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下咽頭がん治療から5年、医師からは卒業と言われた後に生じた新たな不安も

[公開日] 2025.11.24[最終更新日] 2026.01.07

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ケムジロウさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:男性 家族構成:妻、娘、母親との四人暮らし 仕事:無職(定年退職) がんの種類:下咽頭がん 診断時ステージ:ステージ1(cT1N0M0) 居住地:大阪府(診断時は東京に単身赴任) 診断年:2019年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2019年、ケムジロウさんは東京に単身赴任中、大阪に帰省した際に受けた人間ドックで下咽頭がんの疑いを指摘されました。診断時ステージ1の早期がんでしたが、治療は家族のいる大阪の大学病院を選択。経口手術を受けましたが、翌2020年に2度のリンパ節転移を経験し、いずれも手術で切除しました。東京と大阪を往復しながら定期検査を続け、最後の治療から5年が経過し、大学病院での経過観察を終了。5年間の治療を終えた現在の心境についてお話しいただきました。

40歳から続けた人間ドックでの「まさか」の発見

私は40歳の時から、会社の福利厚生の補助もあり、毎年1回、人間ドックを受けていました。当時は東京に単身赴任していたのですが、人間ドックは毎年慣れている大阪の施設で受けることにしていました。2019年の受診日も、いつものように胃内視鏡検査を受けました。 検査が始まってすぐ、モニターを見ていた私自身も「あれ?」と思いました。いつもと明らかに色の違う部分が見えたのです。その後の午前中の検査がすべて終わり、午後からの医師の面談に呼ばれました。医師は深刻な面持ちで、「先ほどの内視鏡ですが、がんの可能性が高いので、すぐに紹介状を書きますから、大きな病院へ行ってください」と言いました。

家族のいる大阪での治療を決意

人間ドックの施設からは、いくつかの病院を候補として紹介されました。私は東京に単身赴任中でしたから、東京で治療を受けるという選択肢もありました。しかし、入院や手術となると、いろいろと不便が出ることが予想されます。家族は大阪におりますし、妻は看護師で病気への理解もあります。その点、大阪で治療する方が精神的にも物理的にも安心だと考えました。 そこで、紹介された病院の中から、大阪の自宅から一番通いやすい大学病院を選び、そこへの紹介状を書いてもらうことにしました。 下咽頭がんの疑いが濃厚となり、すぐに上司に状況を報告しました。幸い、私の会社は福利厚生が手厚く、病気治療のための休暇制度も充実していたため、上司も「治療に専念してほしい」と理解を示してくれました。これは本当にありがたいことでした。

大学病院での確定診断と治療方針

人間ドックから10日ほど経って、紹介状を持って大学病院の耳鼻咽喉科を受診しました。改めて内視鏡検査と生検を行い、検査の結果下咽頭がんステージ1(cT1N0M0)という確定診断を受けました。リンパ節や他の臓器への転移は見られない、早期のがんということでした。 下咽頭がんという病名は、その時初めて聞きました。胃がんや食道がんは気にしていましたが、まさか自分が喉のがんになるとは予測もしておらず、とにかく驚いた、というのが正直な感想です。 主治医からの説明は、非常に明確でした。「下咽頭がんの標準治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせるのが一般的です。しかし、あなたの場合はステージ1と早期で見つかったため、手術で切除することを第一選択とします」とのことでした。 ただ、こうも付け加えられました。「手術は口から内視鏡を入れてがんを切除しますが、もし手術中に思ったよりがんが広がっていたり、予期せぬ転移が見つかったりした場合は、その時点で手術を中止し、放射線治療に切り替える可能性もあります」。その説明にも納得し、手術をお願いすることにしました。 手術日は2019年の4月に決まりました。それまでの約1か月間、手術に必要な詳細な検査(CT、MRI、PETなど)が段階的に組まれました。検査は入院してまとめて行うわけではなく、すべて通院での検査でした。そのため、私は検査のたびに東京から大阪へ戻り、検査が終わればまた東京の職場へ戻る、という生活を繰り返していました。

診断後の情報収集で心境が変化

診断直後の10日間ほどは、さすがにショックもありましたが、「がんは2人に1人がなる時代」「早期発見なら5年生存率も高い」といった知識は持っていました。がんは決して他人事ではなく、たまたま自分に当たっただけだと考えるようにしました。 とはいえ、下咽頭がんについては知識がなかったため、インターネットを使って徹底的に情報を集めました。頭頸部がんの手術では、声帯を摘出する場合や、その後の発声訓練(食道発声など)が必要になる場合もあることなどを知り、さまざまな可能性を考えました。 こうして情報を集め、自分の状況を客観的に把握していくうちに、最初の驚きは徐々に冷静な受け入れへと変わっていきました。家族がむやみに心配しなかったり、落ち込んだりしなかったことも、私が落ち着いて治療に向き合えた大きな要因だったと思います。

初回手術後、2度のリンパ節転移

2019年4月、予定通り初回の手術が行われました。説明通り、口から内視鏡のような器具を入れ、顕微鏡で見ながらがんを切り取るという経口的手術で、首などに傷が残ることはありませんでした。手術は無事に終了し、担当医からは「がんの取り残しがないよう、かなり広範囲に切除したので、予定より時間はかかりました」と説明を受けました。 早期だったこともあり、退院してからは普通に生活できました。もちろん、喉の違和感や、少し飲み込みにくいといった後遺症は残りましたが、日常生活や仕事に大きな支障をきたすほどではありませんでした。 手術後は、3か月に1回、大学病院で経過観察を受けることになりました。そのたびに東京から大阪へ戻る生活です。 しかし、平穏な日々は長く続きませんでした。手術から約9か月後の2020年1月、定期のCT検査で、左側の頸部リンパ節に転移(再発)が見つかったのです。治療として、「頸部リンパ節郭清術」という手術を受けることになりました。これは初回と違い、首の横(外側)を切開する手術でした。 さらに、悪いことは続くもので、その手術後、6月のCT検査で今度は右側のリンパ節にも転移が見つかりました。これは、1月の検査の時点で小さく映っていたものが、大きくなってきたということでした。同年8月、右側の頸部リンパ節郭清術を受けました。

「自宅から近い」という理由で選んだ病院で出会った信頼できる医師

2回目(右側)のリンパ節転移の手術が終わった後、主治医から「念のため、放射線治療を追加しましょう」と提案されました。再発を繰り返していることから、目に見えないがん細胞を叩くためだということでした。 ところが、その3~4日後、主治医から電話がありました。「放射線科の医師や他の専門医と再度カンファレンスを行いました。ケムジロウさんの今の状態では、あるかないかわからないがん細胞のために放射線治療を行うのは、副作用などのデメリット(QOLの低下)を考えると、得策ではないという結論になりました。今回は放射線治療をやめて、これまで通り、厳重に経過観察を続けていきましょう」という内容でした。 診察時は、いつもこのように丁寧に説明をしてくれるため、主治医を信頼することができました。この大学病院は、最初は「自宅から近い」という理由だけで選んだのですが、結果として素晴らしい医師に恵まれたと思います。治療中、主治医は4人ほど交代しましたが、どの先生も私の話をよく聞いてくださり、丁寧に説明してくれました。そのため、他の病院へのセカンドオピニオンは一度も考えませんでした。

5年間の経過観察を終えて

2度のリンパ節転移のあとは、幸い再発もなく、経過観察は続きました。2023年には、東京での単身赴任(役職定年)を終え、大阪の職場に戻りました。 下咽頭がんの診断から5年、大学病院での最後の診察日、主治医から「これで大学病院での経過観察は終了(卒業)です。おめでとうございます」と言われました。しかし、手放しでは喜べない複雑な心境でした。 これまでは3か月に1回、あるいは半年に1回、大学病院でCTや超音波検査など、精密な検査を受けてきました。それがなくなることへの不安は、正直あります。治療後、5年間の経過観察は一つの区切りですが、がんが再発しない保証はどこにもありません。 「卒業」と言われて安心した反面、これからは自分で自分の体を管理し、異常を感じたらすぐに動かなければならないということで、正直不安な気持ちもあります。今後は、頭頸部がんに詳しい開業医の先生を見つけて、定期的な検査を受けていこうと考えているところです。 私の場合は、早期発見であったこと、手術で切除できたこと、会社の理解や家族のサポートに恵まれたことなど、幸運な点が多かったのかもしれません。しかし、どのような状況であっても、現実を受け入れ、前向きに治療に取り組む姿勢が、がんを乗り越える一番の力になるのではないかと信じています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私がこの体験を通して、今、がんと向き合っている方や、そのご家族にお伝えしたいのは、まず「現実を受け入れること」と「前向きに治療に専念すること」の大切さです。 まずは、がんになったという現実を受け入れてください。 がんと診断されると、誰もが驚き、ショックを受けます。ですが、「なんで自分が」と落ち込んでいても、がんは消えてくれません。絆創膏を貼って治るケガとは違います。「なってしまったものは仕方がない」と、良い意味で開き直り、現実を受け入れることが、治療への第一歩だと思います。 信頼できる医師のもとで、治療に前向きに取り組んでください。 信頼できる病院、信頼できる医師を見つけたら、治療に専念することが重要です。不安や疑問は医師に相談してください。「治すんだ」という前向きな気持ちで病院へ通うのと、「嫌だな」と思いながら通うのとでは、病院へ向かう足取りの重さも違うはずです。
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