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走り続けるために。乳がんになっても諦めなかった、仕事と趣味のある日常

[公開日] 2025.10.20[最終更新日] 2025.12.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ひよぴぃさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:女性 家族構成:夫と二人暮らし 仕事:診断時はパート、現在は派遣社員 がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ2 居住地:神奈川県 診断年:2021年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2021年、ひよぴぃさんは自身で胸のしこりを発見し、乳がんの告知を受けました。診断はステージ2のトリプルネガティブ乳がんでした。術前の抗がん剤治療、手術を経て、現在は治療を終え、経過観察を続けています。診断から治療、そして仕事との両立や周囲との関わりの中で、どのようにがんと向き合ってきたのかをお話しいただきました。

乳がん治療の始まりは風呂上がりの違和感

乳がんの発見は、本当に偶然のことでした。2021年の冬、お風呂上がりにボディクリームを塗っていた時、普段あまり触ることのない胸の下に、しこりのようなものがあることに気づきました。「あれ?」と思い、触れてみると、確かに何かの塊があります。 時間はすでに夜遅く、夫も寝ていました。不安で胸がいっぱいになり、その夜は一睡もできませんでした。当時はコロナ禍の真っただ中。すぐに診てもらえる病院はあるのだろうかと、ひたすらスマートフォンで探し続けました。近所にはなかなか見つからず、電車で1時間ほどかかる場所に、予約なしで即日診察をしてくれるクリニックを見つけ出し、翌朝の診療開始時間に合わせて駆け込みました。 実は、私はがん検診で乳がんのしこりの模型を触った経験がありましたし、乳がんを患った母のしこりも触らせてもらったことがありました。そのどちらの感触とも、自分のしこりは違っているように感じました。だから心のどこかで「これはがんではないだろう」「先生から『心配ないですよ』と言ってもらえるはずだ」と、淡い期待を抱いていました。

「2日遅れます」の電話で覚悟を決めた

クリニックでは、マンモグラフィーと超音波検査を受け、そのまますぐに細胞診と組織診も行いました。詳しい結果は1週間後に出るとのことでした。しかし、結果を聞く予定だった日の2日ほど前、近所の神社に願掛けに行っていた時に、クリニックから電話がかかってきたのです。「検査結果が出るのが、2日ほど遅れます」という内容でした。 その連絡を受けた瞬間、「ああ、これはがんなんだな」と確信しました。電話では詳しいことは教えてもらえませんでしたが、結果が遅れるという事実が、がんであることを物語っているように思えたのです。告知を待つまでの時間は、本当に不安でした。一番仲の良い友人にだけは不安な気持ちを打ち明け、「診断が確定するまでは何もわからないのだから、悩んでも仕方ない」と励ましてもらいました。幸いだったのは、当時パートの仕事があったことです。仕事に集中している間は、少しだけ不安を忘れることができました。 そして2日後、私は一人でクリニックへ向かいました。診察室に入ると、先生は私の状況を全て理解した上で、非常に前向きに話を進めてくれました。がんのタイプが「トリプルネガティブ」であること、私のKi-67(がん細胞の増殖能力を示す指標)の数値が非常に高いこと、そして今後の治療方針についても、紙に書きながら丁寧に説明してくれました。 さらに、「あなたの髪型はショートカットだから、抗がん剤の副作用で脱毛しても元に戻るからしばらくの辛抱です」と、治療後の生活にまで言及してくれたのです。そのおかげで、漠然とした恐怖が消え、これから戦うべき「敵の正体」がはっきりとわかり、むしろ心が落ち着いたのを覚えています。

専門性を重視した病院選び

告知を受けたクリニックは自宅から遠く、通院治療には不便でした。先生から紹介状を書くと言われ、治療を受ける病院を自分で選ぶことになりました。近くに大きな病院は2つありましたが、私はがん治療の専門病院である「がんセンター」を選ぶことにしました。 トリプルネガティブというタイプは治療選択肢が限られていることをインターネットで調べて知っていたので、より専門的な治療を受けたいという思いが強くありました。通院に1時間かかっても、周りの患者さんが皆がんの仲間であるという環境も、私にとっては心強いと感じました。 幸運なことに、コロナ禍で外来患者を制限していた時期だったためか、紹介状をもらって電話をすると、1週間後にはすぐに診察の予約が取れました。がんセンターでの検査結果も、最初のクリニックでの診断と全く同じでした。治療方針も変わらなかったため、迷いなく、そのままがんセンターで治療を進めることを決めました。

治療と仕事の両立、そして新たな一歩

私の治療は、手術の前に抗がん剤でがんを小さくする「術前化学療法」から始まりました。トリプルネガティブ乳がんの標準的な治療法です。2種類の抗がん剤治療を受けました。 当初、がんが小さくなれば部分切除も可能かもしれないと言われていましたが、私は最初から全摘出を希望しました。部分切除をしても、後になって断端陽性(切り口にがん細胞が残っている状態)がわかり、結局全摘出になるケースもあると知っていたからです。それならば、一度の手術で済ませたいと考えました。乳房再建についても、元々ひどい肩こりや頭痛持ちだったこともあり、体にインプラントなどを入れる負担を考え、希望しませんでした。 2021年の7月に手術を受け、術後の病理検査の結果、抗がん剤がよく効いていたことがわかりました。そのため、術後の抗がん剤治療は必要なく、これで一連の治療は終了となりました。現在は、3か月から6か月に一度、近所のクリニックで経過観察を続けています。 治療中、仕事は続けていました。診断を受けたパート先の上司や同僚には、がんであることを伝え、理解と協力を得ることができました。抗がん剤の副作用で脱毛が始まるとすぐにウィッグをつけ、周りの女性スタッフも自然に受け入れてくれました。 治療が一段落した2022年の1月、勤めていたパート先が会社の都合で閉鎖されることになり退職しました。そして翌2月、派遣社員として新しい職場で働き始めました。新しい職場では、がんだったことは伝えていません。治療も終わっており、仕事をする上で特に配慮してもらう必要がなかったからです。あえて伝えることで、かえって気を遣わせてしまうのではないかとも思いました。 転職して1か月後にはウィッグを外し、ベリーショートになった自毛で出勤しました。「髪を切りました」と報告すると、周りはごく自然に受け入れてくれました。

がんになって見えた新しい景色

診断当初、夫は動揺したと思いますが、過度に特別扱いすることはありませんでした。家事を手伝ってくれるなど、静かにサポートしてくれたその距離感が、私にとってはとてもありがたかったです。友人たちも、私がウィッグをつけていても、以前と何も変わらずに接してくれました。 趣味で続けていたランニングも、手術から1年も経たないうちに再開し、フルマラソンも完走しました。体力的に以前と変わらない生活を送っているせいか、今では夫や友人でさえ、私ががんサバイバーであることを忘れているように感じることさえあります。 がんになったことは、私の生き方を大きく変えました。それまでは何となく過ごしていた毎日でしたが、「死」を身近に意識したことで、一日一日がとても貴重なものだと感じるようになりました。一つひ一つの仕事を、社会に貢献できているだろうかと真剣に考えるようになり、毎日が非常に濃密なものに変わったのです。 今、私はがん患者支援のピアサポーターになるための研修を受けています。この経験を無駄にせず、これからがんと向き合う方々の力に少しでもなれたらと思っています。普段の生活では、自分ががんだったことを忘れている瞬間も多いですが、3か月に一度の検診のたびに、「そうだった、私は患者だったんだ」と思い出します。その繰り返しが、私にとっての日常です。 がんは、今や2人に1人がなる時代です。決して特別な病気ではありません。どうか一人で抱え込まず、正しい情報を力に変えて、あなたらしい人生を歩んでいってください。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私が経験からお伝えしたいことは、いくつかあります。 正しい情報収集を心がけてください。 インターネットにはさまざまな情報があふれていますが、まずは診療ガイドラインを熟読することをお勧めします。自分の病気と標準治療を正しく理解することが、不安を解消し、治療に前向きに取り組むための第一歩です。もし医師の説明に納得できない場合は、セカンドオピニオンを求めることもためらわないでください。 がんは自分の一部と捉えてみてください。 がんになったからといって、あなたの価値が失われるわけではありません。がんはあなたの人生の、ごく一部です。必要以上に自分を「がん患者」という枠にはめず、これまで通りの自分でいることを大切にしてほしいと思います。 一日一日を大切に生きてください。 がんの経験は、人生を見つめ直す大きなきっかけになります。当たり前だった日常が、どれほど尊いものだったかに気づかされるはずです。その気持ちを忘れずに、一日一日を大切に、そして真剣に生きていってほしいと思います。
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