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ステージ3Aのスキルス胃がん、一縷の望みを託した治験で消えたがん

[公開日] 2025.10.16[最終更新日] 2025.12.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:今川誠さん(本名) 年代:60代 性別:男性 家族構成:妻と二人暮らし 仕事:会社員(顧問) がんの種類:胃がん(スキルス胃がん) 診断時ステージ:ステージ3A 居住地:東京都 診断年:2022年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 会社の顧問として働いていた今川誠さんは、2022年、会食中に感じた突然の不調をきっかけに、ステージ3Aのスキルス胃がんと診断されました。予後が厳しいとされるがんと向き合う中で、標準治療ではなく「治験」への参加を決断します。その選択により、術前化学療法でがんがほとんど消えるという効果をもたらしました。厳しい状況下での治療選択の理由と、闘病を支えたものについてお話しいただきました。

突然の宣告「スキルス胃がんです」

がんが見つかる前日、私は会食の席にいました。その最中、突然、物が食べられなくなり、トイレに駆け込み嘔吐してしまったのです。ただ事ではないと感じ、翌日すぐに近所のクリニックを受診しました。 クリニックではすぐに胃内視鏡検査をしてくれました。通常、結果が出るまで2週間ほどかかると聞いていましたが、1週間後に先生から直接電話があり、「病院に来てください」と告げられました。そこで伝えられたのが、「2型(潰瘍限局型)の胃がんと4型(びまん浸潤型)のスキルス胃がんがあります。おそらくステージ3Aでしょう」という診断でした。 「スキルス」という言葉に、私は全く知識がありませんでした。クリニックの先生は、元々がんセンターにいた方で、その場で紹介状を書いてくださり、翌日にはがんセンターを受診することができました。

標準治療か、治験か。下した決断は

がんセンターでCTスキャンや内視鏡などの精密検査を受けた結果、クリニックの先生の見立て通り、ステージ3Aのスキルス胃がんでした。医師からは、すぐに胃を全て摘出する手術が必要だと告げられました。 その上で、私に二つの選択肢が示されました。「標準治療」と「治験」です。治験の内容は、手術の前に抗がん剤でがんを小さくし、手術後に再度抗がん剤治療を行う「術前・術後化学療法」において、新しい免疫チェックポイント阻害薬を併用するかどうかを検証するというものでした。 私は、クリニックで「スキルス」と告げられてから、自分なりにインターネットで情報を調べていました。すると、有名なアナウンサーや女優さんが若くして亡くなっている記事など、予後が非常に厳しいという情報ばかりが目につきました。診断時、私自身お寿司が1個も喉を通らないほど衰弱しており、「通常の治療では難しいのではないか」という不安が頭をよぎりました。 医師は、どちらを選ぶかはご自身で決めてくださいとのことでした。妻は「可能性の高いと思った方を選びましょう」と言ってくれました。私は「受けられるなら、治験に賭けてみよう」と、迷わず治験への参加を決意しました。一か八かの賭けのような気持ちでした。

劇的に効いた術前化学療法

2022年2月14日にがんセンターを初受診し、治験の準備を経て、最初の抗がん剤治療が始まったのは3月24日。告知から1か月以上が経過していました。 術前の化学療法は、1週間入院して点滴を受け、1週間休む、というサイクルを2か月間、計4回繰り返すというものでした。使用した抗がん剤は、オキサリプラチン、ドセタキセル、そして5-FUの3種類。後から知りましたが、かなり強力な組み合わせだったようです。 特に5-FUは24時間以上ずっと点滴し続けるため、血管への負担が大きく、腕のしびれには本当に苦労しました。点滴をしている箇所をカイロで温めると少し楽になることを見つけ、なんとか乗り切りました。点滴の針を何度も刺し直すこともあり、両腕が真っ黒になったこともありました。 しかし、その治療効果は絶大でした。あれほど食べられなかった食事が、1クール目が終わる頃には不思議と喉を通るようになったのです。そして2クール目が終わる頃には、ステーキも食べられるまでに回復していました。髪の毛は全て抜けましたが、体調は明らかに良くなっており、「本当に手術は必要なのだろうか」と思うほどでした。

胃の全摘手術と驚きの結果

術前化学療法を終え、1か月ほどの期間をあけてから、胃の全摘手術を受けました。そして手術後、切除した胃の病理検査の結果を聞かされた時、私は再び驚くことになります。 「どこががんだったのか、わからないくらいきれいになっていましたよ」 先生の言葉通り、あれほど胃壁に広がっていたはずの腫瘍は、ほとんど見当たらなくなっていたのです。その結果、がんの進行度を示すステージも、術前の「3A」から「2A」に改善していました。担当の先生も驚いていたほどです。治験という選択が、良い結果につながった瞬間でした。

術後の過酷な治療と、再発の不安

手術から約1か月後、今度は術前と同じ薬を同じサイクルでさらに2か月間の術後化学療法が始まりました。しかし、胃を失った体での抗がん剤治療は、術前とは比べ物にならないほど過酷でした。 治療期間全体で体重は20kgも落ちました。特につらかったのは、匂いへの過敏さです。病室に運ばれてくるご飯の匂いや、トイレの消毒液の匂いを嗅いだだけで、激しい吐き気に襲われました。実際に吐くことはなくても、常にこみ上げてくる感覚は本当につらかったです。 全ての治療が終わったのは2022年の9月末。告知から約半年間の入院・通院生活でした。その後は経過観察に入りましたが、一度だけ、ひやりとする出来事がありました。治療終了後のCT検査で、肺に1mmほどの小さな白い影が見つかったのです。「再発の疑い」といわれましたが、影が小さすぎて生検などの確定診断はできず、「半年後の検査で大きくなっているかを見るしかない」と言われました。 もし本当に再発だったら、半年後では手遅れになるのではないか。この半年間は、がんの告知を受けた時以上に不安な日々でした。幸い、半年後のCTではその影はきれいに消えており、安堵のため息をついたことを覚えています。

闘病生活を支えてくれたもの

振り返ると、長い闘病生活を支えてくれたものが二つあります。 一つは「仕事」です。会社の特別な配慮で、顧問としての仕事を在宅で続けることができました。手術の直前まで、そして術後2日目からは電話会議に参加していました。入院中は時間を持て余しがちですが、仕事に集中している間は、つらい副作用や病気のことを忘れられました。社会とつながっているという感覚が、何よりの薬だったと思います。 もう一つは「運動」です。入院中も体力を落とさないように歩きました。筋肉を動かすことで免疫力が高まると聞き、今も毎日1万歩のウォーキングや水泳を続けています。 現在は、しびれや下痢といった後遺症は残っていますが、お酒を飲むこともできますし、食事も以前の3分の2ほどは食べられます。逆流を防ぐために体を起こして寝るなどの工夫は必要ですが、ごく普通の生活を送れるようになりました。 治療を終えてからは、自分の経験を伝えたいという思いから、胃がんの患者会にも参加しています。私が受けた治験が非常に効果的だったこと、そしてスキルス胃がんであっても希望は失われないということを、同じ病気で苦しむ人たちに知ってほしいのです。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私が今回の経験を通して、現在がんと向き合っている方々にお伝えしたいことがあります。 スキルス胃がんでも、諦めないでください。 スキルス胃がんは、進行が速く早期発見が困難なため、予後不良タイプとされていますが、私が受けた治療のように、医学の進歩によって状況は変わりつつあります。希望を持って治療に臨んで欲しいと思います。 「治験」も有力な選択肢の一つです。 治験は、安全性と有効性を検証するために行われる治療を兼ねた臨床試験で、一定の安全性は確認されています。まだ標準治療ほどの安全性や有効性が検証されていませんが、治療選択肢として前向きに検討する価値はあると思います。 社会とのつながりを持ち続けてください。 もし可能であれば、仕事や趣味など、自分が「患者」ではない時間を持つことが、精神的な支えになります。病気のことばかり考えてしまう時間を少しでも減らすことが、前向きな気持ちを保つ秘訣だと思います。
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