• 検索
  • お問い合わせ
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • ニュース
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 動画
  • 患者会
  • 辞典
  • お役立ち

乳がんステージ2A、がん医療の現場を知る看護師だからこそ伝えたい感謝の気持ち

[公開日] 2026.05.12[最終更新日] 2026.05.12

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:サリーさん 年代:60代 性別:女性 家族構成:夫と子どもと義父との4人暮らし 仕事:無職(診断時は看護師) がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ2A 診断年:2016年 現在の居住地:埼玉県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2016年、看護師として多忙な日々を送っていたサリーさんは、自身の体に生じたわずかな違和感を見逃しませんでした。1か月前の検診では「異常なし」という結果が出ていたものの、セルフチェックで手に触れたしこりが、彼女の人生を大きく変えることになります。診断は乳がん、ステージは2A。手術、そして5年にわたるホルモン療法の過程で、彼女は看護師としての視点と、一人の患者としての視点の両方を持つことになりました。現在は仕事を離れ、登山や被災地ボランティアに汗を流すサリーさんにお話しいただきました。

検診の「異常なし」から1か月後に感じた身体の異変

私が自身の左胸にしこりのような違和感を覚えたのは、2016年のことでした。ちょうどその1か月ほど前に、乳がん検診の結果を受け取ったばかりでした。結果は「異常なし」で、何の問題もないという結果でした。しかし、自分で触診を行った際、指先に触れるしこりの感覚は、気のせいとは思えないほどはっきりとしたものでした。 看護師としての経験から、検診結果が良好であっても、自分の感覚を優先すべきだと考えました。そこで私は、以前から知っていた乳腺専門のクリニックを受診することにしました。そのクリニックには、私が勤めていた病院の医師が診療に行っていたため、安心感があったのです。 クリニックで超音波(エコー)検査を受けると、モニターには大きなしこりがはっきりと映し出されました。その時点では、まだがんと確定したわけではありませんでしたが、医師からは「大きなしこりがあるようです」と告げられました。1週間後、針生検を行うことになりました。

生検から1週間で告げられたがんの確定診断

針生検の結果が出るまでには1週間を要しました。その間、過度な不安に駆られることはありませんでしたが、心のどこかで覚悟を決めていた部分もありました。1週間後の診察で、医師から「がん細胞が見つかりました」という言葉を聞いた時も、大きな混乱はありませんでした。 実は、私はがんを宣告される前から精神的に落ち込み、うつ状態にありました。そのため、がんと言われたことに対するショックよりも、当時のうつによるつらさの方が上回っていたのが正直なところです。ある意味で、がんという現実が、当時の沈んだ心に別の視点をもたらしたようにも感じていました。 がんであることがわかったため、次にどのような治療を行うかを検討する段階に入りました。クリニックで精密な検査を進める中で、がんの種類や広がりを確認していきました。この時点ではまだ詳細なステージは言われていませんでしたが、乳がんであるという事実は確定し、手術に向けて準備を進めることになりました。

信頼する医師のもとで全摘手術を決断

私は、自分が勤務していた総合病院で手術を受けることに決めました。その病院の乳腺外科には、手術の技術が非常に高いことで知られる専門医がいたからです。私は以前、手術室の看護師として長く勤務しており、その先生の執刀を何度も間近で見ていました。その技術の確かさを直接知っていたことが、自分の命を預ける最大の信頼の根拠となりました。 主治医との面談では、がんの大きさが2cmを超えていることや、ホルモン受容体陽性のルミナルAというタイプであることが説明されました。医師からは、乳房温存手術という選択肢もあるが、がんの広がりを考えると全摘した方が安全であるという意見をいただきました。 乳房再建についても検討の余地はありましたが、私は再建を行わない道を選びました。再建手術を行うとなれば、手術時間が大幅に長くなり、その後の体への負担やメンテナンスも煩雑になることを知識として知っていたためです。当時の私にとって、再建の手間よりも、がんを確実に取り除き、一刻も早く日常生活に戻ることの方が重要でした。

腫瘍径2cm以上、リンパ節転移なしでステージ2Aと診断

手術に先立ち、骨密度や肺活量などの術前検査を入念に行いました。MRI検査を受けたかどうかの記憶は曖昧ですが、全身の状態を確認した上で手術に臨みました。手術自体は予定通り進み、同時にセンチネルリンパ節生検も行われました。 センチネルリンパ節生検の結果は陰性で、リンパ節への転移は認められませんでした。そのため、リンパ節郭清を行わずに済みました。これにより、術後の腕のむくみなどの合併症を避けることができたのは、幸いだったと感じています。 手術の際、主治医から提示された診断書を通じて、自分の病期がステージ2Aであることを知りました。手術後の病理検査でもその診断は変わらず、目に見えるがんはすべて取り除くことができました。入院中は一般病棟の大部屋で過ごし、他の患者さんとコミュニケーションを取りながら過ごしました。看護師としてではなく、一人の患者として過ごす時間は、私に多くの気づきを与えてくれました。

看護師として患者の立場から見た医療の現場

入院生活を送る中で、私は患者の立場から看護師たちの動きを観察していました。自分自身が看護師であるからこそ、彼女たちが発する言葉の裏にある感情や、その場の空気感に非常に敏感になっていたのです。 例えば、表面上は丁寧に対応してくれていても、わずかな目つきや仕草から「今は忙しいから、これ以上話しかけないでほしい」というニュアンスを読み取ってしまうことがありました。私自身、次の業務が控えている看護師の状況を察して、聞きたいことがあっても言葉を飲み込んでしまうことがありました。 患者という立場は、想像以上に医療者の態度に敏感になります。看護師の何気ない仕草で、患者は安心もすれば、不安にもなります。言葉によらないコミュニケーションの重みを、身をもって知った経験でした。この気づきは、その後に看護師として復帰した際、患者さんと向き合う上での大切な指針となりました。

ホルモン療法による激しい関節痛との闘い

手術後の追加治療として、5年間のホルモン療法が始まりました。私のがんはホルモンの影響を受けるタイプだったため、再発を防ぐためにホルモンの働きを抑える薬を服用する必要がありました。私は副作用としてホットフラッシュなどが起こることは知っていましたが、実際には全く別の症状に苦しむことになりました。 それは、激しい関節痛でした。膝や手指の関節が強く痛み、日常生活に支障をきたすほどでした。主治医に相談すると、「副作用としてあり得ることです。これからさらに痛みは強くなるかもしれません」と言われ、非常に驚きました。関節痛がこれほどまでにつらいものだとは、実際に経験するまで十分に理解できていなかったのです。 当時、私は外来の化学療法室で勤務していました。抗がん剤治療を受ける患者さんをサポートする仕事はやりがいがありましたが、自身の関節痛と闘いながら業務をこなすことは、肉体的に大きな負担となっていました。立ち仕事や歩行のたびに走る痛みは、日を追うごとに増していきました。

体調悪化による離職とリハビリのために始めた筋トレ

2018年、私は長年勤めていた総合病院を退職しました。関節痛に加え、以前から患っていた腰椎すべり症の症状が重なり、仕事の継続が極めて困難になったためです。前屈みの姿勢から起き上がる際、電撃のような痛みが走る状態で、看護師としての業務を全うすることは難しいと判断しました。 退職後の1年間は、仕事を持たずに体を休めることに専念しました。その間、腰椎すべり症を診ていただいていた先生から「体重を落とし、筋力をつけなさい」という指導を受け、筋力トレーニングを開始しました。関節が痛む中での運動は容易ではありませんでしたが、少しずつ筋肉を鍛えることで、腰の痛みは改善していきました。 ホルモン療法は、最終的に当初の予定通り5年間継続しました。関節痛は最後まで残りましたが、トレーニングを継続することで、なんとか自分自身の足で歩き続ける体力を維持しました。5年が経過した際、主治医と相談し、生活の質を優先して治療を終了することに決めました。現在は薬の服用を終え、関節の痛みも大幅に軽減しています。

登山という新たな生きがいと山野草との出会い

筋力トレーニングを続ける中で、私の体には少しずつ変化が現れました。以前よりも体力がつき、動ける範囲が広がってきたのです。そんな折、山岳ガイドの方が主催する勉強会に参加したことがきっかけで、山登りに興味を持ちました。 最初は「今の体力で登れるだろうか」という不安もありましたが、実際に高尾山へ登ってみたところ、山に咲く可憐な山野草に心を奪われました。私はもともと山野草が大好きでしたが、自然の中に自生する花々を見つける喜びは、何物にも代えがたいものでした。 一度山の魅力に取り憑かれると、もっと多くの花を見たいという思いが強くなり、頻繁に山へ足を運ぶようになりました。腰痛や関節痛に悩まされていた時期には想像もできなかったことですが、山に登るために体調を整え、筋トレを続けるという良い循環が生まれました。がんを経験し、一度は失いかけた健康を自分の努力で取り戻したという実感は、大きな自信につながりました。

どん底を経験したからこそ見えた「恩返し」の人生

がんという命の危機に直面した私の人生観は、以前とは全く異なるものになりました。一時は精神的にも肉体的にもどん底にありましたが、そこから立ち上がって現在のように活動できていることに、強い感謝の念を抱いています。がんを経験したことで、何気ない日常の「ありがたさ」にも気が付きました。 「これからの人生は、生かされたことへの恩返しのために使いたい」。そうした思いが、今の私の原動力になっています。以前のように自分をすり減らして働くのではなく、自分が持っている知識や経験、そして体力を、誰かのために役立てたいと思うようになりました。 がんという病気は、私に多くの痛みと困難をもたらしましたが、同時に、立ち止まって自分の人生を見つめ直す機会も与えてくれました。看護師としてのキャリアを一時中断したことも、今の自分にとっては、より深く患者さんの心に寄り添うための必要なプロセスであったと捉えています。

被災地ボランティアでの看護師としての貢献

現在は、2024年に発生した能登半島地震の被災地支援にボランティアとして参加しています。かつて病院やがん相談員として培った経験を活かし、被災された方々の健康相談や、サロン活動を通じた心のケアに携わっています。 集会場で住民の方々とお茶を飲みながら話を伺う中で、看護師としての視点が役立つ場面が多くあります。ちょっとした体調の変化に気づいたり、不安な気持ちに耳を傾けたりすることは、私がこれまでがん治療やリハビリを通じて学んできたことそのものです。 被災地の方々と接する中で、私自身も多くの力をいただいています。自分の足で山に登れるまでに回復した体を、今度は誰かを支えるために使う。それが、私の考える「恩返し」の形です。がんを経験したからこそわかる、ささやかな日常の尊さを胸に、これからも一歩ずつ自分にできる活動を続けていきたいと考えています。

乳がん検診のあり方に対する個人的な思い

自身の体験を通じて、私は日本の乳がん検診のあり方についてひとつの考えを持つようになりました。私はマンモグラフィで異常なしと言われた直後にしこりを見つけましたが、これは日本人女性に多い「高濃度乳房(デンスブレスト)」の影響があると感じています。 マンモグラフィだけでは見えにくい病変も、エコー検査であれば発見できる場合があります。主治医からも「2年に一度はマンモグラフィを受けてほしいが、それとは別に毎年エコー検査を受けてほしい」とアドバイスされました。国が推奨する検診項目にエコー検査を組み入れることは、早期発見のために非常に重要だと考えています。 また、何よりも自分自身で胸に触れる「セルフチェック」の重要性を痛感しました。機械による検診は万能ではありません。いつも自分の身体に触れ、昨日との違いに気づくことが、自分を守るための最も確実な手段です。私の場合は、セルフチェックでの気づきがあったからこそ、今こうして元気に過ごせています。その大切さを、これからも多くの人に伝えていきたいです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 一人で悩みを抱え込まないでください がんと診断された時、誰にも相談できず一人で苦しむ必要はありません。全国のがん診療連携拠点病院には、誰でも無料で利用できるがん相談支援センターがあります。まずは電話でもいいので、専門の相談員に自分の気持ちを打ち明けてみてください。 信頼できる相談相手を複数見つけてください 医師や相談員にも相性があります。一人の意見に縛られるのではなく、自分が納得できるまで、さまざまな窓口を訪ねてみてください。自分を支えてくれるネットワークを複数持つことが、長期にわたる治療を乗り越える上での大きな助けとなります。 自分の感覚を何よりも信じてください 検診結果やデータも大切ですが、あなた自身の体が発するわずかなサインを見逃さないでください。違和感があれば、迷わず専門医に相談する勇気を持ってください。あなたの命を守る一番の味方は、あなた自身の直感と行動力です。

がん体験に関するインタビュー参加者募集中

オンコロでは、がん体験をお話しいただける方を対象としたインタビューを実施しております。応募条件など、詳細は下記の応募フォームをご確認ください。
体験談 乳がん

おすすめ記事

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

動画

一覧を見る

体験談

一覧を見る

患者会

一覧を見る

電話受付:平日(月〜金)10:00-18:00

※オペレーターが受付いたします。内容に応じて専門のスタッフへおつなぎいたします。