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希少な混在型肺がんと診断、再発しても標準治療を信じがんと共に生きる

[公開日] 2026.05.13[最終更新日] 2026.05.12

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ノリさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:男性 家族構成:妻と子ども2人との4人暮らし 仕事:会社員 がんの種類:肺がん 診断時ステージ:ステージ3A 診断年:2017年 現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2017年、肺がんと診断されたノリさんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんが混在するという、非常にまれな病態に直面しました。右肺の切除手術、その後の抗がん剤治療、そして3年後の再発と骨転移。数々の困難に見舞われながらも、ノリさんは免疫チェックポイント阻害薬による治療を継続し、2026年現在、がんと共生しながら会社員としての生活を続けています。標準治療への信頼と、医師との丁寧なコミュニケーションを軸に歩んできた9年間の道のりについてお話しいただきました。

1年半ぶりの健康診断で肺に5cm弱の影が見つかる

2017年の2月のことでした。勤務先の定期健康診断を受けた際、胸部X線検査で肺に影があることを指摘されました。それまでは毎年欠かさず受診していたのですが、その時は仕事の忙しさもあり、前回の検査から1年半ほど間が空いてしまっていました。 検査当日、本来であれば胃のバリウム検査に進む予定でしたが、胸部X線検査の直後に呼び出されました。医師から「バリウム検査の前に、先に診察を受けてください」と言われ、その場で画像を見せられました。そこには5cm弱の大きな腫瘍のような影が映っていました。「早急にCTを撮ったほうがいい」という言葉に、ただならぬ事態であることを直感しました。 その日のうちに同じ病院でCT検査を受け、医師からは呼吸器外科のある病院を受診するように勧められました。1年半前には何も指摘されていなかった場所に、これほど大きなものができている。私は自分でも気づかないうちに進行していた病の存在に、大きな衝撃を受けました。

過去の治療経験から大学病院での精密検査を決断

紹介状を書いてもらう際、私は以前お世話になった大学病院を希望しました。実はがんが見つかる4、5年前に、気胸を患っており、その際に特殊な手術を受けていたからです。肺の手術をするのであれば、自分の肺の状態をよく知っている同じ大学病院の先生にお願いするのが一番だろうと考え、迷わずにそこへ向かいました。 大学病院では、呼吸器内科に入院して詳細な検査を行いました。気管支鏡による肺の組織検査、CT、脳のMRI、そしてPET検査など、一通りの検査を受けました。5cmという大きさから、かなり深刻な状況であることは覚悟していましたが、検査の結果、他の臓器への転移は見られませんでした。 しかし、この時点ではまだ確定的な診断は下りていませんでした。組織検査では、場所の関係でうまくがん細胞を採取することができず、病名や詳細なステージは手術で切除したものを調べなければわからないという説明を受けました。「転移がないのであれば、まずは手術で取りましょう」という方針が決まり、私は4月に手術を受けることになりました。

術後の病理検査で判明した「混在型」という診断

手術では、右肺の上葉を切除しました。以前に気胸の手術をしていたため、呼吸機能への影響を心配していましたが、幸いにも術後の呼吸に大きな支障はありませんでした。入院期間は約2週間で、術後の経過も順調に見えました。 ところが、切除した組織を詳しく調べた病理検査の結果、予想外の事実が判明しました。私のがんは、肺がんの中でも珍しい小細胞肺がんと非小細胞肺がんの「混在型」だったのです。 当初、画像診断の段階では非小細胞肺がんだろうと想定されていましたが、より進行が早く再発しやすい小細胞がんの組織が含まれていることがわかりました。リンパ節への転移も1か所見つかり、最終的な病期はステージ3Aと診断されました。この結果を受けて、治療方針は大きく変わりました。再発を抑えるための補助療法として、すぐに強力な化学療法を行うことになったのです。

4クールの抗がん剤治療と精神的な苦痛

術後治療として、シスプラチンとエトポシドを組み合わせた化学療法が始まりました。1週間の入院で投与を行い、その後の数週間は自宅で静養するというサイクルを計4クール繰り返しました。 この治療は身体的にも精神的にも非常に過酷なものでした。特につらかったのは脱毛です。髪が抜けていく自分の姿を鏡で見るのは、言葉にできない悲しみがありました。また、回を重ねるごとに副作用が蓄積され、激しい吐き気や食欲不振、めまい、ふらつきに悩まされました。入院中は常に気持ち悪さが抜けず、ベッドの上で耐え忍ぶ日々が続きました。 何とか4クールをやり遂げたときには、安堵感とともに心身ともに疲れ果てていました。医師からは「白血球の数値も戻っているし、無理をしない範囲で仕事を再開してもいい」と言われましたが、以前と同じように動けるようになるまでには、さらに時間が必要でした。

職場でのがんへの無理解と居づらさ

がんの診断を受けた際、当時の勤務先には正直に状況を報告しました。当初、会社は非常に協力的で、「有給を使わずに病気休暇として扱っていいし、給料も保障する」と言ってくれました。オーナー企業だったこともあり、その配慮には心から感謝しました。 しかし、手術が終わり、その後の化学療法が必要になったあたりから、職場の空気が一変しました。会社側には「手術で取れば終わり」という認識があったようで、長引く治療や副作用のつらさに対する理解が追いついていなかったのです。 特に化学療法の副作用で1週間の入院が必要になることに対し、「今は日帰りでできる治療もあるはずだ」「わざわざ休むのは本人の選択ではないか」といった心ない声が漏れ聞こえるようになりました。オーナーからも、がん治療に対する偏見に近い言葉をかけられることがあり、精神的にかなり追い詰められました。職場復帰を果たした後も、針のむしろに座っているような感覚で、以前のように働くことは難しいと感じるようになりました。

理解ある新しい環境への転職と再発の予兆

そんな折、がんと診断される前に転職の話をいただいていた別の会社から、再び連絡がありました。その際、私は自分ががんで治療中であることを正直に打ち明けました。そして、治療から1年が経過し、再発がないことが確認できた段階で「今の私の状況でも受け入れてもらえますか」と打診しました。 その会社は、がんという病気に対して非常に深い理解を示してくれました。「完治したとは言えない状況であること」「通院が必要であること」をすべて承諾した上で、私を迎え入れてくれたのです。 2018年に転職し、新しい環境で順調に仕事をこなしていました。しかし、平穏な日々は長くは続きませんでした。2019年、手術から2年が経過したころの定期検査で、腫瘍マーカーの値が上昇し始めたのです。画像検査では明確なものは映っていませんでしたが、医師からは「再発の可能性もありますが、経過観察を続けましょう」と告げられました。

3年目の再発と免疫チェックポイント阻害薬との出会い

再発の疑いが出てから約1年間は、明確な症状がなかったため、経過観察が続きました。3か月ごとに検査を受けていましたが、ある時、背中に激しい痛みを感じるようになりました。調べてみると、がんが骨に転移しており、それによって骨折を起こしていたのです。 改めて組織検査を行ったところ、今度は非小細胞肺がんが強く出ていることがわかりました。この段階で、医師から提案されたのが免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダと、アリムタを併用する治療法でした。 2020年からこの治療を開始しましたが、私にはアリムタの副作用が強く出てしまい、肝臓の数値が著しく悪化してしまいました。そのため、半年ほどで併用を中止し、キイトルーダの単剤治療に切り替えましたが、これが功を奏しました。私にはこの薬が非常によく合い、1年後には画像上でがんの組織が確認できないほどになりました。

6年に及ぶ継続治療と医師への信頼

キイトルーダの治療を始めてから、2026年現在で約6年が経過しています。当初は3週間に1回だった投与間隔も、今では医師と相談の上で8週間に1回まで延びています。検査上がん細胞が認められない状態が続いているため、いつまでこの治療を続けるべきか、医師と相談を重ねる日々です。 海外には2年程度で投与を終了するエビデンスもあるようですが、私のようなケースでは、日本国内での明確な終了基準がまだ確立されていません。医師からは「やめても大丈夫かもしれないが、確実な根拠がないので慎重に判断しましょう」と言われています。治療をやめることへの不安もありますが、一方で体への負担や経済的な側面を考えると、いつかは区切りをつけたいという思いもあります。 現在の担当医は、「腫瘍マーカーには一喜一憂しないほうがいい」と言いながらも、私が気にしている腫瘍マーカーの数値を確認してから診察室に呼んでくれるなど、一人ひとりの患者に寄り添った対応をしてくれます。こうした細やかな配慮があるからこそ、不確かな状況の中でも前を向いて治療を続けることができています。

不確かなインターネットの情報ではなく主治医を信じること

がんになってからの9年間で痛感したのは、情報の取捨選択の大切さです。最初に診断を受けたときは、死への不安からインターネットで検索を繰り返し、ネガティブな情報ばかりを目にしては落ち込んでいました。ネットには真偽の定かでない情報が溢れています。 しかし、治療を重ねる中で、自分の体の状態を一番よく知っているのは主治医であり、提示される標準治療が最も信頼できるものであると気づきました。標準治療は、多くの臨床データに基づいて確立された、現時点で最良の選択肢です。私のような特殊なケースであっても、医師とコミュニケーションを取りながら標準治療をベースに進めてきたことが、今こうして元気に過ごせている理由だと確信しています。 現在は、健康管理を目的としたウォーキングを行っていますが、以前習慣としていた水泳も再開しようと考えることができるようになり 、普通に働ける喜びを噛みしめています。先のことを考えれば不安は尽きませんが、まずは目の前の生活を大切に、一日一日を積み重ねていこうと思っています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 インターネットの情報に振り回されないでください ネットには不確かな情報や不安を煽る言葉が多くありますが、自分の病状は一人ひとり異なります。まずは主治医としっかり話し合い、医学的根拠のある治療を選択することが大切です。 主治医との対話を大切にしてください 自分の不安や疑問を素直に伝えることで、医師との信頼関係が深まります。相性の良し悪しはあるかもしれませんが、自分のことを一人の患者として診てくれる医師を信じ、共に歩んでいくことが、治療を継続する大きな支えになります。 日常のささやかな楽しみを持ち続けてください がんになっても、これまでの生活をすべて諦める必要はありません。私は、健康管理のためのウォーキングなど、できる範囲のことを続けてきました。治療のために生きるのではなく、生きるために治療をするという気持ちを忘れないでください。

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