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乳がんステージ3A、仕事・家事・育児に追われながらの治療で見つけた自分らしい生き方

[公開日] 2026.02.18[最終更新日] 2026.02.17

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:Ritsuさん(ニックネーム) 年代:50代 性別:女性 家族構成:夫と長男との3人暮らし(長女は独立) 仕事:会社員 がんの種類:乳がん(遺伝性乳がん卵巣がん症候群:HBOC) 診断時ステージ:ステージ3A 診断年:2022年 現在の居住地:兵庫県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2022年、Ritsuさんは子どもたちの受験が重なる多忙な時期に乳がんステージ3Aと診断されました。遺伝子検査により、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)ということも判明。仕事を1年間休み、治療に専念するという大きな決断を下した彼女が、どのように家族や職場、そして同じ悩みを持つ仲間とつながり、前を向いて歩んできたのか。その軌跡を伺いました。

1年前の検査では良性のはずが、大きくなったしこり

私が乳がんの告知を受けたのは、2022年の8月のことでした。もともと乳がん検診は毎年欠かさずに受けており、前年である2021年の夏も検査を受けていました。その際は「良性の腫瘍らしきものがあるが、経過観察で良い」という診断で、1年後にまた来てくださいと言われていただけでした。そのため、当時はそれほど深く捉えていなかったのです。 そこからの1年は、まさに怒涛の毎日でした。子どもたちの受験が重なり、母親としてサポートに必死な日々を過ごしていました。自分の体のことは後回しになり、以前は習慣にしていたセルフチェックもすっかり忘れていました。 2022年の6月、ようやく一段落し「そういえば去年の検診から1年経つな」と思い出して何気なく胸に触れたとき、指先に明らかな違和感を覚えたのです。しこりは1cmどころではなく、2cm以上はあるように感じました。直感的に「これは絶対に良いものではない」とわかったのを覚えています。私の家系は、母親が卵巣がん、祖母が子宮がんを経験しており、自分もいつかがんになるかもしれないという覚悟をどこかで持っていましたので、すぐに近所のクリニックを予約しました。

「HBOC」の可能性を考え、がんセンターへ転院

近所のクリニックで細胞診を受けた際、医師から「おそらくがんで間違いないだろう」と告げられました。そこから先は精密な検査と治療が必要になるため、大きな病院への紹介となりました。 私は、自身の家系のことを考え、遺伝性腫瘍の治療についても実績があるがんセンターを希望しました。そこでの再検査の結果、乳がんであること、そしてリンパ節への転移も認められる「ステージ3A」であることが確定しました。 検査の過程で、以前から知識として持っていた「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」についても詳しく調べてもらいました。アンジェリーナ・ジョリーさんのニュースなどでその存在は知っていましたが、実際に自分がそうかもしれないと向き合うのは重い現実でした。遺伝カウンセリングを受け、最終的に「BRCA1遺伝子」に変異があることが判明しました。 この結果は、私自身の治療方針だけでなく、子どもたちの将来にも関わる問題でした。しかし、学生である子どもたちにすべてを伝えるにはまだ早いと考えました。まずは私の治療を最優先し、治療が落ち着いたら、段階を追って話していくことに決めました。

治療に専念するため、1年間の休職を決断

ステージ3Aという進行した状態だったため、治療は「術前化学療法」から始まりました。医師からは長期間の治療が必要になると説明を受けました。 当時の私は、仕事と家事、そして育児に追われ、精神的にも肉体的にも限界を感じていました。そこへがんの治療が加わるとなれば、どれも中途半端になってしまう。もし治療を失敗したら、私は死んでしまうかもしれない。そう思ったとき、迷わず「仕事は休もう」と決断しました。 幸い、私の勤め先は病気休暇の制度が整っており、人事に相談したところスムーズに休職の手続きが進みました。当初は半年の予定でしたが、HBOCであることがわかり、術後の薬物療法も続くことになったため、最終的には1年間の休みをいただきました。 化学療法の副作用は、やはり楽なものではありませんでした。脱毛、手足のしびれ、指先の腫れやかゆみ。特にパクリタキセルを使用していた時期は、家事をするのも難しいほどでした。

家族のサポートと、息子がくれた「救い」

治療中、一番の支えになったのは家族でした。夫はすぐに自分の会社に相談し、私が副作用で動けない日は在宅勤務に切り替えてくれるなど、献身的にサポートしてくれました。コロナ禍を経て在宅勤務の制度が柔軟になっていたことも、私たちの生活を助けてくれました。 子どもたちにも、病気のことは正直に伝えました。「お母さんは病気でしんどい時期があるから、手伝って欲しい」と。 特に印象に残っているのは、息子の反応です。私が抗がん剤の影響で髪が抜け、家でもケア帽子を被っていると、ある日息子が「お母さん、どんくらいハゲたの? 見せて」と軽く聞いてきたのです。ショックを受けるのではないかと不安でしたが、恐る恐る帽子をずらして見せると、息子は「え、思ったほど抜けてない」と笑い飛ばしてくれました。その何気ない一言に、どれほど救われたかわかりません。深刻になりがちな家庭内の空気を、彼の明るさが変えてくれました。 HBOCの問題は遺伝カウンセラーと相談を重ねて、徐々に時間をかけて伝えていこうと思っています。

両側乳房の全摘、そして「生きること」への優先順位

手術は、右側だけでなく左側も含めた両側全摘を選びました。HBOCである以上、将来的なリスクを最小限に抑えたいという思いがありました。放射線治療の予定があったため、同時再建はできませんでした。 「両方の胸を失う」ということに対して、もちろん複雑な思いはありましたが、それ以上に「生きて子どもたちの成長を見届けたい」という執念が勝っていました。入院中、看護師さんから「再建は15年後でもいつでもできる。温泉に行きたくなったそのときに考えてもいいんですよ」と言われたことが、とても心に残っています。「今すぐ決断しなくていい」という言葉が、私の心の余裕を生んでくれました。 術後の補助療法としては、当初、他の薬剤との併用も検討しました。しかし、データが不十分であることや体への負担を考え、セカンドオピニオンも受けた上で、最終的には「リムパーザ」による1年間の治療に決まりました。納得いくまで調べ、医師と話し合ったことで、後悔のない選択ができたと思っています。

孤独にならないために、外の世界とつながり続ける

治療に専念すると決めた一方で、社会から切り離されることへの不安もありました。そんな私を支えてくれたのは、SNSや患者コミュニティの存在でした。 Xでは同じ病状の方と情報交換をし、女性がん患者のためのコミュニティ「ピアリング」にも参加しました。病院では聞きにくい些細な悩みを共有したり、オフ会で実際に顔を合わせて話をしたりすることで、「自分だけではない」と強く実感できました。 1年間の休職を経て職場復帰する際も、健康相談室の方が介入してくれました。いきなりフルタイムで戻るのではなく、4時間、6時間と徐々に勤務時間を延ばす「慣らし勤務」を提案してくださり、2か月かけて元のペースに戻ることができました。こうした制度や人の優しさに、本当に甘えさせてもらった1年でした。

「自分の時間」を大切にする、これからの人生

がんになる前、私は仕事、家事、育児に全ての時間を使い果たしていました。自分自身の好きなことや、将来やってみたいことは二の次になっていました。 でも、病気を経験して「あと何年生きられるかわからない」という現実を突きつけられたとき、初めて自分の人生を見つめ直しました。ずっと後回しにしていた好きだった手芸を再開しようかと思っています。 HBOCについても、娘にはようやく「遺伝的に乳がんになりやすい可能性があること」を伝え始めようかと考えています。まずは自己触診の大切さを学んでもらい、彼女自身が「知りたい」と思ったタイミングで、全てを共有しようと思っています。がんという病気は、頼ることの大切さや、自分らしく生きる勇気を与えてくれました。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がんと向き合っている方に伝えたいことがあります。 一人で抱え込まず、頼れる先をたくさん持ってください がんと向き合う日々は、家族にすら伝えきれない孤独を感じることがあります。そんなときは、病院の看護師さん、相談支援センター、あるいはSNS上の患者コミュニティなど、外の世界に頼れる場所を見つけてください。 制度や人の優しさに「甘える」勇気を持ってください 仕事や家事を休むことに罪悪感を持つ必要はありません。治療はマラソンのようなものです。完走するためには、周囲のサポートや会社の制度をフルに活用してください。 正しい情報を取捨選択してください ネット上には不安を煽る情報も溢れています。気になることがあれば主治医に直接聞くか、信頼できる患者会などで経験者の話を聞くようにしてください。自分の状況に合った解決策は、必ずどこかにあります。
体験談 乳がん HBOC

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