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胆のうがんステージ0で発見、私を救ったのは会社からの人間ドック受診勧告

[公開日] 2026.03.11[最終更新日] 2026.03.04

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:トシユキさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:男性 家族構成:妻と2人暮らし(診断当時は妻、子ども3人と同居) 仕事:契約社員(診断時は会社員) がんの種類:胆のうがん 診断時ステージ:ステージ0 診断年:2013年 現在の居住地:千葉県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2012年末、仕事に追われていたトシユキさんは、会社から「人間ドックを受けるように」と何度も催促を受けました。重い腰を上げて受診した検査で見つかったのは、胆のうにできたポリープでした。当初は経過観察も検討されましたが、医師から告げられた「同様のケースで、3か月後に手遅れになった患者さんがいた」という衝撃的なエピソードと、家族の強い後押しがトシユキさんの背中を押しました。手術の結果、判明したのはステージ0の胆のうがんでした。早期発見がどれほど幸運で、かつ重要であるか。自らの体験を基に、当時の状況とその後の意識の変化についてお話しいただきました。

胆のうがん診断のきっかけは、仕事を優先させ疎かにしていた健康診断

すべては2012年のことでした。当時の私は管理職として多忙な日々を送っており、自分の体のことなど二の次という生活でした。会社の健康診断さえ、時間が取れないことを理由に数年も受けていなかったのです。 そんな私に対し、会社の担当部署から「人間ドックを早く受けなさい」という、まさに矢のような催促が届きました。再三にわたる勧告に「これは行かないわけにはいかないだろう」と半ば諦めるような気持ちで予約を入れました。今振り返れば、あの催促こそが私の命を救ったのだと思っています。 人間ドックの超音波(エコー)検査を受けている最中、画面を食い入るように見つめる医師の様子が違うことに気づきました。私の胆のうを大きく映し出し、そこにある「何か」を慎重に確認しています。 「胆のうにポリープがありますね。しかも10mmくらいです」 その場ですぐに大きな病院へ行くように言われ、大学病院への紹介状を渡されました。何の症状もなかった私にとって、それはまさに青天の霹靂でした。

医師の言葉が変えた「経過観察」という選択肢

2013年1月の初旬、大学病院の消化器内科を訪れると、さらに詳しい精密検査が行われました。超音波内視鏡(EUS)など、さまざまな角度から胆のうの状態を調べましたが、この段階ではまだ「がん」と決まったわけではありません。 最初に診ていただいた主治医の先生は、「これくらいのサイズなら、まずは経過観察でも大丈夫かもしれません」という見解でした。ポリープそのものは大腸などで経験もあり、良性であれば急ぐ必要はない。私自身も「仕事も忙しいし、しばらく様子を見ようか」と、どこかで楽観視していました。 しかし、次に別の先生の診察を受けた際、私の運命を大きく変える話を聞くことになります。 「私の患者さんで、あなたと同じようなポリープを3か月ほど経過観察した結果、次に診たときには手遅れの状態になっていた方がいました」 その言葉は、私の胸に深く突き刺さりました。胆のうという場所は、がんが進行しやすく、見つかったときには手の施しようがないことが多いという知識は、調べていくうちにわかってきました。家族に相談すると、妻も娘たちも「悪い可能性があるなら、取れるうちに取ってしまったほうがいい」と即座に手術を支持してくれました。 「後悔したくない。とにかく早く取ってしまおう」 私は当初の予定を早めてもらうよう病院に頼み込みました。運良く手術枠に空きが出て、2013年の1月31日、私は胆のう全摘出手術を受けることになったのです。

手術後に判明した、隠れていた「がん」

手術は腹腔鏡ではなく、より確実を期すために開腹手術となりました。手術自体は無事に終了しましたが、摘出した胆のうを手術中に病理検査した結果、がんだったことがわかりました。 幸いなことに、がんは胆のうの粘膜内に留まっており、他への転移も認められない「ステージ0」の状態でした。 「早期で見つかって、よかったですね」 主治医にそう言われたとき、全身の力が抜けるような思いでした。もし、あのとき「経過観察」を選んで3か月放置していたら、がんは胆のうの壁を突き破り、肝臓や膵臓へと広がっていたかもしれません。仕事が忙しいからと人間ドックを後回しにし続けていたら、私は今、こうして話をすることさえできていなかったはずです。

恵まれた職場環境とスムーズな復帰

手術後、約1週間の入院を経て退院しましたが、管理職という立場もあり、仕事への影響が懸念されました。しかし、ここでも私は環境に恵まれていました。 当時、会社には産業医の先生がおり、私の復帰プランを一緒に考えてくれました。2013年当時は今ほど一般的ではありませんでしたが、会社にはリモートワーク(在宅勤務)の制度が限定的に導入されており、私の状況を汲んで柔軟な勤務を認めてくれたのです。 退院後の2月と3月は、無理に出社せず自宅で電話やメールを使って業務をこなしました。産業医や上司の理解があったおかげで、体調を優先しながら少しずつ仕事のペースを取り戻すことができました。 「病気になっても、会社と医療関係者がしっかり対話できれば、キャリアを断絶せずに済む」 この経験は、働く1人の人間として、大きな安心感につながりました。

健康意識の劇的な変化とその後の12年

がんを経験してからの12年間、私の健康に対する意識は180度変わりました。かつては疎かにしていた人間ドックも、今では毎年欠かさず受診しています。 胆のうを摘出したことで、当初は排便習慣の変化や、油っこいものを食べた際の影響を心配していましたが、食生活をコントロールすることで徐々に慣れていきました。当時は「脂肪肝」も指摘されていましたが、油ものを控え、バランスの良い食事を心がけるようになったことで、今ではその症状も改善しています。妻からは「揚げ物は控えなさいよ」と今でも釘を刺されますが、それは私を気遣ってのことだと受け止めています。 もちろん、今でも検査のたびに不安はゼロではありません。血液検査で腫瘍マーカーが少し上がっただけで「どこかにまた、がんが隠れているのではないか」と、当時の恐怖が蘇ることもあります。しかし、その不安があるからこそ、定期的な検査を怠らず、自分の体と向き合い続けることができているのだと思っています。 私の人生は、あの「矢のような催促」によって救われたのだと思っています。症状が出てからでは遅い。無症状のうちに見つけることの重要性を、私は身をもって知りました。これからも、いただいたこの命を大切にしながら、一日一日を丁寧に過ごしていきたいと思っています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私の経験が、少しでもどなたかのお役に立てば幸いです。 定期的な健康診断は「命の保険」です 症状が出てから病院に行くのでは、手遅れになる可能性があります。症状がないときこそ、定期的に検査を受けてください。私の命を救ったのは、自分自身の決断以前に、会社が送ってくれた「検査の催促」でした。 職場の支援制度や産業医を積極的に頼ってください 1人で抱え込まず、職場の産業医や上司に現状を正直に相談することが大切です。今は、治療と仕事を両立させるためのさまざまな制度が整いつつあります。適切な支援を受けることで、体も心も、そして生活も守ることができます。 生き延びた自分と、支えてくれる家族を大切にしてください がんを乗り越えた後は、食生活や生活習慣を見直す良い機会です。家族の心配を「うるさい」と思わず、共に健康を守っていくパートナーとして感謝を伝えることが、再発防止の第一歩だと私は信じています。
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