔は今でも忘れられません。「95%以上の確率で肺がんの可能性があります。かなり大きいので進行していると思います」と突然告げられました。画像には、素人の私が見てもわかる、8cmほどの大きな腫瘍がはっきりと写っていました。 実はその半年前に会社の健康診断を受けていました。また、診断の2か月前には胆石の手術で全身のCT検査を受けていましたが、その時は何も指摘されませんでした。それだけに、がんの告知は完全に予想外の出来事でした。すぐに大きな総合病院への紹介状を書いてもらい、精密検査を受けることになりました。

絶望の中で探した生存の可能性とセカンドオピニオン

総合病院での詳しい検査の結果、がんは腹部のリンパ節と副腎に転移しており、ステージ4Bと診断されました。 確定診断のため、まず縦隔鏡下リンパ節生検を行いましたが、採取した組織からはがん細胞が確認できませんでした。そのため、次に転移していた副腎の腫瘍を腹腔鏡手術で採取することになりましたが、副腎は壊死していたため、最終的には副腎ごと摘出し、組織検査を行いました 。 告知を受けたのは、第2子が生まれるわずか1週間前のことでした。「自分はあとどれくらい生きられるのだろうか」と不安になり、インターネットで5年生存率を調べました。当時のデータではステージ4の生存率は約8%、1年後に生きている確率も40%程度という情報を見てひどく落ち込みました。 少しでも情報を集めようとSNSに現状を投稿したところ、内科医をしている幼馴染が自宅へ来てくれ、肺がん治療を専門的に行っている大学病院を勧めてくれました。また、患者が集まるLINEのコミュニティで、ステージ4でも放射線治療を行ってくれるがん専門病院があると知り、検査結果をもってセカンドオピニオンを受けました。 遺伝子検査の結果では、変異は見つかりませんでしたが、TPS(Tumor Proportion Score:PD-L1発現割合)が70%であることが判明していました。がん専門病院の医師からも「あなたの場合、免疫チェックポイント阻害薬が効く可能性が高いので、放射線治療はせず薬物療法をした方がいい」と助言を受け、最終的に大学病院で薬物療法を受けることを決断しました。

治療開始までの3か月間と過酷な副作用との闘い

診断から実際の治療開始までは、遺伝子検査やセカンドオピニオンなどを経たため、約3か月間かかりました。その間無治療でしたが、体力が落ちていくのではないかという不安から、真夏の炎天下の中、毎日4kmを歩くことを日課にしました。歩きながら自分の呼吸を確かめ、肺にある腫瘍の存在を意識し、これからのことを考えては涙を流す日々でした。 2021年10月から、抗がん剤2種類と免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療が始まりました。私が最も苦しんだ副作用は吐き気です。治療を重ねるごとに症状は重くなり、点滴をしてから2日目には起き上がることも食べることもできなくなりました。6日目くらいまでに、口にできたのはソーダ味のアイスキャンディーと市販の氷だけでした。 それ以降は少し食べられそうだと感じてラーメンを食べに行っても、店を出て数分で吐いてしまうような状態でした。それでも「食べられた」という事実が嬉しかったことを覚えています。また、原因不明ですが、お風呂に入ったときや外を歩いて汗をかいたときに、背中がビリビリと痺れるような感覚が治療中ずっと続きました。 副作用は非常につらかったですが、主治医の前では気丈に振る舞っていました。つらいと言い過ぎることで、命をつなぎ止めているこの治療を中止されてしまうのではないかという不安があったからです。結果的に、1つの抗がん剤は予定通りに終了し、もう1つの抗がん剤は副作用の強さから1年2か月で中止しました。その後は免疫チェックポイント阻害薬のみを継続することになりました。

心の支えは家族の存在と職場の支援

がんと診断されてすぐに勤務先の代表に連絡し、治療に専念するため休職させてもらいました。妻も働いており、私も傷病手当金を受給できたため、経済的な面では非常に助かりました。 当時、生まれたばかりの下の子と、小学生の上の子がいました。子どもの寝顔や笑顔を見るたびに、「この子が幼稚園や小学校に行く姿を見ることはできないのだろうか」と考え、申し訳なさと悲しさで涙が溢れました。幸せを感じる瞬間こそが、逆に一番つらかったのです。それでも、子どもたちのために長く生きて働かなければならないという思いが、闘病の原動力になりました。 職場からのサポートも大きな支えでした。休職中も「席は残しておくから」と言っていただき、体調が良いときにはオンラインで会議に参加したり、アドバイスを求められたりすることもありました。完全に仕事から切り離されるのではなく、会社に自分の居場所があり、社会と薄くでもつながっていられたことで、精神的な安定を保つことができました。約1年半の休職と部分的な復帰を経て、フルタイムでの仕事復帰を果たすことができました。

新たな趣味との出会いと、少しずつ色を取り戻した日常

治療の副作用とは別に、合併症として慢性閉塞性肺疾患を発症しました。一時は肺年齢が97歳と判定されるほど呼吸機能が低下し、現在も肺年齢は90代前半のままです。歩くことはできますが、階段の昇り降りや、以前子どもと遊ぶときにしていたサッカーなどの運動は息が上がってできなくなりました。 しかし、できなくなったことを嘆くのではなく、新しい趣味を見つけました。1つはサウナです。治療の前日に温泉で心を整えるルーティンがあり、そこからサウナが好きになりました。もう1つは、アガベという植物を育てることです。アガベは立派なサイズに成長するまで2年ほどかかります。「自分が余命1年かもしれない」と怯えていた中で、この小さな植物が大きくなる姿を見届けることを、生きるためのひとつの目標にしました。 告知を受けてからの約1年半は、すべての景色が灰色に見え、現実感のない世界を生きていました。近所の見慣れた景色や飲食店に行っても「ここを見るのも、食べるのもこれが最後かもしれない」と常に思い詰めていました。しかし、治療が軌道に乗り、日常を取り戻していくにつれて、周りの景色に再び色が戻ってくるのを感じました。

幾度かの再発疑いを経て、現在は無治療へ

治療の効果は目覚ましく、治療開始時には10cmほどにまで大きくなっていた腫瘍が、治療開始から2か月後には4分の1程度まで縮小し、腫瘍マーカーも正常値に戻りました。その後、がんは完全には消滅していませんが、安定した状態でとどまっています。 ただ、この2年半の間、順風満帆だったわけではありません。腫瘍マーカーの数値が半年ほどかけてじわじわと基準値を超えて上昇する現象が3度ほどありました。その度に再発を疑い、CTやPET検査などを繰り返しましたが、結果は異常なしでした。そしてまた数値が下がるという繰り返しです。再発の恐怖に精神的に追い詰められる日々でしたが、ここ最近はようやく数値も落ち着きを取り戻しています。 免疫チェックポイント阻害薬の投与は2年で終了しました。現在はすべての治療を終え、定期的な経過観察のみを行っています。薬の副作用のない生活に戻れたことは、私にとって非常に大きな喜びです。周りの家族も、私を特別扱いすることなく、普通の父親として接してくれます。その普通の日常が、何よりも愛おしく感じられます。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 ネットの情報だけで絶望しないでください 私ががんと告知されたとき、真っ先にインターネットで5年生存率を調べ、その低い数字にひどく絶望しました。しかし、そうしたデータは過去の蓄積であり、日進月歩の新しい薬や治療法を反映していないことが多々あります。ご自身の状況に合った治療法が見つかり、道が開ける可能性は十分にありますので、不確かな情報に惑わされず、まずは目の前の確かな治療に希望を持って臨んでください。 元気に過ごしている人は確かに存在します インターネットやSNSを検索すると、どうしてもつらい闘病記や悲しい情報が目に入りやすくなります。それは、治療がうまくいき、副作用を乗り越えて日常を取り戻した人たちが、今まさに闘病している方に気を遣ってあえて発信していないことが多いからなのかもしれません。私のように、ステージ4のがんであっても、治療を経て日常を取り戻し、家族と笑い合って元気に過ごしている人はいます。暗い情報ばかりに目を向けず、前向きな気持ちを持って治療に向き合っていただきたいと思います。

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