写真はイメージです。(AIによる生成)プロフィール
お名前:ここゆさん(ニックネーム)
年代:40代
性別:女性
家族構成:夫と子ども2人との4人暮らし
仕事:医療関係(病院勤務)
がんの種類:大腸がん
現在の居住地:-
※本体験談は、患者さん個人の経験に基づくものです。治療の経過や副作用、生活への影響には、個人差があります。医療的な判断や治療方針の決定の際には、必ず医師・医療従事者にご相談ください。
ここゆさんは、ご主人が大腸がんと診断され、治療に励んでいる最中に、ご自身も同じ大腸がんの告知を受けました。この困難な状況の中、彼女がどのようにがんと向き合い、乗り越えてきたのか。医療従事者としての豊富な知識、患者としての葛藤、そして何よりも家族への深い思いを、率直な言葉でお話しいただきました。
まさか自分が、そして夫婦で同じがんに
夫が大腸がんと診断されたのは、私の告知の1年前のことでした。夫は職場の健診で異常が見つかり、すぐに総合病院で大腸がんと診断されました。その時、私自身は大腸内視鏡検査を受けたことがありませんでした。病院の同僚に勧められはしたんですが、毎年便潜血検査で陰性だったから大丈夫だろうと安易に考えていました。しかし、別の自覚症状が出てきたため、近所のクリニックで大腸内視鏡検査を受けたところ、私も大腸がんと診断され、すぐに手術に至りました。
夫ががんと診断された時、家族として本当に驚きました。夫は毎年健診を受けていたし、1年前には大腸ポリープも取っていたので、まさかという気持ちが強かったです。
私は医療関係の仕事をしているので、がんに関する知識はありました。ただ、それが逆に不安を増幅させました。「知りすぎているからこそ怖い」という感覚です。病院には状態の悪い患者さんがたくさん集まってくるので、夫もそうなるのではないかという不安を強く感じました。自分も同じ病気になり、ステージも決して早期ではなかったので、「もし何かあったらどうしよう」という不安は診断時からずっとありました。夫が病気になった時は「自分は死ぬわけにはいかない」と思って頑張ってきましたが、それはあくまで私が健康体であることが前提でした。自分も再発の恐怖と向き合う中で、もし再発したら子どもたちにどう説明しようかという不安は大きかったです。
同じがんだからこそ、難しい夫婦のコミュニケーション
私たち夫婦は同じ大腸がんで、夫の診断から約1年後に私が治療を受けました。同じ病気だからこそ、お互いの気持ちがわかる部分もたくさんありました。特に、抗がん剤治療の辛さは、経験した人にしかわからないので、そこは共有できたと思います。
ただ、同じ病気といっても、遺伝子型や置かれている状況によって治療法は微妙に違います。夫と私は別の病院で治療を受けていたので、検査のやり方も違いましたし、術後補助化学療法を受けるかどうかの考え方も異なりました。夫は手術後に補助化学療法を受けており、その辛さを知っていました。そのため、私に同じ辛い思いをさせたくないということもあり、補助化学療法には反対でした。しかし、私は自分で文献を調べ、化学療法をすることで生存率が6%上がるということを知りました。この6%を高いと取るか低いと取るかは人それぞれだと思いますが、私にはとても貴重に思えました。子どもたちがいるので、何としてでも生きたいという思いが強く、「やらない」という選択肢は全く考えませんでした。
セカンドオピニオンと治療への決断
抗がん剤治療を「やらない」という選択肢は考えていませんでしたが、正直、その選択は非常に重いものでした。そのため、セカンドオピニオンも受けました。当初自分がやりたい治療法で良いかを確認するためです。
治療室で多くの患者さんと話す機会を持つ中で、セカンドオピニオンを受ける患者さんが非常に少ないことに驚きました。「今の主治医を信じている」「裏切ることになる」といった理由で敬遠される方が多いようです。しかし、セカンドオピニオンはもっと気軽に利用して欲しいと強く思います。副作用の対処法など、先生によって考え方が違うこともありますし、複数の意見を聞くことで、いざという時の選択肢が増えます。早い段階でセカンドオピニオンを利用することは、患者さん自身の不安を軽減し、主体的に治療と向き合うために非常に重要だと実感しました。
治療中の仕事と家族への伝え方
がんと診断された時、職場には正直に病気と治療方針、そして一時的に休む期間を伝えました。私の経験が少しでも役に立てばと思い、今まで大腸内視鏡検査やマンモグラフィを受けたことがないスタッフには、ぜひ検診を受けてほしいとも伝えました。
家族、特に子どもたちには、どう説明すれば良いか悩みました。病院に専門の看護師さんがいらしたので、アドバイスをいただきました。「本人がやりたいことを我慢する必要はない」「すぐに死なないよ」ということを伝えて、子どもたちの不安を取り除いてあげるようにと言われました。そのアドバイスの通りに説明し、「絶対に死なないから大丈夫だよ」と言いました。
ポジティブな目標を持つことの大切さ
治療中は本当に辛い日々でした。抗がん剤の副作用が終わるタイミングを指折り数えて待っていました。そんな中で私を支えてくれたのは、「学会発表で登壇する」という目標でした。病気になる前から依頼されていたことで、病気になってからさらにその目標が私を奮い立たせました。治療していることを周りに悟られたくなかったので、いつもと変わらないように振る舞うようにしていました。
また、同じ医療職で、私と同じようにがん治療を経験した方が病院にいたことも大きかったです。細かい辛さを打ち明けられる人がいたのは、本当に助かりました。経験したことのない人に「辛いよね」と言われても、なかなか共感は得られないものですが、実際に経験した看護師さんや先生に「あれは本当に辛いよね」と言われると、心から救われる気持ちになりました。
治療中はもちろん辛かったですが、辛い時こそ、楽しいことを積極的に取り入れることが大切だと思います。おいしいものを食べたり、好きなものに触れたりするなど、自分を大切にする時間を持つことで、がんに支配されない生活を送れるようになるはずです。
病気になる前の生活に一刻も早く戻ること、そして化学療法中も一日も早く日常に戻れる努力をすることが、精神的にも体力的にも楽になるということがわかりました。抗がん剤治療で寝ているのではなく、一日も早くソファーに座るとか、家事をするとか、仕事に行くとか、常に「前の自分に戻れるように心がける」ことが、とても大切だと感じています。
これからがんと向き合う方へのメッセージ
最後に、これからがんと向き合う方々へ、私から伝えたいことがあります。
セカンドオピニオンを積極的に利用してください
今の主治医を信じることはもちろん大切ですが、複数の専門家の意見を聞くことで、治療の選択肢が広がり、納得して治療に臨めます。
主体的に情報を集めましょう
医師からの説明だけでなく、自分でも病気や治療について調べ、積極的に質問することで、不安を軽減できます。
目標を持ちましょう
治療期間中に何か楽しみな目標や、治療後にやりたいことなど、具体的な目標を持つことが、辛い治療を乗り越える原動力になります。
自分を大切にする時間を作りましょう
治療中は心身ともに辛いですが、おいしいものを食べたり、趣味に没頭したりするなど、がんに支配されない時間を持つことが重要です。
信頼できる人に頼りましょう
同じ経験をした人、共感してくれる人に辛い気持ちを打ち明けることで、精神的な負担が軽減されます。
通いやすい病院を選ぶことも大切です
治療が長期にわたる場合、通院の負担は想像以上に大きくなります。信頼できる医師がいることに加え、無理なく通える距離にある病院を選ぶことも考慮しましょう。