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子宮頸がんが教えてくれた「地に足をつけて生きる」ことの大切さ

[公開日] 2025.10.03[最終更新日] 2025.12.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ひまちらさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:女性 家族構成:夫と二人暮らし 仕事:現在保険会社勤務(診断時は銀行員) がんの種類:子宮頸がん 診断時ステージ:ステージ2B(手術後ステージ4) 居住地:東京都 診断年:2021年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2019年、不正出血をきっかけに婦人科を受診したものの、約2年間も原因がわからなかったひまちらさん。症状が治まらず別の病院を受診し、子宮頸がんと診断されました。仕事と治療を両立させ、脱毛やリンパ浮腫といったつらい副作用と向き合った日々。診断から4年間、治療と向き合い人生観が大きく変わったという、ひまちらさんにお話ししていただきました。

始まりは原因不明の不正出血

私が最初に体の異変に気づいたのは、2019年のことでした。すでに閉経していたにもかかわらず、生理のような不正出血が1か月ほど続いたのです。さすがにおかしいと思い、近所の婦人科クリニックを受診しました。 そこでは細胞診などの検査も受けましたが、医師から告げられたのは「原因がわからない」という言葉でした。止血剤を処方されただけで、根本的な解決には至りませんでした。この頃、私は不正出血よりもひどい腰痛に悩まされていました。がんの可能性は全く考えていなかったので、腰痛の原因を探ることを優先し、整形外科を受診したところ、椎間板ヘルニアと診断されました。すぐに手術が必要だと言われたため、そちらの治療を先に行うことにしたのです。 ヘルニアの手術を終えて退院した後も、不正出血は相変わらず続いていました。最初のクリニックの診断から2年近く経過した頃、人間ドックも実施している少し大きな婦人科で診てもらうことにしました。すると、診察した医師の表情が曇り、「すぐに大きな病院を紹介します」と言われたのです。 紹介されたのは、自宅から近い大学病院でした。そこで改めて精密検査を受け、組織を採取しました。担当の医師からは「おそらく良性だと思いますよ」と言われていたので、少し安心して結果を聞きに行ったのですが、告げられた病名は「子宮頸がん」でした。この時点ではステージは2Bの診断でしたが、手術後にリンパ節への転移も見つかり、ステージ4だと判明しました。

泣く暇もなかった告知と、気持ちの切り替え

親族にがんになった人がいなかったので、まさか自分ががんになるなんて夢にも思っていませんでした。告知は夫と一緒に聞いたのですが、医師があまりにも事務的に、淡々と手術や入院、抗がん剤治療の方針について説明を進めていくので、不思議と涙は出ませんでした。「泣く暇がなかった」というのが正直なところです。今思えば、その事務的な対応が、冷静さを保つ上でかえって良かったのかもしれません。 しかし、診察室を出てから「がん」という言葉が頭の中をぐるぐると回り始め、医師の説明のほとんどが記憶から抜け落ちていきました。ショックはもちろん大きかったのですが、「このままではいけない。前に進まなければ」という思いが湧き上がってきました。このショックな気持ちをどこか別のものにすり替えないと、押しつぶされてしまうと感じた私は、お金のことに思考を切り替えることにしました。 「治療費は払えるだろうか」「がん保険には入っていたはずだ」。家に帰ると、すぐに保険証券や書類を片っ端から探し始めました。幸い、銀行員時代に仕事の付き合いでがん保険に加入しており、高額療養費制度も利用できることがわかりました。治療費の心配という具体的な問題に取り組むことで、がんという見えない恐怖から少しだけ心をそらすことができたのです。 当時、私は銀行の本部に勤務していましたが、たまたまコロナ禍で在宅勤務制度が導入されたばかりでした。会社にはすぐにがんのことを報告し、在宅勤務や病気休暇の制度を利用させてもらうことで、治療に専念できる環境を整えることができました。仕事との両立という面では、非常に恵まれていたと思います。

一番つらかった副作用「脱毛」との向き合い方

治療は、まず手術から始まりました。リンパ節への転移の疑いがあったため、内視鏡ではなく、胸の下から鼠径部まで大きくおなかを切開する開腹手術となりました。無事にがん細胞と転移したリンパ節は取り除かれ、その後、再発を防ぐための抗がん剤治療が始まりました。 さまざまな副作用がありましたが、精神的に一番つらかったのは、髪の毛をはじめ全身の毛が抜ける「脱毛」でした。医師から事前に説明は受けていましたが、実際に自分の髪がごそっと抜け落ちる体験は、想像を絶するものでした。 特に女性にとって、髪は「アイデンティティーの一部」です。それが失われることは、見た目の変化以上に、自分自身でなくなってしまうような喪失感を伴いました。眉毛が抜けると顔の印象が全く変わってしまうと聞いていたので、入院前には眉毛のアートメイクを済ませておきました。 抗がん剤治療中はウィッグが手放せませんでしたが、ここでも新たな壁にぶつかりました。これまで通っていた美容院では、他のお客さんの目もあり、ウィッグのことを相談する雰囲気ではありません。そもそも、ウィッグのカットには専門的な技術が必要で、普通の美容師さんでは対応が難しいということも、この時初めて知りました。 途方に暮れていた時、インターネットでがん患者専門の美容室を見つけました。そこは完全個室で、美容師さん自身もがんの経験者でした。私のつらさを心から理解し、共感してくれたのです。ウィッグのサロンでさえも自分の頭をさらすことができなかった私が、その美容師さんの前で初めてウィッグを外し、自分に似合うようにカットしてもらうことができました。あの時の安堵感と喜びは、今でも忘れられません。信頼できる専門家(しかもがん経験者)との出会いが、どれほど大きな心の支えになるかを痛感した出来事でした。

今も続くリンパ浮腫との闘い

治療後は、もう一つ大きな問題が残りました。下肢の「リンパ浮腫」という後遺症です。リンパ節を切除した影響でリンパの流れが滞り、足がむくんでしまうのです。一生付き合っていかなければならない症状で、静脈とリンパ管をつなぐ手術を3回受けましたが、完治には至っていません。 現在、リンパ浮腫のある左足には専用の弾性着衣を着用しています。シャワーを浴びる時と寝る時は弾性包帯を外し、就寝時はリンパ液が下肢に溜まりにくくするために足を上げて休んでいます。さらに、包帯を巻いた状態でスクワットをするなど、筋肉を維持するための運動も欠かせません。 リンパ浮腫の足は、小さな傷からも細菌が入りやすく、重症化する危険があります。私も一度、虫に刺されたことが原因で「蜂窩織炎(皮膚とその下の組織に細菌が感染して炎症を起こす病気)」という感染症にかかり、高熱を出して2週間入院したことがあります。それ以来、保湿クリームでのスキンケアと、虫に刺されないための対策は徹底しています。毎日のケアは大変ですが、これも自分の体と向き合う大切な時間なのだと捉えています。

がんが教えてくれた「地に足のついた生き方」

がんになったことで、私の人生設計は大きく変わりました。もともと福岡出身の私は、定年後は故郷に帰るつもりでした。しかし、東京の大学病院で治療を続けることを決意し、さらに、がんの手術と同じ年に亡くなった母の遺産を相続したことも重なり、病院の近くにマンションを購入したのです。60歳を過ぎて15年の住宅ローンを組むという、以前の私では考えられなかった決断でした。 銀行を定年退職した後は、社会とのつながりを持ち続けたいという思いから、専門知識を生かせる保険会社に再就職しました。家に3匹いる猫たちの世話をすることも、日々の大きな癒やしであり、生きがいです。がんになってから1匹増やしたのですが、この子たちがいるから「私にはまだ未来がある」と信じられる。そんな風に、前を向く力を与えてくれています。 振り返れば、がんになる前の私は、自分が死ぬということを意識せず、漠然と生きていたように思います。がんになったことは決して喜ばしいことではありません。しかし、この経験があったからこそ、健康のありがたさを知り、自分の人生や将来について真剣に考えるようになりました。がんが、私に「地に足をつけて生きる」ことの大切さを教えてくれたのだと感じています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

今、がんと闘っている方、これから治療に臨む方にお伝えしたいことがあります。 脱毛のショックは大きいですが、髪はまた生えてきます。 その期間を乗り越えるために、信頼できる専門の美容師さんを見つけることを強くお勧めします。ウィッグでのおしゃれを楽しむくらいの気持ちでいられると、少し楽になるかもしれません。 つらい気持ちは一人で抱え込まないでください。 家族や友人、あるいは私が出会った美容師さんのように、自分の痛みを理解し、共感してくれる人を見つけることが、大きな力になります。 インターネットの情報に振り回されないでください。 不安な時はつい検索してしまいますが、ネガティブな情報に触れると、どんどん気持ちが沈んでしまいます。必要な情報だけを取捨選択し、過度に読み込むのはやめましょう。私自身、「もう死ぬんだ」と思い詰め、「がんで死ぬくらいなら、自分で死ぬ」と考えた時期もありましたが、その頃の記憶はあまりありません。それほど、精神的に追い込まれていました。 自分を支えてくれる「やるべきこと」を見つけてください。 私にとっては仕事や猫の世話がそうでした。何かに没頭している時間は、がんのことを忘れさせてくれます。
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