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乳がんステージ1からの再発、病気になっても病人にはならないという生き方

[公開日] 2026.06.01[最終更新日] 2026.05.29

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:なっぱさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:女性 家族構成:夫と2人暮らし(子ども1人は独立) 仕事:派遣アルバイト がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ1 診断年:2020年 現在の居住地:千葉県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2020年、なっぱさんは自ら胸のしこりを発見し、近くのクリニックを受診した後に総合病院で乳がんのステージ1と診断されました。乳房温存手術と放射線治療、ホルモン療法を行いながら、長年続けてきた派遣の仕事を変わらずに続けてきました。しかし、診断から4年以上が経過したころ、定期検査で腫瘍マーカーの上昇が確認され、骨転移が判明しました。再発のショックを受け止め、病気になっても病人にはならないという生き方についてお話しいただきました。

下着に触れた違和感によるしこりの発見

2020年7月、胸が下着に当たる部分に少し違和感を覚えました。手で触ってみると、しこりのようなものがあることに気がつきました。それまで自治体などから定期的な健康診断の案内は届いていましたが、検査は受けていませんでした。 しこりを見つけた時は「少し良くないものかもしれない」と不安に思う一方で、インターネットで症状を調べると良性の腫瘍の可能性もあるという情報が見つかりました。「きっと良性だろう」という思いを持ちながら、近くにある乳腺クリニックを受診することにしました。 クリニックでは、マンモグラフィと超音波(エコー)検査、血液検査、針生検も行われました。1週間後に検査結果を聞きに行くと、医師からは悪性の可能性が高いと告げられました。 精密検査が必要ということで、医師からは自宅から遠い大学病院を紹介されました。しかし、この時はまだ将来自分が再発するとは思いもよらず、そこまで深刻な状態ではないだろうと楽観視していたため、わざわざ遠くの病院へ通う必要はないと考えました。私は自分の希望で、自宅から電車1本で行ける通いやすさを優先し、近隣の総合病院への紹介を依頼したのです。

総合病院での精密検査と乳がんの確定診断

紹介された総合病院を受診した際、私はクリニックでの検査データをすべて持参しました。担当医からは、がんの広がりや他の臓器、リンパ節への転移がないかを確認するために、さらに詳しい精密検査が必要であると説明を受けました。そこで改めて、CTやMRIといった画像診断を受けることになりました。 後日、担当医はクリニックの検査結果と、総合病院で行った最新の画像検査の結果を照らし合わせながら、私に事実を伝えました。「乳がんで間違いありません。ステージは1です」という確定診断でした。あわせて、針生検の結果から判明したサブタイプについても説明がありました。ホルモン受容体が陽性で、HER2が陰性のルミナルBというタイプでした。 すでに悪性の可能性が高いと聞いていたため、確定診断を受けてもどこか冷静に受け止めている自分がいました。むしろ、転移が見つからずステージ1であったことに、心のどこかで安堵したのを覚えています。

体への負担を考え乳房温存手術を選択

具体的な治療方針を立てるにあたり、医師からは乳房の全摘手術と温存手術の両方の選択肢が提示されました。温存手術の場合は術後に放射線治療とホルモン療法を行い、全摘であれば放射線治療を省いてホルモン療法を行うという説明でした。私には胸を失うことへの抵抗感があり、全摘と再建手術は体への負担が大きいと考えたため、できれば温存したいという思いがありました。 また、将来の再発リスクと抗がん剤の上乗せ効果を予測する「オンコタイプDX」という検査も、当時は全額自己負担でしたが受けました。その結果、私には抗がん剤の効果が低いことがわかりました。 この検査結果が大きな後押しとなり、最終的に抗がん剤は使用せず、乳房温存手術と放射線治療、そしてホルモン療法を行うという方針に決まりました。自分なりに調べた知識と医師からの提案がしっかりと一致したことで、心から納得して治療に進むことができました。

生活への大きな影響がなかった放射線治療とホルモン療法

手術は無事に終了しました。術中のセンチネルリンパ節生検でも転移はなく、診断通りのステージ1とのことでした。退院後には、再発防止のために25回の放射線治療を受けました。平日毎日病院に通う日々でしたが、幸いにも副作用はほとんど感じませんでした。治療した部位の皮膚が日焼けしたように変色した程度で、大きな体調の崩れもありませんでした。 放射線治療と同時に、ホルモン療法としてタモキシフェンの服用が始まりました。更年期障害のような症状を心配していましたが、私にはそれほど強い副作用は出ませんでした。この間、派遣の仕事も以前と変わらずに続けることができました。単発派遣という働き方は、自分の体調に合わせて調整しやすく、家族も私の状況を静かに見守ってくれました。早期発見と早期治療であれば、がんはこれまでの生活を大きく変えずに乗り越えられるものなのだと思っていました。

腫瘍マーカーの上昇と骨転移の告知

手術から約4年が経過し、定期的な経過観察を続けていた2024年のことです。血液検査で、それまで安定していた腫瘍マーカーの数値が上昇し始めました。最初は誤差の範囲かもしれないと、医師の判断で3か月ほど様子を見ましたが、数値は下がるどころか右肩上がりに上昇を続けました。 詳しい状況を調べるため、全身の骨の状態を確認する骨シンチグラフィとCT検査を行いました。2024年11月、医師から告げられたのは骨に転移しているという事実でした。背骨や腰骨など計4か所の骨転移が見つかりました。骨転移という事実に、最初の告知の時とは比べものにならないほどの衝撃を受けました。

ホルモン剤と分子標的薬の併用療法に変更

骨転移から、治療内容は大きく変わりました。私はすでに閉経していたため、ホルモン剤はレトロゾールへ変更し、イブランスを併用することになりました。さらに、骨修飾薬のランマークの投与を4週に1回行っています。 新しい薬に変わってからは、これまでにない副作用に直面しました。ひどい口内炎が頻繁にできるようになり、髪の毛も半分ほど抜けてしまいました。鏡を見るのがつらい時期もありましたが、私はこれも治療の効果が出ている証拠だと自分に言い聞かせました。抜けてしまった髪については、安価なウィッグをいくつか購入し、その日の気分や服装に合わせて髪型を変えて対処しています。

病気になっても病人にならない生き方

骨転移が見つかったことで、断念せざるを得なかったこともあります。趣味だった登山です。自然の中で過ごす時間は私にとってかけがえのないものでした。骨折のリスクを考えると、激しい運動や無理な負荷は避けなければなりません。登山中に動けなくなって、人に迷惑をかけることが心配だったからです。 山へ行くことは叶わなくなりましたが、今の私の心の支えになっている言葉があります。がん闘病を経験された女性登山家の田部井淳子さんの「病気にはなったけれど、病人にはなりたくない」という言葉です。もともと登山が好きで田部井さんの著書を読んでいた私は、この言葉に深く感銘を受け、自分自身もそのように生きていこうと心に決めました。 その思いもあり、日々の仕事により一層のやりがいを見出しています。派遣の仕事をしている間は、自分ががん患者であることを忘れることができます。社会と関わり続け、役割を持っているという感覚が、「病人」にならずに自分らしく生きるための大きな精神的な支えになっています。

がんとの共存を通じた精神的な変化と成長

骨転移という現実を受け入れるまでには、半年ほどの時間が必要でした。自分の体の中に消えないがんがあることを意識せざるを得ない毎日は、時に重くのしかかります。しかし、その過程で私自身の内面には大きな変化が訪れました。以前の私は、些細なことにイライラしたり、家族に対して余裕のない態度をとったりすることがありました。 しかし、命の時間は有限であると突きつけられた今、そうした尖った部分が消え、人間的に丸くなったと感じています。人の痛みや、何気ない日常の尊さが、以前よりもずっと深く理解できるようになったのです。家族に対しても何でも許せるという広い心で接することができるようになりました。がんは私の体の一部を蝕みましたが、同時に私の心を豊かに、優しく変えてくれた側面もあるのだと思っています。

限りある時間の中で見出した現在の平穏

現在は、月に1回の通院と毎日の服薬を続けながら、がんと共に穏やかな日々を過ごしています。医師からは「骨転移とうまく付き合いながら共存していきましょう」と言われています。今の目標は、現状の生活を維持しながら、1日でも長くこの変わらない日常を続けていくことです。 病気にはなりましたが、私は病人として日々を過ごしたくはありません。自由に楽しみ、行きたい場所へ行き、やりたい仕事に打ち込む。未来への不安がゼロになることはありませんが、今この瞬間を大切に生きることで、私は私自身の人生を全うしたいと考えています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 やりたいことには躊躇せずに挑戦しましょう 病気になったからといって、やりたいことを諦める必要はありません。むしろ、限られた時間の中で自分が心から望むことに踏み出す勇気を持ってください。迷っている時間があるなら、一歩前に進むことで、心に新しい光が差し込むはずです。 好きなことをして、前向きに楽しく生きていきましょう がんに心を支配されないようにしてください。好きなものを食べ、好きなことに没頭する時間は、どんな薬よりも心を癒やしてくれます。病人として生きるのではなく、あなた自身の人生の主役として、今日という日を笑顔で過ごしてほしいと願っています。

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