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膀胱がんステージ3からの決断、経験者の言葉が変えた「その後」の人生

[公開日] 2025.10.31[最終更新日] 2025.12.25

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:鈴木 誠司さん(本名) 年代:60代 性別:男性 家族構成:配偶者と二人暮らし 仕事:契約社員 がんの種類:膀胱がん 診断時ステージ:ステージ3 居住地:埼玉県 診断年:2023年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2023年、会社の人間ドックをきっかけに膀胱がんと診断された鈴木誠司さん。診断から手術に至るまで、3度の転院と7回の入院を経験しました。特に、膀胱を全て摘出するという大きな決断には、情報が少なく、術後の生活が想像できずに大きな不安を抱えていました。そんな鈴木さんの心を動かし、手術への決意を固めさせたのは、偶然同じ病室になった「がんの先輩」の一言でした。膀胱全摘という大きな手術を乗り越え、以前と変わらない日常を取り戻した鈴木さんにお話しいただきました。

人間ドックの「赤字で書かれた要精密検査」から始まった

私ががんだとわかったきっかけは、2023年1月に受けた会社の人間ドックでした。2月に届いた結果には、「顕微鏡的血尿が認められます。精密検査ならびに経過観察が必要ですので主治医の指示に従ってください」と赤字で書かれていました。しかし、自覚症状がなかったため、私は1か月ほどそのままにしてしまいました。 異変を感じ始めたのは3月に入ってからです。尿に色がつき始め、排尿後に膀胱のあたりに痛みを感じるようになりました。「これはまずいかもしれない」と思い、いつも高血圧でかかっている近所のクリニックに、人間ドックの結果を持って相談に行ったのが始まりです。 そのクリニックでは尿検査をしましたが、すぐにはっきりした原因はわかりませんでした。過去に尿管結石を患ったことがあったため、「その影響だろう」という診断でした。しかし後日、尿検査で異型細胞が検出されたため、専門医のいる病院に行くように言われました。 紹介状を書いてもらい、近所の総合病院の泌尿器科を受診したのが5月です。そこで初めて膀胱鏡の検査を受けました。モニターに映し出された自分の膀胱の中に、2cmほどのイソギンチャクのような出来物があるのがはっきりと見えました。医師からはすぐに切除する手術が必要だと告げられ、6月に1回目の手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術:TURBT)を受けました。 手術で切除した組織を調べた結果、がんが膀胱のどの深さまで達しているかが重要だと説明されました。幸い、がんの深さは比較的浅い「T1」という段階でした。しかし、さらに詳しく調べる必要があるということで、間もなく2回目のTURBTを受けました。 その結果、膀胱と尿管の入り口に悪性腫瘍があること、そして骨盤のリンパ節が腫れていることがわかりました。ここで初めて、私は「膀胱がん」という確定診断を受けたのです。

膀胱全摘の提案と拭えない不安

医師から告げられた標準的な治療法は「膀胱の全摘出」でした。膀胱を全て切除するという事実に、大きな衝撃を受けました。体への負担はもちろん、その後の生活がどう変わってしまうのか想像もつきませんでした。 さらに、その病院では膀胱の全摘手術はできないと言われ、別の病院への転院を勧められました。突然のことで、どこの病院が良いのか見当もつきません。唯一、以前の勤務先の近くにあった東京の総合病院の名前を挙げ、そこへの紹介状を書いてもらうことにしました。 2023年8月、3つ目の病院を受診しました。ここでも、改めて治療方針を決めるために、3回目のTURBTを受けることになりました。検査の結果、やはり膀胱全摘が最善の選択だろうという方針が固まりました。ただ、尿管のがんやリンパ節への転移の疑いもあり、一時は膀胱を温存して右の腎臓と尿管を摘出するという案も出ましたが、最終的には膀胱全摘という結論に至りました。 手術の前に、がんを小さくするための術前化学療法を行うことになりました。「GC療法」という、ゲムシタビンとシスプラチンという2種類の抗がん剤を使う治療です。まずは1コース、そして2コース、効果を見ながら3コースと、入院治療を3回繰り返しました。幸い、私の場合は副作用が比較的軽く、体への大きな負担は感じずに済みました。2回目の治療後には、がんに縮小が見られるという良い知らせも聞くことができました。 しかし、化学療法が進む中でも、膀胱を全摘出するという決断には、なかなか踏み切れませんでした。医師は手術の必要性を説明してくれますが、私が一番知りたい「術後の生活」については、詳しい情報が得られませんでした。入院中に看護師さんから、膀胱を摘出した後は「ストーマ」という装具をおなかに着けて生活することになると聞き、現物を見せてもらいましたが、どうしても実感が湧きません。周りに同じ経験をした人もおらず、不安ばかりが募っていきました。

先輩患者の「大丈夫だよ」が決め手に

そんな私の気持ちを固めてくれたのは、化学療法で入院していた時に同じ病室になった、一人の先輩患者さんとの出会いでした。その方は私より年配の男性で、2年前に同じ医師から同じ手術を受けていたのです。 私が抱える不安を話すと、彼は「大丈夫だよ。生活もそんなに大きく変わらないよ」と、自身の経験を交えて力強く話してくれました。実際にストーマとの生活についてさまざまなことを教えてくれ、その明るい姿を見ているうちに、「ああ、大丈夫なのかもしれない」と、ようやく腹をくくることができたのです。 病院側も手術日を既に予約してくれており、私もその流れに乗って手術を受けることを決意しました。振り返れば、医師や看護師さんからの情報だけでなく、偶然の出会いから得られた経験者の言葉が、私の背中を押してくれたのだと思います。 2024年1月、私はロボット支援による膀胱全摘出術と、尿の出口となるストーマを作るための回腸導管造設術を受けました。手術では膀胱のほか、前立腺や尿道の摘出、および膀胱周囲の骨盤のリンパ節の郭清をしました。術後の検査で、前立腺にもがんが見つかったことがわかり、結果的に全て取りきれたのは良かったと思います。 手術は約10時間に及ぶ大手術でした。術後は痛みもひどく、腎盂炎も併発してしまい、かなり苦しい思いをしました。体力も落ち、トイレに行くのもやっとという状態に、「もう以前のように運動したり、仕事をしたりすることはできないかもしれない」と一時は弱気にもなりました。それでも、入院中にストーマを自分で管理する訓練を受け、なんとか退院することができました。

以前と変わらない日常、そして未来へ

退院後、現在に至るまで転移や再発は見られません。仕事にも復帰し、入院期間以外はできるだけ出勤するようにしていました。がんであることを職場にも伝えていたので、周りの理解や心配りに助けられました。仕事に行くことで日常を取り戻す感覚があり、治療に向き合う上でとてもポジティブな時間だったと感じています。 一番心配していたストーマとの生活ですが、驚くほど以前と変わりません。趣味で2008年から続けているランニングも再開しました。最初は不安でしたが、ストーマが原因でトラブルが起きたことは一度もありません。週に1度は10kmから20kmほど走っており、体力の維持だけでなく、大きなモチベーションになっています。以前、東京マラソンを走った経験がありますが、ストーマを着けてもう一度フルマラソンに挑戦できるかもしれないとさえ思っています。 銭湯に行くのも好きですが、これも全く問題ありません。最初は人目が気になり、ストーマを隠すシールなどを試しましたが、今では何も気にせず装具(パウチ)をつけたまま入っています。周りの人も特に気にする様子はなく、私も堂々としています。 手術直後は失った体力の大きさに落ち込みましたが、人間の回復力はすごいものだと実感しています。あの時、病室で出会った先輩患者さんの「大丈夫だよ」という言葉が、今、現実のものとなっています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私の経験から、今がんと向き合っている方や、そのご家族にお伝えしたいことがあります。 • 「おかしい」と思ったら、すぐに病院を受診してください。 私の場合、人間ドックで異常が見つかりながらも、自覚症状がなかったため少し放置してしまいました。幸い早期の段階で治療を開始できましたが、がんは時間との勝負です。少しでも体に異変を感じたら、ためらわずに専門医を受診して欲しいと思います。 • 経験者の声に耳を傾けてみてください。 治療方針、特に手術後の生活については、医師からの説明だけではイメージがつきにくいかもしれません。私は同じ病気を経験した方の生の声に救われました。患者会やSNS、ブログなど、今は情報を得る手段がさまざまあります。同じ境遇の人の話を聞くことで、不安が和らいだり、新たな視点が見つかったりすることがあるはずです。 • 日常生活は、工夫次第で以前と変わらず続けられます。 大きな手術を受けると、以前の生活はもう送れないのではないかと悲観的になるかもしれません。しかし、私の場合はストーマと付き合いながらも、仕事や趣味のランニングを以前と変わらず楽しめています。もちろん、がんの種類や治療法によって状況は一人ひとり違いますが、工夫や気持ちの持ちようで、自分らしい生活を続けることは可能だと信じています。
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