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膀胱がん、妻のサポートで乗り越えた敗血症、新たに見つけた俳句という楽しみが力に

[公開日] 2026.03.19[最終更新日] 2026.03.17

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:Noahさん(ニックネーム) 年代:70代 性別:男性 家族構成:妻と2人暮らし 仕事:フリージャーナリスト(現在は引退) がんの種類:膀胱がん 診断時ステージ:ステージ2 診断年:2015年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2015年11月、頻尿をきっかけに受診した病院で、Noahさんは膀胱がんと診断されました。全摘手術、ストーマの造設、肺転移、そして抗がん剤治療や敗血症による意識不明という幾多の苦難を乗り越え、診断から10年以上が経過しました。医療ジャーナリストとしての知見を持ち、冷静に病と向き合い続けてきたNoahさんにお話しいただきました。

ただの頻尿ではなかった異変

膀胱がんだとわかったのは2015年の11月のことでした。当時の私はフリーランスのジャーナリストとして活動していましたが、体に明らかな異変を感じていました。とにかく30分もすると尿意を感じ、トイレに駆け込む状態でした。夜中も4〜5回はトイレに起きていました。取材中に何度も中座せざるを得ず、仕事にも支障が出始めていました。 当初、私は頻尿の症状から「前立腺がんかもしれない」と考えていました。しかし、知人の医師が副院長を務める総合病院へ相談に行ったその日、決定的な出来事が起きました。病院で血尿が出たのです。それを知った医師の顔色が変わりました。「これは危ない」ということで、すぐに精密検査が行われることになりました。 その日のうちにレントゲン、CT、血液検査、そして膀胱鏡検査と、朝10時から夜の8時までかけて一通りの検査を受けました。特に膀胱鏡検査の際、モニターに映し出された画像は鮮明でした。医師から「これが全部がんだと思われます」と説明を受けたとき、不思議とショックはありませんでした。仕事の関係で面識があったがんセンターの著名な先生から「どうせがんになるなら膀胱がんが楽だよ。転移や再発しても片っ端から取ればいいし、治療選択も多いから」と冗談めかして言われていたことが頭の片隅にあったからかもしれません。

迷わず膀胱全摘という決断

初回の経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)でセーフだったので、膀胱温存を目指し2度目のTURBTを受けました。しかし、切除した病変の病理検査の結果、膀胱の壁の筋層までがんが浸潤していることがわかりました。そのため、2016年1月に膀胱の全摘手術を受けました。中学生のときに虫垂炎の手術をしており、体内に癒着があったことから、自分の腸で代用膀胱を作る再建術は難しいと言われました。そのため、尿の出口を腹部に2か所作る最も古典的な尿路ストーマ法を選択することになりました。 ストーマに対しては、世間一般では「管理が大変」「見た目が気になる」といったネガティブなイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、さまざまな素材の開発と医療技術の積み重ねにより、ぴったりと密着し、かつ蒸れないものになっています。 手術後、入院中にストーマ―ナースからストーマの管理について丁寧な指導を受けたおかげで、スムーズに管理方法を習得できました。 実際に生活が始まってみると、ストーマは非常に快適でした。映画を観に行っても、コンサートに行っても、途中でトイレのために席を立つ必要がなくなりました。夜も一度も起きずに朝まで熟睡できる。それは、病気になる前の日常生活よりもずっと楽なものでした。温泉に行くときなどは多少周囲の目が気になりますが、隠す必要もないと考え、今でも普通に温泉を楽しんでいます。

新たに見つかった2つ目の肺の影

その後、2017年4月の定期検査で、2つの肺転移巣が見つかりました。実は、初診時の胸部X線検査では、片方の肺に星のような影が1つ見つかっていましたが、当時は小さすぎて肺転移とは断定できませんでした。 定期検査で新たに見つかった肺転移巣は、胸腔鏡手術で切除することができましたが、もう1つの転移巣は胸腔鏡手術では切除できなかったため、放射線治療を受けました。切除した病変の病理検査の結果、やはり膀胱がんの肺転移ということがわかりました。そのため、抗がん剤治療を受けることになりましたが、主治医が大学病院に異動となったため、自分も転院して治療を開始しました。この抗がん剤治療は非常にきついものでした。月曜日に入院して火曜・水曜に抗がん剤を投与し、木曜日に退院し、翌金曜日に白血球などを増やすG-CSF製剤を注射するというサイクルを6回繰り返しました。 副作用は強烈でした。髪の毛はもちろん抜けました。投与後は好中球が極端に減少し、激しい倦怠感と高熱に襲われました。自宅で倒れ込み、タクシーで病院へ向かおうとしても、車に乗るのに這うような状態でした。医師から「こういう時はタクシーではなく、すぐに救急車を呼びなさい」と言われたため、2回目からは救急車を呼ぶようにしました。

敗血症による命の危機と妻の支え

抗がん剤治療を終えてしばらくしたころ、私は再び命の危機に直面しました。尿路感染症が原因と思われる敗血症を起こしたのです。 ある日、トイレに立った後の記憶が全くありません。妻が倒れている私を見つけ、すぐに救急車を呼んでくれました。病院に運び込まれてから丸1週間、私は個室で意識を失ったままでした。後から聞いた話では、腎機能が著しく低下し、医師からは「命を救うためには人工透析が必要になる」と妻に告げられたそうです。 しかし、妻は医師にこう伝えました。「主人はかねてより、透析をしてまで生きたくないと言っていました。その意志を尊重してください。もしそれで死ぬことになっても構いません」と。妻は私の願いを守ってくれました。一週間後に意識が戻ったとき、私は一般病棟の6人部屋にいました。透析なしで危機を脱することができたのは、運が良かっただけではなく、妻の覚悟があったからだと思っています。1人暮らしであれば、あの時、私は間違いなく命を落としていました。

制限の中で見つけた俳句という新たな楽しみ

現在、私はがんの転移巣も消え、半年に一度の検査に通うのみの生活を送っています。しかし、長年の治療と合併症の影響で、腎機能は健常者の3~4割程度まで低下しました。痛み止めとして服用していたロキソニンの影響もあったのかもしれません。 このため、私の食生活には厳しい制限が課されています。1日の塩分摂取量は6g以下。かつて楽しんでいたアルコールも完全にやめました。外食もままならず、かつての食の楽しみは大きく制限されてしまいました。ジャーナリストとしての仕事も、以前のようなハードな取材はこなせなくなり、一線を引き退くことにしました。 しかし、何かを失うことは、新しい何かを見つけるきっかけでもありました。私は現在、友人の勧めで始めた俳句を楽しんでいます。 俳句の世界には、これまでの仕事関係とは全く異なる地域の方々や、さまざまな職業を経験された方々がいます。月に3つの句会に参加しており、毎回5句ずつ新作を持ち寄ります。言葉を選び、十七7音の中に情景を込める作業は、非常にやりがいのある頭の訓練になっています。 句会の仲間には、自分ががんのサバイバーであることを特に話していません。見た目は元気な高齢者の1人として接していただいていますが、カバンにはヘルプマークをつけています。外出先で万が一倒れた際、自分がストーマを使用していることや、病歴が周囲に伝わるようにするためです。

10年以上を経て思うがんとの共生

診断から10年以上。振り返れば、肺転移が見つかっても、私は今こうして穏やかな日々を過ごしています。がんはもはや不治の病ではなく、適切に向き合えば共生できる病気なのだと実感しています。 仕事も食の楽しみも失いましたが、それでも朝起きて、一句を考え、妻と食事をし、仲間と俳句を通して語り合う。そんな毎日に不足はありません。がんになったことを悲観するのではなく、がんになったからこそ出会えた新しい世界や、支えてくれた人々の存在に目を向けながら、これからも一日一日を丁寧に生きていきたいと思っています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 標準治療を信じてください がんとひと口に言っても、その種類や進行度は人それぞれ千差万別です。インターネットにはさまざまな情報があふれ、時には民間療法を勧められることもあるでしょう。しかし、まずは現代医学の標準治療を信じてください。標準治療とは、現時点で最も効果が証明された最善の治療です。それ以外の道に迷い込む前に、まずは目の前の医師と向き合い、提示された治療を全うすることが、回復への一番の近道だと私は考えます。 頼れることは頼り、孤独にならないでください 私は敗血症で倒れた際、妻がいたおかげで命をつなぎ止めることができました。がん治療は時に孤独で過酷ですが、ひとりで抱え込むには限界があります。家族や医療従事者の助けを借りることをためらわないでください。そして、もし何かを失ったとしても、私の俳句のように新しい何かを見つけるチャンスは必ずあります。病気になったからといって人生を諦める必要はありません。 医療費の制度やアドバイスを活用してください 治療費のことが心配で治療を躊躇する方がいるかもしれませんが、高額療養費制度など、日本には優れた支援の仕組みがあります。経済的な不安がある場合は、病院のソーシャルワーカーなどに相談してください。どうぞ希望を捨てずに、一日一日を大切に過ごしてください。
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