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乳がんステージ0、全摘と再建により納得できる「自分」を取り戻す選択

[公開日] 2026.03.05[最終更新日] 2026.03.02

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:じゅりさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:女性 家族構成:1人暮らし 仕事:会社員 がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ0 診断年:2021年 現在の居住地:東京都
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 健康診断で偶然見つかった乳がん。ステージ0という早期の診断でありながら、医師から告げられたのは「全摘出」という言葉でした。仕事と治療の両立、再建手術へのこだわり、そして同じ悩みを持つ仲間との出会い。納得のいく治療を求めて奔走した日々について、じゅりさんにお話しいただきました。

「まさか自分が」から始まった戸惑いの日々

2021年の夏のことでした。勤めている会社の健康診断で、オプションとして受けていたマンモグラフィー検査に引っかかったのがすべての始まりです。それまでは超音波(エコー)検査とマンモグラフィー検査を交互に受けていました。後から聞けば、エコー検査では、がんの初期症状である微細な「石灰化」の検出が困難な場合があるそうです。 検査から4週間ほど経った8月の終わり、自宅に届いた診断結果の封筒の中に、見慣れない別の封筒が同封されていました。「これは、何だろう?」と不安になり、すぐに健診施設に電話をかけました。窓口の担当者は「乳がん」という直接的な言葉こそ使いませんでしたが、「少し怪しいので、これから大変になるわよ」と言いました。 「それって、がんなんですか?」 思わず聞き返した私に、「これはがんの検査だからね」とだけ答えました。その瞬間、頭が真っ白になりました。確定診断前とはいえ、その言葉の響きから、自分の中に深刻な何かが起きていることを悟り、大きなショックを受けました。

医師との温度差とセカンドオピニオン

紹介された大学病院を受診し、改めてエコー検査、マンモグラフィー検査、針生検といった一通りの検査を受けました。診断結果は、非浸潤性の乳がん、ステージ0。サブタイプはHER2陽性でホルモン受容体は陰性でした。 ステージ0と聞いて少し安心したのも束の間、主治医から提案されたのは右胸の「全摘出」でした。「なぜステージ0なのに全摘なんですか?」と食い下がりましたが、医師からは「温存だと再発のリスクがあるし、放射線治療も25回通わなきゃいけない。すぐに手術したほうがいい」と、かなり強い口調で言われました。 私は自分の体の一部を失うことに強い抵抗がありました。「全摘したくない、どうにか温存できないか」と、ラジオ波や凍結療法など、切らずに済む方法を必死で調べては医師にぶつけました。しかし、それらはすべて否定され、突き放されるような感覚に陥りました。 納得がいかなかった私は、セカンドオピニオンを求めることにしました。あるセミナーで出会った専門家から勧められた、がん専門病院の有名な医師を訪ねたのです。その医師は私の状態を見て、「温存もできるけれど、がんが乳管内で広がっているから、残してもかなりいびつな形になる可能性があります。それなら綺麗に取り去ってから再建した方が、結果として納得できる仕上がりになると思います」と丁寧に説明してくれました。 同じ「全摘」という結論でも、説明の仕方が違うだけで、これほどまでに受け止め方が変わるのかと驚きました。この医師の説明を受けて、ようやく「それなら全摘して、再建しよう」と前を向くことができたのです。

仕事との両立と、乳房再建へのこだわり

手術のスケジュールを決める際、真っ先に頭に浮かんだのは仕事のことでした。私は小さな会社で事務職をしており、1人が抜けると周囲に大きな負担がかかります。社長に相談したところ、非常に理解があり「会社のことは心配しなくていいから治療に専念しなさい」と言ってくれました。 その言葉に甘えつつも、できるだけ迷惑をかけたくないと考え、年末年始の休暇に重なるように12月の末に手術日を設定しました。実質的に仕事を休んだのは3日ほどで済みましたが、今振り返れば、月をまたいだ場合の高額療養費制度の計算などの知識がなく、少し損をしてしまったかもしれません。出費はかさみましたが、仕事の責任を果たしながら治療を受けられたことは、私にとっての救いでした。 手術では予定通り全摘を行い、同時に組織拡張器(エキスパンダー)を挿入しました。しかし、そこからが本当の「闘い」の始まりでした。 私は、再建した胸の質感に強いこだわりがありました。あるセミナーでシリコンインプラントによる再建をした方の胸を触らせてもらう機会があったのですが、それが想像以上に硬く、「これはおっぱいじゃない」と感じてしまったのです。お腹の組織を使う方法は手術の負担が大きく、背中の筋肉を使う方法も、私の体型では組織が足りないと複数の病院で断られました。

ピアリングでの出会いと「ハイブリッド法」という選択

道が閉ざされたように感じていた時、私を支えてくれたのが、女性特有のがん患者のためのコミュニティサイト「Peer Ring(ピアリング)」でした。社長から「患者同士のコミュニティはないの?」と聞かれたことがきっかけで見つけたコミュニティでしたが、そこで得られる情報の濃さと温かさに驚きました。 私と同じように「ステージ0なのに全摘」と言われて悩んでいる仲間がたくさんいました。そして、そこで出会ったのが、インプラントと脂肪注入を組み合わせる「ハイブリッド方式」による再建です。 ※再建法に関する保険適用は、治療を受けられる施設にご確認ください この方法は、インプラントと脂肪注入を組み合わせるもので、私の場合は最終的にインプラントを抜いて自分の脂肪だけで形を作ることを目指しています。東京都内に住む私にとって、その治療を行っている病院は旅行に行くほどの距離にあり、最初は現実的ではないと思っていました。しかし、ピアリングの仲間が実際にその病院に通って頑張っている姿を見て、「私にもできるかもしれない」と勇気をもらいました。 現在、私はそのハイブリッド方式による再建を継続中です。これまでに4回の手術を終え、2026年の年末には5回目の手術を予定しています。インプラントが体質に合わず、炎症を起こして硬くなってしまった時期もありましたが、ようやく「自分の柔らかい胸」を取り戻しつつあります。

私を支えてくれる存在

診断から数年が経ちますが、私にとって乳房再建は、失ったアイデンティティを取り戻すための大切な「治療」です。周囲からは「悪いところは取ったのだから、もう病気じゃないでしょう?」と思われるかもしれません。実際、職場の社長からも「まだ手術をするの?」と不思議そうな顔をされることもあります。 しかし、私の傍には、一番の理解者であるパートナーがいます。彼は経済的なサポートだけでなく、月2回の温泉旅行でも、私が気後れしないように浴室の混雑状況や利用者が少ない時間帯などを調べてくれるなど、細やかに寄り添ってくれています。 また、ピアリングで出会った仲間たちとは、再建途中の胸を見せ合い、情報を共有し合う、かけがえのない絆で結ばれています。表には出てこない、実際に経験した人にしかわからない有益な情報は、私の治療の選択において最大の指針となりました。 今の目標は、納得のいく形で再建を終えること。そして、これからもパートナーと一緒に、大好きな温泉を楽しみ続けることです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

がんという告知を受けると、恐怖で情報を遮断したくなるかもしれません。しかし、納得して治療を進めることは、その後の人生を前向きに生きるためにとても重要です。 治療選択では「納得感」を大切にしてください もし主治医の説明に違和感があるなら、セカンドオピニオンをためらわないでください。説明の仕方が変わるだけで、受け止め方が180度変わることもあります。 仲間の力を借りてください 病院では教えてくれない「患者としてのリアルな経験談」が、コミュニティには溢れています。1歩踏み出してつながることで、孤独感から解放され、有益な情報を得ることができます。 「自分の価値観」を大切にしてください 再建をするかしないか、どの術式を選ぶか。正解は人それぞれです。あなたが「こうありたい」と思う自分を大切に、治療法を選択してください。一歩踏み出す勇気があれば、そこから得られる情報は、必ずあなたの生活の力になってくれるはずです。
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