• 検索
  • お問い合わせ
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • ニュース
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 動画
  • 患者会
  • 辞典
  • お役立ち

がんは特別な病気じゃない、希少がんのひとつ脊索腫とともに生きる私らしい生き方

[公開日] 2026.03.12[最終更新日] 2026.03.10

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:まりりんさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:女性 家族構成:1人暮らし 仕事:介護職 がんの種類:脊索腫(せきさくしゅ) 診断年:2019年 現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 まりりんさんは、希少がんのひとつである「脊索腫」と診断されました。介護職として働きながらがんや治療後に残った後遺症と闘い1人暮らしでの入院生活という、物理的にも精神的にも困難な状況を経験されました。現在はその経験を糧に、同じ境遇の人を支えるための新たな活動を模索しています。これまでの歩みと、がんと共に生きるしなやかな死生観についてお話しいただきました。

「手の震え」から偶然見つかった希少がん

がんとしての自覚症状は、全くありませんでした。介護現場で利用者様への食事介助中、スプーンを持つ手が震え、そのことを心配した利用者さんから会社に相談がありました。 当時は東京に越してきた直後で、新しい職場に勤め始めたばかりでした。会社がインターネットでいろいろと調べてくれたようで「脳神経外科で手術を受ければ治る場合もあるみたいだよ。一度診てもらったら」とアドバイスを受け、私は近くのクリニックを受診することにしました。 そのクリニックでの診断は「本態性振戦」というものでした。加齢によるもので、命に関わるものではないという説明でした。日常生活に支障がない限りは積極的な治療を勧める段階ではないとのことでした。しかし、念のために受けたMRI検査が、私の人生を大きく変えることになりました。 翌週、「もっと問題になりそうなものが見つかりました」と医師に告げられました。画像には、脳幹付近に3cmほどの腫瘍が写っていました。医師からは脊索腫の疑いがあると言われ、すぐに総合病院を紹介されました。

希少がん「脊索腫」という現実と向き合いながら

紹介された総合病院で改めてMRI検査を受けました。医師からは「この画像の色や形からして、脊索腫で間違いないだろう」と告げられました。脊索腫は非常に希少ながんで、骨に発生するものです。確定診断のためには組織を採取する必要があるとのことで、私は外科的な検査手術を受けることになりました。 手術は鼻からアプローチする経鼻的な手法で行われました。採取した組織を検査した結果、脊索腫(悪性腫瘍)で間違いないとの診断でした。脊索腫は再発しやすい悪性度の高い腫瘍だそうです。ただ、おとなしいタイプのものもあり、悪性度を調べるため、組織検査を行うことになりました。10日間ほど経った頃「良くも悪くもありません。普通です」と言われました。良いか悪いかどちらかではっきりしてほしいと思いましたが、受け止めるしかありませんでした。 入院期間中は仕事を休まなければなりませんが、私は契約社員として働いていたため、有給休暇や特別な給付金があるわけではありません。当時は2か所の会社で働いていました。一方の会社は状況を理解し、治療後に復帰することを快く受け入れてくれましたが、もう一方の会社は難色を示されましたが、幸い解雇にされることはありませんでした。

3か月の入院生活と前向きに付き合う後遺症

最初の手術で腫瘍はきれいに取り除かれましたが、念には念を入れて「陽子線治療」を行うことになりました。しかし、通っていた総合病院には陽子線治療の設備がなかったため、別の大学病院を紹介され、入院治療することになりました。 外科的な手術の後は大きな後遺症もなく、割とすぐに日常生活に戻れると感じていました。しかし、陽子線治療の後はさまざまな奇妙な症状が起こりました。退院直後から、頭がぐるぐると回るような激しいめまいや、平衡感覚の喪失、そして強い倦怠感に襲われました。ただ、どれも数十秒で治まりました。これらは医師の説明通り、半年もしないうちに症状は消失しました。 その代わり、数か月後から階段を降りるのが異常に怖くなるという症状がでました。2段目までは大丈夫なのですが、3段目からは怖くて足が出せなくなり、壁や手すりにつかまらないと降りられないのです。今では、この症状はだいぶ和らぎ、疲れた時にしか出ませんが、ろれつが回らなくなる症状は続いています。たまにおかしなことはあるものの、日常生活に大きな問題はなく、半年に1回のMRI検査でも問題なく数年が過ぎました。 しかし、4年後に問題が出始めました。最も深刻だったのは、ホルモン分泌の異常です。脳底部への放射線照射の影響で、下垂体機能低下症(複数のホルモンが出なくなる状態)が起こり、成長ホルモンをはじめとする複数のホルモンの分泌が減少しました。これにより、日常生活に大きな支障が出始めました。 ひどい倦怠感で頭が回らなくなり、滑舌も悪くなりました。外出の準備をするだけでも、以前は30分で済んでいたものが3時間もかかるようになり、生活の質は著しく低下しました。 現在は、毎日内服薬で足りないホルモンを補うこと、また、成長ホルモンに関しては自己注射を打つことで、なんとか最低限の生活を維持しています。ただ、副作用も強く、これ以上副作用がひどくなれば自己注射も続けられなくなるという不安はありますが、今の私にはこれが最良の選択です。

1人暮らしの患者が直面する壁

がんになってわかったのは、1人暮らしで病気と向き合うことの物理的な大変さです。 入院中、最も困ったのは日常生活の細かなサポートでした。家族がいれば洗濯物を持ってきてもらったり、足りないものを買い足してもらったりできます。しかし、家族は地方在住で、都内で1人暮らしの私はすべてを自分で解決するか、あきらめるしかありませんでした。病院の洗濯機を使おうにも、乾燥機が使えない衣類が多く、干す場所もないといった些細なことが、精神的なストレスになりました。 また、自宅に残してきた観葉植物の水やりや、郵便物の管理など、病院の外にある「生活」が止まってしまうことへの不安もありました。1人で入院する人は、普段は自立して生きている人が多いはずです。しかし、病気という非常事態においては、その自立が逆に「孤立」に変わってしまう危うさを痛感しました。 現在、私はこの経験を基に、1人暮らしの入院患者を支援する事業を立ち上げようと動いています。ソーシャルワーカーの方々と連携し、入院中のちょっとした困りごとを解決できるような仕組みを作りたいと考えています。 また、同じ悩みを持つ当事者同士がつながることの難しさも、この2年半、活動を続ける中で感じてきた課題です。

がんという病気を「特別な病気」にしない

私は、がんという病気をそれほど特別視していません。世の中にはがんの患者さんがたくさんいます。見た目は健康そうに見えても、実は治療中という人は私の周りにも大勢います。私も「がん患者です」と会社で公表しても、健康そうにしか見ないようで誰も信じてくれません。「休みたかっただけだろ」と言われます。 私にとって、がんは「花粉症」のような持続的なケアが必要な病気のひとつという感覚です。もちろん、痛みや苦しみが強い時期は別ですが、普通に生活できていれば、淡々と治療を受け、淡々と今日を生きる。過度に絶望したり、逆に「絶対に治す」と意気込んだりすることなく、今の状態を受け入れることが、私なりの向き合い方です。 私は氷河期世代ということもあり、どこか冷めた目で現実を見ている部分があるのかもしれません。生きることに執着しすぎるよりも、今できることを精一杯やり、困っている人の力になりたい。それが今の私の原動力です。 体力的には以前のようにはいきませんが、働けるうちは働き、自分が目指す支援事業を形にしたいと考えています。がんは私の人生の一部ではありますが、すべてではありません。これからも、この体と付き合いながら、自分らしい歩みを続けていくつもりです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がん治療をしている方にお伝えしたいことがあります。 がんを特別な病気と考えすぎないでください がんと診断されると、人生が終わったかのように絶望してしまうかもしれません。しかし、がんは日本人の2人に1人がなる病気です。本人が言わず、見た目でわからないだけで、実はがん患者は周りに大勢います。がんを特別なこと、特殊なことだと構えすぎず、まずは落ち着いて「共に生きていく病気」のひとつとして捉えてみてください。がんは人生の一部ですが、すべてではありません。 1人で抱え込まないでください 特に1人暮らしの方は、誰にも頼れず孤独を感じることがあるかもしれません。今はまだ十分な支援体制が整っていないかもしれませんが、同じ境遇の人の声を聞くだけでも、心が軽くなることがあります。サポートしてくれる周囲の人や情報を探すことを諦めず、探してみてください。
体験談 脳腫瘍 脊索腫

おすすめ記事

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

動画

一覧を見る

体験談

一覧を見る

患者会

一覧を見る

電話受付:平日(月〜金)10:00-18:00

※オペレーターが受付いたします。内容に応じて専門のスタッフへおつなぎいたします。