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監視療法から一転、手術で知った衝撃の真実。前立腺がん「診断の落とし穴」とは

[公開日] 2025.09.25[最終更新日] 2025.12.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:玄九さん(ニックネーム) 年代:80代以上 性別:男性 家族構成:妻と二人暮らし 仕事:年金生活 がんの種類:前立腺がん 居住地:千葉県 診断年:2017年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 市の健康診断でPSA値の異常を指摘された玄九さん。精密検査の結果、「超低リスクのがん」と診断され、手術や放射線治療を行わずに経過を観察するアクティブサーベイランス(監視療法)を選択しました。ところが、その後の経過観察中に玄九さんが下した決断により、術後、当初の診断とは異なる事実が明らかになったのです。治療法の選択だけでなく、「診断」そのものの重要性を教えてくれる貴重な体験についてお話しいただきました。

しばらく様子を見ようと自己判断で中断した通院

私が最初にがんの可能性を指摘されたのは、2014年6月のことでした。市が実施している健康診断をいつものように受けたところ、前立腺がんの特異抗原であるPSA値が高いという結果が出たのです。特に自覚症状は何もありませんでした。 紹介を受けて、まずはがんセンターを受診しました。しかし、2、3回通院してもPSA値に大きな変動はありませんでしたが、医師からは生検などの検査を勧められました。当時の私は、これは単に加齢によるものではないかと考え、「しばらく様子を見よう」と自分勝手に判断し、がんセンターへ通うのをやめてしまいました。 それから3年間は、市の検診は受けていたものの、PSAの検査はせず、大きな変化もないまま時間は過ぎていきました。 転機が訪れたのは、2017年の健康診断です。再びPSA検査を受けたところ、3年前よりもさらに数値が上がっていました。さすがにこれは放置できないと思い、きちんと診てもらうことにしました。ただ、今回はがんセンターではなく、自宅近くの総合病院の泌尿器科の先生に診てもらうことにしました。

「超低リスク」の診断と、監視療法という選択

2017年4月、総合病院で生検を受けました。その結果、医師から告げられたのは「超低リスクの高分化型腺がんの可能性がある」という診断でした。グリソンスコアは3+3の6で、がん細胞は見つかったものの悪性度は極めて低く、すぐに治療を開始する必要はないとのことでした。 そして、治療方針として提案されたのが「アクティブサーベイランス(監視療法)」です。これは、定期的にPSA検査やMRI検査を行いながら、がんに変化がないかを監視していく方法で、すぐに手術や放射線治療は行いません。私もその方針に同意し、経過観察を続けることになりました。 しかし、翌2018年の5月、私のPSA値はついに10を超えました。これを受けて、6月にMRI検査を行った結果、医師から積極的な治療への移行、つまり手術を勧められたのです。

手術か、放射線か。セカンドオピニオンで決めた道

いざ治療を始めることになり、主に手術と放射線治療、2つの選択肢を提案されました。私はどちらが良いのかを知るため、放射線治療の一つである小線源治療について、セカンドオピニオンを聞きに別の総合病院へ行きましたが、少し厄介だと感じました。 また、放射線治療の場合は治療後に組織の状態を詳しく調べることができません。しかし、手術であれば摘出した組織の病理検査ができ、がんの正確な性質がわかります。患者としては、やはり「わかる」方が安心できるのではないか。そう考えた私は、通院の手間や術後の検査のメリットを考慮し、最終的に手術を選択することに決めました。手術の方法も、身体への負担が少ないロボット支援下での手術を行っている病院だったため、その点も安心材料でした。 診断が「超低リスク」だったこともあり、手術そのものに対する不安はあまりありませんでした。

手術で判明した衝撃の事実

手術を終え、私は一つの衝撃的な事実を知らされることになります。摘出した前立腺の組織を詳しく調べた病理検査の結果、私のがんは「超低リスク」どころか、悪性度の高い「低分化腺がん」だったことが判明したのです。 最初の生検では高分化腺がんとのことでしたので、「話が全く違うではないか」。それが正直な気持ちで、さすがに少しショックを受けました。 「もし、最初の超低リスクという診断を鵜呑みにしてPSA値が上がっても監視療法を続けていたら」「放射線治療を受けてその後の組織検査ができていなかったら」、気づかないままがんは進行していたかもしれません。そう考えると、自分の判断で手術を選んで本当に良かったと、心から思いました。 この経験を通して痛感したのは、治療法の選択についてセカンドオピニオンを求めることはもちろんですが、それ以前に「診断そのもの」が本当に正しいのかを確認することの重要性です。最初の診断の信頼性をチェックするという発想が、当時の私にはありませんでした。

後遺症と、「卒業のない」がんとの向き合い方

手術から7年近くが経ち、現在のPSA値は再発の目安となる0.2には遠く、落ち着いた状態が続いています。 ただ、後遺症が全くないわけではありません。手術の影響で尿漏れがあり、今でも1日に2回ほどパッドを使っています。こればかりは、手術をした以上は仕方がないことだと自分なりに納得しています。それ以外に、がんが原因と思われる症状は今のところありません。 主治医に聞いたところ、前立腺がんは手術をしても「卒業」ということはないそうです。7年、8年経ってから再発する人もいると聞き、完全に安心することはできないのだと気を引き締めています。 振り返ってみると、診断当初からがんに対して深刻に思い悩むことはありませんでした。妻には結果を報告しましたが、ことさらに心配をかけるような話し合いはしませんでした。治療に関する情報も、主にインターネットを使って自分で調べ、患者会などには参加しませんでした。「人は人、自分は自分」、体験談はあくまで参考程度に捉え、自分の治療は自分で決めようと思っていました。 ただ一度、コロナ禍の時期に別の原因で熱を出し、主治医に診てもらったのですが、その先生がその診察を最後に異動になってしまったことがありました。その時は、何だか放り出されたような気持ちになり、少しショックを受けたことを覚えています。 さまざまなことがありましたが、全体としては冷静にがんと向き合ってこられたと思っています。その中でも一番の山場は、やはり手術後にがんの本当の性質がわかった時でした。あの時の衝撃と、手術を選んで良かったという安堵感は、今でも忘れられません。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私の体験が、これからがんと向き合う方、特に前立腺がんの治療を考えている方の何らかの参考になれば幸いです。最後に、私からお伝えしたいことがあります。 治療法の前に、まず「診断」の正確性を確認してください。 私たちは、がんになるとどうしても「どの治療法を選ぶか」に目が行きがちです。しかし、その大前提となる「診断」が本当に正しいのかを考えることが、実は最も重要かもしれません。私のケースのように、生検で採取した場所によって、がんの悪性度が低く見積もられてしまう可能性もあります。 診断段階でのセカンドオピニオンも有効な手段です。 セカンドオピニオンというと「治療法の選択のために受けるもの」というイメージが強いかもしれません。しかし、「あなたの診断は本当に正しいですか?」という視点で、別の医師の意見を聞くことも非常に大切です。もし可能であれば、診断が下された段階でセカンドオピニオンを検討してみることをお勧めします。 情報を集め、納得して自分の治療法を選びましょう。 最終的に治療を決めるのは自分自身です。医師の説明はもちろん、インターネットや書籍、セカンドオピニオンなどを通じて、それぞれの治療法のメリット・デメリットを十分に比較検討してください。私の場合は「通院回数」と「術後に病理検査ができるか」が決め手となりました。ご自身の生活や価値観に合った、納得できる選択をしてほしいと思います。
体験談 前立腺がん

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