写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:ぼんさん(ニックネーム)
年代:50代
性別:女性
家族構成:夫と2人暮らし
仕事:公務員
がんの種類:乳がん
診断時ステージ:ステージ0
診断年:2024年
現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
2024年6月、ぼんさんは定期的な婦人科検診をきっかけに乳がんの疑いを指摘されました。精密検査で受けた針生検での止血トラブルや精神的な落ち込みを経験しながらも、周囲の人々の支えによって信頼できる医師と出会い、転院を決断しました。ステージ0という早期発見であったことから乳房温存手術と放射線治療を選択しました。現在は公務員としての仕事に復帰しながら、半年に1回の定期検診を続けています。がんという経験を経て、将来への不安を抱え込むのではなく、今やりたいことを最優先にする生き方についてお話しいただきました。
乳がん検診で見つかった散らばったように見える石灰化の影
私が乳がんの疑いを指摘されたのは、2024年6月のことでした。勤務先の婦人科検診でマンモグラフィ検査を受けた際、医師から「石灰化したようなものが散らばって見えます。広がり方が少しおかしいので、精密検査が必要です」と告げられたのです。それまで自覚症状は全くなく、自分は健康だと信じて疑っていなかったので、突然の指摘にひどく驚きました。
精密検査を受けるにあたり、私は自分で情報を集め、自宅から近く、無造影MRI(DWIBS法)を導入している総合病院を選びました。喘息の持病があるため、造影剤を使わずに撮影できるMRI装置があるという点に惹かれたのです。インターネットで調べたその病院へ、検診結果を持って受診することにしました。
病院では無造影MRI検査に加え、さまざまな検査を経た後、組織を採取する針生検も行いました。この針生検が、私にとって最初の大きな試練となりました。検査そのものは局所麻酔をして行われましたが、その後の止血処置に問題があったのです。
針生検後のトラブルと救急外来への搬送
針生検を終えた後、看護師さんが止血のためにガーゼを当てて圧迫してくれました。しかし、その押さえていた場所が、実際に針を刺した部位とは少しずれていたようでした。私は台の上に横たわっていたので正確な位置はわからなかったのですが、結果的に適切な止血が行われていませんでした。
帰宅後、1時間から2時間が経過したころです。その日は暑い日で、私は黒い服を着ていました。胸のあたりが少し濡れているような感覚がありましたが、最初は汗だろうと思っていました。ところが、ふと服をめくってみると、下着が真っ赤に染まるほど出血していたのです。
慌てて検査を受けた総合病院の救急外来に電話をしました。すぐに来るように言われ、タクシーで病院へ向かいました。救急外来には乳腺外科の専門医はいませんでしたが、当直の外科医が応急処置として止血を行い、止血剤の点滴を受けることになりました。そのまま一晩の入院を余儀なくされ、私はこの病院での今後の治療に対して、大きな不信感と不安を抱くようになりました。
信頼できる医師と出会い転院を決断
7月中旬、精密検査の結果が正式に出ました。診断名は乳がん、ステージは0とのことでした。「ごく早期の状態なので、切除すれば治る可能性が高い」という説明を受けましたが、私は前回の出血トラブルの影響もあり、その病院で手術を受ける決心がつきませんでした。
精神状態はかなり不安定になっていました。朝から晩までスマートフォンで「乳がん ステージ0」「生存率」「再発率」といったキーワードを検索し続けました。将来への不安から食欲も落ち、大好きだった食べ歩きに出かける気力もなくなっていました。
そんな折、行きつけの和食屋さんの予約をキャンセルしたことが、転機となりました。心配した女将さんからLINEで連絡をいただいたのです。私は正直に乳がんと診断されたこと、どこの病院で手術を受けるべきか悩んでいることを打ち明けました。すると女将さんは「うちの店のお客さんに、大学病院で乳腺外科を担当している先生がいるから紹介しますね」と言ってくださったのです。
7月下旬には、紹介された大学病院を受診することができました。担当の先生は非常に丁寧に話を聞いてくださり、ここなら安心して任せられると直感しました。私は最初の総合病院に、他の病院で手術を受ける旨を伝え、検査データ一式を新しい大学病院へ送ってもらう手続きを済ませました。
全摘の可能性もあった乳房温存手術を決断
大学病院の先生からは「精密検査の結果ではステージ0だと思われますが、正確な広がりやサブタイプは手術をして、病理検査をしてみないとわかりません」と説明を受けました。治療方針として提示されたのは、乳房温存手術または全摘手術の選択でした。
私は、できるだけ乳房の形を残したいと考えました。全摘して再建するという方法もありましたが、再建手術は体に与える負担が大きく、手術の回数も増えてしまいます。乳房温存手術であっても、もし術中にがんの広がりが見つかれば、その場で全摘に切り替える可能性があるという条件付きでしたが、私は納得の上で乳房温存手術を希望しました。
手術は2024年の9月に行われました。幸いがんは大きく広がっておらず、当初の予定通り乳房温存手術で無事に終了しました。術後の病理検査の結果、サブタイプはホルモン陽性のルミナルA、リンパ節への転移も認められませんでした。そして、最終的な診断もステージ0で確定したのです。
先生からは「ホルモン療法を追加しても、ぼんさんの場合は再発を抑える効果は数%です」という説明を受け、話し合いの結果、現在はホルモン療法も行っていません。乳房温存手術を受けたため、再発予防のための放射線治療のみを行うことになりました。
公務員としての仕事と治療の両立
手術後、10月からは16回の放射線治療が始まりました。放射線治療は平日に毎日通う必要がありますが、私は公務員として働いているため、職場の制度を活用することにしました。
私は乳がんの診断を受けた直後、早い段階で職場の上司や同僚に状況をオープンに伝えていました。検診結果で疑いが出た段階から「少し検査が続くので、テレワークや休暇をいただくかもしれません」と相談していたのです。公務員ということもあり、病気休暇や特別休暇の制度が整っていたことは非常に助かりました。
職場の方々は私の状況を快く理解してくれ、放射線治療のために毎日1時間から2時間ほど早く退勤することも、スムーズに受け入れてくれました。高額療養費制度についても職場から案内があり、金銭的な負担を軽減することができました。私は自分のがん体験を通して、病気を隠すのではなく、必要に応じて周囲に共有することのメリットを強く感じました。職場の理解があったからこそ、治療に専念しながら仕事を続けることができたのだと思っています。
同じがん経験者たちとの出会い
治療の過程で、私はいくつかの大切な出会いを経験しました。1人目は職場の先輩にあたる男性です。彼はかつて食道がんを患い、手術を経験していました。私が不安そうにしていると「俺も切ったけど、今はこうして元気に働いている。切ってしまえばがんは体から出ていくんだから大丈夫だよ」と、力強く励ましてくれました。
2人目は、自宅で介護を受けていた母を担当してくれていたケアマネジャーさんです。ある日、私が乳がんと診断されたことを伝えると「実は私も乳がんなんです」と言われました。彼女は私よりもステージが進んでおり、全摘手術を経て、その時は抗がん剤治療の真っ最中でした。
彼女は「今、抗がん剤の副作用で髪が抜けているのでウィッグなんですよ」と言いながら、明るく振る舞っていました。抗がん剤治療を受けながらも、以前と変わらずテキパキと仕事をこなす彼女の姿を見て、私は驚きながらも、大きな勇気をもらいました。
また、インスタグラムを通じて知り合った乳がん患者さんたちのオフ会にも参加しました。そこには肺がんや大腸がんなど、異なるがんを患う若い女性たちも集まっていました。皆さん、私よりも重いステージで厳しい治療を続けており、ウィッグの選び方などの具体的な悩みを共有していました。私はステージ0で治療も比較的軽かったため、その場にいることに少し引け目を感じることもありましたが、「がんと共に生きる仲間がいる」という安心感を得ることができました。
将来を後回しにせず、今を快適に整える
手術と放射線治療を終え、現在は半年に1回の定期検診を受けるフェーズに入っています。最初のころに感じていた死への不安やうつ状態のような落ち込みは、今はほとんどありません。もちろん、再発の不安がゼロになったわけではありませんが、信頼できる先生に定期的に診てもらっているという事実が、私の心の支えになっています。
がんを経験して、私の考え方は大きく変わりました。以前は「将来のために」と、やりたいことを先延ばしにする傾向がありました。しかし今は「元気なうちに、できるだけ早くやろう」と考えるようになりました。会いたい人には会いに行き、行きたい場所には行く。そうした「今」を大切にする姿勢が身につきました。
その具体的な行動のひとつとして、私は自宅のリフォームを決断しました。築年数が経った我が家は、夏は暑く冬は寒いため、以前から断熱工事をしたいと考えていました。これまでは「定年後でもいいか」と思っていましたが、いつ何が起こるかわからないという経験をしたことで、来月から施工を始めることにしたのです。自分が最も長い時間を過ごす家を、今、最高に快適な状態に整えることで、心安らぐ空間で過ごそうと思っています。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。
周囲に心をオープンにして助けを求めてください
病気のことを一人で抱え込むのは、精神的に大きな負担となります。職場や身近な人に対して、必要な範囲で状況をオープンにしてみてください。私のように、周囲の理解を得ることで治療と仕事の両立がしやすくなったり、意外な場所で経験者からのアドバイスをもらえたりすることがあります。
今やりたいことを後回しにしないでください
がんを告知されると、誰しも将来への不安に襲われます。しかし、不安に時間を費やすよりも、今、自分の心が求めていることに目を向けてください。将来のために我慢するのではなく、今この瞬間を快適に、自分らしく過ごすための選択を優先してください。その前向きな姿勢が、治療に向き合う力にもつながります。