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膵臓がんと共に生きるということ―私が「延命」より「生活の質」を選んだ理由

[公開日] 2025.09.02[最終更新日] 2025.12.24

写真はイメージです。(AIによる生成)
プロフィール お名前:わんたんさん(ニックネーム) 年代:60代 性別:男性 家族構成:妻と二人暮らし 仕事:無職 がんの種類:膵臓がん 診断時ステージ:ステージ4 居住地:愛知県
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。 61歳で膵臓がんと肝転移が見つかり、ステージ4の診断を受けたわんたんさん。医師からは抗がん剤治療による延命を提案されましたが、自らの意思で治療を中断し、緩和ケアに移行しました。生活の質(QOL)を最優先に、自分らしく生きることを選んだ背景には、どのような思いがあったのでしょうか。詳しくお話ししていただきました。

きっかけは定期検診と、何気なく伝えた「背中の痛み」

私は定期的に胃内視鏡検査を受けていました。ある時、消化器内科の待合室で診察を待つ間、先生に「時々、背中が痛むことがあるんです」と何気なく伝えたことが、がん発見のきっかけでした。それを聞いた先生が「じゃあ、腫瘍マーカーの検査もやってみようか」と提案してくれたのです。 後日判明した検査結果では、CA19-9という項目が、基準値37に対し200を超えていました。すぐに総合病院を紹介され、そこであらためてCTやMRIなど一通りの精密検査を受けました。 CT画像を見た主治医は最初、膵臓のがんに注目していました。しかし、詳しく見ていくと肝臓にも2つの転移が見つかりました。「転移があるためステージ4です」と告げられ、手術はできず、治療方針は抗がん剤治療になると言われました。

がんの告知の際も、意外と冷静だった自分

ステージ4で手術もできない。そう告げられた時、ひどくショックを受ける方もいると思いますが、私自身は割とすんなりと受け入れることができました。 その背景には、がんが「2人に1人はなる病気」という認識があったことに加え、私の家系が関係しています。私の母、そして母方の祖母も膵臓がんで亡くなっているのです。そのため、「自分もいつかは」という覚悟のようなものが、心のどこかにあったのかもしれません。ただ、自分でも「少し発症が早すぎるな」とは思いました。 告知の場には妻も同席していました。表面上は取り乱すことはありませんでしたが、心の中では動揺していたと思います。

抗がん剤治療と生活の質を考えた決断

年が明けた1月から、ゲムシタビンとアブラキサンという2種類の抗がん剤による治療が始まりました。しかし4月頃、副作用で感染症にかかり、左脚がパンパンに腫れ上がってしまいました。高熱も出たため、がん治療を受けていた総合病院に8日間入院し、その間、抗がん剤治療は一時中断せざるを得ませんでした。 退院後、2〜3回ほど抗がん剤治療を再開しましたが、その頃から私の心の中には、今後の治療に対する考えが芽生えていました。 当時、私は患者会のLINEグループに参加しており、そこでさまざまな情報を得ていました。1次治療の薬が効かなくなれば、2次治療へと移行します。しかし、2次治療で使われるFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)やオニバイドといった薬は、副作用が非常に強いという話を多くの患者さんから聞いていました。「物が食べられない」「体重がどんどん減る」「一日中寝たきりになる」というようなことです。 私は主治医に「私のように膵臓がんと肝転移がある場合、完全に治ることはあるのですか」と尋ねました。主治医は「まれにがんが消える人もいますが、治療の主目的は、がんが大きくならないようにすることです。がんが縮小すれば、延命につながります」と説明してくれました。「抗がん剤を続ければ長く生きられる可能性はある、しかしやめてしまえば無治療となり、その期間は短くなるだろう」とのことでした。 その言葉を聞いて、「生活の質(QOL)を著しく落としてまで、ただ長く生きることだけを目指すべきなのだろうか」と私は考えました。 幸いなことに、当時も今も、痛みがなく、食事は普通に取れ、好きなこともできています。QOLが非常に高い状態だったのです。自分らしく過ごせる時間がたとえ短いとしても、無理に延命をするよりこの生活のほうが私にとっては幸せなのではないかと思っています。 その決意を固め、私は妻と主治医に「抗がん剤治療をやめたい」と伝えました。主治医は「患者ファースト」を掲げる先生で、「あなたがそう思うなら、やめてもいい。またやりたくなったら、いつでも再開できますよ」と私の意思を尊重してくれました。妻も、最終的には納得してくれました。こうして私は、自らの意思で抗がん剤治療を中断するという大きな決断をしたのです。

抗がん剤治療をやめてからの穏やかな毎日

現在は抗がん剤治療を中止し、緩和ケアに移行しています。治療を受けていた総合病院とのつながりは続けたまま、訪問診療と訪問看護を受けています。 今の緩和ケアの主治医や、昔からの知り合いだった病院の医療ソーシャルワーカーの方は、何でも相談できる心強い存在です。特に、今お世話になっている医療法人は、訪問診療、訪問看護、訪問介護の3つを一体で運営しているため、情報共有が非常にスムーズです。私が訪問看護の看護師さんに伝えた体調の変化や不安は、電子カルテを通じてすぐに主治医や関係者に共有されます。この連携のスムーズさが、在宅療養における大きな安心感につながっています。 治療を中断したことで、生活の制限もなくなりました。抗がん剤治療中は免疫力が下がるため、人混みを避け、お寿司のような生ものも控えていましたが、今は気にせず楽しめます。 もともと野球観戦が趣味で、今もインターネット中継で中日ドラゴンズの試合を見るのが日課です。時にはOB選手のトークショーに足を運ぶこともあります。近所の喫茶店でのんびり過ごしたり、おいしいものを食べたり。そんな何気ない日常が、今の私にとっては宝物です。 また、体力維持のために、毎日腕立て伏せとスクワットを20回ずつ行い、天気の良い日には3kmほどの散歩をしています。「常にポジティブシンキングでいること」を心掛け、笑うことを大切に、自分から楽しい時間を作るようにしています。

これからがんと向き合う方へのメッセージ

私が自身の経験からお伝えしたいのは、選択の重要性です。 治療の選択は、あなた自身のものです。 どのような治療法を選ぶか、あるいは治療をしないという選択をするかは、個人の考え方や価値観次第です。抗がん剤を続けて長く生きたいという選択も、私のようにQOLを優先する選択も、どちらも尊重されるべきだと思います。 信頼できる医療者との出会いを大切にしてください。 私の主治医のように、患者の意思を尊重し、選択を支えてくれる「患者ファースト」の医療者に出会えたことは、私の大きな幸運でした。自分の話をしっかり聞いてくれる医師や看護師、ソーシャルワーカーの存在は、大きな支えになります。 一人で抱え込まず、つながりを持ってください。 患者会やピアサポートは、治療や副作用の情報だけでなく、さまざまな公的制度についての情報交換の場にもなります。同じ悩みを持つ仲間と話すだけで、気持ちが楽になることもあります。 利用できるサポートは積極的に活用しましょう。 訪問看護や訪問診療、介護保険など、在宅療養を支える仕組みはたくさんあります。何でも相談できる体制を整えておくことが、いざという時の安心につながります。 がんと診断されると、誰もが不安になると思います。しかし、大切なのは、その状況の中で「自分はどう生きたいのか」を考え、そのために必要な情報を集め、自分自身で選択していくことだと私は思っています。
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