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自覚症状ゼロからの胃がん告知。一番つらかった術後の食事と、そこから得た希望

[公開日] 2025.10.07[最終更新日] 2025.12.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:北岡克幸さん(本名) 年代:50代 性別:男性 家族構成:妻と二人の息子と四人暮らし 仕事:会社員 がんの種類:胃がん 診断時:ステージ1 居住地:愛知県 診断年:2018年
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 会社員の北岡克幸さんは、2018年に毎年受けていた人間ドックで胃がんが見つかりました。全く自覚症状がない中での突然のがん告知。胃の3分の2を切除する手術を受け、ステージ1と診断されました。術後は食事の苦痛や持病である糖尿病の悪化など、さまざまな困難に直面しましたが、信頼できるもう一人の医師の存在に支えられ、乗り越えてきました。診断から現在に至るまでの歩みについて、詳しくお話しいただきました。

なんの症状もないのに…人間ドックで見つかった「胃がん」

2018年のことでした。毎年欠かさず受けている人間ドックの胃X線バリウム検査で、「隆起性の病変がある」との結果が出ました。特に胃の調子が悪いといった自覚症状は全くなく、本当に「寝耳に水」というのが正直な感想でした。 まずは検査結果を持って、近所のかかりつけ医に相談に行きました。すると先生は、「がんの可能性もあるから、検査だけでなく手術までできる整った病院がいいだろう」と、すぐに中規模の総合病院への紹介状を書いてくれました。 紹介された病院で胃内視鏡検査を受け、組織を採取しました。そして1週間後、結果を聞くために再び病院へ向かいました。その時も、深刻なものだという実感はあまりありませんでした。しかし、診察室で医師から告げられたのは「胃がんです」という一言でした。その瞬間、頭が真っ白になり、大きなショックを受けたのを覚えています。 医師の説明では、私の胃がんは内視鏡で切除できるレベルではなく、外科手術が唯一の選択肢とのことでした。そして、手術に向けた血液検査や心機能の検査など、できる検査は全て済ませていくようにと指示されました。 告知を受けたのは、私一人でした。痛くもかゆくもないのに、いきなりがんだと言われた衝撃は大きく、「なぜ去年は見つからなかったんだ」という思いが頭をよぎりました。「もし1年前に見つかっていれば、大がかりな手術をせずに済んだのではないか」という悔しい気持ちもありました。

聞きたいことが聞けない…手術前の情報収集はネットで検索

がんの告知を受け、その日のうちに電話で妻に報告し、翌日には職場の上司にも事情を説明しました。手術日程もおおよそ決まっていたため、仕事の引き継ぎなどの相談もすぐに始めました。家族も上司も、私の話を冷静に受け止めてくれたと思います。 ただ、肝心の治療については、不安な点がいくつもありました。担当の主治医(外科医)は少し口数が少ない方で、こちらから突っ込んで聞かないとなかなか詳しいことを話してくれませんでした。私自身も「聞きたいことは山ほどあるのに、どこか威圧感があって聞きづらい」と感じていました。 手術後の生活はどうなるのか、他に治療法はないのかといった疑問はありましたが、結局、その場では「手術をしてみないと転移の有無もステージもわからない」と言われるだけでした。そのため、自分でインターネットを使い、胃がんの手術や術後の経過について必死に調べました。 胃内視鏡検査の画像も見せられ、素人目にも明らかに良くない状態だとわかったので、「どこへ行っても、やることは同じだろう」と思い、セカンドオピニオンを受けようとは思いませんでした。 むしろ、当時は仕事が非常に忙しく、さらに父の介護や母が亡くなって間もない時期ということも重なり、「手術を1〜2か月延ばしてもらえないだろうか」とさえ考えていました。しかし、その考えは医師に「冗談じゃない」と一蹴され、諦めて手術に臨むことを決めました。

1か月の入院と、退院前日に知らされた「ステージ1」

手術では、胃の噴門部側(入口側)を含む3分の2を切除しました。手術は無事に終わったものの、入院生活は予想以上に長引きました。 私にはもともと1型糖尿病の持病があったのですが、「血糖コントロールが安定しない」というのが、入院期間が延びた理由でした。しかし、看護師さんからは「北岡さん、なんでまだ入院しているんだろうね」と不思議がられるほど、他の患者さんと比べて入院期間が長かったようです。インターネットで調べても、同じような手術をした人は2週間ほどで退院しているケースが多いのに、私は約1か月も病院にいました。医師に理由を尋ねても「もうちょっと、もうちょっと」と引き延ばされるばかりで、はっきりとした理由は聞けませんでした。 そして、ようやく退院できるとなったその前日、初めて詳しい病理検査の結果が告げられました。結果は、ステージ1。転移はなかったとのことでした。 退院後は、2〜3か月に1度という、他の人に比べてかなり短い間隔で、CT検査や血液検査などの経過観察が続きました。医師からは「健康診断代わりだと思って受けなさい」と言われ、その指示通りに今も通院を続けています。手術から5年以上が経過しましたが、人間ドックで十二指腸粘膜下腫瘍や胆石なども見つかったため、今も半年に1度はCT検査、年に1度は胃内視鏡検査を受けています。

人生の大きな喜びの一つ「食べる楽しみ」が一転して苦痛に変わってしまった

手術を終えて最もつらかったのは、何よりも「食事が楽しめない」ということでした。 私の手術は、ただ胃を切除するだけでなく、逆流を防ぐために小腸の一部(空腸)を使って代用の胃を作る「空腸間置法」という方法で行われました。空腸間置法は、噴門部切除により食道と胃の直接吻合が困難な場合や、逆流性食道炎のリスクを軽減したい場合に有用とされています。それでも、術後しばらくは食べた物がすぐ詰まる感覚や、ひどい胸やけに悩まされる日々が続きました。 胃の機能が3分の1しか残っていないため、少しでも食べるスピードが速かったり、量が多かったりすると、すぐに苦しくなってしまうのです。入院中に栄養士さんから食べ方の指導は受けましたが、頭では「ゆっくり食べる」とわかっていても、実践するのは非常に困難でした。自分の思う「ゆっくり」と、体が求める「ゆっくり」には大きな隔たりがあったのです。 食べる楽しみは、私にとって人生の大きな喜びの一つでした。それが一転して苦痛に変わってしまったのです。食べたいのに食べられない、食べると苦しくなる。この状態がずっと続くのかと思うと、本当にお先真っ暗な気持ちになり、精神的にかなり追い詰められました。この食事の苦痛が、がん治療全体を通して最も大変なことでした。 幸い、術後数年が経った今では、食べる量こそ元には戻りませんが、詰まったり苦しくなったりすることはほとんどなくなり、再び食事を楽しめるようになっています。

もう一つの苦悩は、糖尿病の悪化による血糖コントロール

術後の生活の変化は、食事だけではありませんでした。持病である糖尿病の状態が、手術をきっかけに大きく変わってしまいました。 胃が小さくなった影響で、血糖値の上がり下がりが非常に激しくなったのです。インスリン治療を行っていますが、そのコントロールが以前よりも格段に難しくなりました。 しかし、この点においては幸運なことがありました。がんの手術をしてくれた外科の主治医と、糖尿病の主治医が、偶然にも研修医時代の同期で、非常に仲が良かったのです。 手術が決まった時、糖尿病の主治医にそのことを報告すると、私の病状や治療に関する詳しい説明書きを外科の先生宛に書いてくれました。そのおかげで、外科の先生は私の糖尿病の状態を深く理解した上で、手術に臨んでくれたようでした。後から聞いた話では、通常であれば私の胃がんの位置では全摘出が標準的だったそうですが、「糖尿病のコントロールがしやすいように」と、あえて胃を3分の1残す術式を選んでくれたとのことでした。 この糖尿病の主治医の存在は、術後の私の大きな支えとなりました。外科の先生には聞きづらいことでも、糖尿病の先生には話しやすく、相談すると内科医の立場から的確なアドバイスをくれました。例えば、外科の先生に「胆石は早く取った方がいい」と言われたことを相談すると、「痛みがなければ急いで取る必要はないですよ」と医学的根拠に基づいてわかりやすく説明してくれたのです。 私にとって、この糖尿病の先生は、外科医の言葉を「翻訳」してくれる、いわば「セカンドオピニオン代わり」の存在でした。この先生がいなければ、私の不安はもっと大きくなっていたと思います。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私の経験から、これからがんと向き合う方、特に私と同じように胃がんの手術を経験される方にお伝えしたいことがあります。 術後の食事は、時間が解決してくれます。 胃がんの手術直後は、食べられない苦しみで絶望的な気持ちになるかもしれません。私もそうでした。しかし、時間はかかりますが、体は少しずつ慣れていきます。元通りとはいかなくても、「また食事が楽しめる時期は必ず来る」ということを信じて、希望を失わないでほしいです。 信頼できる「かかりつけ医」を見つけてください。 がん治療の主治医に、何でも聞けるとは限りません。そんな時、自分のことをよく理解してくれている、話しやすい別の医師の存在が大きな助けになります。専門外のことでも、親身に相談に乗ってくれる信頼できる医師(かかりつけ医など)の存在は、心の負担を軽減してくれます。 がん治療はつらいものですが、一人で抱え込む必要はありません。信頼できる医療者を見つけ、周りのサポートを得ながら、一歩ずつ前に進んでいってほしいと願っています。
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