写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:terakobaさん(ニックネーム)
年代:80代
性別:男性
家族構成:妻と2人暮らし
仕事:無職
がんの種類:膀胱がん(20年前に十二指腸乳頭部がんの既往歴あり)
診断時ステージ:ステージ1
診断年:2023年
現在の居住地:神奈川県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
terakobaさんが膀胱がんと診断されたきっかけは、突然の血尿でした。20年前に十二指腸乳頭部がんを経験していたterakobaさんは、2度目のがん告知にも冷静に現実を受け止め、自ら膨大な情報を集めながら納得のいく治療を選択してきました。標準治療の指針を読み込み、最新のAIツールも活用しながら、BCG膀胱注入療法の激しい副作用と向き合い、QOL(生活の質)を重視した決断を下すまでの道のりをお話しいただきました。
突然の血尿、そして2度目のがん告知
2023年9月25日の早朝のことでした。自宅でトイレに行くと、尿に血が混じっていることに気づきました。その日のうちに4回ほど血尿が続き、私は異変を察知しました。すぐに、かかりつけのクリニックの医師に相談し、私が前立腺肥大で受診していた大学病院の泌尿器科の紹介状を書いてもらいました。
2日後には大学病院を受診し、尿検査、血液検査、CT検査を受けました。その後、10月にはMRI検査、そして膀胱鏡検査へと進みました。医師からは「2か所に腫瘍があります」と告げられました。血尿が出てすぐに受診したことが功を奏し、早期発見といえる段階でした。
私は20年前にも十二指腸乳頭部がんを経験していました。その時は1か月半ほど入院し、膵頭十二指腸切除術(PD)という大きな手術を受けました。がんという病気に対して「死ぬのではないか」という漠然とした恐怖を抱く時期は、すでに20年前に通り過ぎていました。そのため、今回の告知を受けても慌てることはなく、「さて、どう対処すべきか」と冷静に考える自分がいました。
3つの選択肢と「納得」のためのセカンドオピニオン
11月1日に、まず腫瘍の切除と検査を兼ねた経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を受けました。その後、11月21日に主治医から今後の治療方針について3つの提案がありました。
1つ目は、このまま経過観察をすること。2つ目は、再度TURBTを行い、さらにBCG(ウシ型弱毒結核菌)を膀胱内に注入する治療を行うこと。そして3つ目は、膀胱を全摘出することでした。
私は、何もしないのは再発のリスクが高すぎて不安だと感じました。一方で、膀胱全摘はQOLを大きく損なうため、できることなら避けたいという思いがありました。結果として、中間的な選択肢である「TURBTとBCG膀胱注入療法の併用」を希望しました。
自分の選択に間違いがないか確信を持つために、別の大学病院でセカンドオピニオンも受けました。そこでも「その選択で良いのではないか」という背中を押す言葉をもらい、迷いなく治療を進める決意が固まりました。12月27日には2回目のTURBTを行い、今度はより深く、広く患部を切除してもらいました。
想像を超えていたBCG膀胱注入療法の副作用
2024年2月13日から、全8回のBCG膀胱注入療法が始まりました。事前に本を読んで副作用があることは知っていましたが、実際に体験してみるとそれは想像以上に過酷なものでした。
1回目の注入から2日後には、38.3度の熱が出ました。その熱は5日間続き、ようやく平熱に戻るというサイクルでした。回数を重ねるごとに症状は重くなり、特に7回目、8回目になると排尿時の痛みが強烈になりました。尿を出すたびにキリキリとした鋭い痛みが走り、高熱も39度近くまで上がるようになりました。
膀胱がんは再発率が5割から6割と高く、進行すれば膀胱全摘が待っているという現実を知っていたからこそ、「このくらいの痛みは我慢しよう」と自分に言い聞かせていました。
QOLを優先し、維持療法の中止を決断
8回のBCG膀胱注入療法を終えた後、再発予防のための「維持療法」に入りました。しかし、ここからの副作用は過酷でした。
2024年の8月に3回、11月に3回、2025年4月に3回、計9回の維持療法を行いましたが、副作用はさらに悪化しました。10分から15分おきに襲ってくる猛烈な頻尿。夜中もまともに眠れず、あまりの痛みにベッドから転げ落ちることもありました。
何より辛かったのは、病院からの帰り道です。病院から自宅まで車で1時間半ほどかかるのですが、その間、尿意を我慢することができず、漏らしてしまうこともありました。「これでは人間らしい生活が送れない」という思いが強くなっていきました。
主治医に相談したところ、「副作用が強すぎる」ということで、2025年8月に予定していた維持療法を延期し、その後中止することにしました。この決断を下す際、私は自分でも徹底的に調べました。最新のAIツールを活用し、欧州やアメリカの泌尿器科学会のガイドライン情報を調べました。そこには「副作用が強い場合には無理に継続せず、中止することも標準的な判断である」といった趣旨のデータが出てきました。
医師任せにするのではなく、自分なりにエビデンス(科学的根拠)を確認できたことで、「ここで治療を止めても後悔はない」と納得して次のステップへ進むことができました。
がんと共生し、今を生きる
現在、私は3か月から4か月ごとの定期検査を受けています。2025年12月の検査では再発も転移もなく、異常なしという結果でした。膀胱がんの最初の関門は2年と言われていますが、その期間を無事に乗り越えたことに安堵しています。
80歳を超え、周りの友人たちと集まれば「誰が亡くなった」「誰が入院した」という話ばかりになります。死というものが遠い存在ではなく、日常の延長線上にあることを実感する日々です。しかし、だからこそ「今、この時間をどう健やかに過ごすか」が重要だと考えています。
私にとって治療とは、ただ病気を治すことだけではなく、自分らしく生きるための手段でした。2度のがんを経験し、多くの痛みも味わいましたが、その都度自分で情報を集め、納得して選択してきたことが、今の私の支えになっています。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
今がんと向き合っている方に、私の経験から伝えたいことがあります。
正しい情報を自ら集め、納得のいく選択をしてください
医師との診察時間は限られています。今は本だけでなく、インターネットやAIを活用して、世界のガイドラインなどの情報を得ることも可能です。情報を知ることは不安を増すこともありますが、自分の状況を客観的に捉え、治療のメリットとデメリットを理解した上で選択することは、後悔しないために非常に大切です。
痛みや苦しみを過度に我慢しないでください
「がんだから痛いのは当たり前」と思わないでください。副作用がQOLを著しく損なう場合は、主治医に正直に伝え、治療の強度を調整したり、休止したりする選択肢も検討してください。
QOL(生活の質)と治療のバランスを大切にしてください
長く生きることだけが目的ではなく、「どう生きるか」が重要です。治療のためにすべての生活を犠牲にするのではなく、自分の趣味や日常生活を維持できる範囲を医師と相談しながら、自分に最適な落としどころを見つけてほしいと思います。