写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:ななちゅけさん(ニックネーム)
年代:50代
性別:女性
家族構成:夫と子ども3人の5人家族
仕事:会社員
がんの種類:腎細胞がん
診断時ステージ:ステージ4
悪性度:不明
診断年:2017年
現在の居住地:大阪府
治験フェーズ:第3相
治験参加時の治療ライン:1次治療(1番目の治療)
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用には個人差があります。オンコロマイストーリー含め、ネット上の情報には、進行や再発といった厳しい闘病を経験された方の発信が多く残る傾向がありますが、実際には再発なく平穏に過ごされている方も数多くいらっしゃいます。情報の一つとして受け止め、治療方針の決定の際には、必ず主治医や医療従事者にご相談ください。
2017年、ななちゅけさんは腎細胞がんと診断されました。当初は手術が可能だと言われていたものの、手術前検査で多発転移が見つかり、薬物療法による治療に変更。治療方針の選択に直面する中、新しく担当となった大学病院の主治医から提案されたのは、第3相の治験でした。未知の治療に対する不安よりも、新しい治療への期待を抱いて治験への参加を決断しました。治験に参加したことによる心境の変化や、治験コーディネーターからの手厚いサポートの経験、そして治験を取り巻く医療環境への思いについてお話しいただきました。
術前検査で判明した多発転移により薬物療法に変更
3人目の出産後、血圧が高くなり血圧コントロールをしていました。しかし、2017年、薬を飲んでも血圧がまったく下がらなくなってしまったため、検査を受けたところ、腹部の超音波(エコー)検査で腎細胞がんが見つかりました。
最初に診断を受けたときは、手術可能と言われていたため、腫瘍を切除できれば治るものと考えていました。しかし、術前検査の結果で事態は想像とは異なることがわかりました。すでに多くの転移があり、手術ができない状態まで進行しているステージ4であると告げられたのです。手術という選択肢がなくなり、今後の治療は薬物療法になるという説明を受けました。
主治医からは、治療の選択肢としていくつかの分子標的薬が挙げられました。しかし、私はそれまで自分に転移があるとは想定しておらず、薬物療法についての知識も全く持ち合わせていませんでした。そのため、薬の名前を聞いても十分に理解することができませんでした。そのような状況の中で、主治医から「現在、当院で実施している治験があるのですが、参加してみませんか」という提案を受けました。それが私と治験の初めての関わりでした。
治験の提案と新しい治療への期待
主治医から治験の話を聞いたとき、私は恐怖や不安といったネガティブな感情を抱きませんでした。むしろ、自分がその対象になる可能性があると知って、素直に嬉しいという気持ちになりました。治験という言葉自体は、過去にドラマなどで見聞きしたことがあり、新しい治療法を試すものだという程度の認識は持っていました。手術ができないと言われ、大きな治療選択肢のひとつがなくなったように感じていた直後だったため、新しい治療を受けられるかもしれないという提案は、私にとって今後の治療に向けた希望が見えたような感覚でした。
治験という未知の領域に対する不安よりも、新しくて可能性があるものにチャレンジしてみたいという期待感の方が強く、前向きな気持ちで主治医の説明を聞くことができました。
治験薬でなくても標準治療は受けられるという安心
提案された治験は、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を併用するグループと、標準治療としてすでに使用されている分子標的薬を単独投与するグループのいずれかに割り振られる第3相試験でした。
主治医からは、「もし治験薬のグループから外れたとしても、標準治療として通常使用される分子標的薬による治療は受けられます」と明確な説明がありました。
さらに主治医からは、実際に治験に参加している患者さんの経過についても説明を受け、不安が和らいだことで、私の中では「この治験に参加したい」という強い意志が固まっていきました。
治験コーディネーターの丁寧な説明
主治医の診察室には、看護師らしい女性が同席していました。後になってわかったことですが、その方は治験コーディネーターでした。主治医から「この治験の募集枠が終了に近づいているため、もし検討されるなら少し急ぐ必要があります。まずは治験コーディネーターから詳しい説明を聞いてみてください」と促され、別の部屋に移動して詳細な説明を受けることになりました。
治験コーディネーターからは、参加前にスクリーニング検査があり、条件に合致しなければ参加できない可能性があることなど、治験の仕組みや手順について丁寧な説明がありました。説明の場には夫も同席していましたが、新しい治療に挑戦したいという私の考えもあり、夫婦で話し合った結果、意見が一致しました。迷うことなく、その日のうちに参加を決断しました。
治験薬グループへの割り当てと手厚いサポート
治験の参加条件を満たし、無事に治療を開始できることが決まりました。新しい治験薬の併用療法グループに当たるか、標準治療のグループに当たるかは、治療を開始する直前まで知らされませんでした。入院し、いよいよ投与が始まるという段階になって初めて、治験薬のグループに割り当てられたことを告げられました。そのときの安堵感は今でも覚えています。
治療が始まってからは、治験コーディネーターの存在が非常に心強いものでした。免疫チェックポイント阻害薬は、特有の副作用があるため、薬を投与したときは、治験コーディネーターが本当につきっきりで様子を見てくれました。担当してくれた方は経験豊富で、皮膚に強い痒みが出た際には「他の患者さんはこのような対処をしていましたよ」と具体的なアドバイスをくれたり、主治医に対策を確認してくれたりしました。また、参加中の治験の最新情報なども定期的に教えてくれ、不安を感じることなく治療に専念することができました。
治験終了後に実感したサポート環境のありがたさ
この治験は私に合っていたようで、腫瘍は目に見えて縮小し、その効果は約4年間続きました。しかし、4年が経過したころに薬の効き目が薄れ、腫瘍が再び大きくなり始めたため、治験の枠組みを離れて2次治療へ移行することになりました。次に使用したのはカボメティクスという分子標的薬で、当時は比較的新しい薬でした。幸いにもこの薬が効き、さらに約4年間治療を続けることができました。
治療そのものは順調に継続できましたが、治験が終了して通常診療に戻ったことで、これまで寄り添ってくれた治験コーディネーターとの接点がなくなりました。私が通院している病院では外来診察に看護師が同席しないため、診察室では多忙な主治医と一対一で向き合うことになります。「こんな些細なことを先生に聞いてもいいのだろうか」と迷うようなちょっとした不安を、診察の前後で気軽に相談できる相手がいなくなってしまったのです。副作用の悩みを聞き、必要があれば主治医への橋渡しをしてくれていた治験コーディネーターの存在が、精神的にどれほど大きな支えとなっていたかを、治験を離れてから深く実感しました。
医療現場における情報アクセスの難しさと課題
一方で、治験の情報に患者自身がたどり着くことの難しさも痛感しています。私の場合、たまたま担当になった大学病院の主治医が治験担当医だったため、適切なタイミングで提案を受けることができました。しかし、最初に受診したクリニックや、地方の総合病院などでは、そもそも治験を実施していないことも少なくありません。同じ大阪府内でも、選んだ病院によって治験を受けられるかどうかが左右されてしまいます。
がんの告知を受けたばかりの患者が、自分から治験の情報を探し出すことは現実的ではありません。病院を変えることは患者にとって心理的なハードルが高いですが、主治医から「セカンドオピニオンを受けてみますか」という一言があるだけで、患者は別の可能性を考えるきっかけを得られます。医療現場において、治験という選択肢が患者に適切に届くような仕組みが必要だと感じています。
治験に対するイメージの変化と医療への貢献
治験に参加する前は、新しい治療を受けられるという自分自身のメリットだけを考えていました。しかし、治験を通じてさまざまな経験をする中で、治験に対する考え方は大きく変化しました。私が参加した治験のデータが蓄積され、結果としてその薬が承認されれば、今後同じ病気で治療する多くの患者さんがその薬を使えるようになります。今自分が使っている標準治療の薬も、過去に誰かが治験に参加してくれたおかげで存在しているのだと気づきました。自分の治療が、将来の医療の発展につながっているのだと実感するようになりました。
私にとって治験に参加できたことは、本当に貴重な機会でした。今後も、自分に可能性のある新しい薬が提案されたら、また受けてみたいと考えています。治験は、今の治療薬が効かなくなったときの次なる選択肢になるからです。
治験を検討されている方へのメッセージ
今、治験への参加を検討されている方にお伝えしたいことがあります。
治験コーディネーターの話を聞いてみてください
治験の提案を受けた際、参加するかどうかを決める前に、まずは治験コーディネーターと直接話をしてみてください。治験コーディネーターは、治験の仕組みや薬の説明だけでなく、患者の不安に寄り添い、さまざまなサポートをしてくれる存在です。話を聞くことで、治験に対する理解が深まり、自分にとっての選択肢を整理することができます。
後悔のないようにご自身で決断してください
治療の選択肢として治験を提示された場合、迷いが生じるのは当然のことです。しかし、大切なのは、自分自身で決断することです。他人の意見に流されて決めてしまうと、後になって違う選択をしていればと後悔してしまうかもしれません。悔いを残さないためにも、ご自身で決めてください。
将来の医療への貢献という視点を持ってみてください
治験は、自分自身の治療の可能性を探るだけでなく、将来の医療の発展にもつながる重要な意味を持っています。そのデータは今後の研究に生かされ、同じ病気で治療を必要とする誰かを救う薬の開発に貢献します。自分の治療が未来の患者さんのためになるという視点も持ってみてください。
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