写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:みっけさん(ニックネーム)
年代:40代
性別:女性
家族構成:夫と娘の三人暮らし
仕事:業務委託(告知時は会社員)
がんの種類:卵巣がん
診断時ステージ:ステージ1C
居住地:東京都
診断年:2022年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
2021年4月に卵巣嚢腫の手術を受け、その後の病理検査で「境界悪性腫瘍」と診断されたみっけさん。同年6月に追加手術を行い、「根治した」と言われて経過観察に入りました。しかし、約1年後に腹膜播種での再発が判明。最初の診断が見逃されていたことがわかり、大きなショックと病院への不信感を抱えます。そこから、みっけさんは自分自身で情報を集め、納得できる治療法を模索する道を歩み始めました。仕事、子育てというライフイベントが重なる中、がんとどう向き合ってきたのか、お話していただきました。
久しぶりの婦人科で告げられた15cmの卵巣嚢腫
娘が4歳になった頃、産後ずっと止まっていた生理が始まりました。もともとチョコレート嚢胞などで生理痛がひどい方だったので、生理をコントロールするためにも、出産でお世話になった総合病院の婦人科を4年ぶりに受診することにしました。不妊治療で5年間、頻繁に通っていたこともあり、婦人科へ行くこと自体に抵抗はありませんでした。
そこで超音波検査をすると、医師から「卵巣が15cmくらいに腫れています。これは手術が必要ですね」と告げられました。自覚症状がなかっただけに、病院に行ったら急展開で話が進んでいき驚きました。
悪い所見は特にないとのことだったので、まずはダメージの少ない腹腔鏡で左の卵巣だけを摘出する手術を2021年4月に行いました。その時は、良性の嚢腫だろうから手術をすれば終わりだと思っていました。
ところが、術後の病理検査の結果は「境界悪性腫瘍」でした。良性だと信じていたので、この結果はかなりのショックでした。さらに、手術の記憶もまだ鮮明なうちに「もう一度手術が必要です」と言われたのです。精神的なダメージは大きく、今度は腹腔鏡ではなく開腹で、子宮なども含めて全摘出すると説明されました。
2度目の手術と退職、そして「根治」のはずが…
当時は子育てをしながら、正社員として働いていました。結婚を機に上京してから8年ほど勤めた会社です。会社からは、必要なだけ充分休養して戻ってきてほしいと言われましたが、主治医から「通常、開腹手術での休養期間は1か月程度の診断書しか出せない」と言われたのです。1度目の手術のダメージも残った中で、その休養期間で仕事再開はありえないと思いました。
その頃はまだコロナ禍でしたが、私の会社にはテレワークの制度もなく、毎日満員電車で通勤していました。1か月で体力的に復帰できる自信はありませんでしたし、精神的にも落ち込んでいました。また、入院で娘に寂しい思いをさせてしまったこともあり、さまざまな理由が重なり、会社を辞める決断をしました。周囲に迷惑をかけたくないという思いも強かったです。
2021年6月に2度目の手術を受け、術後はしばらく療養に専念することにしました。この手術で「根治した」と医師から言われ、3か月ごとの経過観察に移りました。血液検査で腫瘍マーカーを見たり、超音波検査で確認したりする通院を4回ほど続けました。これでひと安心だと思っていました。
しかし、経過観察が始まってから1年ほどの間、私は原因不明の肋骨痛や腹痛に悩まされるようになりました。痛みについて主治医に訴えましたが、検査の結果はいつも「良好」で、特に問題はないと言われ続けました。
突然の激痛、そして1年越しの「がん」告知
「この痛みは一体何だろう」と思いながら過ごしていた2022年8月のある日、猛烈な腹痛に襲われました。いつもの痛みとは違うと感じ、同じ病院の消化器内科を受診しました。
そこでCT検査を受けると、医師から「腹膜炎を起こしています。がんのような影があるので、詳しく調べましょう」と言われました。3日後にはPET検査を受け、その結果、腹膜播種(ふくまくはしゅ)であることがわかったのです。そして、それは「卵巣がんの再発」によるものだと告げられました。
婦人科の経過観察ではずっと「問題ない」と言われていたのに、まさに「青天の霹靂(へきれき)」とはこのことでした。納得がいかず、婦人科の主治医に説明を求めると、驚くべき事実が明らかになりました。1年前、2021年の手術で摘出した検体を改めて病理検査に出したところ、実はその時点で「がん」だったというのです。最初の診断が、いわば見逃されていた形でした。
この1年間、私が訴え続けた痛みは何だったのか。病院への不信感は頂点に達しました。病理医からは診断に至った経緯について説明がありましたが、主治医は「境界悪性腫瘍という診断のもとで適切な管理をしていた」と話すばかりで、到底納得できるものではありませんでした。
セカンドオピニオンで築いた、自分だけの「治療チーム」
病院をすぐにでも変えたいと思い、まずは情報を集めることから始めました。がんの治療について何も知らなかったので、すぐにがんセンターのセカンドオピニオンを予約し、病理検体も持参して再診断してもらいました。
そこで今後の治療方針について相談し、転院したいという希望も伝えました。すると、セカンドオピニオンの先生から、「標準治療はどの病院で受けても同じです。これから体に負担のかかる治療を続けていく上で、自宅から通いやすいというのは大きなメリットですよ」と冷静なアドバイスをいただきました。
また、診断を見逃した病院だからこそ、今後は最善を尽くしてくれるだろうという期待も込めて、元の病院で治療を続けることに決めました。
それ以来、私は治療方針が変わる大きな節目のたびに、セカンドオピニオンを活用するようになりました。腫瘍内科医の著名な医師や、オンラインで診察してくれる医師、さらには患者会の知識豊富な代表の方など、複数の専門家に相談しています。そこで得た情報や意見を自分の中で整理し、それを持ち帰って今の主治医と話し合い、最終的な治療法を決めています。
私の中では、病院の垣根を越えた、自分だけの「治療チーム」があるような感覚です。専門家たちの意見を材料に、自分が納得できる治療を選択する。最初のつまずきがあったからこそ、このスタイルにたどり着きました。
再び失った仕事と、家族の支え
がんの告知を受けた2022年、私は6月から正社員として再就職したばかりでした。年齢的にも最後のキャリアチャンスだと思い、希望の会社に入社し、やりがいを感じ始めて2か月後のことでした。
すぐに治療のため休職させてもらいましたが、TC療法という副作用の強い抗がん剤治療を6クール行うには、会社で認められた3か月の休職期間では全く足りませんでした。有給休暇も使い切ってしまい、フルタイムでの復帰も難しい状況で、結局、再び会社を辞めるしかありませんでした。がんと診断されても日常の多くは変わりませんが、仕事だけは完全に失ってしまったという喪失感が大きかったです。
しかし、思わぬところで新たな道が開けました。がん患者が集まる座談会に参加した際に、治療のために就職を諦めているという話をしたところ、その会を主催していた企業の方が声をかけてくださったのです。「業務委託という形で一緒に仕事をしませんか」という、本当にありがたい提案でした。そのご縁で、今は企画に参加するなど、自分のペースで社会とのつながりを持つことができています。
治療中、何より大きな支えとなったのは家族です。実家の両親や姉兄は、「体調や困っていることがないか」と連絡をくれました。また、娘と一緒に旅行に連れて行ってくれたり、遊びに来てくれたり、治療中も食べられるように私の好物を送ってくれたり、常に気にかけてくれていました。特に夫は、娘の送り迎えや私の副作用が辛い時期にはお風呂に入れてくれるなど、家事も育児も本当に助けてくれました。私が何もできなくても文句一つ言わない彼の存在は、精神的にも大きな救いでした。
娘には、がんであることはしばらく伝えていませんでした。しかし、小学生になるタイミングで、がんの親を持つ子どもたちのための親子プログラム「CLIMB(クライム)」に参加することを決め、そこを通じて伝えました。娘は遊び感覚で楽しく通ってくれましたが、そこに来ている子どもたちのお母さんも病気なのだと、自然に理解したようです。いつか「がんは命を落とすこともある病気だ」だと知った時に、自分だけではない、仲間がいると感じてくれたらという思いがありました。
最初のがんの見逃しは、本当につらい経験でした。しかし、その経験があったからこそ、私は主体的に治療に関わり、納得できる道を探し続けることの重要性を学びました。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
私の経験から、今がんと向き合っている方にお伝えしたいことがあります。
一人で抱え込まず、外に助けを求めましょう。
悩んでいることがあるなら、自分の中だけで考え込まずに、外に向けて行動を起こしてみてください。それがセカンドオピニオンかもしれませんし、患者会や専門のサポートプログラムかもしれません。
行動することで、新たな選択肢や支援に出会える可能性があります。
外に助けを求めることで、有益な情報をくれる人や、サポートしてくれる人に出会える可能性があります。私の場合、それが新しい仕事の形にもつながりました。
信頼できる「情報」を探すために行動してください。
自分の疑問や悩みを、専門家など、しかるべき場所にぶつけることが大切です。そうすることで、正しい情報を得られ、精神的にも身体的にも良い状態で治療に臨めると思います。