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乳がんと生きる10年後の未来が見えない不安、絵を描くことが生きる力に

[公開日] 2025.09.26[最終更新日] 2025.12.26

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:ゆーみんさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:女性 家族構成:夫と二人暮らし(子ども二人は独立) 仕事:専業主婦(絵画制作) がんの種類:乳がん 診断時ステージ:ステージ1 居住地:神奈川県 診断年:2023年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 2年に一度の市の乳がん検診がない年に、ふと感じた体の異変。それが早期の乳がん発見につながったゆーみんさん。手術や放射線治療は順調に進んだものの、その一方で心は徐々に追い詰められていきました。治療の副作用や将来への不安と向き合う日々の中で、心の支えとなったのは長年続けてきた絵を描くことでした。物理的な治療だけでは乗り越えられない壁にどう向き合い、日々を過ごしているのか、お話しいただきました。

「なんか変」、検診がない年の自覚症状

私が乳がんだとわかったのは、2023年のことでした。1月頃から、ふと下を向いた時に左の胸だけが重く感じるような、妙な違和感があったのです。乳首にかゆみもあり、「胸の状態がいつもと違うな」と思いました。 ただ、市の乳がん検診は2年に1回で、その年は検診のない年でした。「どうしようか」と思いつつ、毎年受けている子宮がん検診を受けた際に、受付で「何か気になることはありますか?」と聞かれたので、思い切って胸の違和感について話してみました。この病院は以前マンモグラフィーの検査器具があったので、私も乳がん検診を受けた経験がありました。先生が「じゃあ後で診てみましょう」と言ってくださったので、問診や触診をしていただきました。診察の結果、「少し硬い感じがする。乳腺外科に行った方がいい」と提案され、すぐにマンモグラフィー設備のある少し大きなクリニックに予約を入れました。 予約した日はあいにくの雪でキャンセルすることになり、1週間先延ばしになりました。普段の私なら「まあ、いっか」と検査を受けずに済ませてしまうこともあったかもしれませんが、この時ばかりはなぜかそう思えず、きちんと予約を取り直しました。 そして2月17日、クリニックを受診しました。問診の後、すぐにマンモグラフィーと超音波検査を受けました。すると、先生が画像を見て「気になる部分があるから、組織も採ってしまいましょう」とおっしゃるので、その日のうちに生検(組織診)まで一気に進めてもらいました。

一人で聞いた告知と、夫への報告

診断結果が出たのは、約3週間後の3月8日でした。検査をしたクリニックへは、一人で向かいました。夫は仕事で間に合わず、会計近くで待ってくれていました。 診察室で先生から告げられたのは、「乳がんです」という言葉でした。ステージは1で、がんの大きさは7mm。幸い、転移は見られないとのことでした。怪しい箇所は2つあったそうですが、がんであったのは1つだけでした。 7mmという小ささで見つかったのは珍しく、「よく自分でわかったね。普通は自覚症状もないくらいだよ」と言われました。そのためか、この時は不思議と冷静で、深刻な気持ちにはなりませんでした。 診察を終え、待っていた夫の元へ行き、「あ、がんだった」と、まるで他人事のように報告したのを覚えています。

手術は無事に成功したものの、その後に始まった心の葛藤

治療方針はすぐに決まりました。先生からは「悪いものだから手術で取りましょう。部分切除で大丈夫でしょうし、おそらく他の病院へセカンドオピニオンに行っても診断は変わらないと思います」と説明を受けました。その言葉を聞いて、もうこの病院で、この先生にお任せしようと決めました。 手術、その後の放射線治療、そしてホルモン療法という一連の治療の流れについても、この時に説明を受けました。 CT検査で転移がないことを最終確認した後、夫と一緒に改めて詳しい説明を聞き、4月17日に手術日が決まりました。手術では、まず脇の下のリンパ節を4つほど採取して、その場で転移がないかを確認しました。結果は「転移なし」。そのため、リンパ節を広く切除することはなく、がんがあった7mmの部分だけを切除する部分切除で済みました。利き手とは逆の左胸だったこともあり、手術後に腕が上がりにくくなるなどの後遺症もほとんどありませんでした。 手術は無事に終わりましたが、私の本当の苦しみはここから始まったように思います。がんの告知から現在までの中で、一番ショックだったのが、手術後、初めて傷を見た時です。手術跡の紫色の内出血がだんだん下に降りてきたり、傷周りが少し腫れたり、硬くなったりしていました。「こういう経過をたどるけれど、だんだんきれいになるから大丈夫」という一言が事前にあれば、あれほどショックを受けずに済んだかもしれません。下着が傷に触れるだけで気分が悪くなることもありました。「こうしたことを事前に知っていれば、少し大きめのゆったりとした肌着を用意しておくこともできたのに」と今は思います。 このショックを受けた時以外は、告知された時も、手術が決まった時も、どこか冷静だったと思います。しかし、少し時間が経つと、じわじわと不安が心をむしばんでいきました。3月の末頃から胃腸の調子が悪くなり、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を受けました。さらに、もともとあった抑うつ傾向が強くなり、夜も眠れなくなってしまいました。以前、うつ病の治療は「卒業」と言われてやめていたのですが、再び同じ精神科の先生の元を訪ね、睡眠導入剤を処方してもらうようになりました。今も2か月に一度、通院を続けています。 早期発見で、治療も順調。周りから見れば「幸運だった」のかもしれません。でも、私の中では「がんと診断された」という事実が重くのしかかり、心と体のバランスが少しずつ崩れていったのです。

生きがいである「絵」と、見通せない未来への不安

そんな私を支えてくれたのが、長年続けている絵を描くことでした。 実は、手術後の放射線治療が始まる直後に、個展の予定が入っていました。体力的にも精神的にもつらい時期ではありましたが、「これをやらなくては」という気持ちが、治療を乗り切るための大きな力になりました。新作はあまり描けませんでしたが、過去の作品を並べてでも開催できたことが、私にとって大きな張り合いになりました。 絵を描いている時、展示の準備をしている時は、がんのことを忘れ、没頭できます。精神科の先生からも「とにかく描き続けてください」と言われています。 ただ、がんになってから、未来の予定を立てるのが怖くなりました。個展を開くには、画廊を1年先、場合によっては2年先に予約しなければなりません。でも、「その時、自分は元気でいられるだろうか」と考えると、どうしても勇気が出ないのです。 今は、3か月に一度の定期検診や、年に1回のCT検査などのスケジュールに合わせて、数か月先のグループ展に応募するのが精一杯です。検査で「問題なし」と言われれば、「よし、次の検査までは大丈夫。展示会に出そうと決める」そんなふうに、検査結果が私の活動の「ゴーサイン」になっています。 がんの治療は、体だけでなく心にも大きな影響を与えます。浮き沈みがあって当たり前です。私もまだ、7年以上続くホルモン治療の先にある「寛解」というゴールを、素直に目指せる心境にはなれません。それでも、絵を描き、目の前の一つひとつの予定をこなしていくことで、自分らしい日々を取り戻そうとしています。この体験が、誰かの心の重荷を少しでも軽くするきっかけになればと願っています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私自身の体験を通して、今まさにがんと向き合っている方や、そのご家族に伝えたいことがいくつかあります。 「おかしいな」は、体からのサインです。 私の場合、検診がない年でも、自分の感覚を信じて病院に行ったことが早期発見につながりました。検診の年を待たずに、少しでも違和感があったら、ためらわずに専門医を受診してほしいです。空振りでもいいのですから。 がんは十人十色。他人の話に惑わされないでください。 心配して「あの人はこうだった」と話してくれる方もいますが、がんの種類も、進行度も、その人の体力も、全てが違います。情報は自分で調べ、自分は自分だと割り切ることが大切です。何気ない一言が、心を深く傷つけることもあります。 治療後の変化について、事前に詳しく聞いておきましょう。 治療により、体にどんな影響があり、どのような経過をたどるのかを知っておくことが大切です。治療前に、気になることがあれば、事前に主治医や看護師などに聞いておくことで、実際にそうなったときのショックを和らげることができます。 一人で抱え込まないで。でも、期待しすぎないことも大切です。 家族でも、そのつらさを100%理解してもらうのは難しいことです。私は、LINEのがん患者の対話サービスにとても助けられました。専門知識を持った第三者や、同じ経験をした人に話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることがあります。自分に合うサポートを探してみてください。 没頭できる「何か」を見つけてください。 私の場合は絵でしたが、それが仕事でも、趣味でも、何でもいいと思います。がんのことを忘れられる時間を持つことが、何よりの心の薬になります。病気になったからといって、好きなことを諦めないでほしいです。
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