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乳がんと診断され、娘たちの成長を見届けるために仕事より家庭を選んだ私の決断

[公開日] 2026.03.30[最終更新日] 2026.03.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:Lさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:女性 家族構成:夫と子ども2人との4人暮らし 仕事:専業主婦(診断時は会社員) がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ1 診断年:2018年 現在の居住地:神奈川県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2018年、46歳の時に乳がんと診断されたLさんは、外資系企業の会社員として多忙な日々を送っていました。自身でしこりを見つけ、一度は「異常なし」と診断されましたが、その後の自身の行動が早期発見に結びつきました。ステージ1という診断ながらも、将来の再発リスクを最小限にするために乳房の全摘出を選択し、さらに治療を優先するためにキャリアを手放すという大きな決断をしました。病を経て、家庭という新たな居場所を見出したLさんのこれまでの歩みについてお話しいただきました。

体に感じた違和感と最初の診断

2017年の夏、入浴中に自分の胸を触っていたときに、左側に小さなしこりがあることに気づきました。大きさはあずきほどで、指先に硬い感触がありました。当時は、著名な芸能人の方が乳がんで亡くなった時期と重なっていたこともあり、社会全体の乳がんに対する関心が非常に高まっていました。私もすぐに検査を受けようと考え、以前から利用していた健診施設に電話をしましたが、予約が半年先まで埋まっているという返答でした。それでも放置してはいけないと考え、乳腺外科のある近所の総合病院に連絡を取りました。そこでは5日後に予約が取れたため、すぐに受診することにしました。 受診後、マンモグラフィーや超音波(エコー)検査などの画像検査が行われました。さらに詳しく調べるため、細い針を刺して細胞を採取する穿刺吸引細胞診も行われました。数日後に出た結果は陰性で、担当の医師からは「脂肪の塊のようなもので、心配する必要はありません」と言われました。私はその言葉を聞いて一度は安心しましたが、しこり自体が消えたわけではなかったため、心のどこかで違和感は残っていました。しかし、当時は会社員としての仕事と育児に追われていたため、次第に日々の忙しさに紛れていきました。

しこりの増大と自ら求めた精密検査

事態が大きく変わったのは、それから半年ほど経った2018年の冬でした。1月か2月ごろに再びしこりに触れると、以前は1つしかなかった塊が、別の場所に2つに増えていました。直感的に「これはいよいよおかしい」と考え、私はすぐに半年前と同じ総合病院を再受診しました。先生は前回の結果が陰性だったこともあり、最初はそれほど深刻には受け止めていない様子でした。しかし、私は不安を拭いきれなかったため、事前にインターネットなどで調べていた情報を基に、MRI検査を自分から強く希望しました。 先生は当初、そこまでしなくても、という雰囲気でしたが、私の強い希望を汲み取りMRI検査の予約を入れてくれました。2週間後に検査を受け、その結果が出たとき、先生の表情は以前とは全く違うものでした。画像には、がんの可能性が高いことを示す所見が出ていたのです。すぐに太い針で組織を採取する針生検が行われ、2018年4月に乳がんであることが確定しました。一度は陰性と診断されながらも、自分の感覚を信じて再受診したことが、結果的に病気を見つけることにつながりました。

告知の瞬間と娘たちへの思い

告知を受けたときは、自分が死んでしまうのではないかという恐怖が真っ先に頭をよぎりました。当時の私にとって、がんは死に直結する恐ろしい病気という認識でした。告知は1人で受けましたが、その後の入院説明などは夫にも立ち会ってもらいました。夫は感情をあまり表に出さないタイプなので、診断結果を聞いたときも「そうなんだ」と淡々とした反応でしたが、私の体調を気遣っていることは伝わってきました。 最も悩んだのは、まだ小さかった2人の娘たちにどう伝えるかでした。自分がいなくなったらこの子たちはどうなるのかという思いが強く、成長を見届けられないことへの無念さを強く感じました。私は子どもたちに隠し事をせずに話すと決め、病院で用意されていた子ども向けの冊子を見せながら、お母さんの胸に悪い病気が見つかったことを伝えました。上の子はがんという言葉を理解していたようで、少し怖がっていましたが、子どもなりに事実を受け止めてくれました。

再発リスクを最小限にするための全摘出という選択

治療方針を決める際、先生からは乳房の一部を残す温存手術か、全体を切り取る全摘出かの選択肢を提示されました。がんが細かく散らばっている可能性があるという説明を聞き、私は迷わず全摘出を選びました。私には自分の胸の形を残すことへの執着が全くありませんでした。それよりも再発のリスクを1%でも下げて、少しでも長く生きることを最優先に考えたからです。 念のため2つの別の病院でセカンドオピニオンも受けましたが、どちらの先生も私の症例では全摘出が最適であるという意見でした。これによって自分の決断に自信を持つことができました。再建手術についても、元々胸が小さかったこともあり、全然検討しませんでした。2018年5月の後半、左乳房の全摘手術を受けました。手術中にセンチネルリンパ節への転移も調べましたが、結果は陰性でした。これにより、最終的な診断はステージ1となりました。

キャリアを手放し、人生の優先順位を書き換える

手術は成功しましたが、私には仕事への復帰という大きな課題がありました。当時勤めていた外資系企業は非常に多忙で、それまでも時短勤務を利用していましたが、会社からはフルタイムへの復帰を強く促されていました。育児との両立で体力的にも精神的にも限界を感じていた私は、がんと診断されたことで「人生の優先順位を変えよう」と決断しました。過度なストレスを抱えたまま仕事を続けて、万が一にも再発することを避けたかったのです。 私は休職という形で一旦会社を離れましたが、心の中ではもう戻るつもりはありませんでした。外資系企業ということもあり、会社側の対応は非常に合理的で、すでに私の代わりの人員が雇われていました。会社から今後の意向を確認された際、私は自ら退職願を出すのではなく、会社都合の退職にしてもらうよう交渉しました。これにより失業保険などの社会保障をより手厚く受けることができ、経済的な不安を最小限にして家庭に入ることができました。2019年の春に正式に退職が決まりました。

家庭という新しい居場所で見つけた充足感

仕事を辞めて家庭に入ったことで、私の生活は劇的に変わりました。それまでは仕事と家庭を50対50の力でこなそうとしてどちらも中途半端になり、それが自分にとっての大きなストレスになっていました。がんになって自分の治療をするには、その割合を変える必要もありましたが、仕事を辞めたことで、治療と家庭を50対50にすることにしました。子どもたちの成長を見守るためには、がんで死ぬことはできないと思い、治療を生活のひとつとして家庭と同じくらい大切にしました。 専業主婦になったことで、家の中を整え、子どもたちの成長を丁寧に見守ることができるようになりました。毎日手作りのご飯を用意し、子どもたちが学校から帰宅したときに「おかえり」と迎える生活は、私に予想以上の充足感を与えてくれました。家族が幸せそうに過ごしている姿を見ることが、私の新しい生きがいとなりました。私は自分にとっての本当の居場所は家庭だったのだと改めてわかったのです。以前は仕事を辞めることに不安もありましたが、今はそれよりも優先すべき大切なものを守れているという確信があります。家庭に専念することで、心穏やかに過ごせるようになりました。

ホルモン療法を継続した6年間の歩み

手術後の治療としては、ホルモン受容体陽性のタイプであったため、ホルモン療法が始まりました。毎日1錠の薬を服用し、体内のホルモンを抑える治療です。当初は5年間の予定でしたが、再発予防をより確実にするために、最終的には6年間継続しました。ホルモン療法の副作用で悩む方も多いと聞きますが、私の場合は幸いにも目立った副作用はありませんでした。 治療中、セカンドオピニオンを受けた病院でサバイバーの方々が集まるお茶会に参加したことも、私にとって大きな支えとなりました。自分よりもステージが進んでいる方たちが、手術を終えて数年経っても明るく元気に生活している姿を見て、非常に安心しました。自分も同じように、病気を抱えながらも普通に生きていけるのだと、具体的な希望を持つことができたのです。

有限の時間の中で今を大切に生きる

2026年3月、下の子は中学1年生、上の子は中学3年生です。この春、上の子は中学校を卒業し、高校へ進学します。診断を受けた当時に一番強く望んでいた「子どもたちの成長を見届けること」が、今こうして実現できています。人生の節目に立ち会えることは、決して当たり前のことではなく、奇跡の積み重ねなのだと感じています。 がんに罹患したことで、人生には限りがあることを強く意識するようになりました。それからは、自分の時間を何に使うかという優先順位をはっきりさせ、自分にとって価値の低いことにエネルギーを費やさないように心がけています。また、以前は無頓着だった健康管理にも気を配るようになり、定期的な運動を生活の一部として取り入れるようになりました。体調を整えることは、自分だけでなく家族のためでもあると考えています。 再発への不安が完全に消え去ることはありません。今でも、もし再発して娘たちの成長を見届けられなくなったらどうしようという恐怖がふと頭をよぎることはあります。しかし、その不安に飲み込まれるのではなく、今ある自分の居場所を大切にし、一日一日を納得のいく形で過ごしていきたいと考えています。家族との時間を慈しみながら、これからも前向きに歩んでいくつもりです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 自分のやりたいことの優先順位を明確にしてください 人生の時間は有限です。病気を経験すると、その事実に直面せざるを得ません。だからこそ、今の自分にとって何が一番大切なのか、誰のために、何のために生きたいのかを改めて自分自身に問いかけてみてください。仕事、家庭、趣味など、周囲の期待や常識にとらわれず、自分自身の本当の望みを優先させる決断をすることは、生きていくための大きな力になります。 自分が心から安心できる居場所を大切にしてください 家族、職場、友人、あるいは同じ経験を持つ仲間との集まりなど、自分が自分らしくいられる「居場所」を持つことは非常に重要です。自分がそこにいていい、誰かに必要とされていると感じられる場所があるだけで、前向きな気持ちを維持しやすくなります。もし今、孤独を感じているなら、焦らずに自分が安心できる場所や人を探してみてください。心が休まる場所があることが、治療に向き合う支えになります。 自分が納得できる治療や生活の選択をしてください 治療方針や仕事との向き合い方について、重大な決断を迫られる場面が多くあります。その際、後悔しないために自分自身の「納得感」を最優先にしてください。再発のリスクを減らすために大きな手術を選ぶことも、キャリアよりも体調や家庭を優先して環境を変えることも、本人が納得して選んだのであれば、それが最善の選択だと思います。
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