• 検索
  • お問い合わせ
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • ニュース
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 動画
  • 患者会
  • 辞典
  • お役立ち

希少がん「脈絡膜メラノーマ」、わずかな可能性でも諦めずに生きる

[公開日] 2026.05.21[最終更新日] 2026.05.20

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:りょうさん(ニックネーム) 年代:40代 性別:男性 家族構成:両親と3人暮らし 仕事:会社員 がんの種類:脈絡膜メラノーマ 診断時ステージ:- 診断年:2018年 現在の居住地:大阪府
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2018年、当時30代だったりょうさんは「脈絡膜メラノーマ」という、国内では年間数十人ほどしか発症しない希少がんと診断されました。このがんは、眼球の壁の内層にある脈絡膜という組織に発生する眼内がんの一種です。診断から2年半後には肝転移、その2年3か月後に脈絡膜への再発が判明し、片目を摘出。現在は免疫チェックポイント阻害薬による治療を続けながら、治療と仕事を両立しています。自ら情報を集め、納得できる治療を選んできた経緯についてお話しいただきました。

脳ドックで見つかった目の異常

私が体に異変を感じ始めたのは、2018年の初めころでした。視界の中に光がチカチカと走る「光視症」という症状が頻繁に現れるようになったのです。最初は単なる目の疲れかと思っていましたが、ちょうどその時期、私の父ががんを患ったこともあり、健康に対する意識が高まっていました。自分も気をつけなければいけないと考え、市の補助を利用して人間ドックを受けることにしました。その際、オプションとして脳ドックも追加しました。 実は、前年の人間ドックでも目の検査は受けていたのですが、その時は異常を指摘されませんでした。一般的な眼底検査は正面から撮影するため、私の腫瘍があった目の内側の端の方は、死角になっていたようです。しかし、脳ドックでMRIを撮影したところ、医師から「眼球に異常が認められます」と指摘を受け、網膜の下にある脈絡膜という場所に、ポコッと膨らんだ影があることがわかりました。 院内の眼科に回されましたが、「ここでは詳しい検査はできないので、大学病院へ行ってください」と紹介状を渡されました。すぐにインターネットで「目」「がん」というキーワードで検索を繰り返しました。そこで情報を集めるうちに、自分の症状は「脈絡膜メラノーマ」という希少がんかもしれないと思うようになりました。

希少がん「脈絡膜メラノーマ」の告知

紹介先の大学病院では、造影剤を用いた精密な検査や視野検査など、一通りの検査が行われました。この段階では、多分脈絡膜メラノーマだろうと思っていましたが、まだ正式に病名を告げられていませんでした。しかし、検査の後に医師から「がんセンターへ紹介状を書きます」と言われたことで、ほぼ確定診断を受けたようなものだと思いました。 2018年3月、紹介されたがんセンターを受診し、主治医から正式に「脈絡膜メラノーマ」であるという告知を受けました。このがんは、肝臓に転移しやすい性質を持っていること、そして生涯にわたって定期的なMRI検査による経過観察が必要であることを説明されました。自分なりに検索して覚悟を決めていたこともあり、大きな混乱はありませんでしたが、これほどまでに珍しい病気と向き合っていかなければならない事実に、不安が消えることはありませんでした。

セカンドオピニオンで納得して決めた治療選択

告知を受けた後、具体的な治療方針が提案されました。その病院で実施されていたのは小線源治療という方法でした。これは、放射線を放出する物質を収めた小さな金属製のアプリケータ(器具)を、手術によって腫瘍の真上にあたる眼球の外壁に直接縫い付ける治療法です。約1週間の入院期間中、アプリケータを固定したまま集中的に放射線を照射し、予定の線量に達した段階で再び手術をして取り出します。 一方で、私はインターネットで「重粒子線治療」という先進医療があることも知っていました。どちらの治療法が自分にとって最適なのか、私は非常に悩みました。重粒子線治療の方が最新で効果が高いのではないかという思いがあり、主治医に相談したところ、重粒子線治療施設への紹介状を書いてくれました。そこでセカンドオピニオンを受け、重粒子線治療についても詳しく話を聞きました。 最終的に私が選んだのは、最初に提案された小線源治療でした。重粒子線治療は当時まだ治験として行われていましたが、一方で小線源治療は標準治療として確立され、主治医も豊富な経験を持っていました。自分で納得するまで調べ、複数の医師の話を聞いたことで、迷いを断ち切って治療に臨むことができました。1週間の入院を経て手術は無事に終了し、その後は数か月に1回のペースで通院しながら経過観察を続けることになりました。

肝臓への転移と絶望の中に見えた光

告知から約2年半が経過した2020年9月、定期的なMRI検査で懸念していた事態が起こりました。肝臓に複数の影が見つかり、転移が判明したのです。主治医からは、最初から肝臓への転移は起こりやすいと言われていましたが、いざ現実となると「もう終わりかもしれない」という絶望感に襲われました。肝転移後は、眼科から皮膚科に変わり治療を受けることになりました。 肝臓への転移は10か所ほどに散らばっており、局所的な治療は難しい状態でした。そこで提案されたのが、免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボとヤーボイの併用療法でした。しかし、脈絡膜メラノーマに対するこの併用療法の奏効率は、皮膚原発のメラノーマと比較してかなり低いという説明を受けました。 肩を落とした私に、新たな主治医となった皮膚科の医師はこう言ってくれました。 「奏効率は低いですが、効いている人は確かにいます。完全にがんが消失していなくても5年以上生存している方もおられ、そうなれば治ったも同然です」。 この言葉は、私にとって大きな希望の光となりました。効く可能性は低いかもしれませんが、可能性はゼロではないと前向きに考えるようになり、2020年11月から治療を開始しました。

重い副作用を乗り越えて続けた免疫チェックポイント阻害薬

治療を開始してすぐに、強力な副作用が発現しました。免疫関連副作用(irAE)と呼ばれる症状で、私の場合は重度の肝障害が起こりました。グレード4という深刻な状態で、急遽3か月間の入院を余儀なくされました。自分の免疫が暴走し、肝臓を攻撃してしまったのです。 入院中はステロイド治療を受け、数値が落ち着くのを待ちました。退院後も自宅での療養が必要でしたが、驚くべきことが起きました。治療開始から数か月後の検査で、10か所ほどあった肝転移が、1か所を除いて画像上見えなくなっていたのです。 その後、1か所残った肝転移は1cm程度の大きさで安定しており、悪化する兆候は見られませんでした。現在はヤーボイを終了し、オプジーボの単剤治療を続けています。治療開始からすでに5年半が経過しようとしていますが、副作用として倦怠感や皮膚のかゆみ、口内炎、胃炎などがあるものの、薬でコントロールしながら日常生活を送ることができています。

眼球摘出手術と仕事への影響

肝転移は安定していましたが、2022年12月、今度は元々の患部である目に再発の兆候が見られました。視力が次第に低下してきたため、最終的に眼球を摘出する判断をしました。2023年7月、再びがんセンターで手術を受けました。 片目を失うことへの不安はありましたが、肝臓の転移を乗り越えてきた私にとって、命を守るための決断に迷いはありませんでした。手術後、距離感がつかみにくいといった不便さはありますが、車の運転も許可されており、生活に大きな支障はありません。 仕事については、診断当時はフリーターでしたが、その後の治療が落ち着いたタイミングで就職活動をして現在の会社の営業職に正社員として採用されました。当初は人事担当者だけにがんであることを話していましたが、肝転移が判明した際、上司に病状を正直に伝えました。会社は私の状況を理解してくれ、現在は事務職として働いています。毎月の治療費は高額ですが、高額療養費制度などの助けもあり、働き続けることで治療を継続できています。何より、社会とのつながりを持ち、誰かの役に立っているという実感が、私の精神的な支えになっています。

社会とのつながりと将来への備え

がんになったことで、私の価値観は大きく変わりました。以前は「いつかやればいい」と物事を先延ばしにしがちでしたが、今は「時間は有限である」ということを強く意識しています。やりたいことは今やる、やりたくないことは無理にしない。そうしたシンプルな考え方ができるようになりました。 最近では、将来のお金の不安を解消するために新NISA(少額投資非課税制度)を始めました。図書館へ行って経済新聞を読み、世界情勢や経済について学ぶことが日課になっています。社会の動きを知ることは、自分が世界の一部として生きていることを実感させてくれます。 また、同じメラノーマの患者会に参加したことも大きな力となりました。希少がんならではの悩みや経験を共有できる仲間は心強い存在です。現在はオンラインでの交流が主ですが、情報共有やコミュニケーションの場を作っていただき、運営されている方には感謝しています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方に参考程度にお読みいただければと思います。 納得できるまで調べるという選択肢もあります 医師に指示されるがまま治療を受けるのではなく、自分でも情報を集め、納得した上で私は治療法を選びました。気になることがあればセカンドオピニオンという選択肢もあります。私の場合は、自分で決めたという納得感があったから前向きに乗り越えていく力が湧いてきました。ただ、その分治療開始は少なから遅れると思うので、自分でいいと思う方法を探してみてください。 わずかでも可能性はゼロではないと思います たとえ統計上の確率が低くても、その数%の中に自分が入る可能性はゼロではないと思います。医学は日々進歩しており、新しい薬や治療法が次々と登場しています。希望を持ち続け、今できることをひとつずつ積み重ねていけば、道は必ず開けると信じています。

がん体験に関するインタビュー参加者募集中

オンコロでは、がん体験をお話しいただける方を対象としたインタビューを実施しております。応募条件など、詳細は下記の応募フォームをご確認ください。
体験談 悪性黒色腫(メラノーマ) 脈絡膜メラノーマ

おすすめ記事

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

動画

一覧を見る

体験談

一覧を見る

患者会

一覧を見る

電話受付:平日(月〜金)10:00-18:00

※オペレーターが受付いたします。内容に応じて専門のスタッフへおつなぎいたします。